主人公設定
天空寺 武瑠(てんくうじ たける)
年齢:15歳
誕生日:6月29日 蟹座
血液型:O型
好きなもの:チョコレート、歴史
嫌いなもの:苦いもの、辛いもの
実家が寺院を営んでいる、どこにでもいるような普通の少年。生まれたときに母親を、八歳のときに父親を亡くしている。
響たちとは幼馴染みで、小学校からの付き合い。
歴史が大好きで、鞄の中には常に、世界中の偉人たちについて書かれた『世界偉人録』を持っている。
プロローグ
少年は幼き頃の夢を見ていた。
所々が苔むした岩肌。チリチリと燃える枯れ草。そして、そこに倒れ、黒い炭になっていく自分の父親。彼の上にはブヨブヨとした薄気味悪い色の物体が乗っかっていた。
『父さんッ!』
少年は駆け寄る。助からないと分かっていても、止まることは出来なかった。
駆け寄ってきた少年に、父親は残った力を振り絞って、首に下げていた一枚の鍔を渡した。
『
『父さん・・・』
⚫⚫⚫⚫⚫⚫⚫⚫⚫
町外れの高台にある大きな寺院、『
特に有名と言うわけではないが、昔からあるこの寺院は地元の人々から慕われており、年末年始などは多くの参拝客で賑わっている。
桜の花びらが舞う四月始めの朝。そんな大天空寺の境内に続く階段を駆け上がる二人の少女がいた。
「未来ぅッ! 早くッ!」
「待ってよ、響ッ!」
響と呼ばれた栗色の髪の少女が、未来と呼ばれた黒髪の少女に呼び掛ける。二人の様子からして、参拝に来たわけでは無さそうだ。
境内に着くと、境内の掃除をする一人の坊主、この『大天空寺』の住職代理を務める『
「これは立花殿に小日向殿。こんにちは」
「こんにちは、御成さん。武瑠はいますか? 映画に誘ってたんですけど・・・」
「またすっぽかされたのでございますか? おそらくはいつものところにいると思いますが・・・」
「分かりましたッ! 行こう、未来ッ!」
「もう。少しは落ち着きなよ」
栗色の髪の少女『
そんな研究室のデスクに一人の少年『
「Zzzzz・・・」
「武瑠ぅ───って、寝てる」
「やっぱり。こんなことだろうと思った」
「むう・・・」
夢の世界に旅立っている武瑠に、頬を膨らます響。そんな彼女がとった行動は、
「えい」
武瑠が枕にしている本を勢いよく引き抜いた。
「うおッ!? ・・・て、なんだ、響と未来か。驚かさないでくれよ」
「驚かさないでくれ、じゃないよッ! せっかく合格祝いに皆で映画に行こうって誘ったのに、なんで来ないの?」
「・・・だって、興味ないし」
「行こうよッ! 翼さん出演の映画、絶対に面白いからッ!」
「響や未来には、だろ? 俺はこっちの方がいい」
そう言って、武瑠は響が持つ本を取り返した。
「『世界偉人録』か・・・。武瑠のお父さんは、武瑠の愛読書になるってわかってたのかもね」
「どうだろ? ・・・でも、八歳のときの俺には難しかったけどさ、今になって、ようやく分かった気がするんだ。英雄って、命を燃やして生ききった人たちなんだよな。俺もそんな彼らみたいになりたいって、この武蔵の刀鍔に誓ったんだ」
そう言って、武瑠は首に下げていたあるものを取り出す。それはあの時、武瑠の父親、『
「それよりも、女の子の誘いを断るのはどうかと思うよ?」
「いや、だから、興味ないって───」
「でも、高校生になったら、私と響はリディアンに。武瑠は市内の公立に行くから、暫くは会えないかも知れないんだよ?」
私立リディアン音楽院。通称『リディアン』。
海を臨む高台に設立された私立の音楽学校。独自の教育スタイルと私立では珍しい格安の学費で、毎年多くの者が入学、編入している。響と未来は見事合格し、あと数日もすれば入学式だ。しかし、リディアンは女子高。男性である武瑠が入学できるはずもなく、結果、武瑠は一人だけ市内の高校に通うこととなったのだ。
「だからね?」
「・・・はいはい。分かったよ」
「やったぁッ! それじゃあ、さっそく行こうッ!」
「ちょッ!? 急に引っ張るなッ!」
これが彼らの日常。何処にでもあるような平凡なもの。
しかし、彼らは思いもしなかった。
その時が近づいていることに。
父親が渡したものを刀鍔に変更しました。
これからも頑張って行きます。