今回は未来versionでどうぞ。
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私は小日向未来。大切な友達を守るために、仮面ライダーネクロムになって日々奮闘している。
了子さんとして、私たちの隣にいたフィーネ。彼女は月を破壊しようとカ・ディンギルを起動させる。遂に私たちの最終決戦が始まるのだった。
響たちの目の前で崩壊するカ・ディンギル。その光景にフィーネは驚きを隠せなかった。
「バカなッ!? カ・ディンギルの一撃を防ぐどころか、両断し、カ・ディンギルそのものを破壊するだとッ!?」
「天空寺、うまくいったみたいだなッ!」
あの時、武瑠が響たちにした頼み事。それは
『自分がカ・ディンギルをどうにかするから、フィーネを抑えて欲しい』
というものだった。
結果は大成功。カ・ディンギルを止め、さらには破壊させたのだ。
「あとはフィーネ、お前だけだッ!」
響たちは決着をつけるべく、各々の武器を構える。しかし、未来だけは違った。
「そん、な・・・」
空を仰ぎ、その場にへたり込む未来。彼女の視線の先は武瑠が飛んで行った場所だった。
「未来ッ!?」
「何をしているッ! 早く立ちなさいッ!」
「うそ・・・だって・・・」
「小日向ッ! しっかりしな───」
翼が呼び掛ける。しかし、未来には届いていなかった。
その瞬間を見たわけではない。その場にいたわけでもない。だが、彼女は理解してしまったのだ。同じ力を持っているからこそ、分かってしまったのだ。
───武瑠の魂が消えてしまった事に。
「武瑠が・・・武瑠が・・・!」
「武瑠がどうかしたのかッ!」
「・・・───消えた」
『───ッ!?』
未来の言葉に、響たちは息を飲む。
「み、未来? 冗談でしょ? こんなときに止めてよ」
「・・・・・・・・・」
「・・・ッ、ねぇッ! なんとか言ってよ、未来ッ!」
響は信じたくないため、必死に叫ぶ。しかし、未来は答えることなく、ただマスクの下で涙を流すだけだった。その時、彼女たちの元にガシャッ、ガシャッ、と武瑠が持っていたはずの眼魂が降ってくる。本来ならあり得ない出来事に、翼たちは未来の言葉が真実であると理解した。
「・・・そうか。あの小僧は消え去ったか。・・・よくも、よくもやってくれたなッ!」
フィーネは怒りに、声を荒げる。
「月の崩壊は『バラルの呪詛』を解くと同時に、重力崩壊を引き起こす・・・ッ! 惑星規模の天変地異に人類は恐怖しッ! うろたえッ! そして、聖遺物の力を振るう私の元に帰順するはずだったッ!
痛みだけが人の心を繋ぐ絆・・・たったひとつの真実なのにッ! それを、それをあの亡霊がッ! あいつがあの時、死んで力を手に入れなければッ!」
『───ッ!?』
「・・・え───?」
フィーネの言葉に、響は思わず聞き返した。
嘘だと言って欲しかった。聞き違いであって欲しかった。しかし、現実は無情だった。
「そう言えば、お前は真実を聞かされてなかったのだな・・・」
フィーネは狂気的な笑みを浮かべ、真実を語り始める。
「立花響ィッ! 貴様は疑問に思わなかったのか?
なぜ、天空寺武瑠があのような力を手に入れたのかッ!
