バカとテストと変態紳士っ!   作:ガオーさん

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バカテスト 『清涼祭』アンケート

学園祭の出し物を決めるためのアンケートにご協力ください。
『あなたが今欲しいものはなんですか?』


姫路瑞希の答え
「クラスメイトとの思い出」

教師のコメント
なるほど。お客さんの想いでになるような、そう言った出し物も良いかもしれませんね。写真館とかも候補になり得ると覚えておきます。


土屋康太の答え
Hな――成人向けの写真集」

川上宗一の答え
Hな――成人向けの漫画。もしくはBD」

教師のコメント
書き直したことに意味はあるのでしょうか。


吉井明久の答え
「カロリー」

教師のコメント
この回答に君の生命の危機が感じられます。




清涼祭編(原作2巻)
第一問 同じバカなら踊らにゃ損々


 

Side 川上宗一

 

 

 

 

 

 

 

 

『Our life is our art.』

 

――僕らの人生は、僕らのアートなのさ。

 

 僕の好きな言葉のひとつだ。どれぐらい好きかと言うと、座右の銘にしたいぐらいには。

 

 かつてロック界の頂点に立った、ビートルズのボーカルを務めたジョン・レノン。

 世界中に『ビートルズ』という名前と自分の歌声を響かせた、ロックを輝かせた立役者。

 

 そんな彼が残した多くの言葉の内の一つ。人生はアートだと。芸術だという考え方。

 

 人の人生は、一つのキャンパス。

 真っ白なキャンパスに何を描かれるのか、それはその持ち主にしか分からない。

 へたくそでも楽しげな子供のような絵か、描いてしまって後悔を残すような絵か、それとも明るく美しい風景を描くか。その人自身にしか描けないことだ。

 この間ビートルズを歌っていて、僕はそんなことを想った。

 

 レノンはただ音楽に人生を捧げて生きていた。

 

 なら僕も、僕自身に納得がいく生き方をしよう。

 

 誰も認めてくれなくても、自分が納得できる出来のアート(人生)を作り上げようと。

 

 

 

 

 

 

 

 まあ何が言いたいかと言うと、僕は僕らしく生きる。

 誰になんと言われようと、僕は気が済むまでエロに生きるつもりだし、高校を卒業しても、きっと変わらないだろう。僕は僕が思うように生きる。ただひたすらに。

 世間ではそういう生き方は認められないかもしれない。周りを気にせず、ただひたすら走り続ける人間は「協調性がない」「現実的な生き方ではない」と叩かれるかもしれない。

 バカな生き方、と笑われるかもしれない。

 けれど、例え周りにバカと言われようとも、自分が納得できる生き方ができるのなら、そこには最高のかっこよさが生まれるのではないか――そう。

 

「吉井! こいっ!」

「勝負だ、須川君!」

「お前の球なんか場外に飛ばしてやる!」

 

 例え、清涼祭まであと3日だと言うのに準備もせずに校庭で野球をしていようとも。

 

「ばっちこーい。――……あーかったる」

 

 ライトのほうからピッチャーの吉井にのんびりと声をかける。まあ所詮お遊びの野球だし、こっちに打球が飛んでこないことを祈りながら適当にやり過ごして……。

 

「貴様ら!学園祭の準備をサボって何をしているか!」

「ヤバい! 鉄人だ!」

 

 校舎のほうからげきおこという言葉がぴったりの大男、我らが担任、鬼の鉄人先生が走ってくるのが見えた。瞬間、校庭でポジションを守っていた我らFクラスは一気に散開する。

 

「吉井! 貴様がサボりの主犯か!」

「ち、違います! どうしていつも僕を目の敵にするんですか!?」

 

 だって明久だしね。是非もないよネ。

 明久と雄二が鉄人先生を引きつけてる今のうちに、僕は校舎へ――

 

 ガシッ

 

「川上、貴様どこへ行くつもりだ?」

 

 バカな!? いつの間に背後に!? 校舎から何十メートルも離れているのに一瞬で距離を詰めるなんて。

 これもトライアスロンをしている成果なのだろうか。サイヤ人張りの瞬間移動ができるとか、なんと羨ましい。もしくはギア2nd?

