艦これ、始まるよ。   作:マサンナナイ

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ここは平和な艦娘達の鎮守府!
今日は艦娘達の生活の一部をご覧頂こう!!

駆逐艦a「朝潮が呼んでいるわ! 出番って事ね! 第九駆逐隊、出るわよ!」
駆逐艦y「あら~ おはよ~、朝雲姉? 一緒に行くの~?」
駆逐艦a「ええっ、山雲ついて来て! みんな行くわよ!!」

朝っぱらから実に騒がしい!!


第四十一話

 

 総員起こしの放送が遠くから聞こえてくる艦娘酒保へと向かう道路を白い割烹着を身に着けた女性が臙脂色のリボンを頭の後ろで揺らしながら数人の少女達を引き連れて歩く。

 

「あ、明石さーん、おはようございます」

 

 その給糧艦間宮を原型に持つ艦娘である間宮が目的地である酒保の扉の前に知り合いが立っている事に気付き手を振った。

 

「おはようございます。間宮さん達、相変わらず早いですねぇ」

「明石さん程じゃないですよ・・・んん? あ、もしかしてまた酒保に泊ったんですか? 少し寝不足みたいですよ」

「あははぁ、分かっちゃいます? 昨日工廠から出たら寮の消灯時間過ぎてたんで」

 

 他人の疲労を目敏く見透かす給糧艦娘に少し目の下にクマが見えると指摘された工作艦娘である明石は頭を掻きながらばつの悪そうな苦笑いを浮かべた。

 

「もぅ、お仕事だからって不健康な生活を続けていい理由にはならないんですよ!」

 

 不養生な工作艦に向かって間宮は10キロはある食材が入ったクーラーボックスを片手に一つずつ持ったまま両手を腰に当てて身体を前に傾け注意の言葉を投げかけ。

 

いつ見ても大きいわぁ

ホント、スゴイですよね

 

 その間宮の胸が身体の動きにあわせて上下にゆさっゆさっとダイナミックに揺れ、明石や周りの輸送艦達は感嘆の呟きと共にその揺れ動く球体を目で追ってしまう。

 

「あら、皆どうしたの?」

「こほっ・・・いえ、伊良湖ちゃん達もおはよう、やっぱり酒保に来れる人数が減っちゃいましたね」

 

 少し童顔だが清楚な雰囲気を纏う和風美人の胸に過剰装備された質量兵器に圧倒されかけた工作艦は少し気恥ずかしそうに咳払いをして誤魔化すように話題を別の方向へと向ける。

 

「あっ、はい、でも戦闘が出来ない私達でも御国の為にできる事があるって分かったんだから良い事ですよ」

 

 艦娘酒保の一角に作られた飲食スペースは艦娘として生まれたが他の戦闘艦と比べて極端に戦闘能力が低い輸送艦娘や補給艦娘によって経営されている。

 物資運搬を任務としてきた船が原型とは言え艦娘であるのだから水上に立って移動する事は問題無い、だが戦闘形態へとなった場合の彼女達は一切の武装を装備せずにただの大きな女の子と化してしまう。

 一応は増設艤装によって小口径砲や小型機関銃を装備することが出来るのだが、それでも最も弱い深海棲艦にすら勝てないほど弱い為に戦力外と見なされていた。

 

 霊力を外部に供給する端子に取り付けた何の変哲もない輸送用コンテナが内容物と共に増設装備として待機形態で縮小されると言う謎現象が発見されるまでは、であるが。

 

「輸送艦娘は端子の少ない子ですら30個以上はありますからねぇ」

 

 そんな時、日本海で深海棲艦の大艦隊との戦闘と限定海域の出現と崩壊、それらの余波によって発生した津波や暴風によって日本海沿岸部に多大な被害がまき散らされる。

 

