KIRIKA AKATSUKIッ!
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ということで、今回は皆大好き切ちゃんの誕生日。
盛大に祝おうではないかッ!!
4月13日。
その日は武瑠にとって、ウルトラ級に大切な……それこそ、自分の誕生日や父親の命日よりも大切かつ重要な日だ。何せ、その日は武瑠の大切な大切な義妹、暁 切歌の誕生日なのだ。
この日の為に武瑠は入念な準備をしてきた。
彼女の誕生日パーティー用に普段なら絶対に手を出さない黒毛和牛を迷い無く買い、プレゼントもマリアやセレナ、調に何度も相談。自分が今用意できる最高の物を用意した。その差にクリスや調が怒ったのはまた別の話。
そして、切歌の誕生日当日。
武瑠は彼女の要望により、調を連れて三人で遊園地に遊びに来ていた。
「さあ、遊ぶデスよッ!」
「人生初の遊園地……」
「二人とも、遊園地とか初めてなのか?」
「施設にいた時、外に出ることなんて許されなかったから……」
「今度はマリアやセレナ、マムも連れてくるデスッ!」
「切歌……調……よし。今日は好きなだけ遊ぼうッ! 金は全部、俺が払うッ!」
「おおッ! お兄ちゃん、太っ腹デスッ!」
「それじゃあ、レッツゴー」
武瑠と調は切歌を間に挟み、三人仲良く腕を組んで遊園地を回り始めるのだった。
───コーヒーカップ
「目~が~ま~わ~る~デ~ス~」
「し、調、回しすぎ……ッ!」
「まだまだいける……」
───ジェットコースター
「デデデデェェェェスッ!」
「─────ッ!」
(あまりの勢いで
───お化け屋敷
「ヴェアアアッ!!」
「ヒィ……ッ!?」
「ヴェアア「おいテメェ……」……ヴェ?」
「……俺の妹を怖がらして楽しいか? ん?」
「ヒィイイイイッ!?」
(武瑠先輩が怖すぎて、脅かし役の人たちが逃げていく……)
───観覧車
「おおッ! 絶景デスッ!」
「綺麗……」
「……そうだな」
「およ? お兄ちゃん、どうしたデスか?」
「まさか、高所恐怖症?」
「いや、なんというか……こう高いところに居ると、天に召されてそうで、な」
「お兄ちゃん、成仏しちゃうデスかッ!?」
「行かせない……ッ!」
「いや、二人とも。そう思うだけだから、抱きつかなくていいからな?」
三時間後。一通り遊んだ武瑠たちはフードコートで一息入れることにした。
「という訳で、俺特性のお弁当です」
机の上に広げるお弁当箱。中には切歌や調、マリア、セレナ、ナスターシャ教授を模したおにぎりやオカズがぎっしりと詰まっていた。
「凄いデスッ! 皆がお弁当にいるデスよッ!」
「改めて、誕生日おめでとう。これは一足先の俺と調からの誕生日プレゼントだ」
「……エミヤ師匠にも手伝ってもらった。味はパーフェクト」
「ありがとデスッ! でも、こんなにも綺麗だと食べ辛いデス」
「まあ、これくらいならいつでも作ってあげるし、気にせず食べな。あ、それとこれは俺個人から」
そう言った武瑠は懐から掌サイズの小包を切歌に手渡す。
中身が気になった切歌は許可を貰い、包装を剥がしてみると、中には宝石の装飾が付いた髪止めが入っていた。
「こ、これはッ!? なんか、スッゴい高そうデスッ!」
「グリーンダイヤの髪留め。
はじめは手作りしようと思ったんだけど、納得の出来る物が作れなくてな。どうしようかって街に出たときに見つけんた。四月の誕生石のダイヤ。切歌のイメージカラーの緑。髪留めだから、切歌の綺麗な金色の髪に着けても映えるだろうなと思って買った」
「ち、ちなみにお値段は……?」
「五十万四千円」
「「五十万ッ!?」」
あまりの値段に思わず聞き返す切歌と調。
もちろん、これはS.O.N.G.から出された武瑠個人の給料で買ったものだ。といっても、五十万はかなりの額。大天空寺の食料費も入っている武瑠の財布に大ダメージを与えかねないが、ここは愛する義妹のため、迷うこと無く全額払った。
「武瑠先輩、やり過ぎ」
「そ、そうデスッ! こんな高級品、さすがに普段から着ける事なんて出来ないデスッ!」
「な、なん……だと……」
自分が必死に考えたプレゼントがまさかの不評にショックを受け、机に項垂れて涙を流す武瑠。そんな彼を見て、流石に可愛そうだと思った二人はどうしたものかと考え、調がある案を思い付いた。
「武瑠先輩。手作りしたと言っていたけど、それは今手元にある?」
「一応……」
涙を流す武瑠が取り出したのは先程とは別の小包。
開けてみると、中には深緑色の×印の髪留めが入っていた。
「また髪留め……」
「ちょっと壊れかけていたから新しいのがいるかなぁと思って……ちなみに×印なのは普段使っている物を参考にしました……」
「お兄ちゃん、私、こっちの髪留めがいいデス」
「でも、何の変哲もないただの髪留めだぞ?」
「それでいいんデスッ! だって、これには大好きなお兄ちゃんの思いが籠められているデス。私にとって、宝石の髪留めよりも何十倍も価値があるデスッ!」
「き、切歌ぁぁぁぁ……ッ!」
「良かったね、先輩」
その後、切歌は早速新しい髪留めを着けて、三人は大天空寺に帰宅するのだった。
ちなみに、あの宝石の髪留めは流石に勿体無いと切歌が受け取り、特別な日にだけ着ける事にしたのだった。
「あれ? 武瑠、ご飯は?」
「ちょっと訳あってな。俺は暫くご飯抜きで生活することにした。大丈夫。幽霊だからお腹すかない」
「そ、そうなの?」