戦士開眼シンフォギアゴースト   作:メンツコアラ

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 さて、というわけであのライダーの登場です。





死霊! 白いライダー!

 リディアンの地下にある二課本部。そこは驚愕に包まれていた。

 

 なにせ、大天空寺がある地点からネフシュタンの反応。さらに十五分もしないうちに別の高質量エネルギー反応が出たのだから。

 

「波形の照合を急げッ!」

 

『了解ッ!』

 

 弦十郎の言葉に職員が動き出す。

 

 数秒後。ディスプレイに『Ichii-Bal』の文字が写し出される。

 

「イチイバルだとッ!?」

(まさか、10年前に消息不明になった聖遺物までもが敵の手に渡っていたとは。いったいどうやって・・・)

 

 そのとき、職員の一人が声を上げる。

 

「司令ッ! 緒川さんから緊急通信がッ!」

 

「こんなときにッ・・・。至急、回線を繋げッ!」

 

 スピーカー越しから二課の職員の一人、緒川慎次の声が響く。

 

『司令ッ! 大変ですッ! 翼さんが響さんと一緒に───ッ!』

 

「なんだとぉッ!?」

 

 

 

 

 

⚫⚫⚫⚫⚫⚫⚫⚫⚫

 

 

 

 

 

 所変わって大天空寺。そこでは武瑠と紅のシンフォギアを纏った雪音クリスが対峙していた。

 

「唄わせたな。あたしに歌を唄わせたなッ!」

 

 そう言うクリスの顔は怒りに染まっており、その瞳は武瑠を射ぬかんとばかりに睨んでいた。

 

「見せてやる。───これが『イチイバル』の力だッ!ッ!」

 

 クリスが籠手をクロスボウに変形させ、紅の矢を武瑠に放つ。武瑠は素早く回避するが、移動した所にはすでにクリスが立っていた。

 

 クリスが武瑠の体を蹴り飛ばす。武瑠は避けることもできず、それを諸にくらった。

 

「ぐッ・・・」

 

 地面を転がった武瑠は『顔のない王』を発動しようとするが、クリスの持つクロスボウがバルカン砲に変形。容赦なくその引き金を引いた。

 

「おいおい、嘘だろッ!?」

 

 慌ててその場から飛び退く武瑠。霊体化が出来ない以上、無数に放たれる弾丸から逃げ続けるしかなかった。

 

「これで終いだッ!」

 

 クリスの腰の装甲が展開される。そこに積まれていたのは無数のマイクロミサイルだった。それを弾丸と共に放つ。

 

「───ッ!?」

(こんなの、避けられな───)

 

 

 ドゴオォォォォォォォォォォンッ!!

 

 

 武瑠を中心とした一帯が爆炎に包まれた。夕焼けに染まった雑木林に黒い煙が舞い上がる。しかし、クリスは乱射を止めず、ありったけ弾丸とミサイルを武瑠に叩き込んだ。

 

 数分後。ようやく落ち着いたのか、引き金から指を離す。

 

「はあ、はあ、はあ・・・ッ! どうだ・・・」

(あれだけの弾丸を叩き込めば───)

 

 しかし、クリスの顔は驚愕に染まる。

 

 爆煙が晴れると、彼女の目の前にあったのは蜂の巣になった武瑠ではなく、

 

「盾・・・?」

 

「否、剣だッ!」

 

「何・・・ッ!? お前は・・・ッ!」

 

 武瑠を守るように地面に突き刺さった巨大な剣の上。そこに立っていたのはシンフォギアを纏った響と病院にいるはずの翼だった。

 

 響は剣から飛び降り、倒れている武瑠の元に駆けつける。

 

「武瑠ッ! 大丈夫ッ!?」

 

「う、うん。大丈夫だけど・・・。いや、それよりもなんで翼さんを連れて来てるのッ!?」

 

「あ、いや、わたしが連れてきたんじゃなくて・・・」

 

 響が言い淀むなか、クリスが翼に向かって語りかける。

 

