ちなみにアプリで出たBirthday千聖は脅威の単発で出ました。
無料10連全部黄色だった甲斐がありましたね。
あの後、二人して顔を真っ赤にし、行動できなくなってしまっていた。
今は落ち着き、エキストラから身内に戻った元従業員達が千聖を囲んでいる。
「八幡くん、改めておめでとう」
「店長……本当にありがとうございました」
「大切な常連さんでもあるし、僕からしたら君達を見てると懐かしくてね」
店長の話だと、奥さんであるここの副店長が店長に猛アタックをしていたらしくて俺を見ているとその時の奥さんを見ているようだと言っていた。
懐かしんだ後、千聖を囲む輪に混ざりに行った店長を見送った俺に近づく陰が一人。
「お兄ちゃん……おめでとう」
「おう、ありが……なんで泣いてんの?」
「いやぁ、嬉しいはずなのになぁ……寂しいよ」
「小町……」
「これでも18年一緒に暮らしてたし……実家じゃなくても結構な頻度で会ってたし……もうお兄ちゃんには千聖さんが居るからね」
笑顔でこっちを見ながらそんな事を言う小町、間違いない。これは兄である俺が見てもその他の人が見てもわかるくらい分かりやすく、
そんな妹を後ろからハグしていたのは、いつの間にか囲み輪から抜けていた千聖さんである。
「何を言ってるのかな小町ちゃん?」
「へ?」
「このヘタレが身近から妹一人いなくなったら外も歩けなくなるくらいダメ人間になるんだから、今まで通りお兄ちゃんに会いに来なさい! そしてお義姉ちゃんにも会いに来なさい!」
「千聖さん……!」
抱き合ってる義理の姉妹を見ている光景は俺としてはいい、うん非常にいい。だから許すよ、俺がなんかすげぇ悪く言われた気がしたことは何も言わないでおくよ。
しかし、あの小町がここまで考えていたとはなぁ。
「立場が逆なら……俺もあぁなってたのかもなぁ」
世間的には隠れブラコンであった小町があれなのだ、オープンシスコンな俺は尚更であろう。
楽しかった時間も終わり、最後はみんなで集合写真を撮った。
その集合写真はその先実物として写真立てへ。データとして、比企谷八幡の携帯の待受から変わる事は無かったという。
あれから5年の月日が経った。
結婚式は両家の両親+小町、そしてお世話になったカフェの関係者の皆さんに高校時代の共通の友人。更に八幡のお世話になった上司達に千聖の部下達と、なかなか大所帯での開催になった。
この5年にあった事と言えば……
「お兄ちゃん起きて!!!」
「くぁwせdrftgyふじこlp!!」
「いやぁそれ現実でやる人いる……?」
「意図してでるもんじゃねぇよ……おはようさん」
「朝ごはんできてるし、食べれなくなっちゃうよ? 時間的に」
「そういうのは早く言え! 全く!」
「せっかく起こしに来た妹に言う言葉がそれか……ポイント低いなぁ」
と言いつつも小町は笑顔だった。
「そういや千聖は?」
「お兄ちゃん……なんで小町がここにいるか考えてみなよ」
「……あそっか、実家帰省中だったわ」
「お義姉ちゃんがいつも隣にいてくれると思ったら大間違いだからね?」
「肝に銘じます……」
「じゃ、小町先出るから。今日は帰らないんだよね?」
「あぁ、泊まり勤務だ」
「了解! じゃあまた明日ね」
「おう、いつもすまないねぇ」
「それは言わない約束でしょ?」
このように、小町が我々比企谷夫妻の家に半同居状態になった。
あの日から当然のように義姉である千聖に懐いた小町に気を良くした千聖は合鍵も渡している。もちろん俺に異論は無いので黙認してる。
と言うか小町が居てくれて助かってる。じゃないと夫婦のイチャつきが止まらない時があるので……。
翌日の正午、俺が仕事から帰った時に、家の鍵は空いていた。
「たでぇま」
「ちゃんとただいまって言いなさい」
「へいへい……」
「へいは1回!」
「それはいじゃね? ……ただいま」
「うん、おかえり」
そこには笑顔の千聖がいた、ひとつの写真立てを持って。
先程少し触れていた千聖が実家に帰省したのは愛犬レオン君の事だ。
飼われてる犬の中ではかなり長生きだったがこの度新しい世界に向かったようだ。
俺も行こうと思ってたが千聖から「あなたには、迎えて欲しいの。旅に出たレオンと泣いちゃう私を」という本人たっての願いで仕事は休まずに出る事に。
「いい顔してんな、レオン君」
「うん、あなたと小町ちゃんとみんなで遊んだ時の顔よ、お母さんが撮ってたらしくてね」
よく見たら、持ってる写真とは別にもう一つ。俺と千聖、そして小町とレオン君。みんなで写ってる写真も飾られていた。
「……無事新しい住処を探せるといいな」
「そうね……ほんとに」
お互いに泣いてしまい、その日小町が帰ってくるまでソファで思い出に浸っていた。
また別の日、小町が出張で一日空けてる日だった。
「千聖」
「どうしたの?」
「俺達、気づけば30だとさ」
「私達が会ってから15年……早いわね」
「人生の半分は一緒なんだもんなぁ」
お互いの休みが合い、まるで熟年夫婦のようなやり取りをしながら晩酌をしていた。
「あなたに会えてよかったわ」
「そうだな、とてもあの出会い方で夫婦になるなんて思ってもなかったが」
「そう思うと、あなた最初は随分私に冷たかったわよね?」
「お前だけじゃない、誰に対してもだ」
「それもそうね……あなたのそういうところに最初は興味持ったのだし」
「あの頃の俺、よくやった」
「そうね、褒めていいと思うわ」
俺がいつもより飲んでしまったからか、千聖がお前呼びになってる時はそうだよねと昔千聖が教えてくれた事だ。
「ねぇあなた?」
「どした?」
「私にプロポーズしてくれた日、あったじゃない?」
「懐かしいなぁ、5年も経ってんだもんな」
「あの時本当にプロポーズ受けれてよかったわ」
「また随分あらためてだな?」
「あのお出かけ、あなたがエスコートの時だったじゃない? 年数も年数だけに、あそこでプロポーズが来なかったら私から行こうと決めてたのよ」
「え? そなの?」
「この甲斐性なし! チキン! と思いながら私はプロポーズしてたかもしれないわね」
「……まじで良かったわあの時して」
「でね? 5年経ったわよね?」
「うん」
「もう30なったわよね?」
「おう、いい歳になったな」
「最近ご無沙汰じゃない?」
「そうかもな……おい、誘導のつもりかそれ?」
「もうそろそろ、私達も愛の証ができてもいいと思うのよ」
と言いつついつの間にか手元に置いていた、ベッドルームにあるはずのとある箱をゴミ箱に捨てた。
「ね?」
その後のことは気づいた時に小町が目の前で仁王立ちしてたくらいしか思い出せないが、思い出してしまったらその楽園からは帰って来れない気がした。
そして更に5年後。
そこには幸せな家族が1組。
大黒柱、比企谷八幡にそれを支える妻、比企谷千聖。
比企谷小町も半同居から同居に変わり、今では比企谷凛子という新しい家族も3歳となった。
そんな幸せな家族に新しい仲間……ゴールデンレトリバーのレンが仲間入りした比企谷家はこれからどんな未来が待っているのか。
続く? いやIFだよ?
いい話?暗い話?賛否両論あると思いますけど。
まぁ作者的にはどうやってもネタ要素があると思うので暖かく笑ってくれればよろしいと思います。
お付き合い頂きありがとうございました。本編もよろしくお願いします。