俺はそうは思わん、戦いこそが艦娘の可能性なのかもしれん。
証明して見せよう。貴様達になら、それが出来る筈だ。
ゴシャッ、それともグシャッだろうか、鈍くそれでいて重苦しい金属がへしゃげて砕ける音が大音量で周囲に響き渡る。
こちらへと黒鉄の砲塔が生えた左腕を突き付けていた人に近い上半身を持った怪物の甲殻に包まれた腕が破裂するように砕けてその破片を周囲にまき散らした。
上半身は人間の女性に見えなくも無いがその腰部から下はグロテスクな深海ザメの生首を思わせる奇形へと無数の管や繊維で繋がり、海藻のような髪を振り乱し白い骨のような歪な仮面が直接肌から生えた顔に見える隻眼は鬼火のような妖しい光を宿している。
便宜上だが自衛隊で雷巡チ級と呼称されるようになった深海棲艦の一種は赤黒い法螺穴のような口を全開にして甲高い遠吠えのような叫びを上げ、潰れていないもう一方の深海の白泥を固めて作ったような大腕を振り上げる。
「いくら格上の艦種とは言え、障壁と主武装を破壊された状態じゃ」
『ただの的ですね・・・当たってください!』
コンソールパネルでの戦闘補助を終えた俺は座り慣れてしまった指令席に背を預けて眼前の360度モニターに映る光景に呟きを漏らす。
その呟きに答える姿の見えない少女の声が球形の艦橋に響き、こちらへ突きを放つチ級の腕に太く巨大な手斧が下から襲い掛かった。
血色の良い少女の手に握られた斧が太く重い鎖をジャラジャラと掻き鳴らし、白い大木のような二の腕を引き千切るように切り飛ばす。
そして、鈍く黒鉄色に光る返す斧刃が攻撃手段を失って無防備になった深海棲艦の首筋に叩き付けられた。
「えっとぉ、突撃と同時に放った雷撃で障壁を破壊して、格闘戦で敵艦の武装を破壊して・・・」
「撃破だな、随分と手慣れちまったなぁ・・・吹雪、やるじゃないか」
指令席を囲むように作られている円形のキャットウォークの立ち腰ほどの高さがある手すりを両手で掴んでいる濃い紺色の生地に白い襟と半袖のセーラー服を纏った少女が驚きに深い琥珀色の目を見開き。
全周モニターの正面に大写しになった錨斧によって肩から胸までを袈裟斬りにされ絶命するチ級の様子を見つめる。
『司令官のおかげです! 皆さんも雷撃誘導の補助ありがとうございました』
自分よりも大きく見上げるほどの巨体を持つ深海棲艦を相手にした後とは思えないほど元気でハキハキとした吹雪の声が俺と五人の艦娘が居る半径5mほどの空間、駆逐艦娘である吹雪の中に存在している艦橋に届いた。
「うわぁ・・・、これが現代の駆逐艦の戦い方なんだ。あたし一番になれるのかな、いや、絶対にならなきゃねっ!」
「いえ、何と言うか吹雪ちゃんの戦い方は私達の中でもかなり特殊ですから真似しちゃダメですよ?」
手すりから手を離して両手を胸の前で握りながら気合を入れて目の前で起こった戦闘を頭の中で反芻しているらしい白露型駆逐艦娘の白露に短いお下げを二つ後ろ頭に結った大人しそうな顔立ちの少女、吹雪の姉妹艦である白雪が片手を上げて左右に振りながら白露型の長女が抱えそうになっている誤解を訂正した。
「えっ!? そっそうよね、私は知ってたわ。うん、レディだもの、知ってたわ!」
その言葉に白露の横で手すりにぶら下がるようにしがみ付いたまま呆然としていた約一名がバレバレな知ったかぶりをしているが、それはあえて無視する事にする。
「駆逐艦の子が巡洋艦以上の障壁を破るのはかなり手こずっちゃうからねぇっ♪ ホントなら那珂ちゃんが先に防御を削ってトドメに皆で中距離から魚雷撃つのがセオリーかなっ☆」
ウザ可愛い系アイドルのような喋り方で頭の左右でお団子を作った軽巡洋艦娘の那珂がその若干イラッとする口調を裏切る真面目な内容のアドバイスをその場にいる駆逐艦娘たちへと行う。
