艦これ、始まるよ。   作:マサンナナイ

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この道は本当に正しい方向へ続いているのだろうか?

だが、仮に辿り着く場所が間違っていたとしても。

彼等は諦めに立ち止まるわけにはいかないのだろう。
 


第八十四話

 肌が焼け、骨が砕け、身体が欠け落ちていく。

 

 成す術無く押し寄せる水圧に弄ばれながら何処かへと運ばれていった。

 

 時間だけでなく自らの感覚全てが狂う中、さしずめ硫酸の海に飛び込んだらこうなるだろうかと陽炎は自分の身体を痛めつける激しい痛みから逃避する様な考えが浮かべた。

 

(そう言えば、いつだったっけ・・・中村二佐が艦娘は中破までなら無傷なんて勝手な事言ってたのは)

 

 ただ飲まれてその場で押し潰されるだったと言うなら残りの霊力を障壁に注ぎ込んで時間を稼げば体勢を整えた友軍(中村艦隊)が爆撃か砲雷撃かは分からないまでも返す刃で周りの泥を弾き飛ばし助け出してもらえるだろう、そんな打算と希望が直後に御破算となった事をただただ悔やむ。

 そうなっていたら味方の攻撃に巻き込まれて死ぬほど痛い目に遭うだろうけれど、少なくとも戦闘形態が強制解除される程度で済み、怪物のエサとして踊り食いになる事だけは避けられるはずだった。

 

バイタルパート(頭と胴体)さえ守りきれば、戦闘形態の強制解除は起こらない、最低限の部分を守る障壁を張り直し続ければ・・・耐えられるはず、いいえ、耐えるっ)

 

 しかし、救援の望みが断たれたが諦めると言う選択は彼女には無く、自分の内側に居る仲間達を絶対にこの黒い怪物の中に投げ出してたまるかと言う意地で窮地に立ち向かう。

 

(やられっぱなしでいてたまるもんか、喰われるって言うなら腹の中で大暴れしてやる・・・私がダメでも、司令達ならやってくれる)

 

 持ち前の負けん気と仲間への一方的だが確信のある信頼、その意志を込めた血潮と霊力を燃料にボイラー(心臓)を動かし陽炎型一番艦は自分を押し流す激しい水流の中で壊れていく艤装に残り少ない霊力を最大まで増幅させ。

 歪な牙が蠢く黒い肉壁にぶつかって千切れていく手足を犠牲にして残った身体の重要部分のみに集中して防御力を纏い守る。

 

(でも、あれからどれくらい経ったの? なんか何も感じない、真っ暗だ・・・司令は、皆はどうなったのかな?)

 

 その違和感に陽炎は朧気にだが自分の身体を覆う微かな光(障壁)ごとヤスリ掛けするような無数の牙が並ぶ細い管の中を延々と押し流されていて、その光すら失い視界が黒に染まったと同時にいきなり上下も分からない広い空間に放り出された事を思い出す。

 

(なんで、息が出来る? ・・・なら水の中じゃないの? もしかして私、寝てる?)

 

 突然の浮遊感から次の瞬間に身体を打ち据えた落下の衝撃で意識が途絶えてしまった記憶を陽炎は浅い呼吸の度に鈍い痛みを繰り返す頭の中から呼び起こす。

 そうして陽炎の幻夢の水流に振り回されぐるぐると渦を巻いていた頭の中身が徐々に混乱から正常な思考と現実へと戻る。

 

(死んじゃった、ってわけじゃなさそう? いっ、いたた・・・いや、今から死んじゃうかもしんない・・・身体中すっごい痛いぃ)

 

 ごわごわと感じる布が纏わりついた肌に当たる空気で自分が居るのは暗黒へと引きずり込む様な水流の中では無いと理解し、陽炎は自身の身体を苛む痛みが肉を抉られる様な激しさでは無くジクジクとした腫れやミシミシと軋む骨折といった鈍く熱を持った痛みに変わっている事に気付いた。

 さらに自分を飲み込んだ黒泥の顎に噛み切られた足や内部に存在していた血管の様な水脈の壁面に叩き付けられ削り取られた腕が痛い事への違和感が陽炎自身の身体が発している痛みを鮮明にしていく。

 

