─────5月10日(火) 130号室前─────
普段通りの廊下、普段通りの学生服で、一夏は普段通りの登校をすべく部屋のインターホンに指を翳す。
唯一普段と異なる点は、彼の隣に居る「新しいルームメイト」の存在だろうか。
ピィン…ポーーン
チャイムを内外に響かせた後、一夏の新たなルームメイトである『シャルル』が他愛もない質問を繰り出す。
「一夏っていつもアルトランドくんと登校してるの?」
そんな質問に、一夏は喜色を滲ませながら答える。
「ああ!昭弘と登校しないと一日が始まんねぇよ。オレにとっちゃ「兄貴」みたいな存在だからな」
一夏の喜々とした返答に対し、シャルルは温和に微笑む。
2人が雑談を繰り返していると、気が付けばドアの開閉音と同時に見慣れた巨漢が姿を半分ほど覗かせていた。
「おはよう。待たせたな、一夏…ん?」
昭弘は、本日も一夏の隣に黒髪の大和撫子が居ると想定していた。しかし、居るのは金髪の貴公子(女)であった。
呆気に取られる昭弘を見かねて、一夏は新たなルームメイトの紹介に入る。
「昨日からシャルルがルームメイトになったんだよ。男同士、オレと相部屋にしようって事になってさ。箒には部屋を移動して貰ったんだ」
一夏が何食わぬ顔のまま説明を終えるが、箒が猛反発したであろう事を昭弘は直ぐ様予想してしまった。
彼女には可愛いそうだが、何時までも年頃の男女を同じ部屋にしておく訳にも行かない。…と言っても、シャルルの性別を鑑みると
昭弘は居辛そうに引き攣った笑顔を浮かべるシャルルに対し、疑念で塗り固められた瞳を一瞥だけ向ける。
思い起こしてみると、シャルルは基本ずっと一夏の傍に居る。男性同士ならそれも納得だが、シャルルは女性だ。
男性として性別を偽り、一夏に近づく理由は何なのか。そう考えると部屋替えに関しても「シャルルの意図が絡んでいるのでは」と、昭弘はつい頭を巡らせてしまう。
「早く出ろ」
昭弘の熟考を、子供の様に高い声と自身の脹脛への軽い衝撃が遮る。爪先で軽い小突きを繰り出したのは、昨晩から昭弘の部屋に泊まり込んでいる『ラウラ・ボーデヴィッヒ』であった。
一夏の瞳に、薄気味の悪い『銀色の髪』が僅かに映る。全身は未だ昭弘の影に隠れてはいるが、その吐き気を催す様な「憎たらしい声」も合わされば嫌でも誰なのか判る。
しかもあろう事か、そいつは何故か昭弘の部屋から出て来た。
───何だこいつ。何時から昭弘とそんなに親しくなった?『千冬姉』だけじゃ無く『昭弘』まで手籠めにする気か?
一夏は隣に居るシャルルの事など気にも留めずに、ラウラの全身が現れたと同時に問い質す。
「何でお前が昭弘の部屋に居るんだよ」
普段の明るげな雰囲気は一変し、低く威圧的にそう訊ねる一夏。しかしラウラはその質問に答えず、一夏の顔を見て普段の無表情を歪ませる。
「アルトランド、何でこいつが部屋の前に居るんだ?」
ラウラは針の様に人差指を一夏へ向けたまま、怠さ全開な表情で昭弘にそう訊ねる。
「何でって…さっき「一夏たちと一緒に登校するが、構わないか?」と言ったろう。んでお前は首を縦に振っ……寝ぼけてたな?」
「…」
恐らく肯定の意思であろう無言で返すラウラに、昭弘は呆れを高濃度に含んだ溜め息を吐く。
