バカとテストと変態紳士っ!   作:ガオーさん

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バカテスト 生物

問 以下の問いに答えなさい。
「人が生きていく上で必要となる五大栄養素を全て書きなさい」

姫路瑞希の答え
「①脂質 ②炭水化物 ③タンパク質 ④ビタミン ⑤ミネラル」

教師のコメント
さすがは姫路さん。優秀ですね。


吉井明久の答え
「①砂糖 ②塩 ③水道水 ④雨水 ⑤湧き水」

教師のコメント
それで生きていけるのは君だけです。


川上宗一の答え
「①金 ②暴力 ③セッ〇ス」

教師のコメント
あとで職員室に来るように。


 土屋康太の答え
「初潮年齢が十歳未満の時は早発月経という。また、十五歳になっても初潮がない時を遅発月経、さらに十八歳になっても初潮がない時を原発性無月経といい……」

教師のコメント
保健体育のテストは一時間前に終わりました。



第二十一問 第一次試召大戦 ~Aクラス一騎討ち~

――――――――――――Aクラス教室

 

 

 

 

 

 

Side 川上宗一

 

 次の日。とうとう、Aクラスとの一騎討ちの日がやってきた。

 勝負の場所はAクラス。昨日まで置いてあったシステムデスクやソファは教室の隅に退かされており、スクリーンには今日の一騎討ちに出る10人の名前が表示されている。

 Aクラスの生徒とFクラスの生徒は合わせて約100人。うちのボロ教室には入れないし、腐った畳の上で最終決戦とかカッコがつかないのでAクラスということになった。

 そして、Aクラスの生徒とFクラスの生徒が向かい合うようにお互いを睨み合っている。まさしく一触即発だ。

 一方はFクラスなんかに施設を渡すものか、と。

 もう一方はAクラスの設備を奪うんだ、と。

 

「いよいよだね、宗一」

 

 やる気に満ちた明久がそう言う。

 うん、やる気があるのはいいんだけど気になる点がひとつ。

 

「……明久、それ結局取れなかったの?」

「うん……」

 

 左手に卓袱台を装備しながら明久は溜息を吐く。

 一日中、卓袱台を装備して生活していたのだろうか? お風呂とかどうすんの?

 

「宗一、気合入れろ。先鋒はお前なんだからな」

「分かってるよ」

 

 そして約束の10時。凛とした声が響く。

 

「では、両名共に準備は良いですか?」

 

 今回はAクラス担任、高橋先生が立会人だ。知的な眼鏡とびしっと決まったスーツ、まさしく「デキる女」って感じがしてカッコイイ。あと相変わらずいい脚で素晴らしいと思います。

 

「ああ」

「……問題ない」

 

 霧島と雄二が頷きあう。ついにAクラスとの戦いだ。

 

「それでは1人目の方、どうぞ」

「ちょっと待ってください、先生」

 

 いよいよ先鋒戦開始――というところで、木下優子が待ったをかける。

 

「秀吉」

「なんじゃ? 姉上」

「Cクラスの小山さんって知ってる?」

 

 あっ(察し)

 

「はて、誰じゃ?」

「じゃーいいや。その代わり、ちょっとこっちに来てくれる?」

「うん? ワシを廊下に連れ出してどうするんじゃ姉上?」

 

 木下姉はにっこりとした表情を崩さないまま、訳が分からないと言いたそうな秀吉を廊下まで連れ出してしまう。

 でも僕知ってる。女の子のあの笑顔って、滅茶苦茶怒ってる時なんですよね。

 

 

 

 

 

 

『アンタ、Cクラスで何してくれたのかしら? どうしてアタシがCクラスの人達を豚呼ばわりしていることになっているのかしら?』

『あ、姉上っ! ちがっ……! その関節はそっちに曲がらなっ……!』

 

 

 

 

 

 ガラガラガラ

 

 扉を開けて木下が戻ってきた。頬についた誰かの返り血をハンカチで拭いながら。

 

「秀吉は急用ができたから帰るって。さっ、先鋒戦始めましょ?」

「…………(ふるふるふる)」

「宗一、涙目で首を振ってないで早く行ってくるんだ」

 

 雄二の鬼! あれを見たあとで何故戦わせようとするんだ!? いくら自分に関係ないからってあんまりじゃない!?

