天空寺 武瑠、セレナ・カデンツァナ・イヴ、小日向 未来に仮面ライダーの力を与えた張本人でもある。
ドクター・ウェルが未来くんを利用し、フロンティアを起動させようとしていた。
武瑠くんと響くんの活躍により救出に成功するが、フロンティアの封印が解かれ、その姿をついに現した。
彼らの戦いは、いよいよクライマックスに向かうのだった。
二課仮本部の司令室。
そこのモニターに写し出されたフロンティアを見て、弦十郎やその場に残ってキーボードを打つ藤尭、弦十郎の側に立っていた緒川、通信を繋いでいる了子はその巨大さにただ驚くしかなかった。
「これがF.I.S.が求めていたフロンティア……」
「しかも、海上に出ている部分はほんの一部。了子さんから話を聞いていましたけど、これ程までに大きいとは」
『ごめん。正直に言うと、私もこれは予想外だわ。このサイズ、小さい国の住人くらいは移住できるわよ』
「全容は分かるか?」
『それの答えはNO。いくらフィーネといっても把握しきれないものもあるのよ。だから、敵のこれからの動きなんて分からないわ』
「俺たちは、完全に遅れをとっていると言うことk「考え事かい、弦十郎の旦那」───……奏……いや。ユルセンくんと呼ぶべきか?」
「この姿の時くらいは奏で頼むよ。改めて、久しぶり」
「まさか、お前が幽霊になってすぐ側にいたとはな。翼とは、もう話したのか?」
「ああ。泣き虫な所は昔のまんまだったよ。旦那は少しだけ変わったな。うじうじ考えるのはあんたのすることじゃないだろ?」
「俺だって考え事をするさ。それに責任者として彼女たちを守る義務が───」
「だから大丈夫だって。アイツらは旦那が心配するほど柔じゃねぇよ」
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その頃、友里の案内で医務室に訪れた武瑠、響、翼、クリス、調、切歌。
そこでベッドの上に座っている未来を見た瞬間、武瑠と響は嬉しさのあまり彼女に駆け寄った。
「───未来ッ!」
「きゃッ!? もう響、急に抱きつかないでよ」
「だってぇ~……」
「だってもこうもないだろ? 未来は一応、怪我人なんだから」
「武瑠、一応じゃないからね」
仲良く会話する彼らの姿は先程まで戦闘していたのが嘘のように思わせ、それを見た翼、クリス、友里の三人は、いつもの彼らにようやく戻ったのだと安心感を覚えた。
「あれでこそ、立花たちだな」
「そうね。クリスちゃんたちは行かなくていいの?」
「あの空気で行けるかっての……まあ、行かなきゃって思ってる奴らがいるみたいだけどな」
チラリとクリスが視線を後ろに移すと、そこには意を決したといわんばかりに真剣な顔つきの調たちがいた。
二人は武瑠たちに歩みより、頭を深く下げた。
「「ごめんなさい」デスッ!」
「ど、どうしたの、二人とも?」
「……わたしたちは貴女を操って、無理矢理戦わせていた」
「それどころか、貴女の大切な人たちを傷つけたッ! 本当にごめんなさいデスッ!」
この程度で許されるとは思っていない。ある程度の事は覚悟している二人だったが、未来から帰ってきた返事は、
「───別に気にしてないよ」
