バカとテストと変態紳士っ!   作:ガオーさん

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第十五問 爆発オチなんてサイテー!!

Side 吉井明久

 

 

「検証?」

「ああ、そうだ。明日のBクラス戦の前に、宗一の召喚獣の力を調べたくてな」

 

 放課後。

 Cクラスから帰って来た宗一の話を聞くと(どうしてか少し不機嫌そうだった)、どうやら根本の罠だということが分かった。Cクラスの小山さんと共謀して罠を張っていたらしい。

 だがBクラスの待ち伏せを回避できたのはいいものの、Cクラスが戦争の準備をしていたのは本当のようだった。どうするのか雄二に訊いてみたけど、「目には目をだ」とにやりと笑っただけで詳しいことは話してくれなかったけど、Cクラスへの対策はすでに考えてあったらしい。

 けれどその後、Fクラスに残っていた僕、宗一、ムッツリーニ、秀吉に「あとで体育館に来てくれ」と集合をかけた。

 

 なんだろう、と思って4人で体育館に向かうと、そこにいたのは学年主任の高橋先生と雄二だった。

 そして冒頭の話に戻る。

 

「僕の力って……さっき話した腕輪の力と関係が?」

「ああ。宗一の腕輪の話を聞いて状況が変わった。今すぐ確認しなきゃいけなくなったんだ。だからこうやって集まってもらった」

「腕輪って……宗一、腕輪持ちだったの?」

「いや、今日のテストはうまく行ってさ。現国で400点オーバーしたんだ。で、さっきのBクラス戦で使ってみたんだけど……」

 

 頬をぽりぽりと掻きながら宗一は困ったように言う。

 どうしたんだろう? 腕輪持ちだなんて誰でもできることじゃないし、喜んでもおかしくないのに宗一の表情は困惑ぎみだった。

 さっきのBクラス戦でも姫路さんは腕輪の力を使って活躍し、渡り廊下戦を勝利させた。強力な力をもつ腕輪を宗一も持てるだなんて、もっと喜んでもいいはずなのに、雄二の表情は少し暗く、嬉しそうではなかった。

 

「宗一の召喚獣の能力は俺が想像していたよりとんでもない能力だったみたいでな。現代国語の担当でもある高橋先生に頼んで立ち合いに来てもらった。正確に検証するために、お前らにも手伝ってもらいたい」

 

 真剣な表情で雄二は言った。

 宗一の召喚獣は絵で物を生み出す力。ゴジラや戦車、宗一が描けば描くほど、その絵に魂が宿る。

 

「宗一の召喚獣は絵で描けるならどんな物でも生み出せる。架空の生物ゴジラから、現代兵器の戦車まで。点数を消費するデメリットはあるが、攻撃力は絶大だ。動かない絵なら壁にもなる、相手の召喚獣を足止めすることもできる。かなり応用性が高い能力を持っていることは知ってるな?」

「うん。おかげでこの間のDクラス戦で、僕達の部隊は一人も戦死者を出さずに済んだんだよね」

 

実際、宗一がいなければDクラス戦の渡り廊下戦、絶対に誰かが戦死していただろう。最悪、全滅だって有り得た。

 

「そうだ。7点という糞みたいな点数で生き残れるとは俺も思わなかった。こいつが敵じゃなくて本当によかったと今なら分かる。明久、今日の試験召喚戦争でBクラスに飛び道具を持った召喚獣は見たか?」

「そういえば……あまり見なかったね」

 

 試験召喚戦争の要でもある召喚獣同士の戦闘は、基本的に近接戦闘だ。僕の召喚獣の木刀、ムッツリーニの小刀、秀吉の槍など。中には姫路さんの腕輪の力のようにビームを撃ってくる召喚獣もいるけど、ほとんどが近接武器による戦闘がメインになる。遠距離攻撃ができる召喚獣は少ないのだ。

 

