俺と元有名人の学生活。   作:あきこま

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誕生日に投稿出来なくてすみませんでした。




今回のお話は、誕生日限定という事で…もう甘々…にはしないけど。
プロローグ1話の出会いから年数が経った後の話にしてみました。
一種のIFです。(プロローグ2話以降は無関係)



どうぞ。


IF.1 千聖、誕生日記念

 大学……それは、人それぞれ捉え方が違う場所である。

 

 本当に学びたい事があってその学部に行く人もいれば、社会に出るまでの年数を稼ぎたくてとりあえず上のところに行く人等と色々いるだろう。

 

 俺はその前者でもなければ後者でもない。むしろ行くのが当たり前なんだと思ってた。うん、そう思ってた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう思ってたんだけどなぁ……」

「いいじゃん、おかげで引きこもりのお兄ちゃんがこうしてよく出かけるようになったんだから」

 

「本読む以外の趣味が油の排気だもんなぁ」

「小町は嬉しいよ? 駅まで歩かなくて良くなったし」

「パシってるよね? 完全に一人暮らししてるお兄ちゃんを毎回呼ぶなんて随分パシってるよね?」

 

「いいじゃん、小町も実家出ちゃったし。たまに実家帰るとお父さんが泣いて喜んでくるから嫌だ」

 

「それ……間違っても親父に言うなよな?」

 

 

 

 学ぶものがはっきりしてないやつに出す学費は無い。

 

 うちの親の至極真っ当な意見の元、俺は高卒で働く選択肢を選んでしまった。

 

 担任には「本当に大学へ行かなくていいか?」と散々確認されたが、そうは言っても大学でやりたいことなんか無いからそれを受け入れた。

 

 

 

「もうすぐ7年目か……」

「お兄ちゃん新卒の子が入社する度にそれ言ってない?」

「こうでも言っとかないと俺は自分が何年働いたかなんてすぐ忘れるからな」

「小町ももうすぐ社会人だなぁ」

 

「結局良かったのか? 全然入学した時と進路違うけど」

「小町には合わなかったんだよ……自分の選択を後悔はしてないよ」

「……ならいんだけどよ」

 

 そんな会話をしてるうちに駅に辿り着いた。

 

「じゃあまた後でね! ありがとうお兄ちゃん!」

「おう、気をつけていけよ」

 

 

「あ、例のやつの後彼女さん連れて家来ても良いからね!? 小町大歓迎!」

「行かねぇよ……多分」

 

 

 行ってくるであります! なんて言葉を残してあいつは学生最後の一日を謳歌しに行った。すまんな小町……お前の大切な一日の数時間を貰うぞ。

 

 

 

 そんな俺の車の前に一人の影が現れた。迎えようと外に降りると、そこに居たのは……般若でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女迎えに来るのに別の女乗せて来るなんていい度胸ね? 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや、あれ妹。君写真見た事あるでしょ? そんな圧いる?」

「そうね……あなたにそんな度胸無かったわね」

 

「……信頼してくれてるようで何よりだ。乗れよ」

「あら、扉の開閉サービスも付いてるのね? いい車だわ」

「目の前見て? 人居るから、君の彼氏目の前にいるから」

 

 そんなやり取りをして、微笑みながら乗り込んだこやつは白鷺千聖。

 先程の会話からわかるかと思うが一応彼女にあたる人物である。

 

「そんなにおかしかったか?」

「いいえ……ちょっと出会った頃のあなたからは想像もつかなくてね」

「まぁ……それは本人が一番理解してるよ」

 

「超ひねくれめんどくさ専業主夫希望男が、まさか高卒で働いて今では一人暮らしに加えて車まで所持してるんだから、当時のクラスメイトがあなたを見たらなんて言うかしらね?」

 

「そもそも二人か三人しか話してないしな俺」

「その二人か三人が驚くって話しよ」

「そうかもな……」

 

「ほら! 遠い目をしてないで運転に集中して頂戴! 今日は珍しくあなたのエスコートなんだから」

 

「言わないで? 誰も聞いてないと思うけどそれ言わないで? 申し訳なさがえぐいから」

 

 

 

 

 

 

 そんな俺達がやってきたのは、埼玉県の某所にあるショッピングモール兼色んな遊びの複合施設が入ってる場所……うん、だいたい読んでるあなた方が想像してるところで間違えないよ? 近くにはイケから始まる青い建物をあるしね。

 

 

「あなたにしては珍しいチョイスね?」

「……俺らが出会ったのって学生の時だろ? しかも10年経ってしまってる」

「付き合い始めたの4年前からですけど?」

「……今日Sなのん? それも超の付く方、棘がえぐいよ?」

 