「ぅ、ぐっ・・・ぁ」

「陽炎・・・もしかして起きた? ねぇ、分かる?」

 

 目覚めとともに襲いかかってきた痛覚によって体中をナイフでめった刺しにされたらきっとこんな感じの苦しみになるだろう、なんて考えが陽炎の頭に過る。

 小さく手足を動かすだけで身体の内側から襲い掛かって来る自分が生きている証拠(激痛)に呻いた駆逐艦娘はすぐ近くから聞こえた声に重く腫れた瞼を開いた。

 

「古鷹・・・、あたし・・・く、ぁっ! けほっ、こほっ、ぅう・・・」

「動かないで傷に響くから、お水飲める?」

「くうぅ、・・・うん」

「少し待ってて」

 

 意識の覚醒によって苦しさを濃くした痛みで涙を浮かべ陽炎は息苦しさに噎せ、朧気に霞む視界が自分を心配そうに見下ろす重巡洋艦娘の姿を認めた。

 

(身体中が痛いだけじゃなくて酷い声、まるでガラガラ声のお婆さんだわ)

 

 首を少し横に向けるだけでも辛く手足も動かないとは言え陽炎は寝たままで見える範囲にはいくつかの段ボール箱が開かれて置かれおり、そこから少し離れた場所ではパチパチと小さな音をたてながら固形燃料が不揃いの石で組まれたかまどの中でオレンジ色の火を揺らめかせ。

 

 陽炎は自分と古鷹が居る場所が何処かの岩場のすき間にある小さな場所を使った野営地である事を知る。

 

 そうして金槌で頭を叩かれ続ける様な頭痛に耐えながら周りを確認していた陽炎の近くへと古鷹が水の入ったボトルを手に戻り、包帯で全身を覆われた駆逐艦娘の上半身を優しく支える様に起き上がらせて蓋を開けた水筒を差し出した。

 

「ん、ぅ、ありがとう、・・・ねぇ、司令は? 他の皆は・・・無事なの?」

「今は周りの様子を調べてるの、大丈夫、陽炎が頑張ってくれたから全員無事よ」

 

 差し出されたボトルから水を二口程飲んだ陽炎は古鷹の慎重な手つきでまた寝かされ、いつの間にかタオルが敷かれた地面に寝かされたらしい駆逐艦娘は戸惑いながらも仲間が語る現時点の自分達が置かれている状況の話に耳を傾ける事にする。

 

「それで神通の言う通りここは限定海域の中で間違いなさそう・・・」

 

 妹を敵の攻撃に巻き込みたくないと言う私情とかつて自分の指揮官だった男ならどうにかして助けてくれるだろうと言う期待と言う自分勝手な考えによる行動。

 そんな理由で自分の今の指揮官の了解を得ずに独断した結果は黒泥の引きずり込まれた上にその中にあった水脈に流されて深海棲艦の巣へと放り出された。

 

「えっと、泥の中を運ばれて・・・空中に投げ出されて、私、その下にあった海に叩き付けられた、・・・の?」

 

 自業自得の責任で自分だけがひどい目に合うだけならまだしも同じ艦隊のメンバー全員を道連れにしてしまったやるせなさに溢れかけた涙を閉じ込める為に陽炎は両の瞼を強く閉じ、そんな小さな動きだけでも肌を切る様な痛みが走る自分の身体を忌々しく感じ歯噛みする。

 

「そう、強制解除寸前に旗艦変更が出来る様になって、でも落ちたのがここを囲ってる壁の近くであの泥と同じで触手が伸びてきたの・・・」

 

 広大な空間の高高度から海水と共に自由落下した陽炎の戦闘形態は限界に達したのだが、しかし、不幸中の幸いと言うべきか侵食を受けた身体(船体)を削られ海水に洗われた事で深海棲艦の血を固めた黒泥を原因とする艦橋の機能を阻害も無くなり木村艦隊は九死に一生を得る。

 そんな敵の手中である事は分かるがそれ以外は全く分からない状況で水飛沫をまき散らし、金の輪から飛び出した朝潮型駆逐艦娘はその旗艦変更の光に吸い寄せられた無数の触手から目的地も無くどこが安全かも分からない限定海域の中を闇雲に逃げる事になった。

 