「召喚獣は本人の素質、性格、才能、科目の点数によって姿や能力、武器が決まる。宗一の素質は『創作家』。つまり『何かを生み出す』ということに特化してるとも言える。多芸多才な宗一に絵を実体化させるという力はぴったりだろう」

 

 確かに、芸術家の宗一は多才だ。小説からイラスト、音楽まで。芸術を極めに極めつくした男ともいえるだろう。そう考えれば宗一の召喚獣はぴったりとも言える。

 

「近接戦闘が中心の試験召喚戦争において、宗一の召喚獣はかなり特殊で強力だ。例えば、宗一にマシンガンを描かせて俺達の召喚獣に持たせることができれば、今後の戦争を有利に進められる」

「すごいじゃん! それができれば今後の戦いがずっと楽になるね!」

 

 しかし、雄二のその言葉に宗一はかなり厳しい表情になる。ムッツリーニも秀吉もだ。どうしたんだろう?

 

「……雄二、それってかなりチートじゃない?」

「そうじゃのう。革新的じゃが、下手をすれば試験召喚戦争の概念そのものが崩壊する恐れがあるの」

「…………訴えられても文句は言えない」

「ああ。チートもチート。最大の反則技だ」

 

 3人の言葉に、雄二は溜息を吐いた。どういうこと? そろそろ僕を置いて会話をするのはやめてほしい。

 

「宗一、どういうこと?」

「明久。想像してみて欲しいんだけど、侍と侍の戦争は分かる?」

「え、あ、うん。チャンバラだよね。僕も好きだよ?」

「侍の武器って、何?」

「……刀だね。槍とか鉄砲とかもあるけど、メインは刀だし」

「そう。けれど刀や槍による近接戦闘がメインの戦場で、片方の軍隊がいきなり『マシンガン』や『拳銃』を持ちだして戦闘を始めたら、どっちが勝つ?」

「? 何言ってるのさ、銃を持ってる軍隊が勝つに決まって……あっ」

「僕達がやろうとしているのは、そういうこと。試験召喚戦争は基本的に侍と侍の戦い、近接戦闘がメインの戦争だ。けれど、戦争って言うのはいつの時代も技術の進化で戦力の差を一気に覆せる物。それこそ、Fクラスの点数とAクラスの点数の差が意味がなくなるぐらいに」

 

 宗一の言葉に雄二が頷く。

 

「そうなれば、試験召喚戦争を開く意味自体がなくなるかもしれん。宗一がいれば絶対に勝てるからだ。あくまで試験召喚戦争は勉強の一環。一方的に勝つことができるチートを俺達が使い出したら試験召喚戦争が今後開かれなくなる可能性がある」

「そんな! Aクラスを倒した後ならまだしも、Bクラス戦でそんなことをされたら――!」

 

 姫路さんの為にAクラスの設備を手に入れられなくなってしまう。

 

「それだけじゃない。戦闘に勝利しても、『チートを使った』という相手側の抗議が通れば設備の交換を認められないかもしれない。そういう意味で宗一の力は強力過ぎなんだよ」

「でもでも、宗一の描いた絵って一回でも攻撃したらすぐに消えるんじゃないの?」

 

確かゴジラや戦車も、1回攻撃しただけで消滅したはずだ。

 

「普通に描いたら、ね。でも僕の腕輪の力があればそのデメリットを打ち消せるんだ」

「宗一の召喚獣の腕輪?」

「腕輪を発動すると1秒につき1点消費するんだ。その間、僕が描いた絵は消えなくなる。しかも動く絵をいくら描いても点数を消費しない」

「何それ、反則!」

 

 訊くと、宗一はBクラスの5人と戦った時に初めてその能力が分かったらしい。腕輪の特殊能力は召喚して使ってみるまで先生も分からない。姫路さんは1年生の頃から400点オーバーの常連だった為、腕輪の能力が分かっていたらしいが、宗一が腕輪を使ったのは今日の戦闘が初めてなのだと言う。