 

「さあ、始めましょう川上君?」

 

 にっこりと笑う木下。何も知らなければ可憐に見えるその笑顔も今では妖怪の笑顔に見えるから不思議だ。

 

「こ、この勝負棄権――」

「科目の選択権はそっちだ。さあ、決めてくれ」

「無慈悲!?」

「そう――じゃあ、現代国語で勝負しましょう?」

「げ、現国?」

 

 現代国語は僕の得意科目だ。それは当然昨日木下さんも知っていることだ。なら、僕の理系科目はクソだということも知っているはずだ。

 なのに、何故あえて僕の得意科目を?

 何か裏があるんじゃないか――そう考え込んでいると。

 

「勘違いしないでくれるかしら、川上君」

 

 すると、木下が僕を呼ぶ。

 

「あなたが理系科目が不得意だということは知っているわ。本来だったらその弱点を突くべき――けれど、それじゃあダメなのよ」

「……ダメ?」

 

一体何がダメなのだろうか。僕の得意科目じゃないといけない理由?

 

「私達Aクラスは、学園の治安と品格を守る義務があるの。一学期初日から試験召喚戦争をやらかし、何の努力もせずにAクラスに挑んできたバカへの制裁措置――あなた達にとってこの一騎討ちは設備を奪うためのものかもしれないけれど、違うわ。これは、『見せしめ(・・・・)』よ」

 

 こちらを睨みつけながら木下が言う。

 

「なるほど。あえて相手の得意科目で戦って実力の違いを見せつける――見せしめとしては最高だな」

 

 雄二が笑いながら呟く。

 見せしめ……なるほどね。僕達はその生贄か……。

 

「雄二、どういうこと?」

「バカは黙ってろ」

「ひどい!」

 

 話を理解できていなかった明久に雄二が一蹴する。ちょっと黙っててくれないかな。今シリアスな場面なんだから明久にボケられると集中力が切れそうなんだ。

 

「では、両クラス選手、召喚してください」

 

 高橋先生がAクラスの教室に、現代国語の召喚用フィールドを展開する。

 

試喚召喚(サモン)

 

 木下さんが召喚獣を呼び出す。鎧に大きなランスを持った、西洋風の召喚獣だ。

 

試喚召喚(サモン)

 

 続いて、僕も召喚獣を呼び出す。大きな筆と作業着を着た召喚獣……。改めて見ると、戦闘用の召喚獣には見えない。

 そして少し遅れて、召喚獣の点数が表示された。

 

 

現代国語勝負

 

   Fクラス 川上宗一   462点

 

      VS

 

   Aクラス 木下優子   389点

 

 

「すごい! 宗一の現国はAクラスより上だよ!」

「ああ、これなら――」

 

 よし。点数なら僕が上だ。さっそく絵を――って!?

 

 

「そうはさせないわよ!」

 

 絵を描こうとした瞬間、木下の召喚獣がランスを突き出しながら一直線に向かってくる!

 しかも――速ぁっ!?

 

「危なっ!」

「逃がさないっ」

 

 間一髪のところでなんとか避けるが、木下の召喚獣は僕の召喚獣と間を開かせないように追ってくる!

 くっ、これだと腕輪を発動させる暇がない!

 

「くっ……離れろぉ!!」

 

 召喚獣に半ば無理やり筆を振らし、大きな壁を描き、出現させる。しかし――

 

「邪魔よ!」

 

 ドカァン!

 

「「「なっ!?」」」

 

 雄二達の驚きの声が漏れる。

 僕も驚いた。いくら動かない絵だからって、そう簡単に壊せるもんじゃないのに!?

 これが300点以上の点数を持つ召喚獣の力だって言うのか!?

 

「小細工は無駄よ!……ほらっ!」

「くっ!」

 

 木下の召喚獣の槍が僕の召喚獣の腕に直撃する。

 

 

現代国語勝負

 

   Fクラス 川上宗一   327点

 

      VS

 

   Aクラス 木下優子   389点

 

 

 見ると、僕の召喚獣の100点以上の点数が削られていた。

 腕に当たっただけでこの威力か……!

