戦士開眼シンフォギアゴースト   作:メンツコアラ

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 今回は前編後編に分けることにしました。
 あと、三話で記載しわすれた設定を後書きに記載しました。





面会! 互いの秘密! 前編

 未来が仲間になってから一ヶ月近く経った。英雄の眼魂も順調に集まり、残りは9個。そして、今日も武瑠は町に現れたノイズを討伐していた。

 

「最近、ノイズが現れるの増えてないか?」

 

 ガンモードに変形させたガンガンセイバーでノイズを撃ち抜きながら、最近のノイズ出現状況を振り返ってみる。

 

(先週だけでも四回。これはいくらなんでも多すぎないか?)

 

 確かにノイズは昔から存在していたとはいえ、ここまで頻繁に現れていたことはなかった。考えられるのは今までが少なすぎたこと。あとは、

 

(人為的に出現している、とか? ・・・まあ、そんなことはないか)

「とりあえず、まずは目の前のノイズを倒すッ! ビリーッ!」

 

『オーケーッ!』 

 

 取り出した茶色の眼魂、『ビリー・ザ・キッドゴースト眼魂』から声が聞こえる。武瑠は眼魂を交換し、ベルトのトリガーを押し込んだ。

 

《カイガン! ビリー・ザ・キッド!

 百発百中! ズキュン! バキュン!》

 

 武瑠の体にウェスタンハットを被った茶色いパーカーが纏われ、拳銃とマズルフラッシュを描いた茶色い模様が走ったマスクが被さる。

 

 アメリカ西部開拓時代を代表するアウトロー。早射ちガンマン、ビリー・ザ・キッド。その力を纏ったゴーストの数ある姿の一つ。

 

『仮面ライダーゴースト ビリー・ザ・キッド魂』

 

 

 武瑠はベルトから置時計型のアイテム、『バットクロック』を召喚し、ガジェットモードからガンモードに変形させた。

 

「さあ、蜂の巣にしてやるぜッ!」

 

 バットクロックとガンガンセイバーの引き金を引き、次々とノイズを撃ち抜く。ノイズも襲いかかろうとするが、その前に武瑠の放った弾が貫いた。

 

 敵に先手を許さず、一発で撃ち抜く。その戦い方は百発百中のガンマンそのものであった。

 

 ある程度ノイズを殲滅した武瑠はバットクロックとガンガンセイバーを直結させ、『ガンガンセイバー ライフルモード』の瞳をベルトにかざす。

 

《ガンガンミナー! ガンガンミナー!》

 

「───命、燃やすぜッ!

 

《オメガインパクト!》

 

 充填されたエネルギーが残ったノイズに放たれる。それを受けたノイズは炭素の塊となって消滅した。

 

 ノイズが全て消滅したことを確認した武瑠は変身を解除しようとベルトに手をかける。しかし、少し離れた所から誰かが近づいてくるのが見えた。とっさに霊体化する武瑠。

 

 数秒後。そこに現れたのはハイレグに近い形状をしたスーツを身に纏った青髪の少女だった。

 

「くっ、遅かったか」

 

 青髪の少女は舌打ちをすると耳に手を当て見えない相手と会話しているかのように喋りだした。武瑠は耳に通信機でもつけているのでは、と判断する。

 

(確か、かざなりつばさっていう人だっけ? それと───)

 

「つ、翼さんッ! 待ってくださいッ!」

 

(やっぱり来たか)

 

 翼の後を追うようにやって来たのは武瑠のもう一人こ幼馴染み、立花(たちばな) (ひびき)だった。彼女も見たことのないスーツを身に纏っていた。

 

 彼女たちとは二週間ほど前から何度も遭遇している。初めて彼女たちと出会ったとき、そのうち一人が幼馴染みだったことに武瑠が驚いたのは言うまでもないだろう。

 

 武瑠はそそくさとその場を離れた。

 

 

 

 

 

⚫⚫⚫⚫⚫⚫⚫⚫⚫

 

 

 

 

 

 

(響のあれ、一体なんだろう・・・)

 

