IS~筋肉青年の学園奮闘録~   作:いんの

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 皆さん、まず先に謝罪しておきます。本来ならもう少し長くなる予定でしたが、執筆中後半部分を保存し忘れるというとんでもないドジを踏んでしまい、かなり短めになってしまいました。
 大変申し訳ございません。
 取り敢えず、前編後編に分ける形で、対応しました。明後日までには後編も投稿しときます。
 それと、お気に入り登録してくれた皆さん、大変ありがとうございます!嬉しすぎて「ウゥオッ!」ってなりました。

追記:一部修正を入れます。


第1話 死後の世界(前編)

 瞼を開けると辺り一面白い世界が広がっていた。

 未だ目覚めたばかりだからか白い霧がかかっているかの様な薄ぼんやりとした景色しか、昭弘には認識できなかった。

 

 そうして少しずつ、目の内側にある霧が晴れていく。一番最初に認識できた物は、縦に長い白く光る棒だ。蛍光灯…だろうか。それを視認して初めて、昭弘は今現在自身が横になっているということに気が付いた。

 

 更に目が慣れてきたので、今度は辺りを見回してみる。色んな物が目に飛び込んできたが昭弘の脳裏に一番濃く焼き付いたのは、独りでに動く機械だった。大きさは昭弘より一回り大きい程度。ガッシリとした人型で薄黒いボディに床まで届きそうな長い手。頭部には赤いカメラアイが一つ、怪しく光っていた。

 掃除…をしているのだろうか。濡らしたモップをビチャビチャと鳴らしながら、床に黙々と擦り付けている。

 

 すると突然、昭弘の()()()()()()()()()()のかその機械がこちらに振り向いた。

 

 4~5秒程昭弘を見つめながら静止しているその機械は、何と言葉を発した。

 

《メ…メ…目覚メタ…?》

 

 ステレオタイプのスピーカーから流れる様ないかにも機械的な音声だったが、確かにそう発していた。

 すると―――

 

《タ……!束様ァァァ!!!目覚メマシタ!!目覚メマシタヨォォォォ!!!》

 

 そう部屋の壁を突き破らん声量で叫びながら、機械は大慌てで飛び出していった。それを切っ掛けに、昭弘の頭にもようやく「混乱」の二文字が訪れた。

 

―――ここは何処だ?

―――そもそも自分はあの荒野で死んだ筈だ。それは間違いない

―――では此処は死後の世界…なのか?

―――それとも新しい生命として生まれたのか?

 

―――あの機械は何だ?生前(?)ではあんな機械見たことがなかった。しかも、自分にはその機械が独りでに動いていた様にしか見えなかった。それとも中に人が…?

 

―――それと…あの機械が発していた『タバネ』とは一体誰だ?少なくとも組織(家族)には、そんな名前の人物は存在しなかった筈

 

―――…「()()()()」?此処で?…あの機械が発していた言葉や自分の今の状況を考えると、自分は少なくとも死んですぐ此処に突如として現れた訳ではない。もしそうだとしたら、自分はどれだけの時間、このベッドの上で眠りについていたのだろうか

 

 

 いくら自身の頭で候補を挙げても答えなんてまるで出てくる筈もなかったが、彼がこれ程までに混乱している理由はもう一つ存在した。その理由は、どう言う訳か彼自身()()()()()()()()()()を着ているのだ。

 

 自身はあの時、大小様々な鉄片が突き刺さっていた状態だった。であれば自身は裸体で医療用カプセルに入っているか、全身を包帯で巻かれているか、何かしら治療した痕が残っている状態でなければならない。なのに今は、自身が愛していた組織(かぞく)鉄華団』の花のマークが入った馴染みの深いジャケットを羽織っていた。

 つまり、普段通りの服装ということだ。身体の方にも、異常がある様にはとても思えなかった。あるとしたら、目覚めた時の倦怠感くらいだ。

 

 そもそも、病室(らしき所)のベッドに()()()()()()()()こと自体が可笑しい。

 普段から彼は彼自身の背中から生えている2本の突起物(阿頼耶識のピアス)のせいで、仰向けで寝ることができなかった。しかしこの病室のベッドにはどうやら細工が施されており、背中の突起物が丁度良くベッドにフィットするよう位置的に枕のすぐ手前辺りに深めの溝が作られていた。

 

 

 以上のこともあり、昭弘は今の状況を正常に把握できないでいた。まるで夢を見ているかの様な、夢から覚めたかの様な。

 何度瞼を閉じても夢と現実の境界を上手く見出せない昭弘は、まさか本当に此処が「死後の世界」なのではないかと、根拠なき錯覚に襲われてしまう。

 

 

 

 

 

 どれ程の時間が経ったのだろうか。数分かもしれないし、数十分かもしれない。それでも、昭弘は少しずつではあるが漸く普段の巨木の様な落ち着きを取り戻してきた。

 取り敢えず、先ずはベッドから降りて少しずつ体を慣らしていこうと思い至ったその時、先程機械が飛び出して行った自動扉が再び静かにスライドした。すると兎のような耳の生えた“何か”がゴロゴロと高速回転しながら入室し、勢いをそのままに昭弘のベッドへ近づいてきた。