「でもその壁からかなり離れた所で羅針盤が何かに反応して、それに従って進んだらこの山に辿り着いたの」

 

 それから黒い海に聳え立つ瓦礫が集まった様な歪な岩山のすき間で休息をとった木村達は虫の息で眠る陽炎を古鷹に任せて周辺を調査してるとの事だった。

 

「は、はは・・・最悪な状態、ね」

「そうだね・・・」

「・・・私のせい、ね」

「そうかな・・・」

 

 聞けば聞くほど絶望的な状況に乾いた笑いを漏らす陽炎の隣に座って膝を抱えながら古鷹はかまどの中で揺れる火を眺め。

 

「ねぇ・・・古鷹さん、私はっ」

「陽炎があの時どうしてあんな事したか、分かるから・・・私が陽炎と同じ立場で目の前に居たのが加古だったらって考えたら・・・だから、私は何も言えない、ごめん」

 

 やんわりと自分の言葉を遮る古鷹の声に陽炎としては優しく謝って欲しいのではない、むしろ、お前の勝手な行動のせいでこんな事になったのだ、と責める断罪の言葉を言外に求める。

 しかし、駆逐艦の隣に居る重巡洋艦は縋る様に見上げる涙目へと視線を返すことなく少し気まずそうに琥珀と金色のオッドアイの中に火の揺らめきを映し、古鷹は陽炎の近くに畳んで置いてあるタオルを手に取って重傷で気が滅入っている仲間を慰める様にその瞳から零れた涙をなぞる様に拭った。

 

「古鷹、今戻った、何か不審な事はあったか?」

 

 諦めに溜め息を吐く陽炎と憂いを揺らす古鷹が黙り込みしばしの無言の時間が過ぎた頃、火の揺れる音と岩の間を通る風の音だけとなった広場へ不意に石を踏む足音と共に彼女達にとって指揮官である青年の声が狭い野営地に響く。

 

「いえ、特に異常はありません、・・・でも、陽炎が起きましたよ」

「・・・そうか」

 

 白い士官服の上を脱いで腰に巻いた青年は生真面目そうな顔で古鷹に頷きを返してから後ろに続く部下である朝潮、神通、龍鳳に向かって休めと短く命令した。

 

・・・

 

 艦橋に持ち込んでいた活動物資に入っていたあったサバイバル用品、その中から固形燃料のパッケージを開いた木村は適当な石を集めて作った簡素なかまどに新しい火をくべる。

 

「一応はもう一度海にも出てみたが分かった事はそう多くない」

 

 ここが直径三百km程の円形の壁に囲まれた閉鎖空間である事。

 その壁が木村達をここに引き込んだ泥と同じ性質を持っていると言う事。

 海面から見て8000m上空、ある高度を境に黒い壁が灰色へと色を変えて天井の様な平面が存在している事。

 自分達が此処に閉じ込められてから既に二十時間近くが過ぎた事。

 敵艦の姿が全く見えない、と言うより自分達以外の生物が見当たらない事。

 

「迂闊に壁に近寄ればここに運ばれてきた時と同じ目にあうだろう、アレの射程範囲は5km近くまで伸びる様だが外の様に空を覆う程の網を作る事はなさそうだ」

 

 青年士官はかまどに乗せた鍋に向かって座りながら淡々とした調子で自分達が広大な檻の中に閉じ込められたと言う事実を告げる。

 

「これも大半が龍鳳さんが居なければ分からない事でしたね」

「そんな事は、不用意に壁に近付け過ぎて、私の操縦が拙かったせいで艦載機の大半を失ってしまいましたから・・・」

 

 自分達の置かれている状況を理解した上で微笑みながら仲間の功績を褒める神通の言葉に恐縮する様に龍鳳は桜色の袖を抱く様に身を縮めて肩を落とす。

 その肩を軽く励ますように叩きながら限定海域に閉じ込められる事が二度目となる軽巡は前の時よりはよっぽど良い状況だと言う。

 

「神通さんはすごいですね、私は怖くて、・・・怖くて震えが止まらなくなりそうで」

「私も怖くないと言うわけじゃないんですが、まぁ、前の時のように艤装を持たない無力な姿ではなく、延々と夜が続く場所でもないと言うのが大きいだけかもしれません」

 

