艦これ、始まるよ。   作:マサンナナイ

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Q「妖精さんっ! 死んだはずじゃ!?」

 「トリックか!?」


第十四話

 何の前触れも無く暗闇の中から中村義男の意識が浮上する。

 

“やぁ、随分と大変だったみたいだね”

 

 幾つものボタンやレバーが詰め込まれたコンソールパネルと硬めのシートが身体を固定する指揮席、その周りを囲む金属製の円形通路と手すり、さらにその周りを覆う大きく広い360度モニター。

 そこは彼が艦娘と共に戦う際に乗り込む艦橋と呼ぶ領域、その中心にある指揮席に座った状態で意識を取り戻した中村は頭の中に直接話しかけられた感覚に特に疑問を感じず、その声の主へと視線を向ける。

 

「・・・なんで、猫吊るし?」

                    "ファンシーさなど欠片も無いはずだが"

“ふむ、キミにはワタシがそう見えていると言う事だね”

“興味深い”       "ワタシには"      

              “お互いの認識にズレがあるからか?”

 

 淡いベージュのセーラー服とスカートに同色の水兵帽を頭に乗せた三等身の小人が中村の目の前にあるコンソールパネルに胡坐をかいて座っている。

 艦隊これくしょんと言うゲームの中でプレイヤーに対するチュートリアルの際に登場するマスコットキャラクターであり、それはゲームに不具合が起こった際には猫を両手に吊るして立っているイラストが表示される事から妖怪猫吊るしなんて愛称で呼ばれていた。

 

「俺は、えっと・・・救出は、作戦は・・・確か船に引き上げられて運ばれて・・・?」

 

“深海棲艦が作り出していた領域に囚われていた艦娘の救出は成功したよ”  

               “キミもその一人だろう?”

“まぁ、死人こそ出なかったけれど怪我人は山ほどになっているみたいだね”

 

 どこか他人事のようなニュアンスを持った言い方で目の前のデフォルメされた人形のようなソレは不敵な笑みを浮かべて戸惑っている中村を見上げる。

 

「お前・・・何なんだよ? ここは夢か?」

 

            "だが"

“夢と言えなくも無い”    “今はワタシとキミの対話の場と言った方が正しい”

 

 徐々に思い出してきた記憶の中で中村は自分が巨大な深海棲艦が作り出した限定海域を突破してその最奥で囚われていた艦娘達と共にアストラルテザーと言う霊的エネルギーを利用したサルベージユニットで海上へと脱出した。

 

“そして、ワタシはキミと話がしたいと思っていた”  “名乗るべき名は既に無い”

  “死人だ”       “恰好付けた言い方をするなら”           

 

 そして、気力の限界で共に戦っていた艦娘の戦闘形態が解除された為に海に放り出された彼は太平洋側の日本領海で溺れかけ、駆けつけてくれた救助部隊によって九死に一生を得た。

 

「病院のベッドって感じじゃないな、と言うか死人って・・・、なんだよ俺また死んだわけか?」

 

“いや、キミはちゃんと生きてるよ”

        “身体はちゃんとベッドの上にある”

                 “こちら側に近付き過ぎたからかな”       

 "先ほど言っただろう?"

“意識の混線とと言う奴だね”          “まさか”

     “ワタシも死んだ身でまた他人と言葉を交わせるとは想像もしてなかった”

 

「あんた、かなり気持ち悪い喋り方するんだな・・・頭がこんがらがりそうだ」

 

 喋っているのは一人なのにその言葉は輪唱するように重なり聞こえ、なのに重なったセリフがそれぞれ独立して聞き分けることが出来ると言う状態に中村は戸惑うが何故か彼の意識は混乱する事無く状況を受け入れている。

 むしろこの奇妙な感覚に覚えがあった中村は自分の経験を探り、そして、周りの艦橋の様子を見まわしたところでその正体を掴む。

 

「まさか、アンタ、俺にココの使い方を教えてたナニかか?」

 

“それは間違いではない”             “ワタシは形を整えただけだ”

              “正解ではない”     “欠片同士を繋げた”

“キミの法螺話は中々に興味をそそられるモノだったよ”

          “結果的にそうなった”

  “おかげで”         “あの子達も自分達の方向を決定した”

 

