どんな感じになったかは読んでみてのお楽しみ。
それではどうぞ。
───私が彼女と出会ったのは二年前のあの日……
全てに絶望し、何もかも信じれなくなった、あの雨の日。
「サーヴァント、ライダーよ。私の戦ってくれる勇士は貴女かしら?」
色褪せた私の世界に現れた、宝石のような存在。
何処までも我が儘で、傲慢で、好き勝手で、自己中心的で、自己意識が高くて……でも、誰よりも輝いていた。
彼女から教えてもらったが、どうやら彼女は英霊と呼ばれるもので、聖杯と呼ばれる、何でも願いが叶うものを手に入れるために呼ばれた幽霊らしい。もっとも、私は彼女を呼んだ覚えはないし、願いがあるわけでもない。
だけど、それを彼女に言ったとき、盛大に呆れられた。
『嘘は止めてくれる? 私、下らない嘘は嫌いなの』
嘘じゃない。だって、その時の私には何もなかったのだから。
あの日から二年。多くの出来事があった。
胸に響く歌と憎いノイズを殺す事の出来る力。
他のサーヴァントとの戦闘。特に危なかったのはランサー…真名は忘れたけど、確かインドに関係した白髪の男の人だったのは覚えてる。マスターはお年寄りで、刀で簡単に鉄を斬っていた。一歩間違えれば、私もライダーも死んでいたと思う。実際、戦いの後は指一本動かせなかった。
そして、聖杯。
ライダーは自分の願いを聞く前に、私にもう一度聞いてきた。あの時と同じ質問だ。
それに私は、こう答えた。
『離れたくない』
その時の私にとって、ライダーは仲間だった。戦友だった。親友だった。だからこそ、友達と離れたくないと願った……いや。それは建前だ。私は何よりも、一人になるのが怖かったのだ。
私の願いを聞いた彼女は優しい微笑みを見せた。
『何を言ってるのよ。貴女は私のマスター。つまり、私のものよ? 私が自分のものを手放すと思って?』
彼女の言葉は今でも胸に残っている。
ライダーは座、という場所に帰らず、この世界に残った。聖杯自身を取り込むことで、無限の魔力を得たらしい。
それ以降、私たちはノイズを狩りながら日々を過ごし、今日、あの日から二回目の私の誕生日が訪れた。
「……ただいま」
「お帰りなさい。遅かったわね」
ノイズの襲撃で隔離区域となった地域。そのまま放置されたホテルの一室。少し埃被ったソファーに彼女は座っていた。
「うん……ノイズがいたから」
「警報は鳴ってないわよね? まったく……あの二課とかいうやつら、仕事しなさいよ。
それよりも、ちょっとこっちに来なさい」
「え? 何を「いいから来なさい」」
腕を捕まれ、そのまま彼女の隣に座らされ、
「──はい。誕生日プレゼント」
「…………え?」
それは琥珀色のペンダント。多分、本物。
だけど、そんな事よりも驚いたのが彼女の行動だ。去年の誕生日、彼女は私の誕生日を知ると、その、えっと、ベッドに、ゴニョゴニョ……
と、とにかく。彼女がこうやってプレゼントを渡してくるとは思ってなかった。
「うん。私の見立て通り、貴女は琥珀が似合うわね」
「ら、ライダー? なんで?」
「なんでって、言ったでしょう? 誕生日プレゼントだって」
「いや、だって……」
「ああもうッ! グズグズしないッ! 私があげるって言っているんだから受け取りなさいッ!」
「じゃ、じゃあ……」
私はそのペンダントを着けた。
とても暖かな重み……誕生日プレゼントは何度も貰ったことはあるが、ここまで嬉しく感じた事はない。
「ライダー……その……」
「なに? 言いたいことがあるならハッキリと言いなさい」
「あ、あり───」
ウウウヴヴヴぅぅぅぅぅッ!
───…………はぁ。
「来たみたいね。どうする?」
「行く」
「OK。なら、早速行くわよッ!」
ライダーと共にホテルのベランダから外へ飛び降り、彼女と共に戦場へ向かう。もう何度も経験したが、やはり飛び降りは生きた心地がしない。だけど、それよりも───
「ねぇ、メイヴッ!」
「何かしらッ!」
「ありがとうッ! これからもよろしくッ!」
「どういたしましてッ! 貴女も精々頑張りなさい、響ッ!」
これは、私と彼女の物語。
我が儘なお嬢様と壊すことしか出来ない私の物語。
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響&武瑠『本編関係ないじゃんッ!?』
はい。今回はグレビッキーが聖杯戦争で女王メイヴを召喚していたらという感じで書いてみました。
へ? 本編関係ない? いや。最後に武瑠たち出ていたじゃないですか。それで問題ないと思いたい……
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