バカとテストと変態紳士っ!   作:ガオーさん

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バカテスト 国語

問 次の作品の空欄を埋めなさい。また、この作品の著者も答えなさい。
『(1)メロスは(  )した』
『(2)著者 (   )』


川上宗一の答え

『(1)メロスは( 激怒 )した』
『(2) 著者 ( 太宰治 )』

教師のコメント
正解です。有名な太宰治の作品『走れメロス』の冒頭の文章ですね。


土屋康太の答え

『(1)メロスは( 爆発 )した』

教師のコメント
1行目で作品が終わってしまいました。


吉井明久の答え

『(2)著者 ( サンプラザ中野 )』

教師のコメント
それは「Runner」を歌った人ですね。私も好きですが、×です。


第三問 エロ目的でパソコンを始めるとすぐ上達する。

 

 

 

Side 吉井明久

 

 

 雄二のAクラスの宣言を聞いたFクラスはしん、と静まり返った。

 

 

 姫路さんの為に試召戦争をしようと雄二を説得できたのはいいけれど、本当にFクラスでそんなことができるのだろうかと今更ながら不安になってしまう。

 けれど雄二はそんなことを意にも介さず、教室を見渡した。

 クラスメイト全員の視線が集まる中、雄二は一人一人に目をやり、そして教室を見ながらこう言った。

 

 

「Aクラスは冷暖房完備の上、座席はリクライニングシートらしいが」

 

 そして一呼吸おいて、静かに告げる。

 

「――不満はないか?」

 

『大ありじゃぁっ!!!』

 

 二年F組の魂の叫びが教室に鳴り響く。

 どうやら皆、声に出して言わなかっただけで不満を貯めこんでいたらしい。

 

「だろう? 俺だってこの現状は大いに不満だ。代表として問題意識を抱いている」

 

『そうだそうだ!』

『いくら学費が安いからと言って、この設備はあんまりだ! 改善を要求する!』

『そもそもAクラスだって同じ学費だろ? あまりに差が大きすぎる!』

 

 蜂の巣をつついたかのようにあがる不満の声。

 しかし、冷静な意見もあった。

 

「だが雄二よ、かと言ってAクラスに戦争を仕掛けるのは無謀すぎやしないのかの?」

 

 秀吉が訝しげにそう言う。

 

『確かに、勝てるわけがない』

『これ以上設備を落とされるのは嫌だ』

『姫路さんがいたら何もいらない』

 

 そんな秀吉の意見に同意するようにFクラスから悲鳴が飛び上がる。

 確かに、AクラスとFクラスの戦力は文字通り桁が違う。銃を持っている軍隊に素手で挑むような、そんな無謀ともいえる挑戦だ。

 

「そんなことはない。必ず勝てる。何故なら、このクラスには試験召喚戦争で勝つことができる要素が揃っている!」

 

 雄二は不敵の笑みを浮かべ、壇上からみんなを見下ろした。

 

「おい、康太。畳に顔をつけて姫路のスカートを覗いていないで前に来い」

 

 

「…………!!(ブンブン)」

 

 

「は、はわっ」

 

 

 必死になって顔と手を左右に振り否定のポーズをとる康太と呼ばれた男子生徒。

 姫路さんがスカートの裾を抑えて遠ざかると、あいつは顔についた畳の跡を隠しながら壇上へと歩き出した。

 

 

「土屋康太。こいつがあの有名な、寡黙なる性識者(ムッツリーニ)だ」

 

 

「…………!!(ブンブン)」

 

 

『ムッツリーニだと……?』

『バカな、ヤツがあの伝説のムッツリ商会を立ち上げた男だというのか?』

『だが見ろ、あそこまで明らかな覗きの証拠を未だに隠そうとしているぞ』

『ああ、ムッツリの名に恥じない姿だ』

 

 男子生徒から畏怖と敬意を、女子生徒には軽蔑を以て挙げられるムッツリーニ。その名を聞いて驚かない男子生徒はいないだろう。

 

 

「???」

 

 

 姫路さんは頭に疑問詞を浮かべているみたいだけど。

 

 

「それからもう一人、おい宗一」

 

 

「…………」

 

 

「宗一」

 

 

「…………」

 

 

「おいそこのエロ漫画を読んでいる変態紳士」

 

