戦士開眼シンフォギアゴースト   作:メンツコアラ

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おはこんばんちわ。
現在、桐野ユウさんの作品『戦姫絶唱シンフォギア 通りすがりの仮面ライダーの力と戦姫たち』とコラボさせていただいているメンツコアラです。

正直、初めてのコラボなので、これからどうなるのかドキドキが止まりません。

それではシンフォギアゴースト、どうぞ。





───────────────────────




ヤッホー、お前たちッ! 俺様はユルセン様だッ!

生き返るために英雄の眼魂を集めている少年、天空寺 武瑠のサポーターをしている。


実は、こいつの幼馴染み、小日向 未来が敵の手に渡り、武瑠に襲いかかってきたッ!
大天空寺もシャドウノイズを引き連れたドクター・ウェルに襲われて大ピンチッ!

大天空寺の方は弦十郎の旦那の活躍によって難を逃れたが、調と切歌、そして武瑠が持っていた眼魂のすべてが敵の手に渡ってしまう。

二課の一同は敵を追跡するべく、フロンティアっていう聖遺物が眠る場所へ向かう。
  

……さぁてと、俺様も準備をしますかね。


聖詠! 片翼の魂!

「………………」「………………」

 

 

 大天空寺が襲撃され、ドクター・ウェルに連れ戻されてから数日。

 彼女たちの周りでは大きな変化が起こっていた。

 

 まず一つが、ナスターシャ教授が米国に協力を要請。これ以上、マリアたちに重荷を背負わせないためと判断しての行動だったのだが、米国側があっさりと裏切り、結果、マリアが自身の手を血で染めることになった。

 

 もう一つが新たな戦力として未来が加わった事。マリアたちが襲ってくる米国のエージェントから逃げている途中で救出。その後、ドクター・ウェルの洗脳を受けてシェンショウジンのシンフォギア装者となった。

 

 そして、何よりの変化がマリアだった。

 

 

「……マリア、変わったね」

 

「デス……(ちから)でしか、世界は救えないなんて、マリアらしくないデス……」

 

 

 だが、二人では今のマリアを止めることは出来ない。

 それが出来るであろうナスターシャ教授は疲労と病状の悪化で寝込んでしまっている。

 

 

「……セレナなら、どうするんだろう?」

 

「置いて来ちゃったデスね。武瑠さん達なら大丈夫だと思うデスけど……」

 

 

 機内の廊下で片を並べて座り込む二人の心情はとても複雑だった。

 

 このままで良いのか? 

 本当にこの道しかないのか?

 自分たちはどこで道を間違ったのか?

 

 自分で自分に問い掛けるが、その答えは出てこない。

 何か切っ掛けがあれば、その答えは出るかもしれないが……。

 

 

 

 その時である。

 

 

『───ッ! ────ッ! ────ッ!』

 

 

「「───ッ!?」」

 

 

 突如、機内に鳴り響く緊急のアラート。

 二人はすぐさまコックピットに向かう。そこには操縦桿を握るマリアと壁にもたれて立つドクター・ウェルとその隣で虚ろな眼で立つ未来があった。

 到着した二人は何があったのかと問い掛けると、マリアはそれに答えるように一枚のモニターを見せる。そこに写っていたのは、

 

 

「───米国の哨戒艦艇デスかッ!?」

 

「やはり来ましたか。こうなるのも予想の範疇。せいぜい奴らを葬り、世間の眼を此方に向けさせるのはどうでしょう?」

 

 

 そう言うドクター・ウェルの提案を、調と切歌は『弱者を生み出す強者のやり方』と否定するのだが、マリアは違った。

 世間に自分たちの主張を届けるには絶好のデモンストレーションだと。

 その方法こそが正しいのだというマリアを、調と切歌は信じられない物を見る目で見つめる。

 

 

「私は……私たちはフィーネ。弱者を支配する強者の世界構想を終わらせるの。故に、この道を進むことを恐れはしない」

 

 

 その言葉は、まるで呪縛。そう思った調と切歌の心の奥底では小さな決心がついていた。

 

 

 

 

 

 

 

●●●●●●●●●

 

 

 

 

 

 

 

 調たちが教えてくれた情報、『フロンティア』を目指す二課の職員たちと武瑠たち。

 その途中、了子が示した地点まで目と鼻の先という所でノイズ出現のアラートが鳴り響いた。その

 