 

「正直に言うと、現国で400点以上取ったのは今回が初めてなんだ。僕も超驚いた」

「そ、そうなの?」

「へぇ、そうだったのか。なんでいきなり伸びたんだ?」

「まぁ――ちょっとだけ頑張ってみようと思ってさ」

 

 照れ臭そうに笑う宗一だが、僕は驚いた。もしかして宗一は今まで本気を出さなかっただけで実は頭がいいのかもしれない。それこそ、Aクラスの人達と同じぐらいに。

 もしDクラス戦の時に現れたゴジラのような、攻撃力が高い武器や生物をいくつも描かれれば――、そして宗一が描いた大量のマシンガンを他の生徒の召喚獣に装備させでもすれば、パワーバランスが崩壊する。

 宗一に勝てる生徒は片手でしかいなくなるだろう。それこそ、学年代表クラスの召喚獣でもない限り、Fクラス、いや、宗一に対抗できるのはいなくなる。

 

「だからこそ、今のうちに宗一の能力を把握しておく必要がある。戦力の確認は指揮官の義務だからな。宗一のチートは魅力だが、チートをして無双するゲームほど面白くない物はない。だから、宗一の力がどこまでできるのか確認する必要があるんだ」

「……なるほどね、分かったよ。協力する」

 

 僕がそう言うと、雄二たちが驚いたように目を丸くする。

 

「……意外だな。絶対ごねると思ったんだが」

「僕も。『Aクラスに勝てるかもしれないのに、なんで使わないのさ!』とか言うと思った」

「ゲーマーとして、雄二の意見はよく分かるからね」

 

 こうして、高橋先生の立会のもと、宗一の能力の検証が行われることになった。

 ちなみに高橋先生は学園長の指示で宗一のデータを収集するために立会人をしてくれるらしい。

 

 

 

「では、模擬試召戦争を行います。点数が0になった場合、補習室にて補習と回復試験を受けてもらいます。よろしいですね? では、準備ができたら始めてください。模擬試召戦争、承認!」

 

 体育館の真ん中に召喚フィールドが現れ、僕達はお馴染みの呼び出し呪文を唱える。

 

「「「「試獣召喚(サモン)っ!」」」」

 

 お馴染みの幾何学模様に召喚獣が現れる。それにしても、秀吉はなんで召喚するたびに光に包まれて裸っぽくなるんだろう? 同じ男なのにすごいドキドキするよ。

 

 フィールドは現国。(高橋先生)

 被験者は吉井明久・ムッツリーニ・木下秀吉の3人。そして絵を描く宗一が召喚獣を操作し、雄二が実験を観察、考察することになった。

 

 

 こうして、実験が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 実験その1。

 

「まずはどこまで描けるかだな。宗一、とりあえず思いつく物を描いてみてくれるか?」

「ほいっ」

「なんでいきなり裸の女の絵を描く!?」

 

 ウッフーン♥(ボインボイン)

 

「…………!?(ブバババババ)」

「宗一、やめてあげて! 金髪のボインな美女を実体化させるなんてしたら、ムッツリーニが死んじゃう!」

 

宗一の描いた金髪ボインに鼻血を流しながらもムッツリーニはカメラのシャッターを切り始める。

 

「…………まだ、死ねない……!(パシャパシャ!)」

「ムッツリーニ、動いちゃだめだよ! 写真撮ってないで休んでいるんだ!(その写真後でちょうだい!)