 

「先生ってひょっとしたらニクニクの実を食べた筋肉人間じゃ……」

「人を悪魔の実の能力者にするな」

 

 違うのか……少し残念。

 

「雄二!宗一が捕まって……え?『フォークを鉄人の股間に』? 違う! 今は球種やコースを求めているんじゃない!」

「全員、教室へ戻れ! この時期になってまだ出し物が決まっていないなんて、うちのクラスだけだぞ!」

 

 

 鉄人の怒号が響き、僕らはFクラスのおんぼろ教室に押し込まれることになった―――が。

 

「川上。貴様はこのまま学園長室に行くように」

「へ? なんで僕だけ」

「学園長がお前に頼みたいことがあるそうだ。あまり待たせないように」

 

 なんだろう。ひょっとして退学? 学園長から直接、退学の言い渡し? そりゃあ人に言えないようなあんなものやこんなものを作っているけど、人にばれるようなことはしていないのに……ハッ、もしかしてムッツリ商会のことがばれた!?

 

「先生……退学になっても、時々遊びに来ますからね……」

「……お前は時々、吉井と同レベルの発想をするな」

 

 なんて失礼な。

 

 

 

 

――――――――――――学園長室

 

 

 ――コンコンッ

 

「入んな」

「失礼しまーす」

 

 学園長室に入ると、大きな机と高級そうな椅子に座る藤堂カヲル学園長が僕を出迎えた。

 長い白髪を束ね、強気そうな目つきが特徴のおばあちゃんである。

 試験召喚システム開発の第一人者で、学園を経営しながら研究者でもある、かなりえらーい人である。

 

「久しぶりです、カヲル先生」

「ああ、よく来てくれたね川上。あと、アタシのことは学園長先生と呼びな」

「いやあ、でもカヲル先生って呼ぶ方が呼びやすくていいなぁと」

「まったく……」

 

 先生は呆れたようにはぁ、と溜息を吐く。

 本当はカヲル君と呼んでみたいところだが、それを言ったら怒られそうなので言わないでおこう。

 

「あ、先生、まだあれ飾ってたんですか?」

 

 学園長室の壁には、藤堂カヲルの人物絵――肖像画が額縁に収められ綺麗に飾ってある。その絵の下には大理石のプレートで「藤堂カヲル学園長」と彫られていた。

 

「ああ、アンタの絵は本当に良くてねぇ。気に入ってるから今でも飾ってるんだよ」

 

 そう、あの絵は僕が去年描いた物である。去年、美術部の助っ人として一時期コンクールなどに絵を出品していたのだが、僕の画力に目をつけた先生が「アタシの肖像画を描いておくれよ」と頼んできたのがきっかけだ。どうやらその手の画家に頼むより学生に描かせたほうが金がかからない、というケチ臭い理由で頼んできたらしいが、僕が描いた絵が先生の想像を超える出来だったので、渡した時大層喜んでいたのを今でもよく覚えている。

 

「芸術家冥利に尽きますね。肖像画なんて描いたことなかったから、そう言ってくれると嬉しいっすよ。……で、今日は何の用です? また絵を描けって依頼ですか?」

「そうさねぇ……確かに絵を描け、と言えばそうだが、アンタに描いてもらおうというわけじゃない。アンタの召喚獣に描かせたいのさ」

「僕の召喚獣に?」

 

 どういうことだろう。確かに僕の召喚獣は絵を描いて実体化させるという変わった力を持つ。でもそれがどうしたんだろうか。

 

「今度行われる清涼祭に、試験召喚大会が開かれるのはアンタは知ってるかい?」

「ああ――あの、2対2のトーナメント形式の召喚獣勝負ですよね」

 

 学園長はこくりと頷く。

 

「あの大会――あれは各国のVIPやスポンサー達に、試験召喚システムを見せるためのプロモーション、つまり宣伝なのさ。試験召喚システムの有能さを見せるためのね。それだけじゃなく、この学園の清涼祭は毎年多くの一般客が集まる。試験召喚システムを実装された進学校として、ウチは有名だからね。宣伝としては絶好の機会なのさ」

「まあ、注目されますよね。僕もこの学園を知ったのは学園祭の時でしたし」

 

 文月学園はいろいろな意味で有名だ。進学率や成績の高さなどはもちろんだが、一番有名なのはやはり試験召喚システムである。

 このシステムが目玉であり、これを目当てに入学してくる生徒はやはり毎年多いと聞く。

 