「なんでかしら、今日のあなたは……いじめたくなっちゃうのよ」

「舌出しながら言うな……怖ぇよ。あと怖い」

「で? 学生の時がなにか関係あるの?」

 

「何となくあの頃を思い出したくなってな」

「目の腐りまくったひねくれ王子の時?」

 

「……帰っていい?」

「ごめんなさいって、このくらいにしておくわ」

 

 

 

 そう話す彼女は心の底から笑いながら肩をペシペシと叩く。

 そんな彼女を見て笑いかける俺は相当変わったのだろうな。

 

「だから、今日はあの頃はしゃげなかった自分を取り返してやろうと思ってな」

「それで私に服装の指定をした訳ね、なんの心配かしら?」

「さぁな、単純に見たかっただけだろ」

 

 

 

 

 今日の彼女の服装はギンガムチェックのトップスにデニムタイプのショートパンツ、スラッと伸びた脚の先は白のスニーカーである。そしてベージュのキャップは彼女のお気に入りの装備だ、よく見かける。

 

 普段の彼女は基本スカートだ。ミニからロングまで色んな種類の。それこそパンツスタイルなんて数回見たかどうかのレベル。だから先手を打たせてもらった。昔小町と戸塚と三人でボーリング来た時制服の小町がスカートをはためかせていたのを思い出したが故の今回の要望である。

 

 

 

 

 

 

「で? どうかしら? 感想は」

「文句無しの満点をくれてやる」

「あら、随分上からなのね? 私はもっとタジタジになるあなたを期待したのだけど?」

「(バレねぇようにしてんだよその話題を続けんじゃねぇ)」

 

「ねぇ? どうして顔を背けるの?」

 

 確信犯なのか、ニヤニヤしながらこちらの様子を伺う千聖は俺から見たら角が見えた。

 

 カラオケは相変わらず歌が上手く、ロデオに乗らされた俺は何回か耐えた後吹っ飛ばれ、それを見て隠しきれない笑いを出している。フリスビーは白鷺家で飼っているレオン君で慣れているのか、かなり上手く正確に飛んでくる。悔しかったのでバトミントンをやったら互角だった。というかさ。

 

 

 

「俺何一つお前に勝てるものがないわ……」

「たまたま分野が当てはまっただけじゃないかしら? フリスビーなんであなたやらないでしょ? 一人だったんだし」

 

「毒? 毒なのん? 小町いるから、できるからやろうと思えば」

 

 昔小町に1回フリスビーに誘われたが、俺が丁重にお断りした事を思い出した。

 

 ボーリングは2ゲームやって1勝1敗、久々にはしゃいだがひとつ思った。

 

 

「マズったな」

「今時そんな言葉使ってるのあなただけじゃない?」

「え? うそん……それはいいんだよ別に」

「あなたが考えてる事、当ててあげようかしら?」

「あまり俺を見くびるなよ? 小町以外には思考を読まれにくいんだよ」

 

「小町さんに読まれてるじゃない……当てたら私の願い、聞いてくれる?」

「なんなりと申しつけください」

「……遊ぶ前にウインドウショッピングの方が良かったかなぁ……でしょ?」

「……」

 

「沈黙は肯定と捉えるわ」

 

 

 

 

 

 おかしいなぁ……小町以外には思考を読まれにくいんだと言うのは俺の思い込みかなんかだったのかなぁ……。

 

 

 

 

 千聖の要望でやってきたのは銭湯だった。世にいうところのスーパー銭湯と言うやつ。

 

 

「残念だったわね、あそこ」

「あぁ……まさか潰れてたとはなぁ」

 

 高校を出て二人とも千葉を離れた為、久々に来た少し思い入れのあった銭湯は違う物件になっていた。今居るのはそこから駅で言う所の数駅となりにある銭湯だ。

 

 風呂上がりの千聖にドキッとさせられて、しかし表にそれを出すとまた付け込まれそうなので必死に耐えた……つもりなんだが向こうにはお見通しなのか、すげぇニヤニヤしてやがった。解せぬ。

 

 

 銭湯の後、今日のプラン最後の場所へ。先程の潰れてしまった銭湯から歩いて数分の所にある海辺のカフェ、ここも思い入れがある所だ。……というか間違えなく二人の思い入れはここが1番あるだろう。

 

 

 

 

 

「ここのカフェ……この時間やってたかしら?」

「ちょっと伸びたんじゃねぇか? 時間」

 