 

その間にも宗一はテンションが上がったのかどんどんゴジラやモスラなどの怪獣を描き始める。楽しそうに絵を描く傍ら、雄二と秀吉は宗一が描いた絵を検証していった。

 

「む? このゴジラ、儂らには触れられんようじゃの」

「召喚獣なら触れるみたいだな。だが、架空の生物でもまるで生きてるみたいに描けるんだな……」

「この間シンゴジラ観たからね」

「そういう問題じゃなかろうに……」

 

 

 

 実験その2。

 

「よし、宗一。次はブラックホールとか描けるか?」

 

雄二がそう尋ねると、宗一は「もちろん」と自信ありげに言った。

 

「じゃあさっそく描いてみてくれ」

「分かった、よいしょっ……ああっ!? 召喚獣が吸い込まれるっ!?」

 

召喚フィールドの真ん中に真っ黒な渦が発生した途端、まるで掃除機のように僕の召喚獣が吸い込まれてしまう。

そして僕の召喚獣は━━分子レベルまで粉々に崩れて消えていった。

 

「ぎゃあぁぁああああ!!痛い、痛いよ宗一! 体がまるで塵になるような激痛があぁぁあああ!!」

「明久の召喚獣が細切れに!?」

「宗一止めろ! ていうかお前の点数が!」

「え? あ、0点……」

「明久のも0点になったの……」

 

現代国語

 

   Fクラス 吉井明久   DEAD

 

   Fクラス 川上宗一   DEAD

 

 

「0点になった戦死者は補習ゥー」

「「ぎゃあああああああ!!!」」

 

 

 

 

 実験その3。

 

「ひどい目に遭った……」

「なんで僕まで宗一の巻き添えに……」

 

補習室から戻ってきても、まだまだ実験は続く。

 

「それにしても自然現象も実体化させることができるのか。これはかなりの強みだな」

「…………圧倒的」

「じゃが、規模に応じて消費する点数も莫大じゃ。腕輪を発動してる最中なら大丈夫なようじゃが」

「あぁ。それに宗一の召喚獣もあのブラックホールに吸い込まれそうになった所を見ると、宗一の召喚獣も巻き込まれるみたいだな。戦闘中に自分が描いた絵に殺されたら洒落にならねぇ。それじゃあ宗一、雲は描けるか?」

「ほいほい」

 

 もくもく……

 

「雷はどうじゃ?」

「それそれ」

 

 ピシャッ!

 

「身体に走る電撃の痛みと痺れがあばばばばば!!」

 

「…………津波」

「ほいさっさ」

 

 バッシャアアアアアアア

 

「ぐぉぉお! 息が! 宗一、息が! 死んじゃう!」

 

「じゃあ地震はどうじゃ宗一?」

「はいよ……いや、ちょっと待って」

「どうした、宗一」

「地震ってどう描くの?(素)」

「「「……あー……」」」

「早く助けてヘルプミィーーーー!!」

 

 

 

 

 実験その4。

 

「いよいよメインだな。宗一、武器を描いてみてくれ。ピストルとマシンガンだ」

「OK(シュバババババ)」

「…………速い」

「あの速さでよく描けるな」

「しかも丁寧で繊細じゃ。よほど召喚獣の操作に慣れておらんとできんじゃろう」

 

雄二達が感心したように言う。

目にも止まらぬ速さで描き上げられて行く宗一の召喚獣の絵はまるでビデオの早送りを観ているようだった。

 

「そんなことないよ。明久も観察処分の雑用で操作に慣れてるんでしょ? 僕みたいに描けるんじゃない?」

「無理だよ。僕も召喚獣の操作には自信はあるけど、いくら操作に慣れているからってあんな絵描けないよ」

「絵心うんぬんより、単純に宗一が器用過ぎなんだろう。まだ召喚獣の操作に慣れてない奴の方が多いのに、あそこまでよく動かせるもんだ」

 

多分、宗一の召喚獣を他の人が操作しようとしても宗一以上に使いこなせる生徒はいないだろう。

 

「そう言ってくれるのは嬉しいけど……よし、できた。(ガシャッ)」

 

宗一の召喚獣の足元に真っ黒な拳銃とマシンガンが置かれた。

 

「どれどれ、さっそく儂の召喚獣に持たせてみようかのう」

「…………同じく」

「さて、Fクラス軍の近代化はできるか……」

 

ムッツリーニと秀吉の召喚獣が銃を持った瞬間。

 バシュッ!

