シンフォギアゴースト。新話のスタートです。
辺りが暗闇に包まれ、空には眩い星々が輝くなか、響、翼、クリス、未来の四人は街から離れた場所に聳え立つ『カ・ディンギルの塔』へ向かった。
調と切歌との決闘。彼女たちと戦う覚悟を決める響たち。しかし、彼女たちを出迎えたのは調たちではなく、ソロモンの杖を構えた、ドクター・ウェルだった。彼の顔には大きなガーゼや包帯など、治療を施した跡があった。
「フフッ・・・」
「テメェは───ッ!」
「調ちゃんと切歌ちゃんはッ!?」
「彼女たちは別任務中です。だから、こうやって私が出張って来ているのですよ」
ウェルはソロモンの杖を使い、多数のノイズを召喚する。
それを見たシンフォギア装者の響、クリス、翼は聖詠を唄い、未来はネクロムに変身した。
一方、武瑠はというと、現在全速力でカ・ディンギルの元に向かっていた。
整備されてな道をマシンゴーストライカーで駆け抜ける。
(間に合えッ! 間に合ってくれッ!)
響たちの姿が見えるまで後5分。
そんなときだった。突然、強力な黒い光線が武瑠に襲いかかってきた。
「な───ッ!?」
咄嗟にバイクを止める武瑠。光線は彼の一歩手前に着弾。その衝撃波で武瑠の体はバイクから離れてしまった。
宙に放り出される武瑠の体。
武瑠はすぐさま空中で体勢を立て直し、着地する。そして、攻撃した者たちを見る。
もっとも、武瑠は既に攻撃してきた者・・・いや、恐らくは者たちだろう。それが誰か分かっていた。今、この場にいて、自分に攻撃してくるであろう者は彼女たちしかいない。
「あら。あれを避けるなんて、なかなかやるじゃない」
「・・・・・・」
「マリア・カデンツァナ・イヴッ! セレナ・カデンツァナ・イヴッ!」
武瑠と黒いガングニールを纏ったマリア、そして、既にベルトを装着したセレナが対峙する。
「そこを退けッ! 今はお前たちと戦っている場合じゃないッ!」
「ええ。分かっているわ。だからこそ、貴方をここから先へは行かせない。どうしても行きたいなら眼魂を置いていきなさい」
「誰が渡すかッ!」
「そう。なら───」
チラリ、とマリアがセレナを見る。
その行動の意味を分かったセレナは懐から灰色の眼魂、『フウマゴースト眼魂』を取り出し、スイッチを押してベルトに装填した。
武瑠も闘魂ブースト眼魂を装填する。
《 《アーイ!》 》
《バッチリミナー!バッチリミナー!》
《バッチリミロー!バッチリミロー!》
武瑠のベルトから闘魂ブーストゴーストが、セレナのベルトからはマフラーを首に巻いた羽織を思わせる灰色のフードのパーカーゴースト、『フウマゴースト』が飛び出し、空中で数度ぶつかり合う。
「「───変身ッ!」」
《闘魂カイガン! ブースト!
俺がブースト! 奮い立つゴースト!
ゴー!ファイ!ゴー!ファイ!ゴー!ファイ!》
《カイガン!フウマ!
忍の教え! 風魔の誉れ!》
それぞれの体をトランジェントが包み、さらにその上からパーカーゴーストが纏わる。
スペクターが纏った英雄。
彼こそは北条早雲の後継者、氏綱に従え、凄まじい集団戦法によって、その恐ろしさを天下に知らしめた忍者集団、『風魔一堂』の5代目頭領。異人、そして、鬼の血をその身に宿した忍。
その名を『風魔 小太郎』。そして、その英雄の魂を纏ったスペクターの姿こそ、
『仮面ライダースペクター フウマ魂』
である。
変身を終えたゴーストとスペクター。
ゴーストはサングラスラッシャーを、マリアはアームドギアを、スペクターは静かに構えをとる。
数秒の沈黙。始めに動いたのは・・・スペクターだった。
「───ッ!」
スペクターが両手に4枚ずつ十字手裏剣を持ち、それをゴーストに投げつける。
八方から迫る手裏剣を回避できないと判断したゴーストは、サングラスラッシャーの刀身に炎を纏わせ、それらを円を描くように斬り伏せた。
続いてマリアが強襲。ゴーストはすぐさま後ろに回避するが、そこを狙ってスペクターが鎖に繋がれた分銅を振るった。
これもゴーストは受け止めることなく回避する。
敵が複数の場合、鍔迫り合い等は格好の餌食となりやすい。だからこそ、ゴーストは回避に専念した。
3人は再び対峙する。
「結構強いわね。流石、前のフィーネを倒しただけはあるわ」
「何で俺がフィーネ倒したことを知ってる? まさか、それも
「「───ッ!?」」
『F.I.S.』。正式名称は
二課同様に聖遺物を研究している機関。大きく違うのは聖遺物を機械的に起動、運用を目的としている。マリアを始めとした武装組織 フィーネにいる者たちは全員F.I.S.にいた者たちである。