 大天空寺に帰った武瑠は茶の間で考え事をしていた。そこに一人の金髪の男性が武瑠の前にマグカップを差し出した。彼は少し時期外れな革ジャンを身に纏っている。

 

「また悩み事かい? 少しコーヒーでも飲んで、一息入れなよ」

 

「ありがとう、ビリー」

 

 そう。彼は武瑠に力を貸していたビリー・ザ・キッドその人だった。

 

「砂糖はいくつ?」

 

「5個でお願い。あとミルクも」

 

「それじゃあ、せっかくのコーヒーが台無しになっちゃうよ」

 

「甘党なんだよ」

 

「いい香りがするじゃねぇか。俺にも一杯お願い出来るかい?」

 

 そう言って、奥の部屋から和服を着た一人の少女が入ってくる。

 

 その和服を着た少女はかの神絵師、葛飾北斎である。なぜ女性なのか聞いてみると、『娘の体を借りて顕現しているからサ』らしい。

 

「いいよ。少しまってね」

 

「分かったよ。・・・で、武瑠。お前さん、まだぐだぐだ悩んでいるのかい?」

 

「・・・まあ、そうだけど・・・」

 

「たっく。男なのに情けねぇ。これでも見て元気出しな」

 

 そう言って北斎が渡したのは現代の漫画風に描かれた一枚の絵。・・・ただし、悩み事の種となっている幼馴染みが蛸に襲われているという春画だった。それを見た瞬間、武瑠は口に含んでいたコーヒーを吹き出してしまう。

 

「な、なななッ、なに描いているんだよッ!?」

 

「なにって、見りゃ分かるだろ? 春画だよ」

 

「俺が聞いてるのはそういうことじゃなくてッ!」

 

「へぇ。よく書けているじゃないか」

 

「ビリーは見るなッ! というか、なんで人の幼馴染みを絵の題材にしているのッ!?」

 

「そりゃ依頼されたからさ」

 

「誰にッ!?」

 

 研究室に武瑠の叫び声が響いたとき、そこに未来が入ってきた。

 

「武瑠。今大じょ───」

 

「お、来やがったか。依頼された奴は書き上がってるよ」

 

 そう言って、武瑠に見せた春画を未来に向ける。向けられた未来は固まり、その顔が茹で蛸のように赤くなった。

 

「・・・未来。まさかと思うけど」

 

「・・・武瑠」

 

「何かな?」

 

「・・・武瑠は何も見なかった。いい?」

 

「いや、そういう訳には「いい?」・・・はい」

 

 ニッコリと笑顔(しかし、目が笑ってない)で言う未来に、武瑠は首を縦に振るしかなかった。

 

「・・・で、俺に何のよう?」

 

「あ、そうだった。今日はどうだったか聞こうと思って」

 

「前と同じ。響にも会った」

 

「・・・やっぱり、響で間違いないんだよね?」

 

「幼馴染みの顔を間違えることはないよ。でも、何に関わっているかは分かってない。ただのコスプレではないと思うけど・・・。響からは何か聞き出せた?」

 

「ううん。何か隠しているのは分かったんだけど」

 

「そうなんだ・・・」

 

 うーん、ともう一人の幼馴染みに悩む二人。そこへ新たにもう一人、狐色の髪の男性が現れた。

 

「取り込み中のところ悪いが、少しいいか?」

 

「ロビンさん。こんにちは」

 

「お、未来の嬢ちゃんもいたのか」

 

 未来に『ロビン』と呼ばれた男。

 

 彼こそは圧政者、ジョン欠地王に反逆したイギリスの義賊。そして、武瑠に力を貸している英雄の一人、『ロビンフッド』である。皆からは『ロビン』と呼ばれている。

 

「ロビン。どうかしたの?」

 

「お前さんに客だよ」

 

 そう言うロビンの後ろから現れたのは髪に蝶のアクセサリーを着けた眼鏡の女性だった。

 

「はぁい。久しぶりね、武瑠くん」

 

「了子さんッ!?」

 

 

 

 

 

 

⚫⚫⚫⚫⚫⚫⚫⚫⚫

 

 

 

 

 

 

「どうぞ」

 