「……───え?」
「で、でもッ! わたしたちは───」
「弱みにつけこまれたとはいっても、シェンショウジンに手を伸ばしたのはわたしの意思だし。それに無理矢理戦わせていたのはあなたたちっていうわけじゃないでしょ?」
「それに、あのとき二人が戦ってくれたからノイズの被害が抑えられたんだよ。ありがとうッ!」
「俺の眼魂も二人が持ってきてくれなかったら、最悪の場合壊されてたかも知れないしな。だから、二人が謝る必要は無いんだよ」
ポンポンと武瑠が二人の頭を優しく撫でると、調たちは恥ずかしいのか、頬を少しだけ赤く染めた。
「……武瑠先輩は色々とズルい」
「? 何が?」
「……はぁ」
「どうしたの、未来? 急にタメ息なんて」
「気にしないで。響に対してのじゃないから」
疑問符を浮かべる響に武瑠。
そんなとき、友里の通信機に着信音。弦十郎から司令室に集合するように指示がかかった。
「わかりました……皆、面会はここまで。今から司令室に向かうわよ。調ちゃんたちも来てちょうだい」
「「了解」デス」
「了解───と、その前に」
医務室から出ようとした武瑠だったが、足を止めて未来に顔を向ける。
「どうしたの?」
「あぁ、いやぁ、そのぉ……あの言葉にたいした意味はないから。深く考えないでくれ」
「あの言葉って?」
「いや、分からないならいい。それじゃあ、また後でな」
その言葉を残して、武瑠も響たちの後を追うのだった。
部屋から武瑠たちが出て行くのを見届けた未来は部屋に自分しか残ってないことを確認し、枕に顔を埋める。
(もう、いいよね……)
実を言うと、未来は今まで我慢していた。
本当なら我慢したくなかったのだが、武瑠たちが来る気配を感じたのでそうするしかなかったのだ。
未来は心の中で、我慢していた
(───あああああああああああああああッ!!!)
それは絶叫。恐怖や驚きから来るものではなく、羞恥心から来るものだった。鏡があるのなら間違いなく顔を真っ赤に染めた自分が写るだろう。
(なんでッ!? なんであんなことを言ったの、わたしッ!? 普通に考えて、ずっとを連呼するッ!? 洗脳されていたとしてもどうしてッ!!?)
ここで一つだけ明らかにしておこう。
未来は意志の強い少女だ。故に、そう簡単には洗脳にはかからない。だからこそ、ドクター・ウェルは彼女の理性を外し、精神が隙だらけになった所を介入。体の自由を奪われ、彼に操られていた未来だったが、その間に口にしていたことや行動に移した事は彼女の心の奥底が行ったこと。つまりは彼女の隠された心が行ったといっても過言ではなかった。
その事は未来自身も分かっている。だからこそ、彼女は穴があれば入りたい程の羞恥心に襲われていたのだ。
それに加え、
『そんなことをする手足は引きちぎった方がいいよね? 大丈夫。ちゃんとわたしが面倒を見てあげるから』
『それはごめんかな? そうなったら、響や未来を抱き締めることが出来ないし』
(抱き締めるって何をッ!? 深い意味はないって言ってたけど、余計に深く考えるじゃんッ! というか、わたしもわたしだよッ! なにッ!? 手足を引きちぎって面倒を見るってッ!? 重たい娘って思われてるよ絶対ッ!)