「私がカフェの時間を把握しきれてないなんて……」

 

 いや、千聖。お前の時間把握は間違ってない。

 

 

 

 

「久々に来たけど相変わらず美味しいわね」

「何年も変わらない味が安心するよな……まるで実家」

 

「それ、店長に言ってあげたら? 喜ぶかもしれないわよ?」

「気が向いたらな」

「もうっ、変な所だけ捻くれは治ってないのね」

 

 微笑みながら料理の最後の一口を食べた千聖。

 

 

 さて千聖、お前は先程「こんな時間にやってたかしら?」と言ったな。

 そう、普段はやってない。ここのカフェの売りは夕陽が水平線の向こうに沈みゆく所を眺めて居られると言うのが1番の売りだ。(店長談)

 

 

 

 

 

 

 思い返せば数年前。当時、人とあまり積極的に関わらない俺がここの店長含めた従業員さんと仲良くなったのは考えがあった。

 

 

 初めて来た時にココのカフェをえらく気に入った千聖に勝負をかけるならここだ! と思った俺は、その後一人、小町と一緒の時、そして千聖と一緒の時と結構な頻度で使いようやく話せるようになった。

 

 

 

 

 

 

 ここで勝負(告白)をかけたんだ。ならばその地でもう一度勝負(プロポーズ)をかけよう。そう決めて店長にその旨を相談した。

 

 その結果快諾してくれた店長が協力してくれた結果生まれたのはこの空間。 ここに一般客はいない。居るのは従業員(エキストラ)達だ。

 店長と調理担当、それ以外の従業員達が変装までしてお客を装ってる。

 驚いたのはここ数年で入れ替わったりしてる過去の従業員達まで協力してくれている事だ。

 

 

 

 

 

もとより失敗する気は無いが失敗できない状況になった

 

 

 ある意味でこれは店長達からのエールなのかもしれない。

 

 

 

 そして、あまりに溜めると俺は直ぐにやろうとしてる事がバレる節があった。

 

 だから俺は。

 

 

 

「なぁ千聖」

 

 

 

 この、ごく自然に彼女(千聖)が笑っている今。

 

 

 

 

「なぁに?」

 

「結婚してくれないか?」

 

 

 

 

 

指輪を出すことにした。

 

 

 

 

 

「……へ?」

 

 

 

 

 さっきまで自然に笑っていた彼女の顔は一気に驚きに染まり、そのまま俯いてしまう。

 

 

 

 

 

 ……あれ? もしかして……ダメ? 

 

 

 

 俺の中でそんな事を考えてしまい、その不安が近くのテーブルにいた副店長(お客さん)に伝わってしまう。そんな時、正面から啜り泣く声が聞こえた。

 

 

「ち、千聖?」

 

「……やっと」

 

「やっと?」

 

 

 

 

 

 

 

やっと言ってくれた!! 

 

 

「ッッ!?」

 

 うちらの鼓膜が破れんばかりの叫び声でそう言った千聖、彼女からこんな大きい声を聞いたことは無い。

 

 

「長いわよ! もう4年よ!? 私すごい待ったわよ!」

「……悪ぃな、なかなか勇気出なくて」

 

「このヘタレ……ボケナス……八幡」

「いや八幡は……今はいいか」

 

 そう、八幡が悪口かどうかなんて今はどうでもいい。俺が……いや、俺達が今聞きたいのは。

 

「千聖……答えは?」

 

 そう聞いた時に、千聖はテーブルをバンッ! と叩きこちらに歩み寄ってくる。

 

 次の瞬間……俺の周りは彼女が今日付けた香水だろうか。フレグランスのいい香りに包まれた。

 

 彼女が俺に飛びつき、首に手を回して抱きしめた。

 

 

「いいに決まってるじゃない! 二人で……幸せになりましょ?」

 

 

 顔と顔が向き合いそのような言葉を頂いた俺は……迫る顔を避けること無く受け入れ、二人の唇はそのまま重なっていた。

 

 

 

 

 俺は忘れていた……この瞬間俺の頭が嬉しすぎて考えられなくなってしまっていたからなのか。

 

 

周りは全員エキストラ(身内)だと言うことを

 

 

 

 

 

 

 

おめでとう〜!! 八幡! 千聖ちゃん! 

 

 

 

「「ッ!?」」

 

 

 完全に自分たちの世界に入ってた俺達は、一気に目覚めさせられた。




なんか、筆乗ったので二話構成にします。

これ以上一話でまとめるとただでさえ読みずらいのに余計読みずらくなるかもなので。
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