 深海棲艦出現時の太平洋側でのノウハウによって政府主導の避難指示は的確に行われ、結果として軽傷者はあれど死者は奇跡的にいなかった。

 とは言え人的被害が最小限であったものの漁港や港町の損害は知らせを聞いた全員が目を覆うほど膨大であり。

 猫の手も借りたいほど忙しい復興事業にマンパワーと物資輸送はどこもかしこも喉から手が出るほど欲しいと言う状態となった。

 

 そうした経緯からそれまでは酒保カフェや艦娘寮の食堂で料理人やウェイトレスなど雑務に従事していた輸送艦少女達の能力が注目される。

 

 搭載する貨物を含め最大で24tにもなる20フィートコンテナを2.4キロまで軽量化したミニチュアに変え、それを人間サイズの体に三十個以上を装備できる能力は既存の交通機関やヘリなどの空輸を利用する事で驚異的な輸送効率を実現させ。

 さらに被災地では巨大化して倒壊した建物の撤去や道路の簡易舗装までやってのける輸送艦娘達は今までの悪く言えばみそっかす扱いから舞台の主役とも言える存在へと変わった。

 

 そんなわけで五十人を超える輸送艦達が被災地への物資運搬と復興支援の為に鎮守府から旅立ち、その活躍する姿がメディアに報道されたり、被災地の住人から多くの感謝と高い評価を受けている。

 

 ただ、物資集積所でしゃがみ込んで身体から輸送してきたコンテナを外している巨大化した輸送艦娘を指してごく一部では物資の占有を自衛隊が行っていると指摘してそれを軍靴の足音であると揶揄するネガティブな意見を発する集団もあった。

 だが夜を徹して体と細長いケーブルでつながったコンテナのミニチュアを一輪車などに乗せて運んだり、廃材を撤去する為にせっせと働く彼女達の姿は被災地のだけでなく日本の大多数からはとても好意的に受け入れられている。

 

「今が頑張り時ですからね、被災地に向かえない私もあの子達に負けないようにしないといけません」

 

 他の艦娘を圧倒する合計六十ヶ八所の増設端子をその身体に備える間宮や半数ほどの輸送艦達は艦娘酒保のカフェの維持や責任関係で災害復興任務を受けることが出来ず鎮守府に残る事になった。

 と言うのは表向きな理由であり、災害復興支援の第一案として司令部が出そうとした計画で鎮守府に所属する全ての輸送艦娘が護衛も付けずに鎮守府から出ると言う任務内容に戦闘艦娘達が猛反発したのが直接的な原因である。

 

 何故そんな事が起こったかと言うと司令部側からは長らく無用の長物や置物扱いされていた非戦闘艦達であるが。

 その彼女達に対して戦闘艦娘達は非常に友好的と言うべきか、むしろ過保護な程に自分達が輸送艦達を守らなければならないと言う使命感を持って接している節がある。

 そんな守るべき相手が自分達の護衛無しに遠征任務に就くなど言語道断であると言い切った文字通り全ての戦闘艦娘達の猛反発によって輸送艦全員を動員しようとしていた海上自衛隊は出動人数を半分まで減らされただけでなく、護衛の戦闘艦娘までを含めた部隊編成を要求される事になった。

 

 ただでさえ舞鶴に出向する艦娘とその指揮官の人数が諸事情で割り増しを余儀なくされた事が響き、自衛隊上層部は現在進行形で深海棲艦に対する防衛計画の大幅な見直しに頭を悩ませている。

 

「さてと、私は工廠に行ってきます、今日もがんばって皆の為に働かないとっ!」

「待ってください、明石さん、朝ごはんはまだじゃないんですか?」

「さっき酒保で軽く食べましたから大丈夫です」

 

 その明石の言葉にムッと眉を顰めた間宮がクーラーボックスを地面において酒保から歩いて十分ほどかかる鎮守府研究室に併設された工廠へと逃げるように向かおうとしている工作艦の前に立ちはだかる。

 