「ふんッ、死に体でおねんねと聞いてたが、自分から死に現れたか?」

 

「・・・確かに今までの私ならそう考えるでしょう。

 ───だが、もう何も失わないと決めたッ!」

 

「ああ、そうかよッ!」

 

 クリスは翼に向かって引き金を引く。しかし、翼は剣から飛び降りたにも関わらず、弾丸を空中で華麗に避けて見せた。

 

「うっとおしんだよッ! うううらああああああッ!」

 

 クリスのバルカン砲が火を吹く。しかし、その弾丸の雨を翼は見事にかいくぐってみせた。

 

「震える指で引き金を引こうとも、狙いを定めるには能わず」

 

(あたしの弾幕をかいくぐり、接近戦に持ち込んだだとッ!? ───なめるなあッ!)

 

 クリスが至近距離で乱射しようとする。しかし、翼がアームドギアの柄頭でバルカン砲をかち上げて妨害した。

 

(ちッ、一旦距離を───)

 

 だが、そんなクリスの背中にトンと何かがぶつかる。そして、背中越しから首元に添えられる剣の峰。いつの間にか、彼女の後ろには翼が背中を合わせるように立っていた。

 

「な───ッ!?」

(この女・・・以前とは動きがまるで───ッ!?)

 

「これで王手だ」

 

「翼さんッ! その子は・・・」

 

「分かっている」

 

 武瑠を支えて立つ響の声に、翼はそう答えた。それを聞いたクリスの中に怒りが宿る。

 

「───何が分かっているだッ!」

 

 バルカン砲の銃身で剣をかち上げ、再び距離を取るクリス。

 

「これでまたあたしの距離だッ! もう好き勝手にはさせねぇぞッ!」

 

「ねえ、もう止めようよッ! こんなことをしても何の意味もないよッ! 話し合おうよッ! ちゃんと話し合えば、きっと分かり合えるッ! だって、わたしたちは同じ───」

 

「───まれ」

 

「え、今なんて───」

 

「黙れっつってんだよッ!!」

 

 そう叫ぶ彼女の顔は武瑠の時と同じように、・・・いや、それ以上に怒りを露にしていた。

 

「お前、くせぇんだよッ! 嘘くせぇッ! 青くせぇッ! もういい・・・お前もそこの幽霊擬きも、何もかもぶっ壊すッ!」

 

 クリスがバルカン砲の引き金に指をかける。

 

 しかし、弾が出ることはなかった。なぜなら、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「な───ッ!?」

 

 それだけではない。武瑠たちの周りを取り囲むように、ワラワラとノイズの大群が現れたではないか。

 

「───まったく。いい加減にしたらどうだ?」

 

「この、声・・・」

 

 その女は一本の木の枝の上に立っていた。黒い服装で目立つ白に近い金髪。その声は美しくも氷のように冷たい。そして、その女の手にはソロモンの杖が握られていた。

 

 唯一この場で女のことを知っていたクリスは彼女の名を口にする。

 

「───フィーネッ!」

 

「クリス。命令したことも満足に出来ないなんて、あなたはどこまで私を失望させるのかしら?」

 

「こんな奴らがいなくたって、戦争の火種くらいあたし一人で消してやるッ! そうすれば、あんたの言うように人は呪いから解放され、バラバラになった世界は元に戻るんだろッ!?」

 

「・・・もうあなたに用は無いわ」

 

「な・・・なんだよそれッ!?」

 

「フッ・・・」

 

 その女、フィーネは虚空に手を伸ばす。すると辺りに散らばっていたネフシュタンの破片が光となって彼女の元に集まった。

 

 すべてのネフシュタンの破片を集めたフィーネはソロモンの杖を使って、ノイズに指示を出す。

 

「さようなら、クリス」

 

 その言葉を残し、フィーネはその場を去っていった。

 

「そんな・・・嘘、だろ・・・」

 

 クリスに向かって、その場にいた大半のノイズが一斉に襲いかかる。それに対して、クリスはただその場に立っているだけ。自分の信じた者に捨てられたというショックが大きかったのだろう。その場に膝をついてしまった。