「へぇ~、でも近接戦なら主砲や魚雷の弾数気にしなくて良いから継戦力の低い私達はそっちの方が良いんじゃない?」
「だよね砲撃と雷撃って再装填に時間かかるんでしょ? だったらその間に殴りかかるのが一番良いよ!」
「そう言えば那珂ちゃんさんは小刀で敵の障壁ずばーって切ってたでしょ? あれは私達に出来ないの?」
那珂と吹雪に白雪の姉妹以外はつい二週間ほど前にクレイドルから目覚めたばかりの新人艦娘であり、全員が人の姿を手に入れてから初めて出る海に興奮し、倒すべき敵である深海棲艦の悍ましい姿に驚きはしても臆する様子は無い。
積極的に新しい戦い方を覚えようと議論を交わす少女達を指令席に座った俺は彼女達の自主性に任せて眺めていたが、ふと彼女達に伝えるべき事が頭に浮かんだので口を開く。
「よっぽど慣れてる艦娘じゃない限り格闘戦をすれば艦橋の中が酷い事になる。一司令官としては艦らしく真っ当な砲雷撃戦を主軸に戦闘してくれ、お前らも戦う前から艦橋でたんこぶだの痣だの作りたくないだろ?」
そんな俺の言葉を聞いた新人艦娘達は揃って首を傾げ、反対にそう言った苦い思い出と経験がある那珂と白雪は苦笑を浮かべた。
艦娘としての戦闘経験そのものが無い白露達にとってついさっき体験した敵の駆逐艦三隻と雷巡を苦も無く仕留めて見せた先輩艦娘である那珂や吹雪の戦いが正真正銘の初体験だったのだから俺の言った言葉に実感がわかないのも無理はない。
『あはは・・・、あ、朝潮ちゃんですよ。木村一尉の方も戦闘が終わったみたいですね』
目覚めたばかりだった頃の那珂や白雪の初出撃で彼女等の頭にたんこぶを生産した前科を持つ吹雪がワザとらしい話題変更を行いモニターに前方を指さす彼女の手が映る。
その先の水平線に言われれば分かる程度に小さく見える人影が見え、俺が指示するよりも先に那珂が片手を伸ばしてその人影が写るモニターへと触れた。
彼女が触れた部分が細い円に囲まれてモニターの映像が急激に拡大し、水平線からこちらに向かってスケートのように滑ってくる長い黒髪にきりっとした真面目な表情の小学生にしか見えない少女の姿がくっきりと映る。
艦橋内のオーバーテクノロジーとしか言いよう無い機能は指令席に座っている俺にすら把握できておらず、未だに「そんな便利なモノが!?」とか「何のために付いてるんだ?」と言う機能や能力が度々発見される。
「よし、吹雪、旗艦を白雪に変更、白雪は周辺警戒を続けながら木村艦隊と合流後に鎮守府へ帰投せよ」
『はい! 司令官。 白雪ちゃん後はお願いするね』
「了解しました。では、皆さん? 帰投も油断せずにがんばりましょう」
指令席の肘掛から前方へ半円形に広がるコンソールパネルの右側に表示されている吹雪の立体映像へと軽く触れるとその上に五枚の板状の映像が浮かび上がる。
艦橋に立っている艦娘達の艦種と名前が書かれたそのカードの中から吹雪型駆逐艦白雪の札を選んで吹雪の立体映像へと重ねる。
すると指令席の前に立っている白雪が柔らかい光に包まれてSF映画のワープ演出のような調子で姿を消し始め。
モニターには金色の枝葉に錨をあしらった巨大な輪が広がり、その中心に薄っすらと銀色の文字が浮かび上がった同時に白雪の姿は光の中へと消え、彼女と入れ替わるように吹雪が白雪の立っていた場所へと姿を現した。
「駆逐艦吹雪、艦橋にて待機します!」
「おう、ご苦労さん」
艦橋内に複数の艦娘が居るのも、旗艦変更と俺達が呼んでいるこの機能も試行錯誤の最中に偶然見つけたモノだった。