「ダメですよ! 寝不足なだけでなくそんな状態でお仕事なんて、少し待っててください。酒保で軽いモノを何か作りますから!」

「いやぁ、それはちょっと悪いですよ、カフェの準備の邪魔にもなりますし・・・きゃっ!?」

「明石さん、遠慮しないでください。 本日一人目のお客様って事ですっ♪」

 

 遠慮気味に後退った明石の背後にいつの間にか回り込んでいた補給艦の少女が抱き付くように羽交い絞めにして退路を塞ぎ、これ以上の抵抗は無意味だと悟った工作艦は同じ艦娘酒保の住人に自分の無精で手間をかけてしまった事を素直に反省する事にした。

 

「きゃぁぁああぁぁああぁぁああ!!

 

 その穏やかで平和な時間を引き裂くように甲高い悲鳴が頭の上から聞こえ、酒保の扉を開けようとしていた間宮や明石達は揃って声が聞こえてくる方向へと顔を向け。

 その視線の先に見えた白い髪の美少女が手足をじたばたと振り回し、大声を上げ涙まみれの整った顔を真っ青にしてひきつらせ美貌を台無しにしながら猛スピードで艦娘酒保へと飛んでくる。

 その空から艦娘が降ってくる様子にその場にいた非戦闘艦娘達は驚きに目を剥いた。

 

「あ、明石さん! 空から女の人が!?」

「ちょ、ちょっ!? このままだと私の酒保にぶつかっちゃう!!」

「酒保は明石さんのじゃないですよ!? みんなの酒保です!!」

「それよりなんで!? 空母の人は飛行ルートが変わったはずなのに!!」

 

 障壁の光を纏い人間砲弾と化した空母が一直線に自分達の職場へと降って来ると言う悪夢に全員が悲鳴を上げ、食材の入った箱を持って右往左往する事しかできない彼女達はまさしく迷える羊と化す。

 

 これが他の戦闘艦娘であったなら施設を守るために対空迎撃を即座に決意して実行するのだろうが明石にしても間宮にしても自分が他者に向かって光弾を放つと言う考えが無いと言うべきか、そもそも、艦娘になってから戦場に立った事が無い為に自分達が光弾を放てると言う事実が頭の中からすっぽ抜けていた。

 

「いぃあぁああっ! 瑞ぃい鶴ぅううっ!?」

 

 まるで空中でクロールするように手足をジタバタする空母艦娘がここにはいない妹に助けを求める絶叫を上げ、あわや白髪を風に靡かせる彼女が艦娘酒保の壁へと突き刺さる直前。

 翔鶴の更に上空から赤い風のような影が宙を切って白髪の乙女へと肉薄して捕え、袖と赤袴からスラリと伸びた手足を振りバレリーナの舞を思わせる巧みな重心移動によってその身体を回転させて目前に迫っていたレンガ壁を回避する。

 

 回避の直後にピシリッと光の糸が酒保の屋根のひさしへと張り付き、その糸に繋がった赤い影と白い空母艦娘が振り子となった身体にかかる加速と回転を殺しながら舞う様に地面へと着いた両脚が落下エネルギーの行き先を横方向へと変え。

 ガリガリと耳に痛い金属音を立てながら翔鶴を横抱きにした栄えある一航戦(壁に刺さる方)である赤城が船底を模した履物でコンクリートの地面へと二本の白線を刻みながら見事に着陸して見せた。

 

「はっひっあ・・・、赤城さん? あ、ありがとうございます、わ、私・・・」

「翔鶴さん、貴女が行った中継機の回転軸の見極め、跳躍の姿勢、飛行時の姿勢制御・・・どれも拙いと言う他ありませんでした」

「っ! は、はい・・・申し訳ありませんでした・・・」

 

 赤城に抱き抱えられながら身を縮ませていた翔鶴は能面を思わせる無表情を浮かべる先輩空母から指摘された問題点に表情を曇らせて消え入りそうな声で謝罪した。

 そして、赤城の手を借りながら頼りなく震えてはいるが自分の足で地面に降り立った翔鶴は意気消沈とし、その肩と首を項垂れる。

 