なぜ、英雄の眼魂を集めているのかッ!!」
「───ッ! それ以上言うなッ!!」
「その答えはただ一つ・・・」
「止めてえぇぇぇッ!!」
翼はフィーネに向かって駆け出し、未来は懇願するように叫ぶ。しかし、何もかも遅かった。
「───お前が初めてシンフォギアを纏ったあの日ッ! 天空寺武瑠はノイズに貫かれ死んだのさッ!」
「───ッ!!?」
「止めろおおおッ!」
翼の剣がフィーネの胸を貫く。しかし、フィーネが止まることはなかった。
「天空寺武瑠は生き返る為に英雄の眼魂を集めていた。しかし、魂だけの体が消滅した今ッ! それを成すことなど不可能ッ!」
「黙れッ! 黙れと言っているッ!」
「あの時、お前の身代わりにならなければ、こんな運命を辿ることはなかっただろうがなッ!」
「ぐッ・・・!」
フィーネは翼を突き飛ばし、言い放った。
「───立花響ィッ! お前が、天空寺武瑠を殺したんだッ!!」
「──────」
フィーネの言葉に膝から崩れ落ちる響。シンフォギアは解除され、その顔は絶望に染まっていた。
「わたしが、武瑠を・・・」
「立花ッ! 惑わされるなッ!」
翼が必死に呼び掛けるが、響には聞こえていない。
───武瑠が死んでた。
───自分のせいだ。
───何も守れてないじゃないか。
響の中で自分を責めるワードが飛び交う。責任感が人一倍強い彼女だ。無理もないだろう。時間が経つにつれ、視界が真っ黒になってくる。そして、
───パァンッ。
「───え」
戦場に乾いた音が響き渡った。数秒おいて、響の頬に痛みが広がり、叩かれたのだと理解する。彼女の頬を叩いたのは、クリスだった。
「クリス、ちゃん・・・?」
「───いい加減にしろッ!」
クリスが地面にへたり込む響の胸ぐらを掴み上げる。
「いつまでメソメソしてるつもりだッ! 後悔していたって、あの野郎は戻って来ねえんだぞッ!」
「でも・・・、だってッ・・・」
「・・・あたしも、地球の裏側で大切な両親を失った。けどな、パパとママは此処にいる。あたしの胸の中で、二人の思いはッ! 願いは生きているッ! あたしはパパとママの代わりに、歌で平和を掴んでみせるッ!
お前だってそうだッ! お前の中には武瑠の想いが生きているッ! お前があいつの代わりに、命を燃やせッ!」
そう言った彼女は響を下ろし、改めてフィーネと向かい合う。
「フィーネッ! 今度こそ決着をつけてやるッ!」
「ハッ! 貴様一人に負けるわけないだろうッ!」
「ならば、三人ならどうだ?」
クリスの隣に翼と未来が並ぶ。
「私の剣はまだ折れてはいないぞッ!」
「・・・これ以上、誰の哀しむ姿を見たくはないッ!」
「面白いッ! 纏めて相手をしてくれるわッ!」
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一方、その頃。リディアンの地下にある一室に人が集まっていた。
「なによ、これ・・・」
「もう、何がどうなってるのッ・・・!」
「私たちは、どうなるのでしょう・・・」
藤尭が操作するモニターを見る響たちの友人、板場弓美、安藤創世、寺島詩織。そして、二課の弦十郎たち。
(俺たちは、ただ見てるだけしか出来ないのかッ・・・!)
弦十郎は己の無力を嘆く。その隣で弓美が発狂した。
「もう、わかんないよッ・・・! どうして、みんな戦うのッ!? 痛い思いして・・・怖い思いして・・・死ぬために戦っているのッ!?」
「───それは違うよ」
『───ッ!?』
突如、男性の声が出入口から響く。見ると、白い目ローブを纏った華のような男性が立っていた。
「それは全く違う。彼女たちは死ぬために戦っているんじゃない。・・・それは君も分かっているんだろう?」
「───ッ、分かってるよッ! 分かってる・・・けど・・・」
ポロポロと涙を流す弓美。そんな彼女をそっと抱き締める創世と詩織。そんな中、弦十郎が男性に何者か問う。
「私は魔術師。天空寺武瑠の協力者さ。それと───」
そう言った魔術師は自分の後ろで待機させていた、周辺のシェルターに逃げ込んだ人たちを見せる。その内の一人、小さな女の子がモニターに映る響を見る。