 正体不明の小人がふっと目の前から消えたと思えば円形通路の手すりの上に現れ、真っ黒なモニターへと伸ばした短い手が波紋を作る様に中村の前に光りが広がる。

 鎮守府の中にある艦娘達の生命線であるクレイドルを見上げる様な映像、武装も無く海を走る吹雪や仲間達が砲弾の雨に晒されて悲鳴を上げる凄惨な光景。

 疲れ果てて倒れた艦娘達に手を差し伸べるどころか蔑むような視線を向ける軍帽を深くかぶった自衛官の姿。

 

“造り出した責任がある”         “必要なモノは全て揃えたはずだった” 

          “あの子達を未完成で送り出した”

                     “ワタシの計画は完全ではなかった”

                  

 

 苛立たし気に、嘲笑するように、役立たずの兵器モドキとこちらを指さす自衛官達。

 気まずそうな顔でこちらから目を反らす見覚えのある鎮守府の研究員達の姿。

 

           “だがキミ達が来てくれた”

 

 鎮守府の食堂で冷めた味噌汁とご飯を手に与太話を得意げに披露する中村とその隣で呆れ顔を見せている田中の様子。

 そして、サイレンの鳴り響く鎮守府で汗を顔に浮かべ必死の形相で叫びながら手を伸ばしている中村と彼を見つめる視界の主。

 

 大半が中村が直接目撃した事ではないが今まで鎮守府で調べた記録を思い起こせばこれが過去に起こった情景を艦娘の視点から見せられている事を理解する。

 そして、中村は目の前で意味深な言い回しを続ける小人が何者であるかを察した。

 

「・・・アンタ、死んだんじゃないのか? どっかの道路ですっ転んでくたばったって聞いてるぞ?」

 

   “表向きはそうなってるね”    “厄介事に協力してくれた友人達には感謝しかない”  

           “死因に関しては何でも良かった”

“鎮守府を始動させる”      “どうせ世界が変わってしまう日まで”

         “お誂え向きな死に様だと自負しているよ”

    “年老いたワタシは生きていなかっただろう”

 

「アンタ、本当に何者なんだよ。刀堂吉行博士、俺の頭はアンタみたいに上等な出来してないんだ。一気に捲し立てるみたいに言われてもわけが分からん」

 

 死者との交信などオカルトの極致を体験させられている事に不思議と戸惑うことなく、中村はそれはそう言うものだと考えながら目の前にいる艦娘と鎮守府が産まれる原因となった元人間へと問いかける。

 思えば魚雷の発射方法や推進機関の操作、それ以外の時にも艦橋ではそれはそう言うモノだと言葉ではなく感覚で理解させられる感覚は頻繁にあったと彼は思い返す。

 

“自分で言うのもなんだがチート転生者とでも言うべきか?”  

 “神様なんぞに会った記憶は無いがね”

              “与えられた智恵と力に増長してそれを過信した”

 “そして、個人がどれだけ高い素養を持とうと太刀打ちできない存在を思い知った”

“残りの命を使い切ってでも私の生きた世界を次に繋げたい”

              “馬鹿なワタシに友愛を持って接してくれた”

“愛すべき人々の生存の為に力を使うと決めた”

 

 饒舌に語ると言うにはあまりに奇妙な形をした独白を中村は取り敢えず頭の中に渦巻く疑問は脇に置いて指揮席に背中を預けて腕を組んで小人の語る話に耳を傾ける。

 

“太平洋戦争の阻止”      “子供じみた英雄願望”

      “死ぬはずだった人々を救う”  “もっとうまく立ち回れれば”

        “結果は違ったかもしれない”

 

「人間一人がどうこうしたってあの戦争は変わるもんじゃないだろ」

 

 “それが分からなかったのだよ”    “灯台の下は暗いと言うだろう?”