「~~~~~~ッ!」
枕に顔を埋め、くぐもった叫び声が医務室に響き渡る。
一方、部屋に入ろうとしていた魔術師は今入るとただでは済まないことを予測し、彼女が落ち着くまで部屋の外で待つことにした。
(早くしてくれないかなぁ……せっかく修理して、持ってきたのに)
扉の前で待つ彼の手には傷一つない腕に装着するタイプの装置が握られていた。
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「フロンティアへの接近はもう間もなくですッ!」
藤尭の声に、武瑠に奏、その場に集まった弦十郎を始めとした二課職員。そして、シンフォギア装者の五人の顔つきが険しくなる。
「それでは作戦を説明する。
……と言っても、武瑠くん、翼、クリスくん三人でフロンティアに突入し、中にいるフィーネの残党を拘束するだけだ。内容だけなら単純だが───」
「敵の手にはソロモンの杖がある。ノイズに対抗できるとはいえ、数で圧倒されればどうすることも出来ません」
「なら、あたしがソロモンの杖を取り返す。ソロモンの杖を起動させたのはあたしだ。なら、あたしが落とし前をつける」
「クリスくん、今はそういうことを言っている場合じゃないんだぞ」
「分かってる……───でも、これだけは譲れねぇ」
その真っ直ぐな瞳に、考えを曲げないだろうと誰もが悟るなか、武瑠が改めて問いかける。
「本当に行くの?」
「当たり前だ。何度も言わせるな」
「なら───これを持ってって」
武瑠がクリスに差し出したのはオレ眼魂。
「絶対に返しに来て」
「……おう。約束だ」
クリスが眼魂を受けとる。
皆が作戦開始のために動き始めようとする。
その時だった。突然、彼らの乗る潜水艇が大きく揺れた。
「どうしたッ!?」
「広範囲に渡って海底が隆起ッ! 我々の直下からも迫っていますッ!」
それから間を置かずして、さらに大きな揺れが潜水艇を襲った。
「い、一体、何がッ!?」
「───ドクター・ウェルがフロンティアをほぼ完全に掌握したんだよ」
扉を開けて入ってきた魔術師。
彼はドクター・ウェルがフロンティアの装置を利用して、月の落下を早まらせた事を知らせる。
「事は一刻を争う。すぐに行動を起こすべきではないかな?」
「言われなくても分かっているッ! 武瑠くん、翼、クリスくんッ! すぐに出撃の準備w「と、その前に」───今度はなんだッ!」
「このタイミングで急がせた僕が言うのもどうかと思うけど、もう一人戦力になる子を連れてきたよ。入っておいで」
魔術師の言葉に、一人の少女が司令室に入ってくる。
「「───未来ッ!?」」
「未来くんッ! まだ安静にしていないと───」
「魔術師さんに治療してもらったんで大丈夫です。わたしも行かせてください」
「……どうしても行くんだね?」
「───はい」
「未来、本当に大丈夫なの?」
心配する響に未来は笑顔で大丈夫だと答える。
「わたしは大丈夫。今度こそ、自分を見失わず、皆と肩を並べて前に進む。それが助けるって事でしょ、武瑠?」
「……ああ。そうだよ」
「───よしッ! 四人はすぐに出撃準備ッ! 作戦は五分後に開始するッ!」
「「「「了解───ッ!」」」」
「奏ッ! もう一度力を貸してくれるかッ!?」
「他ならぬ旦那の頼みだ。任せなッ!」
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五分後。
カタパルトの上でゴーストライカー、マシンネクロムが並ぶなか、五人の戦士がその場に集まる。
「しかし、形が違うとはいえ、また奏と肩を並べることになるとはな」
「ああ。確かになぁ」
「未来。その紫色の眼魂は? 持ってなかったよね?」
「これ? 魔術師さんから渡されたんだ」
「これから戦場だってのに気楽だな」
「戦場だからこそ、リラックスして視野を広げるべきなんだよ。奏さん、そろそろ」
「了解。フォーム……チェーンジッ!」
奏が眼魂の状態になって武瑠の手に収まり、武瑠とクリスはゴーストライカー、翼と未来がマシンネクロムに跨がった。
「じゃあ、途中まで頼んだぜ」
「了解」
「小日向、お前のマシンを借りるぞ」
「壊さないでくださいね」
武瑠、翼が運転し、その後ろにクリスと未来が座る。
互いに準備を終えた四人は頷き、武瑠と翼はバイクを発進させた。
スピードを上げ、カタパルトから飛び降りる四人は各々の力を解放する。
「「───変身!」」
「Killiter Ichaival tron───♪」
「Imyuteus amenohabakiri tron──♪」
今まさに、世界の命運をかけた戦いの火蓋が切って落とされた。
出来ることなら、xv始まる前にG編を完結させたかった……ッ!
どうも皆さんッ! メンツコアラです。
ついに始まったXV。これからの展開が楽しみですね。
それでは今回はこれにて。
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