 

「誰が変態紳士だ!」

 

 

 卓袱台に今まで読んでいたエロ漫画を叩きつけて立ち上がった宗一と呼ばれた男子生徒。

 怒りの形相を浮かべているが、あまり迫力がない。

髪は天然なのかパーマみたいなくせ毛で、もじゃもじゃ頭だ。身長は僕と同じぐらいで、青いフレームのメガネが特徴的の、どちらかと言えば地味目な男だ。

 

「ちょ、ちょっと川上!あんた学校でなんて物読んでるのよ!」

「は、はわわ」

 

 彼が読んでいた漫画の表紙の絵が見えたのか、顔を真っ赤にさせる女子二人。相変わらず過激な物を読んでいるなぁ……。

 学校の、しかも昼休みでもない時間でブックカバーも着けずにアレを読もうとする度胸を持った奴は、この学園にただ一人しかいないだろう。

 

 

「僕の崇高なる読書の時間をよくも邪魔したな雄二……!」

「何が崇高なる読書だ。ただのエロ漫画だろ。それよりお前も前に来い」

 

 宗一はぶつぶつ文句を言いながら壇上の方へ歩いてくる。

 

『すげえなアイツ。ムッツリーニのようにエロ本を読んでいた事実を隠そうともしてないぞ』

『しかも変態紳士って……まさか』

 

「川上宗一。こいつもあの有名な、ムッツリーニと対をなす男である饒舌なる性識者(変態紳士)だ」

 

雄二がそう告げるとクラスメイト全員がざわめき立つ。

 

『マジか!?あの有名な!?』

『女子トイレに堂々と押し入ったと言われる――』

『全裸で女子にあそこを見せつけたと言われる――』

『女子のパンツを頭にかぶったと言われる――』

 

『『『あの変態紳士か!?』』』

 

「え、なに。そこまでそのあだ名広まってんの?」

 

 変態紳士。

 それは変態な男に与えられる蔑称の最上級。

 土屋康太がむっつりスケベなら、川上宗一はオープンスケベだ。

 自分の性癖を隠そうともせず、自分の欲望のままに突き進む男。幼女から熟女まで性癖のストライクゾーンは誰よりも広く、「最近のブームは人妻だ」とか教室のど真ん中で言うぐらいには彼は羞恥心が欠けている。

 変態だって言うと本人は「誤解だ」って言い返すけど、僕は知っている。

 

 彼はノーパン主義者だということを。

 

「Fクラスの諸君。お前達もただ『戦争』に参加してくれと言ってもあまり気乗りはしないだろう。だから俺は、こいつを使ってある『報酬』を用意する」

 

 報酬?

 雄二の言葉に首を傾げるFクラス一同。

 宗一だけはその言葉の意味を理解したのか、げんなりとしたような、何ともいえない表情をしている。

 

「宗一。ちょっとこれで描いてみてくれ」

 

 雄二は宗一に一本のまだ比較的新しいチョークを渡す。

 それを受け取った宗一は、おもむろにボロボロの黒板に何かを描き始めた。

 宗一が何かを描いている間、雄二は全員に言う。

 

「諸君、川上宗一は皆が聞いているように確かに変態だ」

「変態じゃない。自分に素直なだけだ」

「変態だ。だが、こいつの真価はそれじゃない」

 

 宗一の文句を無視しながら、雄二は言葉を続ける。

 

「こいつはイラスト、小説、漫画を描くことができる男だ。他にもピアノやギター、歌と言った音楽はもちろん、様々な芸術系の科目に長けている。しかもそれらが滅茶苦茶うまい。その実力は俺が保障する。こいつは、紛れもない天才だ」

 

 川上宗一は変態であると同時に天才だ。

 

 よく「芸術家は頭のねじが外れた奴が多い」と訊くけど、宗一はまさにその類だろう。

 以前、路上ライブをしていると宗一が話していたので僕や雄二は冷やかしにそのライブを聞きに行ったけど―――正直言って、滅茶苦茶うまかった。

 その場にいた通りすがりの客、僕含めて雄二や秀吉、ムッツリーニまでもが時間を忘れてしまうほど、宗一のライブに没頭した。

 本人は「ちょっと暇だったから」と路上ライブをしていたらしいけど、暇つぶし感覚であそこまで人を集められるのはそうそういないだろう。

 そのライブが終わる頃には、宗一の歌に夢中になったたくさんの人が宗一を取り囲んでいたのをよく覚えている。

 その後、文月学園の文化祭「清涼祭」の体育館ライブで、川上宗一は伝説になった。

 もし、文月学園のテストに美術や音楽と言った芸術系の科目やテストがあったのなら、宗一は間違いなくAクラスだ。

 

