一期も終わったので、記念にこの作品の絵を書いてみたけど、ドヘタクソで悲しくなったのは、また別の話。
※誠に身勝手ながら、タグを一部変更しました。
『エピローグ』
あれから2週間。武瑠たちは、今回の件をかぎ回る世界各国から守るために、二課の仮本部で監禁処分を受けていた。
そして、今日。ようやく解放された武瑠は夜に行われるバーベキューの材料を両手に持ち、クリスを連れて大天空寺へ戻ってきた。境内へ続く階段を上がる途中、クリスが足を止め、数段上にいた武瑠に問いかける。
「な、なあ。本当に大丈夫なのか?」
「何が?」
「あたしが大天空寺に住むことだよ」
「大丈夫だって。風鳴さんからも許可貰ったし、御成も大丈夫だって言ってたじゃん」
「だけどよ・・・その、あたしは・・・」
「・・・・・・はぁ」
武瑠はクリスの目の前まで階段を下り、彼女の頬を突っつく。
「て、てめえ、いきなり何すんだッ!?」
「顔が暗いよ。クリスはもう仲間なんだから。そういうのは気にしなくていいって」
「でも・・・あたしは、取り返しのつかないことをした。その罪が、消える訳じゃない・・・」
「・・・だったらさ。ちょっとずつ、一緒に償っていこうよ。俺が協力する。それに、罪を犯したからって、幸せになっちゃいけない訳じゃないよ」
「武瑠・・・ハッ! 幽霊のクセに生意気言ってんじゃねえよッ! ・・・でも、その、ありがとう」
「どういたしまして。・・・さあ、早く行こう。今日は懐抱祝いにバーベキューだ。響たちも来るから仕込みが大変だよ」
武瑠たちは並んで、再び階段を上がり始める。
境内へ向かう中。クリスはふと思ったことを口に出す。
「なぁ。なんであの時、フィーネを『義母さん』って呼んだんだ?」
「え、聞こえてたッ!?」
「まあな。・・・で、なんでだ?」
クリスの質問に、武瑠は恥ずかしそうに苦笑いをする。
「・・・俺の母さんさ、俺が産まれたときに亡くなったんだ。で、父さん一人じゃ、俺を育てるのが大変だったみたい。そのとき、研究者仲間の了子さんが母親代わりとして、俺の側にいてくれたんだ。だから、了子さんは俺にとっての『義母さん』なんだ」
「・・・複雑なんだな、お前も」
「そうかも、ね・・・」
そうしている内に、武瑠たちは境内に到着する。武瑠たちが本堂に入ると、奥から御成がダッシュでやって来た。
「武瑠殿ぉぉぉぉぉぉッ!」
「ただいま、御成」
「お帰りなさいませッ! この2週間、拙僧は武瑠殿のことが心配で心配でッ!」
「分かったッ! 分かったからッ!」
武瑠の肩を掴む御成を引き剥がし、一旦落ち着かせる。御成が落ち着いたところで、武瑠はクリスの紹介をしようとする。
「御成。この子が、今日から大天空寺に住むことになった雪音クリス」
「ど、どうも・・・」
「初めまして。拙僧は山ノ内御成と申します。どうぞ、ここを自分の家だと思って御過ごしください」
「あ、ありがとうございます」
すんなりと受け入れてくれたことに、少し戸惑うクリス。武瑠はそんな彼女が微笑ましく思った。
「・・・さてと。御成。このあと、家でバーベキューするから、倉庫から炭とバーベキューコンロを持ってきてくれない? 翼さんも来るってさ」
「なんですとぉッ!? なら、すぐさま準備しますぞッ!」
そう言って、御成は韋駄天のように走り去った。
「俺たちは仕込みをしよう。手伝ってくれるよね?」
「いいけど・・・あたし、料理なんてしたことないぞ?」
「大丈夫、大丈夫。簡単なものしか頼まないから」
そう言いながら、武瑠たちは本堂を移動し、奥にある居間を通って台所に行こうとする。しかし、居間に入ったところで武瑠たちの足は止まった。なぜなら、
「・・・・・・」ポリポリ
「「──────」」
居間の扉を開けた瞬間。そこには煎餅を食べながらテレビを見る者がいた。その者を数秒見つめた後、武瑠はそっと扉を閉め、後ろのクリスと向かい合う。
「・・・ねえ、クリス」
「・・・なんだ?」
「今さ。居間にいるはずのない人が、テレビを見ながら煎餅を齧ってたように見えたんだ」
「奇遇だな。あたしも同じもんが見えた」
「「・・・・・・・・・」」
武瑠は意を決して、扉を開く。目の前には誰もいなかった。その結果に見間違いか、と思う二人。しかし、
「お帰りなさ~い。監禁、長かったわね」
「「───ッ!!!?」」
横からの声に驚く武瑠たち。見ると、先ほどテレビを見ながら煎餅を齧ってた人物が、扉のすぐ横の壁に寄りかかるようにして立っていた。
「ちょっとッ! その反応はないんじゃない?」
「いやいやいやッ!? 誰だってこんな反応をするよッ!