何度目かの出撃である艦娘が自分も出撃したいとゴネにゴネて離れなかった事で俺と一緒に艦橋へと移動し、それが切っ掛けとなり複数人の艦娘を指揮下に置いた状態で出航できる事や戦闘を行う艦娘が変更できる事が発見されることになった。
『駆逐艦白雪、旗艦変更を完了しいたしました。これより木村艦隊へと合流、鎮守府へ帰投します』
その旗艦変更によって艦橋に姿を消した白雪の声がコンソールパネルの通信機に届き、少しの揺れと共に指令席の向きが艦娘の主要拠点である鎮守府へと針路を取ったのが肘掛の左に浮遊するように付いている妙に古めかしい俺にとって非常に見覚えのある羅針盤の針先で確認した。
この羅針盤も指で突くと勝手にカラカラと回転すると言う謎機能が付いているがちゃんと針の向きは正しい方角へと戻るので海を征く指針としては非常に重宝している。
「ねぇっ、司令官、もう鎮守府に帰るだけなら暁が旗艦に変わっても良いでしょ?」
日本帝国海軍において吹雪から始まった特型駆逐艦と呼ばれる括りの艦型の一つである暁型駆逐艦の長女。
暁が指令席のコンソールパネルの端に手を掛けてキャットウォークの上で両脚をピョンピョンと跳ねさせ期待に満ちた笑顔で俺を見上げてきた。
「お前がぁ? 出来んのぉ?」
「何その言い方っ!? と、当然よ! 暁はレディーなんだから!」
「そう言うセリフはな、鎮守府内のプール同然の湾内で転んで顔面滑りをしなくなったら言ってくれ」
コミカルに両手を振り上げて不満を身体全体で表現するお子様にそう言い含めてから俺は吹雪へと視線を送る。
俺の意図を察した現状で最も長い艦娘としての経験を持った少女は直系の妹艦である女児の白い錨が描かれた灰色の帽子を被った頭を軽く撫でる。
「艤装を装備した状態だと普通に立ってる時よりもバランスの取り方が難しくなるから、今回は見学だけで我慢してね? 鎮守府に帰ったら私も暁ちゃんの訓練手伝うから、そしたら電ちゃんが起きた時に教えて上げれるでしょ?」
「むぅうっ、しょ、しょうがないわねっ、今回は我慢してあげるわ! レディーはガツガツ欲張らないものなんだから」
やたら淑女ぶっているちびっ子の微笑ましい虚勢を張る姿に周りの艦娘達も先ほどの戦闘からの緊張感を少し緩め、俺は指令席の通信機が応答要請の着信を知らせている事に気付きそちらへ手を伸ばす。
『こちら、深海棲艦即応第三部隊指揮官、木村隆特務一尉です。 中村三佐応答を願います』
「こちら深海棲艦即応第一部隊指揮官、中村だ。木村一尉、問題が無いようなら当方と合流して帰投してもらいたい」
俺こと、中村義男と少年時代からの相棒である田中良介が前世の記憶と言うアドバンテージで調子に乗りまくって自衛官となり、艦娘達と共に深海棲艦との戦いへと身を投じてから気付けば八カ月を越えた。
そんな俺達は着任から一カ月ほどは閑古鳥が鳴くほど暇だった艦娘部隊は今年の二月に施行された国防特務優先執行法によって増えた出撃で過労死しかねない状態となった。
そんな状況に危機感を強めた俺と田中は自分達の持ちうる伝手と権限を使い新しい艦娘の指揮官となる人材を探す。
そして、三十人以上もの指揮官候補と艦娘達を会わせる事となったがその中でちゃんと艦娘に認められて司令官となったのはたったの四人だった。
その中でも四角四面な真面目振りが目立つ木村隆は俺の防衛大での一年下の後輩だった青年であり、寮生活が主となる自衛隊士官候補生だった頃に同じ部屋で生活した事もある。
融通の利かない頭の固さを考えなければ信用に足る人格の持ち主だと知っていたからこそ俺達は土下座と権限を駆使し、ほとんど引き抜きに近い形で彼に鎮守府へと着任してもらった。
『ちょっといいかしら? 中村少佐』
「ん? その声は陽炎か? あと、俺は三佐だ」