 

 翼は彼女を助けようとするが、残ったノイズがその道を阻んだ。響も助けに行こうとするが、武瑠を支えているためすぐには動けない。

 

「クリスッ! 逃げろッ!」

 

 武瑠が叫ぶ。しかし、クリスはピクリとも動かない。

 

 あるノイズの鉤爪がクリスを切り裂かんと振り下ろされる

 

 

 ───その瞬間、緑色の光弾がノイズを撃ち抜いた。

 

 

「え───」

 

 突然の出来事に呆ける武瑠たち。そうしている間にも次々とノイズが貫かれていった。

 

 武瑠たちは光弾が飛んできた方向を見る。そこに立っていたのは、

 

「白い、仮面ライダーだと・・・ッ!」

 

 翼の言う通り、そこにいたのは仮面ライダーだった。

 

 白を主とした全身を覆う装甲。蛍光グリーンのラインが走った黒いパーカー。頭部を覆うのはマスクではなく、単眼のゴーグル。その中心から上に向かって生えている一本の角。

 

 武瑠が変身するゴーストとは違ったメカニカルなデザインだが、武瑠たちはすぐに分かった。そいつが仮面ライダーだと。

 

 ノイズが攻撃対象を変えたのか、その白い仮面ライダーに向かって飛びかかる。

 

 白い仮面ライダーは手に持っていた、先が掌を模したの長銃型の武器の引き金を引いた。

 

 一撃、一撃がヘッドショットを狙った的確な射撃。白い仮面ライダーが放った光弾は確実にノイズを貫いていた。

 

 しかし、数で勝るノイズに押され始める。すると、白い仮面ライダーは接近戦に変更。

 

 手に持った武器のショットシェルを前に動かし、銃身の先の掌を開かせ、ノイズの間を掻い潜ると同時に一閃。ノイズと白い仮面ライダーの姿が交差する度にノイズの体が崩壊していった。

 

「すごい・・・」

 

 白い仮面ライダーの戦いに、響は思わず感嘆の声を漏らす。

 

 そうしているうちにもノイズは残り数体となった。

 

 白い仮面ライダーは止めを指すべく、左腕に装着していたユニットを起こし、横のスイッチを押す。

 

《デストロイ!》

 

 ユニットに装填されている眼魂のエネルギーが抽出され、上の目薬のような容器のに溜まっていく。

 

 同時に背後に浮かび上がる単眼の紋章。

 

 白い仮面ライダーが容器のスイッチを押すとエネルギーが白い仮面ライダーの右足に充填される。

 

《ダイテンガン! ネクロム! オメガウルオウド!》

 

 飛び上がった白い仮面ライダーが残ったノイズに向かって必殺の蹴りを放つ。

 

 ノイズは全て跡形もなく崩壊していった。

 

「・・・・・・・・・」

 

 地面に降り立った白い仮面ライダーはゆっくりと響たちの方に振り返る。その仕草に翼は警戒体制を取った。

 

(助けてくれたとはいえ、素性が分からない以上、油断は出来ない。いつでも戦えるように───)

 

 しかし、彼女の心配は無駄に終わった。なぜなら、

 

「───響、武瑠、翼さん、大丈夫だった?」

 

「え・・・」

 

「その、声・・・」

 

 白い仮面ライダーが発した声に、思わず己の耳を疑う武瑠と響。しかし、彼らが聞き間違うことなどあり得なかった。なにせ、幼い頃から一緒だったのだから。

 

 白い仮面ライダーが左腕のユニットから眼魂を取り出す。装甲が光の粒子となって霧散し、そこに立っていたのは、

 

 

 

「───なんで、なんで未来が仮面ライダーなの・・・?」

 

 

 

 




 どうですか? これを考えているとき、未来をスペクターにするかネクロムにするか悩んだんですよね。

 まあ、最終的にネクロムに収まった訳ですが。

 違和感がなく書けたかな?



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