「お前一応「軍人」だろうが。朝に弱くてどうする」
「軍人にだって得手不得手はある。大体、寝起きでそんな事を訊ねてくる貴様にも非はある」
昭弘とラウラが言葉で小競り合いに興じているのを見て、一夏は先程以上に苛立ちを募らせていった。自身の質問を完全に無視された上、昭弘と親し気に喋繰っているのがどうやら癇に障った様だ。
一夏は、尚も口調を荒げてラウラに訊ねる。
「オイッ!先ずはオレの質問に答えろよッ!」
怒声に近い一夏の一声を聞いて、シャルルの困惑は混乱へと突き上げられる。温和な雰囲気が、ラウラが現れた途端に一変。その急過ぎる空気の変動に、シャルルの頭は付いて行けなかった。
昭弘も当惑していた。その剣幕はどこからどう見ても、昭弘の知る普段の一夏ではなかった。
ラウラはと言うと、余りにしつこい一夏に嫌気が指したのか場の雰囲気がやり切れなくなったのか、後頭部を少し掻きながら次の様に言い放った。
「アルトランド、やはり私は一人で登校しよう。適当にその辺をプラついてくる」
「ボーデヴィッヒ…」
昭弘が呼び止めようとするも、ラウラはそそくさと早足で出て行ってしまう。
その後数十秒程、3人の間で気不味い沈黙が続いた。
そんな思考すらままならない息苦しい沈黙の中でも、昭弘はラウラの姿が消えた玄関口を未だ見つめていた。その瞳が宿していたのは憂いか遺憾か心配か、それとも悲壮か。将又そのどれでもない「何か」か。
いつも眉間に寄っている昭弘の太い眉毛が、その時だけは「八」の字に近い水平へと力無く横たわっていた。
「一夏。さっきのは流石に取り乱し過ぎなんじゃないか?」
寮の玄関口を出てから、最初に言い放った昭弘の言葉がそれであった。
優しく諭している様にも聞こえるが、普段無口で温和な昭弘の第一声がそれだったのだ。昭弘が結構“怒ってる”ことは、然しもの一夏も理解していた。
当然だろう。先程のラウラに対する一夏の物腰は、誰の目から見ても理不尽そのもの。おまけに未だ不安も多かろうシャルルを、その場に放置してしまった。
「……ゴメン。昭弘、シャルル」
一夏の律儀な謝罪を聞いて、シャルルは胸を撫で下ろしながら返答する。
「い、いいよそんな事!」
そうは言いながらも疑問が拭えないシャルルは、この機に乗じてラウラと一夏の関係を訊ねてみることにした。
「一夏って、過去にボーデヴィッヒさんと何かあったの?」
シャルルに先を越されてしまった昭弘は、無言で耳を傾けるしかなかった。
「実際に会った事は無いんだ。千冬姉の事を「教官」って呼んでたから、昔千冬姉がドイツに滞在していた頃の教え子…なんだと思う」
そこまでは昭弘とシャルルも解っている。
気になる点は、一夏がラウラと過去に一度も会った事が無いという点だ。
そのボヤけた部分の輪郭をはっきりとさせるべく、昭弘が更に切り込む。
「なら何故あんなにもアイツを敵視する?確かに初日のSHRで最初に仕掛けて来たのは向こうだが…」
それは昭弘だけでなく、シャルルも感じていた違和感だ。一夏にしろラウラにしろ、初対面であの険悪っぷりはどう考えても普通じゃない。
昭弘の質問に対し、一夏は打って変わって逃れる様に口籠り始める。
「…それは……千冬姉を……」
(織斑センセイが何か関係してるのか?)