 

「ノイズの出現波形(パターン)を検知ッ!」

 

「米国所属の艦艇より応援の要請ッ! しかし、この地点は───」

 

「詮索は後だッ! 急行するぞッ!」

 

「迎撃の準備にあたりますッ!」

 

「わ、わたしも「バカ言ってんじゃねえッ!」───ッ!?」

 

 

 翼と共に向かおうとする響だったが、クリスが彼女の肩を掴み、それを阻む。

 

 

「次シンフォギアを纏ったら死ぬかも知れねぇんだぞッ! それを分かってんのかッ!」

 

「そ、それは…………」

 

「武瑠とここにいろって、なぁ? お前はここからいなくなっちゃいけないんだからよ」

 

「クリスちゃん…………」

 

「武瑠ッ! こいつの事、頼んd───武瑠?」

 

 

 武瑠を探すクリス。

 しかし、先程まで彼が立っていた場所にも司令室の中にも彼の姿はなかった。

 

 

「まさか───」

 

 

 そのクリスの言葉に答えるように、藤尭がモニターに写ったある物を捉える。

 

 

「艦艇に接近する飛行物体を確認ッ! これは……キャプテン・ゴーストですッ!」

 

「なんだとぉッ!?」

 

「───ちッ! お前はここにいろッ!」

 

 

 駆け足でその場を去るクリスの背中を、響はただ見ている事しか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

●●●●●●●●●

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 モニター越しに見える、ノイズに向かって必死に弾幕を張る米国兵。

 調の中で、米国兵たちの今の姿は圧倒的な力に逃げまとう弱者の姿と重なった。

 

 

「……マリアッ! これが本当にマリアのしたかった事なのッ!? 弱い人たちを守るために本当に必要な事なのッ!?」

 

「…………ええ、そうよ」

 

 

 数瞬の間を置いて答えるマリア。だがしかし、調は見逃さなかった。彼女の口元に滲む赤色を。

 

 

「……───ッ!」

 

「し、調ッ!?」

 

 

 心の中で決意した調はコックピットを出ていき、切歌がその後を慌てて追いかける。

 彼女の向かった先。そこにあるのは機内の外へ繋がる扉。

 調はその扉を迷いなく開けた。

 

 

「調ッ! 何をやってるんデスかッ!」

 

「……切ちゃん、止めないで。マリアが苦しんでいるのなら、わたしが助けて上げるんだ」

(……そう。あのときの武瑠先輩がそうしたようにッ!)

 

「待つですよ、調ッ!」

 

 

 飛び降りようとする調の肩を切歌が掴む。

 そんな彼女に『やめて』と言おうとする調だったが、切歌が彼女に見せたある二つの物に言い留まる。それは、

 

 

「……それって、武瑠先輩の」

 

「……こっそり持ってきたデスよ。LiNKERを使おうにも、あのドクターが何を仕込んでいるか分かったもんじゃないデス。それに、あの人たちも来ているはずデスから、ちゃんと返さないと」

 

「……切ちゃん、ありがとう」

 

 

 調は切歌が出した物の一つを受け取り、二人は並んで扉に立つ。

 

 

「……一人じゃ無理でも」「二人なら怖くねぇデスッ!」

 

 

 躊躇いなく飛び降りる二人。

 下に向かって落ちる感覚とそれに反抗する空気抵抗を感じながら、二人は聖詠を唄う。

 

 

「Various shul shagana tron………♪」

 

「Zeios igalima raizen tron………♪」

 

 

 

 

 

 

 

~BGM『鏖鋸・シュルシャガナ』~

 

 

「首を傾げて 指からスルリ♪」

 

「デエェェェスッ!」

 

 

 艦艇に向かって急降下するなか、調は頭部のユニットから多数の小型丸鋸を射出する『α式 百輪廻』を放ち、切歌は『切・呪リeッtぉ』で眼下のノイズを駆逐していく。

 

 甲板に降り立つと、ターゲットを米国兵から調たちに切り替えたノイズが襲いかかる。だが、二人は慌てる様子もなく、各々のアームドギアでノイズたちを切り刻んでいく。

 

 

「……今さらノイズ」

 