『こっちで遭遇した深海棲艦なんだけど重巡洋艦を一隻逃がしちゃったのよ。この石頭が追撃を許可しなかったから!』
白雪の後ろに並ぶように同行している朝潮の艦橋から飛んできた通信の相手が切り替わり、木村の艦隊に所属している陽炎型駆逐艦の一番艦の不機嫌そうな声が聞こえる。
彼女の不機嫌さが漂う物言いにまた整った顔立ちを常に引き締め規律を重んじる指揮官と可愛い見た目にそぐわない好戦的な考え方をする駆逐艦との間に何らかの行き違いが発生した事を察した。
「木村、確かお前が向かった先はEEZの境界線から十分距離があったはずだが?」
『敵主砲の直撃を受けた駆逐艦娘に追撃を許可するわけにはいきませんよ、中村先輩』
「・・・ダメージレベルは?」
『文句を吐ける程度にはマシな大破ですね、朝潮だけでは戦力的に不足していると判断しました』
良く見れば後方から付いて来ている朝潮も少し煤けた様子の服や肌のあちこちにかすり傷が見える。
おそらくその重巡からの至近弾を浴びたのだろう、敵艦を追い払う事は出来たらしいが重巡洋艦相手に駆逐艦が二人だけの艦隊では荷が重いと言える。
「良い判断だ。戦果よりも人材の方が貴重なのは何時の時代も変わらんからな」
『って言うか、司令があの時にちゃんと推進力を上げてればあんな砲撃避けれたのよ! そしたら接近戦でアイツも沈められてたっ!』
『重巡洋艦級の深海棲艦を侮るな。軽巡艦娘のような障壁破壊能力が無いお前が突撃したところで奴の障壁は破れん、魚雷を使い切った時点で撃破できなかったのだから結果は同じだ』
キィキィと甲高い声で喚く陽炎と淡々とした口調で言い含める木村の会話が通信機ごしに俺達が居る艦橋へと届き、艦橋のモニターに映る朝潮が申し訳なさそうな顔で明後日の方向に視線を泳がせている。
「指揮官として練度が上がれば指揮下における艦娘の数も戦術の幅も広がる。だが指揮官に早く一人前になって欲しいと思うのは良いが功を焦っても得るモノは無いぞ、陽炎」
『むぅ・・・』
「残念ながら俺達にテレビゲームの主人公みたいな分かり易い数字で見えるレベルアップなんて都合の良いモノは無いみたいだからな、お互い地道に訓練と実戦を繰り返すしかないな」
『・・・すみません、中村先輩お手を煩わせました』
どうやら俺の愚痴が混じった毒にも薬にもならない話は二人の行き違いで発生した熱を冷ます程度には役に立ったらしく少し声の調子を柔らかくした木村が謝意を伝えてきた。
「まぁ、木村もさっさと艦娘の編成可能数を増やしてくれ、司令官が居ない順番待ちの艦娘達はまだまだいるからな」
『軽く言いますけどさっさと上がるものなんですか? 三か月出撃を繰り返してやっと二人に増えただけなんですが・・・』
「少なくとも俺は八カ月で六人になった、お前が着任するまでは田中三佐とほぼ毎日海の上を駆けずり回ってたからかもしれんがな」
四人の新しい司令官の着任のおかげで最近特に増えてきた深海棲艦の日本近海からの撃退は目に見えて楽になった。
特に出撃理由の大半を占める本土への攻撃を目的にしていないが近海の漁船は狙うと言う連中を追い払うための出撃負担は単純に考えて半分近くまで減った。
具体的には睡眠時間がちゃんと七時間取れて三食ちゃんとした飯にありつける生活を得た。
自分たちの仕事がちゃんと身を結んだ事に年甲斐も無く喜び俺は良介の奴と一緒に万歳三唱までした。
一頻りはしゃいだ後に風呂に入る時間も惜しんで泥のように布団に倒れ、出動のサイレンにお湯を入れて三分も経っていないカップ麺を掻っ込んで艦娘を連れて港に走るなんて環境そのものがオカシイと気付いて項垂れたが。