昭弘が今度は千冬の事について頭を巡らすと、一夏はそれを遮るかの様に続ける。
「…悪い。これ以上は言いたくないかな」
まるではぐらかす様に愛想笑いを浮かべながら、一夏はそう言い放った。その言葉を最後に、今日一夏がこの件に関して口を開く事は無かった。
そんな一夏の曖昧な答えは、昭弘とシャルルに更なる謎だけを残す歯痒い結果となった。
頭の中を蒸す様な重苦しい霧を残したまま、3人は校舎へと歩を進めていった。
─────1年1組 SHR前─────
自身の机に顔を埋めながら、箒は力無く溜め息を吐き出す。彼女自身解っている、そんな事をした所で何も変わらない。口から追い出された空気は、誰の目に留まる事無く四散していくのだから。
らしくもない箒の姿を見かねて心配したセシリアと本音が様子を覗きにくると、箒は重たい首を辛うじて持ち上げる。
「…部屋がな…変わってしまったのだ」
箒が2人に与えた情報はそれだけであった。しかし社交性が高く察しの良い2人は、それだけの情報で事の顛末を凡そ把握する。
一応確認の意味合いも含めて、出来るだけ角が立たぬ様に単語を並べる。
「つまり、一夏と一時的(若しくは永久)に別々の部屋になってしまったと。そして一夏の新たなルームメイトは恐らく…」
「デュッチーだろうね~。タイミング的に」
奇麗に当てて来た2人に感服する間も無く、箒はまたらしくも無く愚痴を零し始める。
「私だって理解はしている。しかしだな!いくら年頃の男女が相部屋とは言え、ある日いきなり部屋を変えるなど横暴も横暴だ!大体昭弘の部屋にブチ込めばそれで済むだろう!?」
上の都合を、儚い感情論で否定していく箒。
確かに、昭弘とシャルルを相部屋にすればそれで済む話ではある。しかし、昭弘の1人部屋はIS委員会からの指示だ。どうしようもない。
「ああもう…どうして私は一夏と一緒に居ちゃいけないんだ…」
先程から興奮したり沈んだりと忙しない箒を、取り敢えずセシリアと本音は宥める。自転車を走らせるには、第一にバランスを整える必要がある。
「先ずは落ち着きましょう箒。憤慨しても憂んでも、現実は変わりませんわ。上が決めた事と割り切るしか御座いません」
「そ~そ~。部屋が変わってもオリムーとは何時でも会えるし~」
2人の健気な慰めによって多少落ち着きを取り戻した箒だが、日陰の如く薄暗い雰囲気は先程と余り変化が無かった。
今日1日限りは、そんな状態の箒を優しく照らす様に見守るしかないのかもしれない。
程無くして、1組の教室に歓声にも似た黄色い声が響き渡る。一夏とシャルルが教室に足を踏み入れた様だ。2人は大袈裟とでも言いたげに、視線を避けながら席へと着いていく。
昭弘はいつも通りに、その巨体を悠々と自身の席へ進めていく。
更に2分後、少し遅れてラウラも1組へと入室する。
先の歓声から生まれた明るさは一変。怯える様にラウラから視線を逸らす者も居れば、異物を見る様な目で睨みつける者も。
ラウラはそんな周囲の反応を一切気にも留めずに、教室中央付近に位置する自身の席に着く。
「ラウラーおっはよう!」 「お早うさーん」 「おはよー。今日も目つき悪いね」
そんな雰囲気を初夏の風で換気するが如く、相川・鏡・谷本らがいつものテンションでラウラに接して来る。
周囲はそんな3人を心配そうに見つめるが、それは杞憂に終わる。
「朝っぱらから喧しい。それと「目つき悪い」とか抜かしたのは誰だ?」
返した言葉自体は威圧的だが、ラウラの口調と言うか目つきと言うか、それらは丸みを帯びていた。
「癒子だね」
「うわ、あっさり売られた」
「どっか行けお前ら…朝は駄目なんだ」
普通な感じでラウラと会話する彼女たち。
一体どうやってあの問題児と仲良くなったのか皆が考えを巡らしていると、やはりと言うべきかあの巨漢もラウラに近付く。
「ッデ!!」
昭弘に手刀を御見舞いされたラウラは、奇声を上げた後頭頂部を抑える。
「何するかッ!」
ラウラが不当な暴力を繰り出してきた張本人を睨みつけると、昭弘は当然とばかりに言い放つ。
「挨拶には挨拶で返せ。それとクラスメイトに対して「どっか行け」はないだろう。これはその仕置きとお前への眠気覚ましだ」
昭弘の言い分を聞いて、相川たちは軽く吹き出しそうになる口を利き手で押さえる。
