問 以下の文章の()に正しい言葉を入れなさい。
「光は波であって、( )である」
姫路瑞希の答え
「粒子」
教師のコメント
正解です。
土屋康太の答え
「寄せては返すの」
教師のコメント
君の解答はいつも先生の度肝を抜きます。
吉井明久の答え
「勇者の武器」
教師のコメント
先生もRPGは好きです。
川上宗一の答え
「――この答えは削除されました――」
教師のコメント
答えが分からないからと言って滅茶苦茶な下ネタを書くのはやめましょう。
Side 川上宗一
Dクラス代表 平賀源二 討死
『うぉおーーーっ!』
その報せはあっという間に戦場の生徒達に伝わった。
Fクラスは歓喜の声を、Dクラスは悲鳴を。
放課後の学園に響くその声は独特で、ちょっとした達成感があった。
勝てると信じなかったわけじゃない。けれどどちらかと言えば負けると思っていた。
クラスの差は学力の差。学力の差は、力の差。
それがこの学園の絶対的不変のルール。
勝つには勉強をして、戦力を上げる。それ以外に方法がない。
なのに――
「本当に……勝ったんだ」
FクラスがDクラスに勝つのは、それほど偉業なのだ。
この悲鳴と歓声がそれを表している。
「凄ぇよ! 本当にDクラスに勝てるなんて!
「これで畳と卓袱台からおさらばだな!」
「ああ、アレはDクラスの連中の物になるからな」
「坂本雄二さまさまだな!」
「やっぱりあいつは凄い奴だったんだな!」
Fクラスが坂本雄二を讃え始める。今回の勝利は雄二のおかげと言っても過言ではないだろう。
今回のMVPでありとどめを刺したのは姫路だが、作戦を考えたのは雄二だ。
雄二がいなければ、今回の勝利はない。
それほど坂本雄二の力というのは大きかった。彼の言葉、知恵、指揮。それらが勝利をもたらしたと言うことをFクラス全員が分かっているのだろう。
頭ではなく本能で。仮に姫路がいたとしても、坂本雄二がいなければDクラスは倒せなかったと感じたのだ。
「坂本万歳!」
「姫路さん愛してます!」
「坂本握手してくれ!」
「俺も俺も!」
さすがの雄二も興奮するFクラスの連中に褒められて嬉しいのか、珍しく頬をぽりぽりと掻いて照れている。あんなに大勢に讃えられるという経験はそう味わえることはないだろう。
そして雄二を取り囲むFクラス生徒を押しのけて明久が駆け寄った。
「雄二!」
「ん? 明久か」
「僕も雄二と握手を―――ぬぉおぉっ! 雄二……! どうして握手なのに手首を抑えるのかな……?」
「抑えるに……決まっているだろうが……! フンッ!」
「ぐあっ!」
雄二に捻り上げられた明久の手首から落ちた一つの包丁。からんからーんと金属が跳ねる音が響く。
どうやら暗殺は失敗したようだった。
「おーい、誰かペンチ持ってきてくれー」
「剥ぐ気!? 僕の爪を剥ぐ気!?」
「雄二、バ○ブしかないけどいい?」
「おお、まあいいだろう」
「よくないよっ! ていうか学校になんでそんな物持ってきてんのさ!? 何をする気!? それで僕のお尻をどうする気!? 謝るから勘弁して!」
僕がバ○ブを手渡すが、明久は諦めたのかすぐにギブアップした。
「……チッ、いい機会だと思ったのに逃した」
「……いい絵になると思ったのに」
「ムッツリーニ、宗一。人のお尻をなんだと思ってるの?」
「……知りたい?」
「やっぱりいい。すごく聞きたくない」
賢明な判断だろう。
「というより宗一。なんでそんな物持ってるのさ?」
「資料」
「ゑ?」
「創作に必要な資料。決していやらしい目的じゃない。OK?」
「アッハイ」
そう、これは創作資料。だから持っていても問題ない。
「まさか姫路さんがFクラスだなんて……信じられん」
振り向くと放心したような表情の平賀がいた。まあ、普通だったら学年トップクラスの姫路が学力最低クラスにいるわけがない。その先入観が今回の勝負を分けた。
「あ、その、さっきはすいません……」
不意討ちをかました罪悪感からか、姫路は申し訳なさそうに謝った。優しい姫路のことだから、勝負に徹するのが難しかったのだろう。
