もやたすの日常   作:もやたす

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14話 コネコタウンと猫とキッチンkojiraと 作:千歳茶

 その街は一言で言うとステンドグラスだった、雑然とした色とりどりの屋根と窓はしかし乳白色の壁と整然とした石畳の道路でまとまり、一つの絵を作り上げているようだった。

 もし真上からその街の全体を眺めることができたのなら、中心の時計台から広がる一輪の花を見れるのだろう。  ( 萌 弥四郎『もやし旅行記』より)

 

 

 

「それでそのきっちんこじら?ってのはどこだしぃ」

 

 無事森の荒い山道から歩きやすい模様付きの歩道になった道を進む。

 まだ街に入ってちょっとしたところだけどそれらしいところは見当たらない、というか今になって詳しい場所を聞くのを忘れたことに気づいた。

 

「ど、どこだろうねっ!」

 

 心なしかしぃちゃんが呆れた目で見てきた気がする。

 仕方ないもん、しぃちゃんもかかおちゃんも気づかなかったしね!

 

「もー、そのへんの人に聞けばいいでしょ、そんな慌てなくてもいいんだしぃ」

 

「あ、そうか」

 

「サンジ時計台の下にあるんだってかぉ」

 

 ひょこっとボクたちの前に進んだかかおちゃんがそう言うとここからでも見える時計台に向かって歩きだした。

 どうやらボクたちが悩んでる間に道をもう聞いてきたらしい。

 

「あれ?かかおちゃんなにを食べてるしぃ?」

 

 慌ててかかおちゃんについていくと、しぃちゃんがその手にいつの間にか握られているロリポップに気づいた。

 

「さっきのお兄ちゃんに貰ったかぉ」

 

「って、かかおちゃんまた知らない人から貰ったの?」

 

「ん?そうかぉ」

 

 まるで何をそんなにおかしいのか分からないように首をちょこんと傾げるかかおちゃんをみるとため息をつきたくなる。

 今までも農園からでるたびには何かを貰って帰ってくるんだけど、えびせんべいにみかん、あとイノシシ肉も貰ったことあるんだっけ……あれ?これただのおすそわけ?

 

「知らない人から貰ったものは危ないよ、かかおちゃん」

 

「でもいい人だったかぉ」

 

「かかおちゃんのそのいい人センサーは信用してるけどさー、それでも万が一はあるんだしぃ」

 

「むぅ、わかったかぉ……」

 

 しゅんとしたように言うかかおちゃんだけど、これたぶん反省してない。

 まぁ、この街でまだ悪い人にはあったこと無いからそこまで心配する必要も無いのかな。

 

❀✿❀✿❀✿❀✿❀✿❀✿❀✿

 

 

「あ、あれがそうじゃない?」

 

 ウィンドウショッピングも兼ねて色んな店を見ながら進んでいると気づかないうちに時計台の下についたらしい。

 しぃちゃんが指す先を見ればキッチンkojiraという金色の看板を掲げる店があった。

 

「やっとついたー、入ろ入ろ」

 

「いい匂いかぉ~」

 

 たしかにここからでもスパイスの香りを感じる、昼までお茶会してたのにこの香りでお腹がすごく空く。

 

チリンチリン

 

 先行したかかおちゃんが店のドアを押して入り、ボクたちも続いて入った。

 

 しかしボクたちは入り口で足を止めた。

 

 止めざるを得なかった。

 

「いらっしゃい、ダージリンでもどうですか?」

 

 そこにはネコ頭のコックがいた。

 

 

 

「いやなんでダージリンだしぃ」

 

 え?そこ?

 

 

 カウンターの奥から現れた人(?)に衝撃をうけるボクたちだったけど、考えてみればここには鬼やら熊やら喋るモアイやらもいるんだし、今更だね。

 

 あとから聞いた話だけど、どうやらこの人はここのオーナー兼コックで、今のところは一人で店を切り盛りしているみたい。

 

 

 

 店内は天窓のステンドグラスを通って光が差してるから全体的に明るいけど、やっぱ窓際の方が開放感を感じるね。

 

「んー、どれにしようかぉ」

 

 入り口の反対側の窓に近い席に座ってからメニューを手に取る、ぱらぱらとめくればチキン、ビーフ、シーフードになんかよくわからない名前のカレーがいっぱいのってある。

 

「ふーん、この店やるねぇ~、なかなかに本格的だしぃ」

 

「え?しぃちゃんこの変な名前の料理が分かるの?」

 

 カレーのカテゴリーだからたぶんカレーだけど、ムージー・ガードってなんなんだろ。

 

「それ?それは魚と大根のカレーだしぃ」

 

「「へー」」

 

「じゃあこのリョドゥール・チャマンは?」

 

「ターメリックをいっぱい使った黄色いカレー」

 

「マッチュガンドかぉ?」

 

「羊肉の肉団子が入ってるちょっと辛いカレー煮込み」

 

「じゃじゃじゃ、このガッテ・キー・サブズィーはなに?」

 

「ガッテーという豆のソーセージみたいなのを使ったカレーよ」

 

「「へぇー!」」

 

 さすがしぃちゃん、博識だね。

 

 

「それならなんでこの時計台がサンジ時計台っていうのもしってるかぉ?」

 

 カレーとは関係ないけどたしかに気になるね。窓から外を覗くとちょうど広場を挟んでの対面に時計台が見える。

 

「前に聞いた話だと何だったしぃ~?あ、そうだ、たしかこの時計台は一面だけずっと三時を指してるみたい」

 

「え!?こわれてるの?」

 

「設計ミスとかなんとかで動かせなかったしぃ、でもほとんど完成してから発覚したからそのままでいっかってなったらしいしぃ、今じゃ名物だからねー」

 

「「ほぇ~」」

 

 

 

 

「それでお客様、注文は決まりましたか?」

 

 

「「「あ」」」

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