 

「…………!?」

「な、なんじゃ? 持たせた瞬間、宗一が生み出した武器が消えてしもうたぞ!」

「…………持てない」

「……やっぱりそう簡単にうまく行けねえか。安心したが、ちょっと残念だな。Fクラスの連中の武器を近代化させるのは、それはそれでロマンもあるからな……」

「…………都合よく行かない」

 

残念そうにため息を吐く雄二とムッツリーニ。さすがにそう都合よくいかないみたいだ。

 

「じゃが雄二よ、明久と宗一が持っても消えないようじゃぞ?」

「宗一は分かるが……なんで明久の召喚獣は持っても消えないんだ?」

「観察処分者と一般生徒の召喚獣は設定が違うからじゃない? 明久の召喚獣と他の召喚獣と違う所なんて、それぐらいでしょ」

「やった! ついに僕の武器が木刀から近代武器に!」

「いろいろ制限はあるが、明久の召喚獣がちょっと強くなったと考えれば儲けもんか」

 

 

 

 

 実験その5。

 

「宗一よ、爆弾などは描けるのかの?」

「描いてみよう。それっ」

 

 カキカキ…ゴトッ

 

「これはまた……物々しいのがでてきたな」

「爆弾と言えばこれでしょ。ボ○バーマンのボム」

 

出てきたのはドクロの絵が書かれた真っ黒な球体。頭には火をつけるための導火線がついている。

 

「導火線があるけど、火はどうやってつけるんだ ?宗一」

「んー、そこまで細かく考えて描いた訳じゃないから……ムッツリーニ、ちょっとこっちに持ってきて」

「…………(スッ)」

 

宗一と雄二に頼まれたムッツリーニは爆弾を持とうとする。

しかし。

 

「あ、ムッツリーニ! 持ち方が甘い、それじゃ落ち――」

 

 ドサッ―――カチッ―――ピカッ

 

 

「「「え?」」」

 

 

 

 ドカーン!! パラパラ……

 

 

 

「「「…………」」」

 

 

ムッツリーニの召喚獣は爆弾で粉々になった。

 

 

現代国語

 

   Fクラス 土屋康太   DEAD

 

 

「0点になった戦死者は補習ゥ――――!!

「…………り、理不尽……!」

「ご、ゴメン康太……まさか落としただけで爆発するなんて……」

 

鉄人に担がれたムッツリーニは抵抗出来ずに補習室に連行されて行った。

 

「どうやら爆発物は衝撃を加えると爆発してしまうようじゃの」

「ていうか今、宗一フィールドの外に逃げたよね? 爆弾消えなかったよ?」

「宗一が描いた絵は本人がフィールド外に出ても消えないようだな。実体化した絵がフィールド外に出れば、さすがに消えるみたいだが」

 

あの一瞬でよくフィールド外まで逃げれたと思う。

 

「かなり危険だねこれ……フィールドの中にいたら巻き添えどころじゃないよ雄二。明久がもしフィールドにいたら気絶待ったナシだよ」

「そうじゃのう。味方もろともとは危険すぎる。宗一も今のでかなりの点数を消費したようじゃしの」

「これは禁じ手だな。威力は申し分ないが、もう少し条件が揃わねぇと使えない。範囲も広すぎるしな。宗一、もう一個作ってみてくれ」

「よいしょっ」

「明久、持ってみてくれ。そっとな?」

 

えぇ!?僕!? まぁいいけどさ……。落とさなければいいだけだし。でも慎重に……慎重に……!