「ザババの二振りがあるわたしたちの敵じゃねぇデスッ!」

 

 

 背中を合わせて構える二人。

 

 しかし、次に襲ってきたのはノイズではなく、空から降ってきた光。二人は対処できず被弾。そのまま吹き飛ばされ、甲板を転がる。

 

 光弾を放った人物……いや。動く災い、シャドウノイズが降り立つ。

 

 

『まったく……何をやっているんですか、お二人は?』

 

 

 シャドウノイズの首に下げられた小さなスピーカーからドクター・ウェルの声が聞こえる。

 落ち着いた優しい声音だが、今の二人には人を嘲笑っているようにしか聞こえなかった。

 

 

「……決まってる。マリアを助けるため……ッ!」

 

『助ける? 笑わせないで欲しいですね。LiNKER無しでは満足にも戦えないあなた達がどうやって?

 大人しく戻ってきなさい。我々の力で世界を救おうではありませんか』

 

『二人とも、戻ってきなさい。ドクターのやり方に従うのよ』

 

 

 スピーカーからマリアの声も聞こえる。

 いつもの二人なら、それだけで大人しく従うだろう。

 

 ───そう。()()()()()()()()

 

 

「「断るッ!」デスッ!」

 

『なにぃ……?』

 

「……前のわたしたちなら、ドクターのやり方に従ってた。それが正義なんだって。けど、今は違うッ!」

 

「本当に世界を救う人たちを……英雄達をわたしたちは見たッ! そして、正義の意味を教えてもらったデスッ!」

 

「……まだ、その意味を完全に理解した訳じゃないけど、これだけは分かる。ドクターのやり方じゃ世界は救えないッ!」

 

「わたしたちは昔のわたしたちじゃないデスッ! わたしたちはわたしたちの正義を信じてここにいるッ! みんなを助けるッ! お前なんかについてはいかないデスッ!」

 

『…………そうですか───なら、ここで死になさい』

 

 

 ドクター・ウェルの言葉に答えるように、シャドウノイズが魔方陣を展開。そこから召喚されたのは巨大な猪に似た化物、魔猪だった。

 

 

『どうですッ! 「オデュッセイア」に出てくる神代の魔女「キルケー」の力を持つシャドウノイズッ! 旅人を獣に変えたキルケーに対し、シャドウノイズはノイズを魔獣に変えるッ! LiNKERを投与していない貴様らで相手出来るかなッ!』

 

「……そんな事、どうでもいいッ!」

 

「わたしたちは、わたしたちを信じるデスッ!」

 

 

 調と切歌は立ち上がると機内から持ってきた()()を取り出す。

 

 

 それは眼魂。切歌が持つのは滾る焔を模した眼魂、調が取り出したのは黒と白のシンプルな眼魂。スイッチ押して現れたナンバリングは『G』。

 

 

 ───そう。彼女たちが持ってきたのは未来が盗んできた武瑠の眼魂、闘魂ブースト眼魂とオレゴースト眼魂だったのだ。

 

 

 二人は手に持った眼魂(それ)を掲げ、詠唱する。

 

 

 

「「───夢幻召喚(インストール)ッ!!」」

 

 

 二人の言葉に答えるように、足元に巨大な魔方陣が形成される。

 しかし、過去に翼たちが夢幻召喚したときのものとは違い、そこに写し出されたのは四角い紋章。中心に刻まれているのは瞳の紋章。

 

 魔方陣から溢れ出す光が調たちのシンフォギアと一つになっていく。

 

 

 光が収まると露になる二人の姿。

 各々のシンフォギアの特徴を残しながら、切歌は闘魂ブースト魂の、調はオレ魂の特徴を備えている。

 

 それは夢幻召喚にあらず。夢幻召喚は英雄の眼魂を使って英雄となる業。しかし、彼女たちが使ったのは英雄の眼魂ではない。

 結果、一方的に変化を与えるのではなく、互いに一つとなって変化する。

 

 そうして出来たシンフォギア。名付けるなら、そう……

 

 

 ───ゴーストギア、と。

 

 

 

 

 

「……なんか、凄いことになった」

 

「でも、負ける気がしねぇデスッ!」

 

「……同感。行こう、切ちゃんッ!」

 

「了解デスッ!」

 

 