 神通と龍鳳の会話を聞いていた陽炎はふと見上げた岩の間から差し込むオレンジに近い光と先ほどの指揮官が言った20時間も経ったと言う言葉に今が昨日の戦いから日を跨いだ夕方なのだと気付く。

 もっとも彼女が見ているその明かりが限定海域の外から差し込む太陽光を源としているとは限らないわけではあるが。

 

「さし当たってこれから我々がやるべき事を整理するか」

 

 抑揚の無い口調で木村はそう言いながら艦橋に運び込まれていた物資にあったレーション(缶詰)を箸先で引っかけ鍋から取り出し、それぞれをかまどの周りに車座になっている神通達へと分配していく。

 

「神通、今の状態で明日の朝まで野営するとしてどの程度までの回復が見込める」

「そうですね、私は先の戦闘で霊力の消費自体は少なかったですから八割ほどまで戻せるかと、朝潮も同程度でしょう」

 

 木村の問いに神通は赤飯の入った飯缶を開けながら自分と隣で強く頷きながら袋詰めの総菜を頬張っている朝潮の回復力の予想を口にする。

 

「ただ、弾薬を使い切った古鷹さんは一割を取り戻せれば良い方でしょうし、それに破損した艤装や装備は・・・」

「入渠しなければ修復は出来ない、それは分かっているから構わない」

「私の艦載機も同じで入渠しないと、使える子達はもう半分より少ないと思います」

 

 有る物と無い物、出来る事と出来ない事を話し合いながら纏めていく指揮官と仲間達の姿に地面に敷かれたタオルの上に寝かされている満身創痍の陽炎は疎外感を感じながらもそれは自業自得なのだからと口を噤む。

 

「調査によって陸地は我々が居るこの山のみだと判明、周囲の海も天井からの落下物が断続的にある程度でそれ以上のめぼしい情報は無かった」

「天井からの・・・落下物?」

「ぁ、そっか、陽炎は見てないよね、えっと、どう言えば良いかな・・・ここに来るまでに時々、天井の一部に穴が開いて海水と一緒にいろんな物が落ちてきたんだけど・・・」

 

 当たり前の話だが今の彼らに拠点の護衛艦や鎮守府なら手厚く受けられる治療と補給は無く木村も取り敢えずの確認と言う程度の態度で神通に頷きを返す。

 そんなふうに段ボール箱数個の限られた物資と先の見通せない困難な状況を前に少し暗くなった雰囲気の中で指揮官の言葉の一つが気になった陽炎が呟き、古鷹が少し複雑そうな顔でどう説明するべきかと眉を寄せる。

 

「古鷹さん言葉を濁しても仕方ないでしょう、深海棲艦ですよ、もっとも残骸でしたが・・・おそらく私達と同じように限定海域に飲まれてここへ流し込まれたのでしょうね」

「そう言う意味ではあの天井は外側に近いと言う事でもある・・・少なくとも黒壁よりは、だろうが」

 

 仲間に気を使っている重巡艦娘へと少し眉を下げた困り顔にも見える微笑を向けた神通が答えた言葉に特に表情を変えず淡々とした調子で木村も自身の予想を付け加えながら缶詰の中の赤飯に箸をつけた。

 

「・・・それでは我々は今後、外部との通信路の確立を、可能なら限定海域からの脱出の方法の模索を直近の目標とする。各自食後に交代で見張りを行いながら就寝休息をとる、明日は明朝マルロクマルマルに起床!」

 

 頼りないオレンジ色の灯りを中心に和やかと言うには少々物々しい食事ではあったが人心地ついた一同の間が静かである分、良く通る木村の声に艦娘達が了解の返事を返し。

 

「はいっ! 司令官、具体的な明日の作戦行動はどのようにいたしますか?」

 

 それに続いて威勢良く箸を持つ手を挙げた朝潮の質問が岩場の休息地に木霊する。

 

「・・・あの黒い海にここからの脱出に繋がる手立てが無さそうである以上はこの山を登るしかない、航空観測で頂上部分は天井にかなり近くである事に加えて、羅針盤がそこから何かしらの反応を受けている様だからな」

「調べる必要はありますけれど、頂上は艦載機での観測と計測ではあの天井にくっ付きそうなほどの高さでしたよ?」

「少なく見積もっても7500mと言った所か・・・このまま登るならまだしも艦娘の戦闘形態でならやりようはある」

 