 

「な、なんで!? 宗一の点数の方が上なのに、どうして押されてるの!?」

「くっ……木下姉の奴、宗一に絵を描かせないために接近戦を仕掛けてきたな。あんな近距離じゃあ宗一が絵を描くことができない。あんな風に間を置かずに攻められれば、腕輪を発動しても絵が描けないから腕輪を発動しても意味がない。ただ無意味に点数を消費するだけになっちまう!」

「そんな!」

 

「Dクラス戦、あなた達の戦いは見させてもらったわ」

 

 僕の召喚獣を追い回しながら、木下が不敵な笑みを浮かべながら言う。

 

「けれど、あなたの召喚獣には致命的な弱点がある。あなたの召喚獣は、絵を描き終えるまで数秒の時間がかかる。なら、その時間を狙って絵を描かせなければいいんでしょう?」

 

 なるほどね……!絵を描けなければ僕の筆自体には大きな攻撃力はない。絵を描けない筆なんてただの棒切れだ。明久の木刀より劣るだろう。もちろん筆を使って殴ればそれなりにダメージが入るかもしれないが、Aクラストップクラスの木下にダメージを入れるのは厳しいだろう。

 

「でも数秒と言っても2、3秒だよ!? そんなわずかな時間を狙うなんて、今まで誰も――!?」

 

 

 明久が叫ぶ。確かに今まではそんなことをしようとする連中いなかった。今までは。

 

「でしょうね。けれど川上君、あなたはこうやって一対一の近接で戦ったことはまだないんでしょう?」

「……正解」

 

 僕の召喚獣は、遠距離、しかも乱戦向きだ。姫路の召喚獣のようなガチガチのゴリ押し接近戦向けではない。

 木下の言う通り、僕の召喚獣が絵を描き、実体化させるまでに僅かな時間がある。このわずかな時間を狙われれば、召喚獣は絵を描くことができない。だから僕が絵を描いている間、タイムラグをフォローしてくれる仲間がいるのが最適なのだ。

 この間のBクラスの連中と戦った時は、相手がうまく連携がなっていないこと、腕輪をすぐに発動して圧倒したからこそできたことだ。

 けど、改めてこうやって一対一で戦って分かった。

 

 木下優子……強い。

 これがAクラスか。

 

「攻撃用の絵を描くには、大きな絵を描かなきゃいけないのよね? なら、その隙を狙ってとどめをさしてあげる!」

「さすがだね木下! 正直侮っていたよ!」

 

 僕の得意科目を選んだのも、僕の召喚獣の弱点を分かっていたからなのだろう。勝算があったからこそ、僕の得意科目を選んできたのだ。

 

 ガキンガキンガキン!

 

 筆を無理やり振って絵を描こうとするが、木下の召喚獣の槍がそれを邪魔する。

 そして槍のリーチが長いせいで、少しずつ点数が削られていく。

 召喚獣の操作も、どこかぎこちないが十分うまい!

 

現代国語勝負

 

   Fクラス 川上宗一   255点

 

      VS

 

   Aクラス 木下優子   389点

 

 

「褒めてくれてありがとう。このまま降参する?」

「ただで負けるのは嫌だね! でも木下姉の脱ぎたてパンツとかくれるなら考える!(降参するとは言ってない)」

「ほっ、本当に変態ね! この状況でよく言うわ。じゃあそろそろ終わりにしましょう!」

 

 顔を赤らめながら叫び木下。そして木下の召喚獣の槍が突きだされる。 

 けれど彼女は知らない。

 別に僕が描けるのはゴジラや戦車のような大きな絵だけではない。

 小さい絵でも攻撃はできるということを。

 

 

 ドスリ!

 

 

 とうとう、木下の召喚獣が僕の召喚獣の胴体を貫く。

 

 

現代国語勝負

 

   Fクラス 川上宗一   72点

 

      VS

 

   Aクラス 木下優子   389点

 

「終わりよ!」

 

 木下の召喚獣がとどめを刺そうと槍を引き抜こうとする。今だ!

 

「まだ何か描くつもり? 今さらそんな――え?」

 

 勝利を確信したであろう木下の、間が抜けた声を出す。

 僕が描いた絵を見たからだ。

 その絵は、ゴジラや戦車のように描くのに数秒もいらない。僕の召喚獣なら一瞬あれば十分だ。

 小さくて、威力があり、攻撃ができる。

 

 それは―――

 

「手榴弾っ!?」

 

 木下の召喚獣の足元に転がる、5個の手榴弾。安全ピンはすでに抜かれている。後は、破裂するだけだ!