「そこで、アンタの力も借りたいのさ」

「僕の?」

「アンタの召喚獣――そうさね。プログラムの一環として、校庭にフィールドを展開。そこでアンタの召喚獣で学園祭を盛り上げてもらいたいのさ。それこそ、スポンサー達のド肝を抜くような物をさ。お得意の絵を描いてもらってね」

「マジっすか」

 

 学園祭で一人の生徒を、スポンサー達へ向けて広告をさせる――これってかなりすごいことなのでは。

 

「でも、召喚獣だったらやっぱり『戦争』……戦闘がメインじゃないっすか? 僕じゃなくてもいいんじゃ――」

「それは試験召喚大会があるから、アンタは闘う必要はないさね。アタシが必要としてるのは、アンタの絵を描く力だよ」

 

 それに、と学園長は言葉を繋げる。

 

「学園祭でアンタの召喚獣の能力はうってつけさね。フィールド内にアンタが描きたい物を好きなだけ描き、実体化させる――如月ハイランドのパレードにも負けない、絶好のパフォーマンスじゃないか」

 

 僕は頭の中で想像する。

 グラウンドのフィールド。他の出し物で場所は少し狭いかもしれないけれど、校庭と言えばかなりの広さだ。

 そこにゴジラ、戦車、あ、如月ハイランドのフィーたちもいいかも。しかもこの間の戦争で描いたのは廊下の広さに合わせた物だ。校庭ならひょっとしたら等身大サイズ、それこそ校舎より大きな絵が―――

 

「やります」

「アンタなら、そう言ってくれると思ってたさ。なら、さっそくそれについて話をしようじゃないか」

 

 僕は学園長と相談し、いくつか僕が行うパフォーマンス……いや、大道芸と言ったほうがいいかもしれない。

 それについていくつか決まり事を作った。

 

 

・立会人は西村先生。基本的に現国のフィールドを展開してもらう。

・点数の補充は放課後。問題内容は小学一年生レベルのテストで、簡単に補充できるようにする。

・パフォーマンスを行うのは、リハーサルとして初日、本番として一般公開の正午に行う。

・絵を描く内容はR-18は禁止。グロテスクな怪物はほどほどにすること。

・フィールドを展開している間、川上宗一以外は召喚できないようにすること。

 

 

「ふむ、こんなもんさね」

「僕もこれでいいと思いますよ」

「……もう一つの問題にアンタを使いたかったんだが、アンタの点数じゃねえ……」

「? 何か言いました?」

「いや、なんでもないさね。そうさね、アンタに働いてもらうからには、こっちもそれなりに誠意を返そうじゃないか。何か頼み事があったら、アタシに言いな。特別にアタシが便宜を図ろうじゃないか」

「マジっすか先生! 太っ腹!」

「ハッハッハ。もっと褒めるといいさ」

 

 先生は快活に笑う。

 カヲル先生は子供嫌いで、生徒に結構厳しい所があるが、こういう所は子供っぽくて好感が持てる。明久辺りは「ババア」とか言いそうだけど。

 

「じゃ頼んだよ」

「了解っ!」

 

 こうして、僕は学園祭で試験召喚獣のパフォーマンスを行うことになった。

 

 

 

 

 

 

――――――――――――Fクラス教室

 

 

「おっすー。ごめん、遅くなった、そろそろ出し物は決まった?」

 

 ボロい扉を開くと、美波と明久がボロい黒板の前でボロいチョークを使って出し物の意見をまとめていたようだ。ボロボロすぎだろこの教室。

 

「あ、宗一」

「宗一、遅かったじゃない。もう案は出たわよ」

 

 ポニーテルが特徴の可愛らしい女の子、美波が言う。

 ほう、もう出し物の案は出たのか。どれどれ、どんな出し物――

 

 

 

 

 

【候補① 写真館『秘密の覗き部屋』】

 

【候補② ウエディング喫茶『人生の墓場』】

 

【候補③ 中華喫茶『ヨーロピアン』】

 

 

 

 

「…………うぅん?」

 

 

 

 うちのクラスは失敗しそうだな、と思いました、まる。

 

 

 

 

 

 




清涼祭編、スタート。


工藤さんをヒロインに据えたことで、感想欄がいろいろと阿鼻叫喚になっています。
いろいろな意見があると思いますが、作者から一言だけ……





ヒロインは工藤愛子だ 誰が何を言おうと工藤愛子なんだ




だって工藤を絡ませるの楽しいんだもん!
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