 そう答えた切歌は鎌型アームドギアからガンガンハンマーモードに変え、調はシャドウノイズ、切歌は魔猪に挑むのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 シャドウノイズが迫ってくる調に向かって光弾を連射する。

 それを調はゆらり…ゆらり…とまるでゴーストのように宙に浮き、ゴーストのような動きで避けていく。

 

 

「……そんな遅い攻撃、当たらない」

 

 

 その言葉に怒ったのか、シャドウノイズは雄叫びをあげ、光の弾幕を張る。それは容易く調の体を飲み込み、消し炭にするだろう。

 

 しかし、

 

 

「───残念でした」

 

 

 ゴーストの能力、霊体化で難を逃れた調はシャドウノイズの後ろをとっており、シャドウノイズが振り向いた所を蹴りつける。

 

 吹き飛ぶシャドウノイズ。調は追撃の為にガンガンセイバーナギナタモードを手にする。

 

 

「……見せてあげる。ゴーストの力をッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「デスデスデェェェスッ!」

 

 

 突進してきた魔猪の顎をガンガンセイバーハンマーモードでかち上げる切歌。その細腕からは考えられない程の力で打ち上げられた魔猪の顎の骨からはゴキッと骨の砕ける音が聞こえる。

 あまりの痛さに転げ、甲板の上でのたうち回る魔猪。

 流石に危ないと判断した切歌は一旦後退。しかし、止めを諦めたわけではない。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……行くよ、切ちゃんッ!」

 

「オッケーデスッ!」

 

 

 互いに頷き、調はシャドウノイズに向かってガンガンセイバーを回し、切歌は腰を捻り、ガンガンセイバーを構える。

 二人の後ろに浮かび上がる瞳の紋章。そこから流れ出る光が彼女たちの持つ武器に籠められる。

 

 

「───命ッ!」「燃やすデスッ!」

 

 

 調は回転させたガンガンセイバーを投擲、切歌はハンマーを振り下ろし、業火の衝撃波を叩きつける。

 

 シャドウノイズは体を真っ二つに両断され、魔猪は衝撃波に潰され、業火でその身を焼き付くされる。

 その二つは言葉に出来ないような悲鳴を上げ、爆発と共に消滅するのだった。

 

 

「……大勝利」

 

「どんなもんデスッ!」

 

 

 自分達の勝利に胸を張る二人。

 

 ───しかし、戦いはまだ終わっていなかった。

 

 

「Rei shen shou jing rei zizzl………♪」

 

 

 上から聞こえて来る聖詠。

 見上げると、空から紫色の光を纏って降りてくる人影……シェンショウジンを纏う未来の姿があった。

 

 甲板に降り立った未来はバイザー越しに調たちを見据える。

 

「ねぇ……なんであなた達が武瑠の眼魂を使ってるの? それはあなた達の物じゃないの。返してくれないかな?」

 

「……これはあなたの眼魂でもない」

 

「ドクターの操り人形になってるお前なんかに、この二つは渡さないデスッ!」

 

「……………………そうなんだ」

 

 

 そう短く返す未来に調たちは仕掛けてくるかと身構えるが、来たのは攻撃ではなく笑い声だった。

 

 

「アハ、アハハ……アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!」

 

「……な、なに?」

 

「こ、怖いデス……」

 

「そっかぁ。あなた達も邪魔するんだ? 武瑠が生き返るのを邪魔するんだ?

 

 ───許さない」

 

「「───ッ!?」」

 

「許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さナイ許さナイ許さナイ許さナイ許さナイ許さナイ許さナイ許サナイ許サナイ許サナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイッ!」

 

 

 次の瞬間、離れていた場所に立っていた筈の未来の姿が調の背後にあった。

 

 

「調───ッ!」

 

「───ッ!?」

 

 

 振り返った時には既に遅く、未来の蹴りが調の腹に深く突き刺さり、彼女の体が甲板にめり込んだ。

 

 

「調ッ!?」

 

「余所見してていいのかな?」

 

「───チッ!?」

 

 

 ガキンッと未来の持つ扇型アームドギアと切歌の持つガンガンセイバーが火花を散らす。

 普通ならゴーストギアを纏う切歌の方が力と能力で有利だと思われる。

 しかし、未来はネクロムとしての戦闘経験があり、さらにはシェンショウジンが切歌の戦闘パターンを解析し、それを未来自身にフィードバックさせているため、その差を埋めている。