                 “昔から”

 

 生前の刀堂博士の年齢から考えるなら第二次世界大戦を体験したと言っても当時はまだ十代の若造だったはず。

 さらに言うならいくら、他人よりも物心がつくのが速かろうと自惚れるほどの優れた能力を持っていようと個人の力が国家規模の殺し合いの発生を止める事が出来る筈はない。

 

「と言うかそんなアンタの終わった事に対する懺悔を聞かせる為にわざわざ俺を呼んだのか?」

 

“もう少し老人に優しくするべきだね”       “幸運を無駄してはならない”

         “キミには助言が必要だ”    “伝えねばならない”

 “この対話を”

              “確かに時間が無限にあるわけではない”

 

 手すりの上に立っていた小人が再び姿を消してにじみ出る様にコンソールパネルへと移動し、同時に周囲のモニターが一斉に青白い光を渦巻かせる。

 拡大映像が徐々に離れて行くように青い渦が球体へと変わり、その青い光りが渦巻く球と隣り合う様に同じ大きさの薄っすらと青く光る地球儀が映し出された。

 

       “左側は過去の地球”     “悪魔”       “幻想が現実だった時代”

“右は現在の世界”      “出来得る限りに遡った”    “神々”  “回帰へと向かう時代”

 

 左右の球体を指さしながら小人が指揮席の中村を見上げるが何が言いたいのかさっぱりわからない彼は口をへの字にして取り敢えずはモニターへと目を向ける。

 

「生憎と光りが強いか弱いかしか分からない、それに俺は歴史と地理の授業は苦手だったんでもうちょい簡潔かつ丁寧に教えてもらますかね、刀堂博士?」

 

    “ぞんざいな口の利き方じゃないか”     

“ワタシはキミに嫌われる事をした覚えはないのだが?”

“岳田くんから聞いてるはずだ”        “過去にあった世界の再来を”

      “世界の霊的エネルギー分布の激変”

            “艦娘に求められている役割”

 

「岳田? 岳田ってどの? ぁぁ・・・、クッソ、良介の野郎、本当にとんでもない大物と会ってやがったのか!?」

 

 艦娘達を取り巻く環境を改善する為に田中が協力を取り付けることが出来たと言っていた人物がまさか日本の総理大臣だったなどと想像もしていなかった中村は小人が刀堂博士だった事よりも強い衝撃に額を握り拳を当てる。

 

 “情報の行き違いかね?”             “今は重要ではない”

           “報連相は社会人に必須の心得だよ”        “話を続けよう”

 

 モニターに映る小人が現在の地球と呼んだ方の球体が拡大され、中心を日本の列島に据えてさらに拡大する。

 東京湾の一部分へと集中した拡大画像は地理に弱いと自白した中村でもよく知っている鎮守府が存在する地点であり、その一部の地下に青い光の渦が集中しまるで大木の根ように枝分かれして強い光を放っている。

 

“この環境変化に現代科学は無力だ”  “だから”        “彼女達はそこで創られた”

   “個人の手では対応できない”    “過去に存在した環境の再現”

               “探し出した遺物から情報を繋ぎ合わせた”

           “因子の再構成”             “艦娘はその中で産まれた”

 

「まさか鎮守府の中枢機構の事か・・・クレイドルの真下にバカでかい円柱が埋まってるってのは知ってるけど内部構造を見るのは初めてだ。まるで聖書に出てくる生命の樹みたいな形してるんだな・・・」

 

        “生命の樹の再現”      “人間一人分の魂で起動した割には”

    “まさしくモデルがそれだ”             “大仰な出来になってしまったよ”

 

「人間の魂・・・? ん、死因は何でも良かったってさっき・・・、ぅぁ、マジかっ、アンタはコレの材料に自分の魂を使ったのか!?」

 

“中枢の起動には種火が必要だった”   “自慢みたいな言い方になるが”  “寿命を待つよりも”

         “ワタシの霊力は老いぼれであっても”

       “キミ達より強いと自負している”

     “枯れ果てるだけを待つぐらいなら”        “未来にくべる燃料には丁度良い”

 

 自嘲気味に笑う小人がもう一度手を振るとモニターの中の青い光で出来た樹、その枝の一本へと拡大されていった映像が映し出したのは現在では中村と縁深い関係を作っている艦娘の吹雪だった。

 だがその艦娘は姿は一糸纏わぬ姿で胸元から伸びた光の細い紐で大樹の枝と繋がっている。

 突然モニターに現れた幻想的な素っ裸で眠っている吹雪に中村は目を見開き息も忘れて固まってから、数秒後に思い出したように慌てて視線を反らせるようにコンソールパネルの上に立っている小人へと顔を向けた。

 

「いきなり何見せてんだ!? 死んだ人間からはデリカシーとかプライバシーってもんが無くなるのかよっ!」

 

“経験が無いわけでもあるまいに”        “こんな少女の身体に”     

   “前世は今よりも年齢を重ねていたはずだ”    “騒ぐほどの事かね?”       

