戦士開眼シンフォギアゴースト   作:メンツコアラ

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ハッピーバースデーッ! 調ッ!
ということで、今回は調の誕生日回です。多分、多くの人が予想していると思われますが、混沌としています。
それではどうぞ。


【番外編】祝福! 調の誕生日!

 2月16日。バレンタインデーも過ぎ去り、溢れていた甘々オーラが徐々に収まりつつある街に幸せオーラを撒き散らしている一人の少女がいた。

 

「凄く御機嫌だな、調」

 

「そうですか? 武瑠先輩がそう思うならそうかもしれない」

 

「なんだよ、それ」

 

「秘密……フフフ♪」

 

 腕を組み、並んで歩く武瑠と調。彼らとすれ違う者達は砂糖を吐きたくなるか、あるいは嫉妬の視線を向けるのだが、暫くするとそんな感情は消え、代わりに恐怖が襲ってくる。何せ、怒りや嫉妬等のオーラを撒き散らしている女性達が数メートル離れた場所で武瑠達を監視するように見つめているのだから。

 

「…………で、何故私たちは天空寺たちを監視しているのだ?」

 

 何故か無理矢理連れてこられた翼は負のオーラを放っているクリス、アナスタシア、マリアに問いかける。

 

「間違いが起きないようにするためよ。見れば分かるでしょう?」

 

「端から見れば、只の不審者集団にしか見えないのだが……それよりもアナスタシア嬢。何故、貴女が実体化出来ているんですか?」

 

「ダ・ヴィンチとフィーネが作ったこのペンダントのお陰よ。これに籠められた魔力が尽きない限り活動可能よ」

 

「(本当に何でも作るな、あの人たちは……)なあ。今日は月読の誕生日なのだから邪魔するのはどうかと思うぞ」

 

 ……そう。翼の言う通り、今日は調の誕生日なのだ。今頃、大天空寺では響たちが夕方に行う誕生日パーティーの準備をしているだろう。本来なら武瑠も手伝う筈なのだが、調が誕生日だから私の要望を叶えて欲しいと皆の前で武瑠に要求したのだ。その要望こそ、今行われているデートである。彼女の要求に武瑠は何も考えずOKを出したが、無論クリスたちが黙っている筈がない。故に、彼女達は間違いが起きないように監視(ストーキング)しているのである。

 

((武瑠(あいつ)は渡さない……ッ!))

 

「す、凄い気迫だな……しかし、雪音やアナスタシア嬢はともかくとして、何故マリアまで監視しているのだ?」

 

「決まっているじゃない。調を守るためよ。もし、武瑠が調に手を出したら止めれるようにね」

 

「そうは言うが、武瑠は人としても男としても戦士としても素晴らしい人材だ。唐変木ではあるが、そのような事は無いだろう? まだ信じられないのか?」

 

「……そうね。彼は家事万能、人柄も良く、将来もまぁ安定はしている。私だって、彼なら調やセレナを任せて大丈夫と思っているわ。

 ───でも、それを許せないのッ! 保護者としての私がッ! 姉としての私がッ! 彼を認めないのッ!」

 

(武瑠は苦労しそうだな……)

 

 こちらに気づかず前を歩く武瑠に、翼は心の中で合掌するのだった。

 

 

 

 

 

 

●●●●●●●●●

 

 

 

 

 

 デートの最中、武瑠と調は近くのカフェに入る。

 

「いらっしゃいませ~♪ 此方の席にどうぞ♪」

 

 武瑠と調は案内された席に座り、店員から渡されたメニュー票から武瑠は紅茶を、調はケーキセットを頼むのだが、

 

「あの、店員さん。俺たち、チーズケーキなんて頼んでないんですけど」

 

「それはカップルサービスですよぉ♪ このイチゴソースで文字を書いて、食べさせ合いっこするんですぅ♪」

 

「は、はぁ……」

 

 本当はカップルじゃないのだが、せっかく出してもらったのだし、ありがたく受けとることにした武瑠達。調がケーキにハートを書いたり、お互いに恥ずかしがりながらもケーキを相手の口に運んだりと甘い時間を過ごしていた。

 

 

 

 一方のクリス達とはいうと……

 

「「「…………………………」」」

 

「お、お客様……ど、どうかされましたか?」

 

「お気になさらず。コーヒーのおかわりをお願いできますか?」

 

 

 

 

 

 

●●●●●●●●

 

 

 

 

 

 

 その後、ゲームセンターやアクセサリーショップ、洋服店など、色々な所で遊ぶ武瑠と調。最後に彼らは町中の公園のベンチで一服することにした。

 

「ほい。お茶でいいか?」

 

「大丈夫」

 

 買ってきたお茶を調に渡し、武瑠は彼女の隣に座る。互いの温もりが感じられる距離で相手の心臓の音も聞こえてくるような気がする。

 

「武瑠先輩、今日はありがとう。わたしの我が儘に付き合ってくれて」  

 

「今日は調の誕生日なんだから、これくらい大丈夫だよ。……そうだ。これ、今の内に渡しておくよ」

 

 そう言って、武瑠はポケットから小さなケースを調に渡す。

 

「これは……?」

 

「誕生日プレゼント。アクセサリーショップで買ったんだ」

 

 開けてみれば、中には月をモチーフにした銀のネックレスが入っていた。

 

「これを、私に……?」

 

「そうだけど……あれ? もしかして、嫌だった?」

 

「そうじゃないけど……武瑠先輩、異性にネックレスを送る意味って知ってる?」

 

「え? 何かあるの?」

 

「……唐変木」

 

「いきなり罵倒ッ!?」

 

「冗談。さあ、切ちゃんたちが待ってるから帰りましょう」

 

「そうだな。時間も時間だし……ゴーストライカー」

 

 武瑠はゴーストライカーを呼び出し、調を自身の後ろに乗せた。

 

「それじゃあ、出発するぞ」

 

「なんだか、恋人みたい」

 

「そうか?」

 

 調は落ちないように武瑠にしがみつき、それを確認した武瑠はゴーストライカーを走らせる。

 

(武瑠先輩。こんなプレゼントして、もう二度と離しませんからね───)

 

 車道を走る中、調は腕の力をより強めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 大天空寺に帰った後、了子からネックレスの意味を教えられ、クリス達と一悶着あったのは別の話……。

 

 




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