「ありがとう。・・・うん、なかなか美味しいわね」

 

「お褒めにあずかり光栄さ」

 

 ビリーが出したコーヒーを了子が誉める。そんな彼女の前に座る未来は、隣にいる武瑠に聞いた。

 

「武瑠。この人は?」

 

「未来は初対面だっけ? 櫻井了子さん。父さんの友達で、・・・俺の、その、お母さんみたいな人」

 

「懐かしいわね。昔一緒にお食事したりとか、お昼寝もしたかしら」

 

「恥ずかしいから止めてください」

 

「別にいいじゃない。それで、その子は? まさかガールフレンド?」

 

「ガ───ッ!?」

 

 未来の顔が赤く染まるが、武瑠がすぐに否定する。

 

「違いますよ。未来はただの幼馴染みです」

 

「そう。それは残念。・・・それにしても、大天空寺って、いつからホームステイを始めたの?」

 

「へ? ・・・あ、ああ。ちょっと最近から」

 

 ロビンたちをホームステイと勘違いしているのか、了子は武瑠にそんな質問をする。とっさに誤魔化す武瑠。彼の額に嫌な汗が流れていた。

 

「お寺でホームステイなんて珍しいわね。他にもいたりするの?」

 

「ま、まあ、あと数人ほど・・・」

 

 他愛ない会話を数分しただろうか。コーヒーを飲み干した了子の目付きが急に変化した。

 

「・・・さてと。おしゃべりはここまでにして、そろそろ本題に入りましょうか。未来ちゃん。ちょっと武瑠くんと二人っきりにしてもらえないかしら?」

 

「え、いいですけど・・・どうして急に?」

 

「ちょっと武瑠くんに聞きたいことがあるの。

 

  ───パーカーを着た亡霊についてね」

 

『───ッ!?』

 

 その場にいた全員が息を呑む。了子が言った言葉。それに思い当たるのはただ一つ。

 

「どうやら、ここにいる全員が関係者みたいね」

 

「・・・どうするつもりですか?」

 

「別に? ちょっとお姉さんについてきて貰うだけよ。もちろん、未来ちゃんも一緒にね」

 

(・・・断ることは出来なさそうだな)

 

 そう判断した武瑠は了子の言うことを聞くことにした。未来も同様、了子についていく。

 

 数十分後。二人がつれてこられたのは、

 

「・・・なんでリディアン?」

 

「あれ? 了子さんってリディアンの職員でしたっけ?」

 

「違うわ。まあ、ついたらわかるから」

 

 そう言われ、武瑠たちが案内されたのは主に職員が使用する中央棟。その一階の奥にあるエレベーターに乗り込んだ三人。そこで、了子が操作すると扉が二重に閉まった。

 

「さあ、しっかりと手すりに捕まってね」

 

「? それってどういう───」

 

 武瑠の言葉が続くことはなく、武瑠たちの体にジェットコースター並みのGが襲った。

 

「うおおおおおおおおッ!?」

 

「きゃあああああああッ!?」

 

 突然のことに叫ぶ二人。

 

 5分位だろうか。ようやく止まったエレベーターの扉が開くと、そこにはSF漫画でありそうな空間が広がっていた。

 

「・・・なあ、未来。リディアンってただの音楽学校だったよな?」

 

「そのはずなんだけど・・・」

 

「詳しいことは後で話すから、とりあえずついて来てちょうだい」

 

 先に行く了子のあとを追う。やがて、ある扉の前に止まった。扉が開くと、その先にあったのは───パーティー会場だった。

 

 

 パンパンパンパーンッ!

 

「ようこそッ! 人類最後の砦、特異災害対策機動部二課へッ!!」

 

「「・・・・・・・・・え?」」

 

 




設定

──────────
天空寺龍

 武瑠の父親。住職を勤める前は考古学者だった。武瑠が八歳の時にノイズとの接触で他界。



──────────
ゴーストガジェット

 魔術師が大天空寺にあったものを改造して作り出した武瑠のサポートアイテム。アニマルモード、ガジェットモードの二形態があり、ガンガンセイバーと合体することも可能。単体で武器として使えるものもあり。




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