尚、これらの情報源は繋がりを持っていた
「・・・まさか、そこまでバレているなんてね。二課の情報網も伊達ではないと言うことかしら」
「いや? 多分、風鳴司令たちもこの事は分かってると思うけど、俺の情報源は別口でね。
この際だ。ハッキリさせよう。お前たちの目的は何なんだ?」
「私たちの目的? なら、教えてあげるわ」
「いいのですか、マリア姉さん」
「いいのよ、セレナ。いづれ分かることだし、どうせ向こうも言ってるだろうしね」
マリアは自身の胸に手を当て、自分達の本当の目的を言った。
「私たちの目的はただ一つ───」
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響たちの所でも同じことが起きていた。
「一体何をくわだてるッ! F.I.S.ッ!」
翼の言葉に、ドクター・ウェルは眉を寄せる。
「くわだてる? 人聞きの悪いッ! 我々が望むのはたった一つ───」
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ほぼ同じタイミング。離れた場所に居ながら、マリアとドクター・ウェルは同じことを言った。
「「それは人類の救済ッ! 月の落下にて損なわれる、無辜の命を可能な限り救い出すことだッ!」」
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マリアの言葉に、ゴーストは自分の耳を疑った。
「月の落下・・・ッ!? そんな事、あり得るわけないッ! 月の軌道はずっと観測され続けられて問題は出てないんだぞッ!」
「けど、実際に起こっているわ。貴方、あのカ・ディンギルの一撃を防いだんですってね? じゃあ、その両断された一撃がどうなったか知ってる?
貴方が両断したカ・ディンギルの一撃は月の表面を少し削るだけに終わった。それは地球からだと、肉眼では見ることは出来ない些細な傷かも知れない。だけど、バラルの呪祖の一部の機能停止と重量変化による月の落下を引き起こすには十分だったのよ」
ゴーストは信じたくなかった。まさか、自分が必死になって防いだカ・ディンギルの一撃が未曾有の災害を起こすなんて。
「こんなことを発表したら、世界中は大混乱よ。これを知っているのは世界のトップの極一部。だからこそ、私たちは救われない人々の為にネフィリムを使い、世界を救って見せるッ!」
「・・・・・・お前たちの言い分はよく分かったよ。正直、頭がまだ追い付いていない。
───でも、これだけは言えるッ! お前たちのやり方は間違っているッ!」
「なに・・・?」
「お前たちのやろうとしていることは、恐怖を招くだけだッ! 救いたいなら、もっと他に方法があるだろうッ!?」
「・・・・・・・・・」
ゴーストの言葉に何も返さないマリア。だがしかし、
「貴方に・・・貴方に何が分かると言うんですかッ!?」
「セレナ・・・ッ!?」
「マリア姉さんがどんな思いで唄っているかッ! 調や切歌、マムがどんな思いで戦っているのかッ! 貴方は分かるんですかッ!!」
「そ、それは・・・」
スペクターの気迫にたじろぐゴースト。そんな彼にスペクターはベルトのトリガーを引き、押し込んだ。
《ダイカイガン!フウマ!オメガドライブ!》
「───ッ!? しま───」
気付いた時には遅し。スペクターは既に9つの陰を結んでいた。
「応ッ! 此処は阿鼻叫喚───大炎熱地獄ッ!」
ゴーストの周りを炎が包み、逃げ場を無くす。
次の瞬間、ゴーストの足元に大爆発が起き、ゴーストの体は炎に包まれたのだった。
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仮面ライダーゴースト:オレ眼魂、闘魂ブースト眼魂
ムサシ眼魂
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???眼魂
ユルセン「次回ッ! 戦士開眼シンフォギアゴーストッ!」
「そうやって君はッ! 誰かを守るための拳で、もっと多くの誰かをぶっ殺してみせるわけだッ!」
『それこそが偽善』
───ウェルの言葉で思い出す、あの言葉。
「AAAAAAAAAAAAッ!!」
───暴走するガングニール。
彼女を救うのは───神速の拳。
《無影の拳! 二の打ち無し!》
『暴走! ガングニール!』
※新たに新作のアンケートを開始しました。
詳しい内容は活動報告にて。