 

「…………(ゴクリ)」

「なんじゃこの爆弾処理班のような空気は……」

「あながち間違いじゃない……雄二、明久に持たせてどうするつもり?」

「いや、宗一の爆弾を有効に使える方法を考えてな」

「本当?」

 

こんな危険なものをうまく使う方法を直ぐに思いつくだなんて、さすが雄二だ。

 

「まず宗一が爆弾を作る」

「ふんふん」

「そして明久が持つ」

「なるほど、それで?」

「相手の陣地に突っ込んで終了」

 

血も涙もない使い方だった。

 

「雄二、僕を殺す気なんだね? 僕の召喚獣にはフィードバックがあるんだよ? 下手したら僕死んじゃうよ?」

「名付けて人柱大作戦」

「生贄かよ!」

「神風じゃの……」

 

なんて酷いことを思いつくんだこのクソ野郎!

 

「この外道め、僕の命をなんだと思ってるのさっ!(ブゥン―――カチッ)」

「あっ」

 

 

 

 ドカーン!! パラパラ……

 

 

 

「「「…………」」」

「ぎゃああああ!! 全身が! 全身が炎に包まれたような熱さと弾けたような痛みがぁぁぁ―――!」

 

 

現代国語

 

   Fクラス 吉井明久   DEAD

 

 

 

「戦死者は補習ぅううううう!!」

「いやだあああああああ!!!」

 

 

「……とりあえず、僕も補充試験を受けてくるよ」

「……そうだな。大分点数も消費したし、宗一の能力についても大分分かった。今日はこれぐらいで十分だろう。高橋先生、ありがとうございました」

「お疲れ様なのじゃ」

「いえいえ、学園長も川上君の召喚獣の能力に強い興味を示していたので、よいデータが取れました。それでは、気を付けて帰ってください」

 

 

 

 こうして行われた放課後の実験は19時近くになった頃、お開きとなった。宗一は回復試験、僕とムッツリーニは補習で、帰れたのは夜の9時ぐらいだった。

 

 

 

 

実験結果―――

 

・宗一の召喚獣が生み出せる物は、大雑把に分けると物体、生物(架空の物も含まれる)、自然現象などである。水や雲などの自然も実体化できるが、地震など目に見えない絵に描けない物は生み出せない。このことから、宗一が生み出せるのは絵で模写できる物に限られると判明。

・自然現象は規模に応じて消費する点数が変動し、竜巻やブラックホールなど大規模な破壊を伴う現象を描くと点数を500点以上消費する。絵を実体化させ0点になった場合は戦死扱いとなる。

・実体化した物は、召喚獣は触ったり壊すことができるが、人間は触れることができない、立体映像のような物。

・宗一が生み出した物は宗一自身が召喚フィールドから出ても消滅しない。フィールドを閉じたり実体化した絵がフィールドを出ると消滅する。

・マシンガンや拳銃を描き、宗一が持って戦うことはできるが、腕輪を使わないと一発撃っただけで消滅する。

・腕輪を使った状態で絵を描き、マシンガンを生み出して秀吉やムッツリーニに持たせてもすぐに武器は消滅する。銃だけでなく剣や槍も同様。おそらく道具や武器類は実体化させても宗一の召喚獣か観察処分者使用の召喚獣しか持ち運ぶことができない。

・ミサイルや爆弾と言った物はどこかにぶつかる、衝撃を加えないと爆発しない。

 

 




感想、評価、お気に入り登録いつもありがとうございます。もっとください(貪欲)


主人公の召喚獣の能力について、こういった形で書かせてもらいました。改めて考えるとかなりチートだなぁ……。無計画で『絵を描いて実体化させて攻撃できる召喚獣とかかっこいいんじゃね?』なんて書くもんだから、細かい設定をまとめるの大変でした。書きながら考えていましたが、肝試し編の時宗一の召喚獣はどうすればいいんですかね(無計画)
次回、Bクラス戦決着。


夏コミに出すクトゥルフ神話TRPGのシナリオ執筆を追い込みにかけるため、しばらく間が開きます。できるだけ早く更新するので気長にお待ち下さい。
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