 

 徐々に押され始める切歌。

 

 最後には至近距離で射ち出された光線にガンガンセイバーを砕かれ、調のすぐ近くまで吹き飛ばされる。

 

 

「切、ちゃん……」

 

「しら、べ……」

 

「二人は仲良しだったよね? だったら、せめて一緒に死なせてあげる」

 

 

 未来の手に持った扇が円状に展開。そこから片手では数えきれない程の光弾を放つ技『閃光』が調たちを襲う。

 

 調たちは知っている。未来が纏うシェンショウジンの攻撃はギアの防御を貫通する事を。しかも、光弾が向かう先はどれも頭部。

 

 ───助からない。

 

 その恐怖に固く目を閉じる二人……だったのだが、突如彼女たちの後ろから鳴り響いた銃声。連続して何度も聞こえたそれと同時に飛んできた紅の弾丸が光弾を的確に撃ち落とす。

 

 調たちは何が起こったのか理解出来ずに唖然としているが、彼女たちと向かい合う未来は何が起こったのかを一部始終見ていた。

 

 

「久しぶりだな、未来」

 

「武瑠…………」

 

 

 サングラスラッシャーを片手に調たちの前に出る武瑠。

 

 

「大丈夫か、二人とも?」

 

「……武瑠、先輩……なんで……ッ!?」

 

「危ないデス…ッ! 眼魂もなしに戦うなんて…ッ!」

 

「問題ないよ。策はある」

 

 

 改めて、未来と向かい合う武瑠。

 バイザーが開き、光を失っている未来の目が露になる。

 

 

「また、邪魔をするの……?」

 

「あぁ。お前を止めに来た」

 

「なんで……なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでッ! なんで分かってくれないのッ!? 邪魔しないでって言ったよねッ!? なのになんでッ!」

 

「お前の方法じゃあ、響も……誰も救えないからだ」

 

「どういうこと……わたしのやり方じゃ救えないってどういうことッ! 響も武瑠も傷つかないように、わたしは最善の方法を選んだッ! 眼魂も揃って、響を助ける力を手に入れたッ! なのにn「そういうことじゃないッ!」……ッ!」

 

「救うってのは、ただ一方的に助けることじゃない。

 互いに手を取り合い、互いに助け合うことで、人は初めて救われる。未来が今やっていることは単なる自己満足だッ!」

 

 

 はっきりと言い放つ武瑠の気迫に、未来は怖じ気づいたのか一歩だけ後ろに下がる。しかし、すぐに怒りの感情を顔に浮かべる。

 

 

「……わたしのやってることが自己満足って言うなら止めてみなよ。止めれるものならッ!」

 

 

 再び放たれた『閃光』が武瑠に襲いかかる。

 武瑠は未来に向かって走りながら、サングラスラッシャーで自分に当たると判断したものだけを的確に撃ち落とす。

 

 距離一メートル。

 

 武瑠はサングラスラッシャーをブラスターモードからソードモードに変形させ、斬りかかる。未来もアームドギアを元の状態に戻して応戦。

 

 二人の間に何度も火花が散り、その度に二人の戦いは激しくなる。

 

 

「考えたね、武瑠。いくら戦闘パターンを解析するといっても、それには限度がある。その限度を越えて戦えば渡り合えるかもしれない。でも───」

 

 

 未来が脚部のスラスターを吹かせ、武瑠の体を押し出す。

 

 

「くッ───!?」

 

「生身の状態で勝てる程、わたしは弱くないッ!」

 

 

 繰り出されるアームドギアの一撃をなんとかガードする武瑠だったが、距離が開いた所を未来は的確に狙っていく。

 

 脚部の装甲から円形のミラーパネルを形成。それを腕から伸びるケーブルと接続し、エネルギーを充填する。

 

 武瑠は避けるか隠れようと考えるが、艦艇の甲板に隠れる場所などなく、下手に避ければ調たちに当たってしまう。

 

 しかし、そんな迷っている間にも充填が完了。武瑠に向かって、極太のビーム『流星』が放たれる。

 

 