ラウラがそんな言い分で引き下がる訳も無く、赤面しながら昭弘に命ずる。
「貴様も頭を向けろ!手刀がどれ程のものかその身体に染み込ませてやる!」
「断る。オレは眠くも何とも無い」
「おのれぇ…」
そう吐き捨てた後、ラウラは何とか昭弘の頭に手刀を御見舞いしようとする。
しかし最早大人と子供程の身長差がある昭弘に対し、ラウラの手刀がまともに当たる筈が無かった。昭弘との身長差を埋めるべく小刻みに跳ね回り手刀を繰り出す小動物の様なラウラを、相川たちはケタケタ笑いながら見ていた。
クラス中がそんな光景に困惑と少しの安堵を感じる中、一夏だけははしゃぐラウラに冷ややかな視線を送っていた。動き回るラウラを凍らせるかの様に。
1時限目が終わった後、相変わらずの難しく濃い授業内容に不機嫌なんて塗り替えられた一夏は、取り留めの無い話を昭弘たちに振る。
「さっき授業中なんだけどさ、セシリアがずっと携帯弄ってたんだよ」
その話を聞いて自身の耳を疑った昭弘は、授業中に携帯、あの糞真面目な貴族令嬢が、しかも最前列で、と何度も脳内で復唱する。
「…確かか?」
千冬と真耶が気付いていない筈もあるまいに。
「確かだって!さっき授業中、気分転換に外の景色見ようと窓の方振り向いたら堂々と携帯弄ってたんだよ」
更に、一夏は先へ先へととんでもない事実を列挙していく。
「何より驚いたのがさ“同時”に弄ってたんだよ、机の端末と携帯を。右手でしっかりと板書してて、左手で器用に液晶画面動かしててさぁ。その割には、問題当てられてもスパスパ答えてたし…」
一夏のとんでも発言に対し、昭弘とシャルルは腕を組みながら瞼を閉じる。
そうして少し考え込んだ後、シャルルが自身の憶測を述べる。
「その時偶々、携帯で調べものでもしてたんじゃないかなぁ?」
「よりによって鬼のブリュンヒルデの授業でか?」
一夏が尤もな言葉を返すと、昭弘とシャルルはより瞼を力強く閉じながら再び考え込む。だが幾ら捻り出す様に顔面の筋肉を収縮させても、情報が無ければどうしようもない。
すると、熟考を諦めた昭弘が言葉を吐き出す。
「…後で本人に訊いてみるか」
「「……うん」」
何かセシリアに特別な事情があるような気がしないでもない3人は、直接訊く事に多少の抵抗がある様だ。
その後の授業でも一夏は度々セシリアの座席を一瞥したが、やはりどの授業でも液晶携帯を弄っていたらしい。
─────昼休み 学食─────
「ああその事ですの。ちゃんと織斑先生から許可は頂いておりますわ」
恐る恐る訊ねる一夏に対し、セシリアはフォークとナイフによって豚カツを器用に捌きながら何ともない様に答える。
許可済みなら安心だが、やはり肝心の内容が気に掛かる一同。
味噌汁の御椀を左手に持ったまま、自身の薄暗い雰囲気をどうにかひた隠しながら箒が訊ねる。
「…携帯で一体何をしていたのだ?」
セシリアは小さく刻んだ豚カツを口に運んだ後、携帯の液晶画面を見せながら答える。
「“計算”ですわ」
液晶には、既に『計算アプリ』のホーム画面が開かれていた。
「うわ…(計算嫌い…)」
麻婆豆腐に向かわせたレンゲをその場で静止させて、己の弱点に対し引き攣った表情を浮かべる鈴音。そんな鈴音に構うことなく、セシリアは何故と訊かれる前に自ら説明する。
「要は“並列思考”の特訓ですわ。今迄通り授業を受けつつ、それと同時進行でアプリから自動出題された計算を解いていくのです。出題形式は「足し算・引き算・掛け算・割り算」の何れかがランダムに出題されますの。このアプリ、成否に関係無く問題が進むにつれて複雑になってきますので、授業終盤では流石に頭が痛くて仕方がありませんでしたわ」
随分と簡単に言ってのけるセシリアだが、抑々並列思考とはそんな生易しいものではない。増してやIS学園の授業レベルも鑑みると、更に上の次元の話だ。
鈴音はセシリアのそんな話を聞いただけで、何か不味い物でも食べてしまった様な表情を浮かべてしまった。
そんな鈴音を尻目に、より詳細を訊くべくシャルルが僅かに身体を乗り出す。自身の頼んだカレーライスが、袖を汚さない様気を付けながら。
「最高記録は?」
「1問1点で100点満点なのですが、今のところ最高69点ですわ。残りの問題が間に合わなくて…」