                          “・・・ぁっ、・・・すまない”

 

「本当にっ! アンタなんなんだよ!? 悪いか!? 年食ってんのに女の子とそう言う経験無いって悪い事かぁ!?」

 

         “落ち着いてもらいたい”        “話を続けようじゃないか”

“興奮するべきではない”               “冷静に”

 

 激昂する中村を宥める様に小人が小さな両手を彼の方へと突き出して振り、それと同時にモニターに映し出されていた吹雪の姿が肌色から普段から彼がよく目にする紺襟のセーラー服姿に変わった。

 そして、その身体から溢れるように青白い文字列が広がり、先ほど見た地球儀や中枢機関と同じように吹雪の身体の周りで光の粒子が渦を作り始める。

 

“これが彼女達の力”       “肉体を構築し命令を与える公式”

    “これだけでは完成しなかった”

     “霊力に形を与える情報の集合”             “だが”

 

「霊力だの神だの悪魔だの・・・マジでオカルトだったのかよ」

 

“中枢機構は巨大な図書館とも言える”         “造られた身体に詰め込んだは良いが”

       “基となった艦の性質に近い欠片”     “霊核そのものに明確な人格は無い”

    “理解していなかった”         “使えれば便利な能力を渡しても”

          “読み方が分からない本はただの紙の束”

    “目に見えもしない道具は使い様が無い”

 

 能力だけが備わっていてもその内容と発動方法を知っていなければ、使い方が分からなければ、自分がそんな力を持っているなどと想像する事すら出来ない。

 

「ならアンタ自身が君達にはこれこれこう言う能力を持っているんだよ、って感じで資料を残せば良かったんじゃないか? 俺や良介が資料室を調べ回った限りじゃそんなもん一つも無かったぞ」

 

 “ハッキリ言って”   “限定的な仮想領域だが”      “過去の地球一つ分を再現した”

    “切りが無い”     “世界の成り立ちを空気の組成から説明するようなものだ”

“さらに”      “その中から霊核が勝手に選び”  “それは気が遠くなるほど膨大な量だ”

       “多少の誘導は出来たが”          “艦娘が自らに取り込む”

  “今では幻想と呼ばれた”            “異能力者が振るった霊的技術” 

 

 確かに中村が知る限りクレイドルから目覚めたばかりの艦娘達は自分達がどんな力を持っているかを正確には理解できていない。

 一応は原型となった船としての自覚から水上を歩行したり、巨大化した時の砲撃とは比べ物にならないが光弾を手足から打ち出す事は出来ると言う程度。

 そして、ちょっと見た目と釣り合わないぐらいの丈夫な体を持った女の子達でしかない。

 

 今でこそ司令官が艦橋に乗り込むことで巨大化し、何処からかやって来る艤装を纏い深海棲艦を打ち倒せるほどの破壊力を発揮できているがマトモな人間ならそんな力が彼女達に備わってるなど想像もしないだろう。

 そもそも艦娘達が何故そんな能力や現象を発生させられるのか使っている本人達にも理解する事は出来ていないのだ。

 鎮守府の研究室に所属する頭の出来は非常に優秀だが日常生活能力に難を抱える研究者達ですら仮説や推論止まりとなっている。

 

             “霊力そのものが”     “燃料が無ければ”

“こればかりは”          “500年近く消失していた”

      “研究そのものが行えない”

      “遺失した技術の再現は困難だ”      “地球上から姿を消していた”

“ワタシのようなイレギュラーが存在していなければだが”   “エンジンが動かない様なモノだ”

 

「で、大昔の超能力者の力をランダムに艦娘と霊核に詰め込んだのは分かったけど、結局何が言いたいんだよ・・・俺に主任並の理解力を期待されてもムリってもんだ」

 

 興味深い話であるから聞き続けているが前世から集中力というモノに自信が無い中村は難易度が上がっていく小人の言葉を三割理解できていれば良い方と言った調子で耳を傾けながら光に包まれてモニターの中で浮かんでいる吹雪を眺める。

 

“ワタシがキミに伝えるべき事は”  “ほぼ全て明かした”   “ちょっとした雑談と言える”