「いや、謝ることはない。Fクラスを甘く見ていた俺達が悪いんだ。まさか姫路さんがFクラスに居るだなんて誰も知らなかったからね」
落ち込みながらも、無理やり笑顔を作って平賀は姫路に応えた。
「わざわざ屋上で作戦会議をしたのは、これが目的だもんね、雄二」
「ああ、そうだ。宗一も分かってたか」
「どういうこと? 雄二」
首を傾げる明久に、簡単に説明する。
「今回の騙し討ち。大前提として、姫路の存在を知られるのがダメだっていうのは明久も分かるでしょ?」
うん、と頷く明久。
「作戦会議をわざわざ屋上でしたのもその為だよ。教室で会議をしていると、近くの教室のEクラスの誰かに姫路を見られるかもしれないでしょ? そのEクラスの誰かから、Dクラスに情報が漏れることだって可能性としては0じゃなかった。姫路はよくも悪くも有名だからね。噂が広まるとDクラスに勝てる可能性が低くなる」
「そういうことだ。分かったか? 明久」
「なるほど……すごいね宗一、馬鹿で変態のくせにそんな細かい事まで分かって――」
スッ(バイ○を取り出す)
「さすが宗一! 宗一ほどの天才はいないよ!」
チッ、まあいいだろう。
「なるほど……全ては情報収集を怠った俺達のクラスの慢心が敗北の原因か……。よし、ルールに則ってクラスを明け渡そう。ただ、今日はこんな時間だから作業は明日でいいか?」
「もちろん、明日でいいよね、雄二?」
「いや、その必要はない」
Dクラス平賀の申し出を、雄二はばっさりと断った。
それを聞いた明久は目を丸くする。
「どうしてさ雄二?」
「Dクラスを奪う気はないからだ。俺達の目標は、あくまでAクラス。Dクラスを奪う必要はない」
「でもそれなら、なんで標的をAクラスにしないのさ、おかしいじゃないか」
「少しは自分で考えろ明久」
「そうだよ明久。そんなんだから近所の小学生に『馬鹿なお兄ちゃん』って呼ばれるんでしょ」
僕がそう言うと、気まずそうに目を逸らす明久。
「……人違いです」
「まさか本当に呼ばれたことがあるのか……?」
「うっそだろお前……」
「うるさいよ宗一! 君だって近所の小学生に『変態なお兄ちゃん』って呼ばれるでしょ!!」
「……人違いです」
シーン。……え、なにこの空気。
「え、宗一、それ本当? でたらめ言っただけなのに……」
「お前ら何をしたら近所の小学生にそんな風に呼ばれるんだ?」
「明久の馬鹿と宗一の変態っぷりは町内の共通認識じゃったか」
「……似た者同士(コクコク)」
「「こいつと一緒にするな!」」
なんて失礼な。明久と同類だなんて!
閑話休題。
「それで、俺たちは何をすればいいんだ?」
「なに、そんなに大したことじゃない。俺が指示を出したらあれを動かなくしてもらいたい」
雄二が指差したのは、Dクラスの窓の外にあるエアコン室外機。とは言ってもアレはDクラスの物ではなくBクラスの物だ。場所の関係であそこを間借りしているのだろう。
アレを雄二が指示したら壊す?
まさかBクラスに嫌がらせをしたいから……なんて理由ではないだろう。雄二がそんな意味もないことを明久以外にするはずがない。
平賀も疑問に感じたのか、雄二に尋ねた。
「なぜそんなことを?」
……この取引は次の戦争のための前準備。
となれば、次の標的は自ずと決まってくる。
「次のBクラス戦の作戦に必要だからだ」
この時の雄二の笑みはまさしく野獣というやつで、既に次の戦いに眼を向けているようだった。
そして平賀はこの条件を承諾。
明久は最後まで不満げだったけど、僕らは雄二を信じるだけだ。今は我慢しよう、明久。
こうして、Fクラスの初めての戦争は勝利という形で幕を閉じた。
その後。
「川上君」
「ん? どうしたの姫路。僕はこれから船越先生という名の野獣を説得に行かなきゃいけないんだけど……」
「実は、川上君に聞きたいことがあるんです……後で教室に来てもらっていいですか?」
このペースで完結できるのか…?
誤字報告や文字の表記についてのご指摘ありがとうございます!
@yukkuri0623
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