 空になった缶詰やパックを纏めて適当な袋に集め地面に置いた木村は生真面目さを張っていた表情に一瞬だけ疲れと迷いを揺らしながらまるで自らに言い聞かせるように自分達の行動方針を口に出して決定した。

 

「そっか・・・なら、明日は皆、山登り頑張ってね」

「陽炎? どうしたの?」

「私はここに残るわ・・・こんな体じゃ付いてく事も出来そうにないからさ」

 

 眉を顰める指揮官と驚き首を傾げる古鷹に向かっておどける様に肩を竦めようとした陽炎は包帯と添え木で固定された体のあちこちを内側から刺す骨折の痛みで表情を歪める。

 

「・・・司令官、足手まといの私はここに置いていって、その方がいろいろと都合が良いでしょ?」

 

 苦痛に歪む顔を無理矢理に不適な笑みで押し返し震える口元をつり上げた陽炎は視線で残り少ない物資を示す。

 

「心配しなくても、司令達が脱出した後に他の艦隊と一緒に限定海域を壊してくれれば・・・駆逐艦陽炎の霊核はちゃんと鎮守府に戻るから・・・だから」

 

 自分を置いていけばその分の無駄な食料と体力もを消費せずに済む、その瀕死の駆逐艦が暗に言おうとしている事に気付いた古鷹達がそれぞれ複雑そうな心情を顔に浮かべ。

 

「ふんっ、面白くもない話だ、お前は無駄口を叩かず大人しく寝ていろ・・・まさか、先輩が装備リストに加えたキャンプセットが役に立つ日が来るとはな

「ちょっ、あのね、私は冗談で言ったわけじゃないのよっ、艦娘は身体が死んでも」

 

 木村だけが陽炎に向かって軽く鼻を鳴らしてから彼女の言葉を一蹴し、指揮官は段ボールから小さく畳まれた防寒アルミシートを人数分取り出して部下へと配っていく。

 

「この際だ、陽炎は重病人の輸送が運ばれる側の体力も重要なのだと身を持って知っておけ」

「ぃっ、たたっ・・・何なのよ! 私は・・・自分なりに責任を取らなきゃって思って言ってんのに! ぃっうぅ・・・痛いっ! 痛いって! それ乱暴でしょ!?」

 

 ミイラの様に包帯で体中を巻かれタオルに包まれていた陽炎の上に木村は取り付く島もない態度で広げたアルミシートを被せて隙間を無くす為に怪我人の下へとシートの裾を押し込む。

 

「そんなモノは責任を取ったとは言わない、そもそも、お前は、お前達艦娘は部隊運用において責任云々を口に出来る立場ではないと言う事を分かれ」

 

 相変わらずの堅い口調と相まって突き放す様な木村の物言いにサバイバルシートの下から顔を出している陽炎、そして、そのやり取りに耳を傾けながら岩場での就寝の用意をしていた古鷹達も絶句して司令官に向かって目を見開いた。

 




 
基本的に艦橋に持ち込める段ボール箱は出撃する艦娘の人数分なのです。

【木村艦隊版】

①自衛隊のレーションパックなどの数日分の食料品。
ほぼ全てが長期保存可能な缶詰やパック食品などなど。
2日分節約して使うと大体3日分?

②簡易治療用の薬剤や包帯など。
空母艦娘が低重力ジャンプする際に艦橋で使う安全帯(命綱)を含む。
安全帯は重傷の艦娘を艦橋に固定するのにも使える。

③替えのシャツや下着などの衣類。
各種タオル系もここに入っとります。
艦娘の種類の関係のせいで量が嵩張るので制服の代えは、無いです。

④簡易キャンプセット
中村が何を思ったか司令部を言いくるめて艦隊の標準装備に入れた便利グッズ。
アウトドア系の調理器具や練炭などなど、使われたケースは恐らく今回が初めて。
なお段ボールのサイズの関係で寝袋やテントは入っていませんが何故か釣り道具は入っています。

注意※
その他物品を持ち込む場合はそれの必要性を明記の上、書類提出によって鎮守府司令部に許可を取ってください。
持ち込み可能な食料品に生米は含まれていません。お菓子類も同様です。
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