やはりセシリアと言えど、初っ端からいきなり100点近くは取れない様だ。
更に質問は絶え間なく流れる川の様に続く。
「けど何でまた急に?それに並列思考って…」
一旦箸を置いた一夏がそう訊ねると、セシリアが答える前に昭弘が軽く説明する。
「要するにオルコットは、自身も動き回りながらビットも“全機”自在に操れるようになりたいんだ。だが精密な操縦技術が要求されるISを動かしながらとなると、そう易々とはいかない。Aを処理しながら、Bも処理すると言う能力が必要だ。その為に並列思考を鍛えてるって訳だ」
「成程…」
昭弘のフォローに対し、手間が省けたセシリアは右手を軽く上げて感謝の意を示す。
少しばかり突っ込みたい部分もあるがそこは一先ず置いて、一夏の質問を優先すべくセシリアは溜め息交じりに答え始める。
「やはり最大の切っ掛けは、昨日のタッグ戦ですわね…」
以前から並列思考の訓練はしているセシリア。だがアレ程一方的に叩きのめされた彼女は、このままの訓練ではタッグトーナメントで勝てないと踏んだのだ。
“打倒昭弘”を密かに掲げている彼女にとって、この程度無茶にすら入らない。
セシリアの切っ掛けを聞いた一同は、何故か皆一様に鈴音へと視線を向ける。何かを訴えかけている様な或いは少し呆れている様な、皆そんな瞳をしていた。
「な、何よその目は!?アタシだってちゃんと特訓してるわよ失礼ね!」
無言の視線を鈴音はそう解釈し、軽くむつける。昨日のタッグ戦において同じく苦汁を飲まされている彼女も、彼女なりに何か対策を考えているのかもしれない。
すると再びシャルルが、今度は弱々しく潤んだ瞳をしながら開口する。
「何はともあれ、2人共無茶し過ぎないようにね?特訓が原因で倒れたりしたら本末転倒だよ」
意外な人物から心配されて、セシリアと鈴音は目を丸くする。
その後2人は予定調和宜しく頬を紅く染め上げながらも、どうにか平静を装って感謝の言葉を贈る。
「お、御心遣い感謝御礼申し上げますわ」
「何よ急に…まぁアリガト」
どうやら貴公子の心遣いは、セシリアや鈴音までもを魅了してしまった様だ。2人は赤面を誤魔化す様に、食事のペースを早める。
既に大盛りのオムライスを完食していた昭弘は、そんな2人を少し憐れむ様に見つめる。知らぬが仏であると。
心の中でそう呟いた昭弘は気付かれぬようシャルルに視線を移し、彼女の人となりを簡単に纏める。
昨日今日見た限りだと、性格はまとも。と言うより、普通に良い奴と言った感じだ。授業に遅れている様子も無し、対人関係も良好そうに見える。只、隠すのが下手過ぎると言うか、毎度動揺し過ぎな部分がある。
正直言って、最後まで正体を隠し通すなど到底不可能に思えてくるレベルだ。
更に昭弘は、彼女に対して個人的に思う所を頭の中で述べ上げる。
(正直言って、オレはこいつがどうも苦手だ。良い奴過ぎると言うか人の顔色をひたすらに窺っていると言うか…そこが却って不気味だ。一緒に居て何も「面白く感じない」のは、それが原因なのだろうか…)
ラウラとは正に「正反対」、対極に位置するタイプの人間だ
無論、未だシャルルが環境に慣れていないからと言われればそれまでだが、それを抜きにしても昭弘から見た彼女はどうしてもそう映ってしまう。
しかしそれは悪い事ではない。
昭弘個人がどう思おうと、他人を気遣う性格も相手の顔色を窺うことも対人コミュニケーションの基本事項だ。学園と言う閉鎖空間において大多数の人間は、それらがしっかりと備わっている人間を慕うのだから。
逆に言えば、だからこそラウラは大多数の人間からは中々受け入れられないのだろう。
兎も角、今後もシャルルの監視・観察を怠る訳にはいかない。
昭弘が心の中で纏めた性格が彼女の本質であろうと、内に全く別の本性を隠していようと、昭弘がすることに変更はないのだから。
一夏はこれでも耐えてる方なんですよ。逆に言うなら、それ程彼が抱えている「歪み」はデカいです。
セシリア「超強化」への伏線。下手したら昭弘より強くなっちゃうかもです。鈴音も・・・ちゃんと特訓してるのでご安心ください。今後はグシオンの単一仕様能力を含め、個々人の特訓も上手いこと描写していけたらなと思います。
そう言えば、最近昭弘と箒の進展がないですね・・・。こちらもちゃんと描写していこうと思います。