「ですが、上昇加速と飛距離はなかなかのモノです。それに初飛行でも障壁を途切れさせなかったのですから空母艦娘に必須の資質はあると見ました」

「ぁ、・・・はいっ!」

 

 不意に赤城は手厳しい教官然としていた真面目な顔を緩めて適度に力を抜いた自然体となり翔鶴へと少し悪戯っぽい笑みを向けた。

 

「これまで以上に心技体を弛まず磨き精進しなさい、空母翔鶴」

「はいっ! 赤城さん、ご指導ありがとうございます!!」

 

 打って変わって優し気に自分を褒め励ます赤城に背筋を伸ばして敬礼した翔鶴は薄っすらと頬を上気させる。

 

 そのスポ根臭漂う展開を見せられている酒保前の明石達はクーラーボックスを手に顔を見合わせ、とりあえず自分達の危機が未然に防がれた事に安心のため息を大きく吐いた。

 

「はぁ、良かったぁ。また酒保の壁を修理する羽目になるかと・・・」

「今の鎮守府で手の空いている輸送艦は私達だけしかいませんからね、カフェだけでなく食堂の当番も休まないといけない所でした」

 

 空母の飛行訓練内容が是正されるまで頻繁に施設を破壊する彼女達のフォローの為に壊れた壁や地面を外の工務店の人達から学んで修繕していた明石や間宮を含む非戦闘艦娘の技能は非常に高度な練度となっており。

 元は鎮守府の役に立てない自分達も何かできる事が無いかと考えとある指揮官の思い付きと法螺話からヒントを得た現在、任務で被災地に出ている輸送艦娘達は陸自隊員だけでなく現地の大工業者すら驚くほどの作業効率で復興の手助けを行っている。

 

 とは言え別に輸送艦娘達は汗水たらして丸太を切ったり、石材やレンガだのを延々と運んだり、コンクリートを練るなどの土木作業が大好きと言うわけではない。

 あくまでも頻繁に壁や道路に穴を開ける連中の尻ぬぐいの為にそれが出来るようになってしまっただけなのだ。

 

 ちなみに輸送艦達の今回の任務の楽しみはコンテナの輸送中に乗る電車やヘリから見える現代日本の風景であり、現地での炊き出し当番が彼女たちの仕事の中で一番の人気となっている。

 

「それでは行きましょうか、一緒に先ほどの飛行の問題点をしっかりと分析しましょう」

「はいっ! 赤城先輩!!」

 

 余談であるがこの日から翔鶴は赤城の後を付き人のように付いて回るようになり、頻繁に一航戦の先輩達の様に立派な空母になるのだと息巻くようになった。

 そして、翔鶴型航空母艦の一番艦たる翔鶴は栄えある一航戦たち(破壊魔ども)の薫風を受けて飛行訓練を繰り返し、鎮守府の施設を頻繁に破壊する艦娘を記したブラックリストに彼女の名前は記される事になる。

 

「間宮さん達も朝からお騒がせしました、近く暇が出来ましたらお詫びにカフェに寄らせてもらいます」

「あ、いえ、お構いなく」

 

 艦娘として目覚め鳳翔の指導の下で飛行訓練を開始してから通算151回の墜落の内、大小被害の差はあれど半分以上を酒保の壁や入り口の道路に与えている空母が丁寧に頭を下げてくるが間宮はひきつった笑顔で当たり障り無い返事を返すことしかできない。

 

 まだ間宮達が酒保でカフェを始めて間もないある日、レンガ壁を突き破って酒保内に転がり込んだ赤城が笑顔を頭から滴る血で真っ赤に染めて折れた腕をプラプラさせながら新商品のいちご大福を注文してきた時の事がトラウマになっている給糧艦娘は言葉に出さないものの一航戦の赤い方が苦手である。

 

「あの、赤城さん・・・酒保に入る時にはちゃんと入り口から入ってきてください・・・ね?」

「はい? そのつもりですけど?」

 

 この人は何でそんな当たり前の事を言ってくるんだ?

