1話 僕の日常 作:1Flat
窓の外は桜の花びらが舞っている。
世の中は出会いの季節。
新しい人生の扉を開けて期待と希望でいっぱいな生き生きした人で溢れている街で、僕もやたすはいつもと変わらない、いつもの仲間と居るんだ。
そんな僕の日常を教えちゃおうと思う。
はじまりはじまり~
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2話 広場にて 作:千歳茶
この街は小さいながらも色んな人が訪ねては住み着いて、毎日広場や酒場で盛り上がっている。ボクはというと、朝の水やりが終わったら広場までおさんぽにでかけるのが日課なんだ。
道端の花を愛でてちょうちょを目で追いながらゆっくりと街を見回す、こうしているといつも新しい発見や出会いが舞い込んでくる。今日も五つ葉のクローバーを見つけたから、なにかいいことがあるかも。
途中でしいちゃんとかかおちゃんにも挨拶して、ついでにオッニにも挨拶代わりに豆を投げてからるんるん気分でスッテプを刻みながら広場につくと、そこにはもう早起きの人たちで賑わっていた。
「みんな元気だね!今日は早めに起きたと思ったのにもうこんなに集まったなんて、なにかあったのかな?」
広場の中心にある大きなさくらの木にそって回ってみると、囲うように並べたバザーの一つの前にみんな集まっているみたい、ボクもそっとそこに入る。
その木組みの台にのせたマグロを前に熊みたいな大男が静かに佇んでいた。
周りの人はみんなその迫力に押されたのか、一言も出さないで遠巻きにみている。
「あの、これはなん……」
隣のお姉さんに何が始まるのかを聞こうとした瞬間、シュンっと風切り音が聞こえた。
見ればいつの間に取り出したのか、熊のような彼の手には銀色に輝くマグロ切り包丁が握られていた。まるで指揮者のように、その腕が振るうたびにマグロの切り身がどんどん出来上がっていく。
ヒレとアゴを切り、カブトが落ちる。
胴に包丁が入ったと思ったらしぶいちが切り分けられ、中落ちが一瞬の間に切り離された。
そこからは速かった、別の包丁に持ち替えたかと思うと、切り身はもうブロック状に分けられていた。
トントントントンと小気味良い音が響き、さらに細かく部位が分けられていく。
そして最後の一片を切り分けて皿にのせると、彼はまた静かに一礼した。
その瞬間歓声と拍手が湧き上がった。
「すごい!」
「なんて鮮やかな包丁さばきだ」
「わーい」「わーい」「わーい」
「三分も使ってなかった……だと…?」
ボクもいつの間にかその職人技を見入ったみたいで、気がついたらみんなと一緒にもやしを投げていた。
そんないつもの雰囲気に戻りつつある広場の中で、マグロの即売会が始まった。
しばらくそのプチイベントを堪能して(ついでにマグロを一包買って)、ボクは広場を通って大通りを歩いていった。
「あ、もやたす、やっと見つけた」
片手にマグロの切り身が入ったエコバックを引っさげながら無心で道を進んでいると、曲がり角からもやひくおねえちゃんが現れた。
「おねえちゃんおはよー、今日は早いね、どしたの?」
「それはこっちのセリフっ、なんなんだよこんな朝からほっつき歩いて、まだ朝ごはん食べてないでしょ?」
「あっ、忘れてた、それよりさっき広場でマグロの解体ショーがあったよ」
「え、ほんと?ってそんなことはどうでもいいから、はやく帰った帰った」
「はーい」
ボクの手を引いて歩き始めたおねえちゃんの頭で揺れる芽を見ながら、そう気の抜けたような返事をした。
そういえばさっきしいちゃんにお茶会に誘われたっけ、帰ったらなにかお菓子を作ろうかな?