               “後は”       “個人的な事情”

 

「はぁ、ならさっさと済ませてくださいよ。縁側で茶飲み話してるわけじゃないんだ」

 

 “キミと君の友人”  “ワタシは艦娘の力の方向を誘導した”

                “キミが彼女に騙った物語”

“ワタシと精神の混線が起きていた”    “そう言ったはず”

        “創作の中の英雄へと近づけた”

   “外部からの刺激”    “欠片の活性化による式の連鎖”

 

“欠片同士の接続が安定した”   “さらに”  “必要な霊力係数の軽減”

  “指揮官が”    “艦娘に”     “直接乗り込むことで”

 

 その言葉の内容に中村の体感時間が急停止してベージュのセーラー服を纏った小人の前で世にもマヌケな顔を晒した。

 

“ワタシも前世ではサブカルチャーに傾倒していた”

        “キミの創作はそれらに劣らぬものだったよ”

   “機動戦記は1stが好きだ”      “文才に自信があるなら”  “自画自賛になるが”

“小説の一つでも嗜んでみると良い”    “艦娘に乗り込む”   “丁度良い欠片も式もあった”

           “目からウロコだったよ” “有名なのは北欧神話の巨人族か?”

 “ワタシのアイディアも悪くなかっただろう?”  “彼らは自らの身体の大きさを操れた”

 

「う、うぁあわわあああっ!? マジか!? アンタっ、ホントに何やってんだよ!!」

 

“言っておくが何でもは無理”    “奇跡と言われてた時代もあるが”    “法則は存在する”

   “技術的に再現不可能はある”        “全てが全て完全に形を成したわけではない”

“原則から外れる事は出来ない”     “敢えて言うなら空母は空を飛ぶ”

   “あの欠片の接続には苦労させられた”

        “飛行と表現するには不完全だが”     “どうだったね?”

 

 まるで隠していた中二病の設定を書き綴ったノートを御大層な言葉で評論されているような感覚に顔を真っ赤にして叫び声を上げた中村は頭を抱えて睨むような視線を小人にぶつける。

 言うなれば、「君の考えた二次創作はとっても面白かったよ。だから良かれと思って私がアレンジを加えてアニメ化しておいたよ。あ、もう放送も終わってるからね?」と言われているようなものである。

 

「人の頭の中覗き見して好き放題かよ・・・太々しいにも程があるだろこの妖精モドキ・・・」

 

  “元々そう言う計画だった”       “欠片の力を繋ぎ合わせる要因”

   “外側からの霊的刺激で発動する”

   “ワタシの予想よりも下回った”        “精神感応能力が現代人は低すぎた”

“キミとキミの友人”      “死と世界を超えた稀人”  “転生を経験したキミ達のそれは”

    “この世界には少なくない人数の転生者がいる”

           “あの子達を目覚めさせるに足る霊力”

 

 

 そこで小人は大袈裟に落胆したような顔を浮かべてコンソールパネルの上で胡坐をかいて座り腕を組み、ぬいぐるみのような等身の頭を左右に揺らす。

 

 “艦娘という”  “分かり易い目印があれば”      “転生者が接触してくる”

 “政府公認の鎮守府計画”      “そう踏んでいた”       “だが三年も掛かった”

   “キミ達が現れるまで”         “そのために”

        “あの子達を長く苦しめた”

 

「それが艦娘が生まれた理由かよ・・・スーパーカーのエンジンを掛けさせるために使えるヤツをおびき寄せる為の分かり易い目印を付けた餌ってか? ふざけてんな・・・おい」

 

“それだけが理由ではない”     “全てが必要な要素”     “どれか一つだけでは足りない”

“そうでなくとも”    “期待していたが”    “政治家とは存外自由がきかない立場らしい”

   “岳田くん達が接触”   “この計画を知る”

      “協力者は少なくなかったはずなのだが”

  “表だって転生者に”      “集合してくださいと呼びかけるわけにもいかない”

   “どこかには居るはずだが”

 

 愚痴っぽいセリフを垂れ流す小人の様子に呆れるしかする事が無くなった中村は知らないうちに強張っていたらしい身体を意識的に脱力して指揮席にもたれ掛かり、深くため息を吐いてから特に意図せず正面のモニターへと目を向ける。