 避ける事も出来ず、ただその攻撃が自分に迫るのを確認することしか出来ない武瑠の視界を閃光が包み込むのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その光が収まった時、気がつくと、武瑠はある場所にいた。

 

 正面に広がるステージ。そこに視線が集まるように並べられた観客席。周りを囲む塀の向こう側にも席は続いており、ここには万を越える人々を招き入れることが出来るだろう。

 

 

「ここ、は…………?」

 

 

 

 

「ここはちょっとしたステージ会場。かつて、一人の戦士がその身を犠牲に、力を一人の少女に託した、戦場だ」

 

 

 聞き覚えのある声に視線を向ける。そこにはユラユラと宙を漂うユルセンの姿があった。

 

 

「ユルセン……?」

 

「お前、本当にバカなのか? 眼魂もないのに挑むなんて、自殺願望でもあるのか?」

 

「……別に自殺願望はないよ」

 

「じゃあ、なんでだ?」

 

「───体が動いた。ただそれだけ」

 

「…………………………はぁぁぁ」

 

 

 武瑠の言葉に深いため息をはくユルセン。そのため息には、どこか呆れたような、諦めたような、だけど、納得したような感情が込められていた。

 

 

「ほんと……お前を見てると、昔の()()()を思い出すよ。危なっかしくて見てらんねぇ。

 

 ───だから、取って置きのをくれてやる」

 

 

 ユルセンの体が光に包まれ、一つの眼魂となって武瑠の手に収まる。

 その瞬間、彼の頭の中に、その眼魂に込められた魂の……彼女の記憶と思いが流れ込んでくる。

 

 

「……ありがとう。力を借りるよ、ユルセン……いや」

 

 

 

 

 

 

 ───奏さんッ!

 

 

 

《カイガン! カナデ!

 纏うは擊槍! 片翼の無双!》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

●●●●●●●●●

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『流星』が放たれ、大きく削られた甲板に埃が舞い、武瑠を隠す。

 だが、無防備な状態であの一撃をくらったのだ。無事ではすまないだろう。下手をすれば……。

 

 

「大丈夫だよ。わたしがずっと側で看病してあげるから」

 

 

 そう言って、ゆっくりと武瑠が立っていた場所に近づく未来だったが、すぐに足を止めることになる。

 

 なぜなら、聞こえたからだ。

 彼女が今まで一度も聞いたことがない唄……()()が。

 

 

 

「Croitzal ronzell gungnir zizzl………♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

~BGM『私ト云ウ 音奏デ 尽キルマデ』~

 

 

 

 

 

 次の瞬間、煙が吹き飛び、眩い光に包まれた素体(トランジェントフォーム)のゴーストが姿を現す。

 

 その光……いや。その光とほぼ同じものを未来は知っていた。何せ、何度もすぐ側で見てきたのだから。

 

 

「その光、響と同じ───ッ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方。甲板上の戦いを一部始終見ていた二課ではちょっとした騒ぎが起きていた。

 

 

「新たな高エネルギー反応を検知ッ! アウフヴァッヘン波形ですッ!」

 

「データベースより特定ッ! これは───ッ!?」

 

 

 二課の職員が見守るなか、モニターにそのアウフヴァッヘン波形が何のものなのか表示された。

 それは、

 

 

「──ガングニール、だとぉッ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゴーストの素体に、普段とは違い、鎧が装着される。

 

 オレンジ色のラインが入った黒いレッグアーマー。腕に装着された白い籠手は響がシンフォギアを纏ったときのそれに酷似しており、首から腰までにかけては白と黒のラインが入ったアーマー。ベルトの下から靡く黒い腰マント。頭部はいつものパーカーではなく、片翼を広げた天使を模したマスクと響の物に似たヘッドギア。

 

 

 その人物は英雄にあらず。

 ただ、己が救いたいと願った者たちの為に戦った、北欧の神槍に選ばれた一人の歌姫。

 

 その歌姫の名は『天羽 奏』。

 

 

 そして、今。彼女の魂と……ガングニールの力を秘めた歌姫の魂と一つになった仮面ライダーゴーストの新たなる姿。それが

 

 

 ───仮面ライダーゴースト カナデ魂

 

 

 

 

 戦場に、無双の片翼が再び舞い降りた瞬間である。

 

 

 

 




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