「他のプロデューサーさん達が着任するまで那珂ちゃん達お仕事目白押しですっごく忙しかったよねぇ☆ 那珂、アイドルなのにお肌気にしてる余裕もなかったもん・・・あはっ・・・」
「カロリーメイドって便利な食べ物ですよね。おにぎりよりも保存が利きますし、手軽に持ち運び出来ますし、甘くて美味しいですから・・・」
公に2013年の年末に起こった深海棲艦の東京湾への侵入、そして、史上初となる艦娘によって行われた深海棲艦の撃破は民間の目が無い状況も手伝いあらゆる方法で揉み消された。
その事件で見るも無残な醜態をさらした基地司令部に俺と良介が脅しかけて明らかに艦娘側が踏みつけにされている状況を打開したが、その報復か司令部は過剰な出撃要請を押し付けてくる。
その日を境に始まった二人だけしかいない指揮官によるクレイドルから目覚めた艦娘達の訓練や教育と近海へと侵入頻度を増やし始めた深海棲艦を排除する為に昼夜を問わず出動する激動の日々。
マシになった今ですら思い出すだけで俺の身体から生気が抜けるような気がしてくる。
「あたし達が起きる前に何があったの・・・?」
「さ、さぁ?」
役に立つと分かった途端に手の平返しで過剰労働を要求してきた自衛隊上層部に砲撃の一つでもお見舞いしてやろうかと妄想しながら俺は出撃の合間に人材を求めて奔走する。
そして、良介は着任後に起こった深海棲艦の東京湾侵入で得た交渉材料を使い自衛隊だけでなく外部の政治家にまで顔を繋ぐ事に成功した。
それによって鎮守府と艦娘の指揮系統を自衛隊から限定的に独立させる法案が田中が見つけて協力者になってくれたと言う政治家によって衆参両議院を通過して施行される運びとなった。
(今さらだけど、良介が交渉した政治家って何者なんだ? 下手したら幹事長クラスの大物じゃないとあんな無理やりな法案のネジ込み方なんか出来ないだろうに・・・)
問い詰めたわけではないがぽろっと田中の野郎が漏らした情報では日本党の結成前から刀堂博士のシンパであり艦娘を造り出す事になった鎮守府計画にも深くかかわっている人物。
そして、俺やアイツと同じ世界からこの世界へと転生してきた一人でもあるらしい。
(さて、その大物からどんな話が飛び出すか・・・良介、俺に新人のお守りを丸投げしてきたんだから良い話を持ってきてくれよ)
「提督、ちょっとあそこに魚雷撃ってい~い? お魚獲って帰ったら鎮守府の皆喜ぶよぉ」
睦月型駆逐艦の文月がモニターから見える左舷を指さして能天気な事を言い出したので顔をそちらに向ければ海鳥が群れを成して海面に集っている。
漁業には詳しくないが昔見たテレビ番組ではああいった海鳥が海面に群れている下には魚群があるらしいと言っていた。
「文月、お前は何を言ってるんだ・・・」
「魚雷ゆーどーの練習にもなるよ~?」
「いや、意味が分からん」
旗艦となっている艦娘の艤装を制御する補佐が艦橋に乗り込んだ艦娘の必須ともいえる役割となっているが、かと言って好き勝手にバカスカと大砲や魚雷を撃っていいと言う事ではない。
艦娘が十分な食事と睡眠を得て健康に気を付けておけば勝手に補充される不思議エネルギー。
それを使って造られる実質無限の弾薬と言えど使った分はちゃんと後で書類にしなければネチネチと基地の階級だけは上の管理職から嫌味を受ける事になる。
「船だった時のアタシの船員さんも爆雷で浮いたお魚獲ってたよぉ?」
「基地に帰った後で教えてやるが、現代の漁業法では発破漁は禁止されてんだよ。じっとしてなさい」
「え~、暇になっちゃったよぉ」
取り敢えず母港に戻ったら艦娘への教育内容に現代の法律も組み込む必要性が出てきたと報告書に記さなければならないらしい。
妖精さん?
あぁ、妖精さんの事か。
奴さん死んだよ。