 

 とでも言うようなきょとんとした表情を赤城から向けられた間宮は非常識な入店方法を繰り返す彼女達(一部の空母)に対して心の底から遺憾の意を表したかった。

 

・・・

 

 同じ朝の当番に選ばれた仲間との死闘とも言える三回じゃんけんに勝利して総員起こしのラッパを吹く権利を勝ち取り、早朝の仕事をしっかりと果たした朝潮は満足げな笑みを浮かべて胸を張りながら艦娘寮の放送室から出て廊下を歩く。

 そして、それぞれに支給された制服で身嗜みを整え寮の廊下へと出て来ている仲間達と挨拶を交わしながら姉妹たちと待ち合わせしている一階の食堂へと向かう。

 そんな艦娘達のいつもよりも寝起きが良い様子に自分の仕事の成果を感じた朝潮は少し以上に自分の事が誇らしくなった。

 

「阿賀野さん、皆さん! おはようございます!」

「朝潮ちゃん、おはよっ、今日も元気良いね♪」

「はいっ、ありがとうございます!」

 

 背筋を伸ばして急がず慌てず歩く駆逐艦少女は部屋から出て来て四人そろって歩く阿賀野達へと元気良く挨拶と共に敬礼を行い。

 ふと自分と同じように食堂へと向かっているらしい四姉妹の背中を見た朝潮の脳裏に小さな豆電球が灯る。

 

(・・・これは複縦陣! 朝潮、艦隊に続きます!)

 

 二人ずつ並んで歩く軽巡姉妹の後ろへと息巻きながら移動した朝潮に気付いた酒匂が振り返り小さく首を傾げるが、後ろから付いて来るフンスッと満足げな顔をしている駆逐艦の微笑ましい様子にまぁ良いかと小さく呟くだけにした。

 廊下には他にも部屋から出てきた艦娘達が同じように一階の食堂へと思い思いの歩調で向かっているが、全員が軍艦を原型に持つ為かそれぞれの歩く姿には余裕を感じつつもどこかキビキビとした整然さがある。

 

「でな、海上やとどうしても見上げながら糸を投げる事になるねん、だから確実に矢羽を狙えるようになるまでは高低差がある場所で練習した方がええんや」

「それはまぁ、分かったけど、翔鶴姉は本当に無事なの? どこか怪我したりは・・・」

「赤城さんが補助に付いていたのだから貴女のそれは無駄な心配よ」

「ちゃんと翔鶴からも通信で連絡あったんでしょ? なら大丈夫よ」

 

 屋上に向かう階段から降りてきた四人の空母と先頭の阿賀野が挨拶を交わして食堂に向かう一行に合流する様子に向かって朝潮も元気よく朝の挨拶と敬礼をする。

 

(くっ、空母機動艦隊の方々が艦列に加わるなんて駆逐艦は私一人、このままでは艦隊護衛に不備が出るかもしれませんっ!?)

 

 しかし、朝っぱらから真面目な顔を浮かべる朝潮の裏側ではその場にそぐわない緊迫が走り、周りを見れば他の駆逐艦は別の軽巡や重巡の後ろに続いて単縦陣で行動している為か行動が早く。

 

 気付けば自分達の艦隊が食堂へ向かう道の最後尾にいた事に朝潮型のネームシップは愕然とする。

 

 深刻そうに朝潮が心中でそんな事を宣っているがここは千葉県某所に存在する海上自衛隊の軍事拠点であり、国防と言う観点から見れば最重要施設なわけで、そう複雑に考えなくとも寮の一階にある食堂への道中で彼女達を脅かす敵と遭遇する事はあり得ない。

 

『大丈夫よ、朝潮っ! 私達が居るわっ!』

 