 

「芸術は―――爆発だっ!」

 

 教室が一瞬、強い閃光で満たされる。

 

 そして大きな破裂音が鳴り響き――そこには、倒れ伏した僕の召喚獣。

 今の爆発で点数がゼロになったのだろう。至近距離で爆発させたため、操作しようとしてもまったく動かない。

 そして木下は――

 

 

現代国語勝負

 

   Fクラス 川上宗一   DEAD

 

      VS

 

   Aクラス 木下優子   79点

 

 

 

 木下の召喚獣はよろけながらもまだ立ち上がっていた。

 

「くっ……足りなかったか……!」

 

 木下の召喚獣は、戦死していなかった。

 

 

「勝者、Aクラス!」

 

 

「「「うおぉおーーーーっ!」」」

 

 高橋先生が木下の勝利をコールすると、Aクラス生徒達が一斉に喚き立つ。

 

「…………くっ……」

 

 勝ったというのにどこか悔しげな表情の木下が唸る。

 圧倒的な勝利を確信したと思った瞬間の、最後の一撃。あの最後の爆弾は木下のプライドを大きく傷ついたようだ。

 不満げに僕を睨みつけながら、Aクラスの方へ戻っていく。

 一矢報いることはできたけど、先鋒戦はAクラスの勝利。

 僕は溜息を吐いて雄二達の所へ戻った。

 

 

 

 

 

Side 吉井明久

 

 

「ごめん雄二。最後はなんとか引き分けに持ち込みたかったんだけど……」

「気にするな宗一。あの状況でお前は十分よくやった」

「…………奮闘」

 

 珍しく落ち込んでいる宗一をみんなで讃える。確かに、最後は自分が戦死してでも引き分けに持ち込もうとする所はすごかった。

 僕だけじゃなく、あのタイミングでの不意打ちは雄二も予想できなかったらしく、驚いていたのが印象的だ。

 しかし、少し気になることがあったので訊いてみる。

 

「ねえ宗一、本当に木下さんのパンツもらえたら降参するつもりだったの?」

「…………(プイッ)」

「ちゃんとこっちを見てよ!?」

 

 もしかして本気で降参する気だったんじゃないよね? それにしても、あんな戦闘中に堂々と木下さんにパンツを要求するこいつの変態っぷりにはいつも驚かされる。

 

「では、次の方どうぞ」

「私が出ます。科目は物理でお願いします」

 

 Aクラスからは佐藤美穂さん。Fクラスからは、

 

「よし。頼んだぞ、明久」

「え!? 僕!?」

 

 え!? ここで僕の出番!? ここで負けたら後がないのに!

 

「大丈夫だ、俺はお前を信じている」

 

 自信たっぷりの雄二の言葉。

 

「逝ってこい、明久」

「…………逝ってこい」

 

 宗一とムッツリーニも僕に激励をかけてくれる。

 そっか……そういうことなんだね。

 

「ふぅ、やれやれ。僕に本気を出せってこと?」

「ああ、もう隠さなくていいだろう。この場にいる全員にお前の本気を見せてやれ」

 

『おい、吉井って実はすごい奴なのか?』

『イヤ、そんな話は聞いたことないぞ』

『どうせいつものジョークだろ?』

 

 ざわざわとざわめき立つFクラス皆の声。

 

「吉井君、でしたか? あなたまさか……」

 

 対戦相手の佐藤さんが僕を見て何かに気付いたかのように戦く。

 僕は手についた卓袱台に座り込みながら召喚獣を呼び出す。

 

「あれ?気付いた? ご名答。今までの僕は全然本気なんて出しちゃあいない」

 

 腕をまくりながら手首をひねる。簡単な準備体操だ。

 

「それじゃあ、あなたは……」

 

「そう、今まで隠してきたけど、実は僕―――」

 

 

 

 

 

「――――左利きなんだ」

 

 

 

 

物理勝負

 

   Aクラス 佐藤美穂   389点

 

      VS

 

   Fクラス 吉井明久   62点

 

「勝者、Aクラス佐藤美穂!」

 

 卓袱台ごと粉砕され、僕は床に倒れ伏した。

 

「この馬鹿! テストの点数に利き腕は関係ないでしょうが!」

「み、美波! フィードバックで痛んでるから殴るのは勘弁して!」

「よし、勝負はここからだ。本気でいくぞ!」

「康太、頼むよ」

「…………任せろ(グッ)」

「ちょっと待った雄二、宗一、ムッツリーニ! 貴様ら僕を信じてたんじゃないのかよ!?」

 

 

 

 

 

「「「勝つ方に信じてたわけじゃない」」」

 

 

 

 

「お前らに本気の左を使いたぁ―――い!」

 

 

 

 

 

 




Aクラス戦、突入。


そして沖田オルタガチャ、なんとか勝ちました。やったぜ。

感想、評価、お気に入りがどんどん増えて嬉しいです!
これからも読んでいただければ幸いです。

次回はあの子も登場。
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