───了子さんッ!」
武瑠の言葉に壁に寄りかかっていた人物、・・・消えたはずの了子は、それもそうね、と頬に手を当てて納得する。
「なんでッ・・・!? 消滅したはずじゃ・・・」
「そうなんだけどねぇ・・・はぁ」
了子は溜め息を吐き、事の顛末を説明する。
あの戦いの後。フィーネの魂は深い闇の中で、次の転生先へ運ばれていた。到着すれば、転生した先の人物がアウフヴァッヘン波形と接触するまで、ひたすら待つのみ。
(今度、目覚めた時は、体の持ち主と共存し、世界を繋げて見せてやろうか・・・あの子との約束もあるしな・・・)
フィーネは己を運ぶ流れに身を任せ、静かにそのときが来るのを待とうとする。しかし、彼女の目の前が、・・・正確には、彼女のいた闇が光に包まれ始めていた。
(なんだッ!? 何が起こっているッ!? こんな現象、今まで一度も───)
そう考えている内に、彼女の視界は光に埋め尽くされた。あまりの眩しさに、フィーネは眼を閉じる。
数秒後。彼女の嗅覚が、甘い香りを感じ取った。何かと思い、目を開くと、そこには紅の華が咲き乱れた理想郷とも言うべき空間が広がっていた。中央にはカ・ディンギルに負けないほどの塔がそびえ立っている。
「こ、ここは・・・」
「───驚いたかな?」
後ろから声をかけられ、フィーネが振り返って見ると、そこには魔術師が立っていた。
「貴様・・・一体何のようだ?」
「そう警戒しないでくれ。私は君にサプライズしようと思ってね」
「サプライズだと・・・?」
「そう。
───先史文明期の巫女、フィーネ。君を天空寺武瑠の元に送らせてもらうよ」
「・・・・・・・・・・・・はあ?」
「───で。理由を聞いてみれば、あなたのサポートをしなさいってことだったのよ」
「な、なるほど・・・で、いいのか?」
フィーネの言葉に納得出来そうで、出来ないでいるクリス。一方、武瑠は顔を伏せ、プルプルと肩を震わせていた。
「た、武瑠? 大丈夫か?」
「・・・あんの・・・」
「え、なんて───」
「あんの魔術師がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」
武瑠の怒声が大天空寺に響き渡る。突然のことに、クリスは腰を抜かしてしまった。武瑠はそんな彼女にお構い無く叫び続ける。
「た、武瑠の奴、急にどうしたんだ?」
「恥ずかしがってるのよ」
「恥ずかしがってる?」
「ええ。だって、せっかく最後に『未来を託す』とか言って別れたのに、こうもすぐに会っちゃったら、恥ずかしくて仕方ないわよ」
「言うなあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」
了子に己の心境を言い当てられ、余計に恥ずかしくなったのだろう。武瑠は近くの柱に頭を打ち続け始めた。
ガンッ、ガンッ!、と武瑠の奇声と共に鈍い音が響き渡る。
そこに響たちが、予定よりも少し早めにやって来た。
「武瑠? 奇声を発してどうした───」
「武瑠。それ以上は頭を痛める───」
「二人とも? なぜ急に黙るんだ───」
「はぁ~いッ♪ お久しぶりねッ♪」
「「「───えッ、ええええええええええッ!!!?」」」
大天空寺に四人の叫びが響き渡る。このあと、すぐさま御成がやって来たのは言うまでもないだろう。
『あの場所に・・・』
武瑠たちか大天空寺で騒いでいる頃。あの場所で、ユルセンは空を眺めながら歌を唄っていた。
曲名は───『逆光のフリューゲル』。
「~~~~~~♪」
「いい歌だね。君が唄うのを、久々に聞いた気がするよ」
そう言って、魔術師はユルセンに拍手を送りながら現れる。
「まさか、フィーネを見て、君も彼女たちの元に帰りたくなったのかい? ユルセン、・・・いや。
魔術師はユルセンのことを、あえて本当の名前で呼ぶ。そんな彼の質問に、ユルセンは首を横に振った。
「その名前の人物は2年前に死んだ。今の俺様は、ユルセン様だ」
「そうかい。・・・さて、そろそろ大天空寺に行こうか? バーベキューが始まっているだろうしね」
「マジかッ! 楽しみだなッ! 肉ッ~♪ おっ肉~♪」
魔術師が大天空寺までのゲートを作り、ユルセンと共にそのゲートの中に消えていった。
『Gへ・・・』
武瑠たちが解放された日の夜。夜を街の光が照らすなか、とあるビルの屋上で、そいつは街を見下ろしていた。
暗闇の中、そいつの体を走るライトブルーの模様が妖しく光る。
ふと、そいつは顔を街から自分の後ろに向ける。そこにはメカメカしいコブラのようなものがいた。メカメカしいコブラ、『コブラケータイ』はそいつに近づくと、自身の体を携帯電話に変形させ、そいつの手に収まる。
そいつはコブラケータイを使い、その向こうにいる人物と会話を始めた。
「もしもし。◼◼◼姉さん? ・・・うん、分かってるわ。私たちの願いの為だから。・・・うん。それじゃあ、すぐに合流するね」
そいつは通話を切り、コブラケータイと共に闇の中に消えていった・・・。
とりあえず、閑話をいくつか入れてからG編に入ろうと思います。
それでは、また次回でお会いしましょう。