 先ほどと変わらずセーラー服姿の吹雪が浮かんでいるが、その身体の発光は淡いモノへと変わっており、薄っすらと開いている瞳が彼へと視線を注いでいた。

 

『・・・司令官・・・? あはぁ、司令官だぁ・・・♪』

「・・・え?」

 

“ふむ” “長話が過ぎた”     “キミが引き寄せた”

  “アストラルテザーの中に飛び込む無謀”

   “混線が彼女にまで及んだか”   “高濃度の霊的力場”

  “晒されたからこそ叶った奇跡”

        “ここまでのようだ”     “久し振りの会話は楽しかった”

  “ありがとう” “今度やったら命の保証は出来ないがね”

 

 会話を閉めに入っている小人の言葉に反応する余裕も無く、突然に聞こえた吹雪の声に中村はモニターの向こう側からこちらへと手を伸ばしてくる彼女の姿から目を離す事が出来なくなった。

 まるで水の膜を通り抜ける様にモニターを通過した吹雪の手が、身体が円形通路の手すりを乗り越え、足がコンソールパネルに着いて、覆いかぶさるように少女の身体が中村へと抱き付いた。

 

“良い子じゃないか” “経験は無くとも”  “目覚めから10年も経てば” 

                “良い関係を作るべきだね”

   “好意を察せぬと言うワケでもないだろう”   “パートナーになるには十分な資質がある”

“彼女達の成長は止められない”               “人と同様に老化は始まる”

 

 

「いや、人間に成るったって10年後だと俺は三十路男で相手の見た目が中学生は世間体的に不味いでしょうがっ!?」

「むぅう、なんですかぁ・・・夢の中なんだから優しくしてくださいよぉ、しれーかん♪」

「こいつっ、か、完全に寝ぼけてやがる・・・って、よ、よせっ」

 

 吹雪に抱き付かれたのがきっかけだったのか、彼女が通過してきたモニターがゼリーのように揺れ、艦橋の内部が溶けるようにその色をモノクロへと変えていく。

 

「んん~っ、手が邪魔ですよ、司令官ぅ・・・♪」

「や、止めろっ! 吹雪、それはダメだ、なんか後戻りできない方向に目覚める気がするからダメだっ!」

 

“さて”        “死人はここで失礼する事にしよう”

    “ああ”

     “健闘を祈る”       “最期に助言”

          “言い忘れていた”

 

 吹雪の肩に手を突いて引き離そうとしているがその感覚や視界すらも輪郭を失い始め、急激に吹雪と中村の顔が距離を狭め、夢であるはずなのに少し薄い唇が彼へと近づき爽やかな甘みを感じる匂いが彼の鼻を擽った。

 

    “彼女らは”   “一種の生存戦略だね”

       “見た目の美醜は基準にならない”

    “霊力係数が高い男性”        “性格の不一致を除けば”

        “本能的に魅力を感じる”   “気質がある”

   “ロマンと現実は分けて考える事を勧めるよ”

“仲間意識が強い”       “また”

       “一人の男を複数で囲む関係に抵抗感が薄いが”

        “誠実に一人を”    “無節操な関係を結ぶも”

    “個人の自由ではあるが”

   “明確な消耗が無い女性と違い”   “優先順位は気にするようだ”

  “男性には限界があるからね”

 

 刀堂の他人事のような助言が終わり、吹雪と唇が重なる寸前に中村の視界が完全にブラックアウトして身体の感覚を失った彼の意識は奈落に落ちたかのように何処かへと引っ張られていった。

 

  “ワタシは今後も”     “調整を続けよう”

    “とは言え、既に全体の構築が終わっている”

“キミ達の一助となる事を望んでいる”  “磨くように細かいモノになるだろう”

    “また縁があれば会おう”

 

 




A「ああ、しっかり死んでいるよ。そう言ってたじゃないか」



刀堂博士の喋り方、自分で書いておいてなんだけど滅茶苦茶に面倒臭い。
コイツは二度と出さない、絶対にだ。


猫吊るし「君達の法螺話のおかげで艦娘の能力を使い易くしてくれてありがとう!」

中村「使いやすくしたぁ!?」(CV子安〇人)

猫吊るし「これで転生者じゃなくてもでも司令官になれるよ! やっちゃったぜ! てへへっ」

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