 

「ジャジャジャジュワーーーン!!!☆やっふぅ!やっふぅぅううう↑↑!!!みんなのアイドルゥ!篠ノ之束さんドゥエエエエッス!!!」

 

 先程以上の混乱+困惑が、昭弘の脳回路を焼いた。

 

 

 

 

 

「いんやぁ~驚かせちゃってメンゴメンゴォ~。君が目覚めたって聞いたから余りの嬉しさで勢い余っちゃって~~☆」

 

 この“兎耳女”の衝撃的な登場のすぐ後、先程の機械が慌ててフォローに入り昭弘に謝罪をしつつ、マグカップにホットティーを淹れて「どうぞ」と促してきた。ガタイの割に器用な事をする機械だ。

 まだ彼女らを信用していない昭弘は、未だマグカップに口をつけてはいないが、機械のフォローもあってどうにかこうにか落ち着くことくらいはできた。

 

 第一に女の恰好が異常だった。ファンタジックな水色のドレスに白いエプロン、頭頂部には兎の耳のような蠢く機械を付けており、見る者を混乱させることに長けすぎていた。

 昭弘は一先ず機械に軽く礼を言った後、漸く口を開く。

 

「……昭弘・アルトランドだ」

 

「おや?そっちから名乗ってくれるの?」

 

 突然の彼の名乗りに、女も拍子抜けた表情を見せる。訊きたい事は山の如くあるだろうに、と。

 

「どうやらオレは短くない時間ここに居させて貰ってたみたいだからな。状況的にそれぐらいは何となく分かる。だからせめて名乗りくらいはこっちからやらないと()()()()()()と、そう思っただけだ」

 

 “筋を通す”とは、昭弘の行動理念の一つとも言えた。それはやはり、彼が元居た組織(かぞく)「鉄華団」団長の影響を強く受けていたからかもしれない。

 

「………筋、ねぇ…あっ!ゴメンゴメン何でもないよぉ☆」

 

 一瞬女の表情が曇った様に見えたが、今は特に気にする必要はないと判断した昭弘は見て見ぬフリをした。

 

 すると、じゃあこっちもと言わんばかりに女は自身と機械とを親指で指し示しながら自己紹介を以て返す。

 

「私は篠ノ之束(しのののたばね)☆イェイ!!天才科学者だよ☆そんでこっちがお手伝いロボットの『ゴーレム』!束さんが作ったんだよ!できれば愛称を込めて『タロ』って呼んであげてネ!』

 

《デハ改メマシテ、初メマシテ昭弘様。タロト申シマス。私ト同ジゴーレムタイプノ『IS』…失礼シマシタ。モトイ、ロボットハ他ニモ沢山オリマスノデ、見カケタラ気兼ネナク声ヲカケテ下サイ》

 

 ロボット…は聞いたことがあるような気がする。しかし、『あいえす』なんて単語昭弘は聞いたことが無かったし思い浮かべることもできなかった。

 だが今は先ずより重要なことから聞くべきだろうと、昭弘は一旦あいえすなる単語を保留にした。恐らくタロも、自分を混乱させないようわざとロボットと言い換えたのだろうと、昭弘はそう解釈した。

 

「タバネにタロか、よろしく頼む。そんじゃ悪ぃが、早速質問に入らせてもらうぞ。まず此処は何処だ?」

 

「ここは束さんの研究施設(ラボ)の一つなんだよねぇ。えっへん!所在地は内緒♡」

 

 ラボ…昭弘には縁の無い場所であった。束の様な研究者が根城にしている基地の様なものなのだろうと、彼は足りない知識で適当に予想する。

 まぁ別段気に留める程の事でもないので、そのまま昭弘は質問を続ける。

 

「…オレは一体どのくらいの間眠り続けていたんだ?」

 

「うーん、ざっと一ヶ月位かな?最初っからその恰好だったよ!」

 

 一ヶ月前…更にはこの格好…。

 だが尚も昭弘は質問を続ける。束の口から発せられる情報に対する疑念や動揺、余計な憶測を今は必死に押し殺して。

 

「……今何年だ?」

 

「西暦2022年1月16日だよ~」

 

「………オレは何処に倒れていたんだ?」

 

「そこら辺に!」

 

 そう言うと束は窓の外を指さした。そこには、ラボを覆い隠すように雑木林が広がっていた。

 

 昭弘は、束から得た情報を一旦整理するべく険しい表情で自身の頭を撫でた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

西暦?

 

 

 

後編へ続く。




 束さん描くのすっごい楽しいです。
 今現在ラボに居るゴーレムは、クラス代表戦襲来時のゴーレムのモノアイバージョンだと思ってもらえれば、分かりやすいかと思います。声は皆さんの想像にお任せします。
 原作にはいないキャラかと思いますが、皆さん気に入っていただけましたか?
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