『イラスト? イラストとか小説でAクラスに勝てないだろ』

 

クラスメイトの1人が当然の疑問を口に出す。

 

「ああ、そうだ。だが、それだけが宗一の力じゃない。宗一、そろそろできたか?」

「うん、できた」

「よし」

 

 黒板を見た雄二が、満足げに頷く。

 

「試験召喚戦争で戦果を挙げた者には―――この報酬を用意する!」

 

 

 黒板に描かれていたのは―――――裸の女の子のイラストだった。

 

 

『『『ウオオォオオーーーーー!!!!』』』

 

 

 大興奮の男共の歓喜の叫び。

 

 

『………!!!(ブッシャアアアア!)』

 

 

 ムッツリーニの鼻血が噴き出す音。

 

 

『『きゃあぁ―――――!!!?』』

 

 

 そして女子二人の悲鳴。

 

 

「これがこいつの実力だ! 戦果、具体的には敵を倒した男―――いや、戦士には、川上宗一のエロイラストを報酬として用意する!どうだ、皆!?」

 

 

『『『最高じゃぁああ――――!!!』』』

 

 

『最高じゃないか! なんだあの絵!?』

『あんなの俺見たことねえよ!エロい!エロすぎる!』

『俺、生きててよかった……!』

『ぜってぇやる! やってやる!』

 

 クラスのテンションは最高潮。それもそうだ。宗一が描いたイラストは今まで見たことがないほど最高にエロかった。

 艶めかしい足。豊満な胸。麗しい顔。白のチョーク一本とあのぼろい黒板に描かれた少女は、あまりにも尊い。二次元でありながら、男共の眼を釘付けにして放さない。

 僕は二次元より三次元派だが、これを見ると二次元派になってしまいそうだ。しかも黒板に描いた絵でこれなら、カラーで描いた宗一の絵のクオリティはこれ以上になることは簡単に想像できる。

 

「川上! 早く消しなさいよ!」

「そ、そうです川上君!そんなハレンチなのは、もっと年を取ってからです!」

「えーせっかく描いたのに」

「えー、じゃないわよ! 殴るわよ!」

「分かったよ……」

 

 宗一はしぶしぶと言った感じで黒板消しで消し始めた。ああ、勿体ない。

 

「ちなみに雄二、島田さんと姫路さんの報酬はどうするつもりなの?」

「ああ、それはお前の―――」

「僕の?」

「……さあ、次だ!」

「ねえちょっと!? 何今の間!?」

 

「次は姫路瑞希。みんなも実力は知っているだろう」

「え? わ、私ですか?」

「ああ、うちの主戦力だ。期待してるぞ」

 

『そうだ、俺達には姫路さんがいるんだった』

『彼女ならAクラスにも引けを取らない』

『そうだ、川上に頼んで姫路さんをモデルにさっきみたいなイラストを―――』

 

 誰だ、姫路さんのエロイラストを発注しようとする奴は!? 僕にも頂戴!

 

「木下秀吉だっている」

 

『おお、確か演劇部のホープの!』

『木下優子の弟だったか!』

 

「当然俺も全力を尽くす」

 

『確かに、なんだかやってくれそうだ』

『坂本って確か小学生の頃は神童とか呼ばれていなかったか?』

『それじゃあ、Fクラスってのは本来の成績じゃない?』

『Aクラスレベルが二人もいるってことか!』

 

 いけそうだ、やれそうだ、そんな雰囲気が最高潮に達しようとした瞬間――

 

「それに、吉井明久だっている」

 

 

 …………シン――――

 

 そして一気に下がった。

 僕の名前はオチ扱いか!!

 

 




いかがでしょうか?そろそろ1話、2話は大人しかった川上さんの変態がどんどん出てきます。
手探りで書いているのであまりも面白くないかもしれませんが、楽しんでいただければ幸いです。
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