 救援は望めないのであれば我が身を賭してでも任務をやり遂げると無駄に覚悟を決めていた朝潮の心を強い意気を感じる妹の声が揺らす。

 そして、声が聞こえた方向へと顔を向ければ花の咲いた様な笑みを浮かべて阿賀野達へと敬礼をしている朝雲とその横で小さく欠伸をしながら同じ様に敬礼をしている山雲、さらに同じ朝潮型駆逐艦娘である夏雲や峯雲の姿までその後ろに続いて現れた。

 

『朝雲っ! それに山雲達も、心強い増援に感謝します!』

『ええ、私達、第九駆逐隊に任せておいて!』

 

 そして、連合艦隊編成の最後尾で復縦陣を組んだ駆逐艦達が空母や軽巡の後に並んでトテトテタッタと小気味良い足音と共に行進する。

 ある意味では艦娘寮の朝に良く見られる不思議現象、軽巡などの自分よりも大きな艦種に続いて隊列を組む駆逐艦の群れの中で朝潮は負ける気がしないとばかりに鼻息を強めた。

 

(この艦隊ならばどんな敵にも遅れは取りません!!)

 

 言うまでも無い事だが艦娘寮が存在する鎮守府は日本における艦娘達の最大拠点であり、常に週替わりで近海を警備する担当の艦娘達が防衛網を敷いている。

 しつこい様だが鎮守府内には間違っても彼女達の敵である深海棲艦の影など一切存在しない。

 

「ね、ねぇ・・・阿賀野、何であの子達、私達の後ろに付いて来てるの? 隊列まで組んでるし・・・」

「ん~・・・、あの子達のあれは深く考えても仕方ないから気にしない方が良いよ~、それに可愛いから良いじゃない♪」

「そ、そう言うものなの・・・?」

 

 まだ鎮守府に戻ってから新しい環境に慣れていない瑞鶴は朝っぱらから戦意を漲らせて自分達の後ろを付いて来る駆逐艦達の姿に戸惑うがこの生活に慣れ切った軽巡は動じることなく朗らかに笑う。

 

「ぴゃっぴゃ、一、二ッ♪ 目標、食堂を見つけたよっ、今日の献立は何かなぁ~、偵察開始ぃ♪ なんちゃって♪」

「今日の献立ですね? はい! 今すぐにこの朝潮が情報をお持ちします!」

 

 船としても艦娘としても艦隊行動の経験が無い酒匂が自分の後ろに続いて行進する駆逐艦達の姿に少しばかりはしゃいだ声を上げ、それに反応した朝潮が即座に敬礼してから見苦しくない程度にスタタッと駆け足で食堂へと向かい、人集りが出来ている献立表が書かれている黒板へと向かう。

 

「え、えぇっ?」

 

 あまりにも素早い朝潮の行動に目を丸くした酒匂や瑞鶴、苦笑を浮かべる他の面々、流石は我らがネームシップと誇らしげな笑みを浮かべる朝潮型駆逐艦が食堂の入り口に残される。

 

「酒匂ぁ、駆逐艦の子達の中にはね、私達の冗談にも真面目に反応しちゃう子がいるから気を付けないとダメだよ?」

「ぴゅぅ・・・、うん、気を付ける・・・」

 

 阿賀野型長女の少し遅い忠告に末っ子はただただ恐縮するしかなかった。

 




あぁ~、もぉ、こうして何も考えずにだらだら中身の無い話ばっかり書いていたいなぁ。

ただでさえ二章でストーリー変更してフラグ管理ミスってさ。
居るはずの艦娘が居なくて、いないはずの娘が普通に鎮守府に戻ったりしたから登場を確保する為に三話だけの予定だった幕間の量がかなり増えた。
辻褄合わせが滅茶苦茶メンドクサイ・・・。
 
でも三章まで続き書かないと海外艦勢の出現フラグが立たないからなぁ。

小説ってのは行き当たりばったりで書いたらいかんね。ホント。
 
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