「あッ! カッコイイお姉ちゃんだッ!」
「ビッキーのこと、知ってるの・・・?」
創世の問いに、女の子は頷く。
「うんッ! 助けてもらったのッ!」
「・・・あの子の、人助け」
「ねえ、カッコイイお姉ちゃん、助けられないの?」
「・・・助けようと思ってもどうしようもないんです。私たちには何も出来ないですし・・・」
「───助けられるよ」
『───ッ!?』
魔術師の言葉に弦十郎たちは驚く。
「今、彼女たちを助けるには、この場にいる全員の力が必要だ。そのためには───」
「お~いッ! 動力を切り替えて来たぜ~ッ!」
彼らの目の前に、何もない空間からユルセンが現れる。弦十郎たちは急に現れた珍生物に驚くが、魔術師は無視してユルセンを労う。
「お疲れ様、ユルセン。・・・さて。時間が惜しいから、率直に言うよ。もし、君たちに彼女たちを助けたいという気持ちがあるのなら、彼女たちの為に
───
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フィーネに挑んだクリス、翼、未来の三人。十分近くの戦闘。結果は・・・フィーネの勝利だった。
「・・・まったく。手こずらせてくれたものだ」
そう言い、フィーネの近くに倒れ伏す翼たちを見る。三人ともボロボロの状態で、変身は解けてはいないが、立ち上がるのは困難だろう。
今、この場で起きているのは響とフィーネのみ。
「みんな・・・。武瑠も、死んだ・・・学校も壊れて、みんな、いなくなって・・・」
絶望する響。そんな彼女に、フィーネが歩み寄る。
「残ったのはお前か・・・。まあ、お前は役にたったよ」
フィーネが響の頭を掴み、持ち上げる。
「生体と聖遺物の初の融合症例。お前という先例がいたからこそ、私は己が身をネフシュタンの鎧と融合できたのだからなッ!」
「う゛ッ・・・」
フィーネが響を地面に叩きつける。
「だが、お前はもう用済みだ。ここで始末してやる」
ネフシュタンの鞭の先、鋭利な鉤爪のような物が響に向けられる。
自分の勝ちに、自然と笑みが溢れるフィーネ。しかし、ふと耳に入った音がそれを止めた。
「チッ、耳障りなッ! 何が聞こえているッ!」
苛立つフィーネ。その音、・・・いや。その歌を響は知っていた。
(これ・・・校、歌・・・?)
倒れたスピーカーから、地下で唄う者たちの声が、想いが光となって溢れ出る。さらに、
(・・・───ッ! 、武瑠の・・・)
彼女の視線に写るオレゴースト眼魂。その瞳とアイコンタクトしたとき、響は聞こえた気がした。
『響。なに寝てんだよ』
(武瑠───)
『まだ終わってない。みんながお前を信じて、待ってくれてるッ!』
「・・・・・・そう、だよね」
「なにッ・・・!?」
瞳に光を取り戻した響が立ち上がる。そんな彼女に、フィーネは驚いた。
「なぜだ・・・なぜ立ち上がれるッ!? お前の心は完全に折り砕いた筈なのにッ!」
「・・・みんなが、唄ってるんだッ! まだ、唄えるッ! 頑張れるッ!!
───まだ、戦えるッ!!!」
───そのとき、不思議なことが起こった。
響の思いにシンフォギアが答えるように輝き出す。その光は傷だらけだった体を癒し、響に無限に近い力を与える。響だけじゃない。満身創痍だった筈の翼やクリスも立ち上がった。
朝日が顔を出し、闇に包まれた世界に光が差し込む中。リディアンから空に向かって、黄、赤、青の光の柱が建つ。その光の発生源は三人の歌姫たち。
「お前たちの纏うものはなんだ? それは私が作ったものか? お前たちのそれは、一体なんなんだッ!?」
三人の歌姫は青く染まった大空へ飛び立ち、響がフィーネの問いに答える。
「───シンフォギアァァァァァァッ!!」
ユルセン「次回、戦士開眼シンフォギア・ゴーストッ!」
響「歌は戦う力だけじゃないッ! 命なんだッ!」
───再び立ち上がった歌姫たち。
フィーネ「相応の覚悟は出来ておろうな?」
───本気を出すフィーネ。
そして、復活せよ。
魔術師「ある戦士の話をするとしようッ!」
《俺がブースト!奮い立つゴースト!》
『復活! 燃えよ闘魂!』