どうも皆さん。FGOのデータが消えて、放心状態一歩手前になりかけているメンツコアラです。どうしてなのか、なんでこうなったのか、理由は一切分かりません。
言えることはただ一つ……皆さんは俺みたいにならないように、しっかりバックアップを取って下さいねッ!
それではシンフォギアゴースト新話どうぞ……
ライネスに時計塔へ連れてこられてから十数分後。
時計塔の図書館で武瑠は数時間前同様、机に突っ伏していた。
「はぁぁぁ───……」
「武瑠。周りの迷惑になるから、大きなタメ息は止めた方がいいよ」
「そう言ってやるな、小日向。彼の言葉を聞けば、タメ息をつきたくなるだろう。なにせ、
話は武瑠たちがライネスに連れられ、ある扉の前で止まった時まで戻る。
「入るよ、元兄上」
ノックも無しに、遠慮無く扉を開けるライネス。
扉の奥にあったのは質素な部屋だった。壁際に置かれた大きな本棚。中央には応接用の机とソファー。窓を背にして置かれたデスクには長髪の男性と、その横にはフードを深く被った女性が立っていた。
「……ロード。前にも言いましたが、ノック無しに入ってくるのは止めて欲しい」
「私もその他人行儀な喋り方を止めろと言ったはずだが? 元とは言え、私たちは兄妹じゃないか」
「仮にもロードである貴女に私語は出来ませんよ。所で、そちらの方々は? 見たところ、魔術師では無いようですが」
「元兄上の客だよ」
「天空寺 武瑠です。日本から来ました」
「───天空寺だと? 失礼。君は天空寺 龍という男を知っているか?」
「は、はい。俺の父親ですけど……」
「そうか……」
「あの、父さんがd「帰ってくれ」───え?」
「帰ってくれと言ったんだ」
「ま、待ってくださいッ! 俺たちは貴方に話があって───」
「私はないッ! 天空寺 龍の息子に話すことなどなッ!」
「あの怒り様。かなりのものだったな」
「お前のパパさん、あの人に何したんだよ」
「知らないから悩んでるんだ」
また武瑠の口からタメ息が出る。
そんな時だった。
「あ、あのぉ……」
声をかけられ、顔を向ける武瑠たち。そこにはウェイバーの隣にいた女性がいた。深く被られたフードで顔は分からないが、背丈や雰囲気から歳はマリアと同じ位だろうか。
「貴女、ウェイバーさんの隣にいた……」
「グレイと申します。先程は師匠が申し訳御座いませんでした。師匠も悪気があって言った訳じゃないんです。あのあと、八つ当たりしてしまったと自分を責めていましたので……」
「あ、いや。そこまで気にしてはないですから。
……所で、師匠ってウェイバーさんの事ですよね? なら、なんであんなに怒っていたのか、理由を知りませんか? 俺の父さんが何かやったみたいですけど、全く知らなくて」
「……すいません。その理由を拙の口から言うことは出来ないんです」
「そうですか……」
あわよくばと思ったが、彼女の口からは言えないとなると相当酷い理由なのか。自分の父親が一体何をしたのか。余計に気になる武瑠だったが、
『みっともねぇよな。いつまでもグズグズと引きずってよぉ』
グレイから聞こえた第三者の声。
突然の事に困惑する武瑠たちに、グレイは戸惑いながらも腰に下げていた鳥籠を机の上に置いた。その籠の中に入っていたのは鳥ではなく、目と口がついた立方体の匣だった。
「えっと……これは……?」
『よう、坊主。俺はアッドってんだ。よろしくな』
アッド……そう名乗った陽気な匣に最初こそ驚きはしたが、武瑠たちはごく普通に『よろしく』と返答した。
「ま、魔術師じゃなんですよね? 驚かないんですか?」
「これでもいろんな事を見てきたんだ。喋る匣位で驚かねぇよ」
「むしろ可愛いと思いますッ!」
『お? 嬢ちゃん、嬉しいこと言ってくれるじゃねぇか』
少年、少女たちが匣と会話している。端から見れば奇っ怪な光景だが、ここ時計塔では特に可笑しいことではなく、代わりに話し声が煩いと咎めるよな視線が向けられていた。
武瑠たちはその視線に気づいたが、響とアッドだけはそれに気付かず……いや。アッドは気付いてはいるが無視して会話を続けるので、それを止めようとするのだった。
「はぁ……」
ウェイバーは一人、ソファの上で天井を仰いでいた。
(いくら天空寺 龍の息子でも、あの子は完全に部外者だ。なのに八つ当たりなんて───)
懐から小さな箱を取り出し、中から所々が解れ、ボロボロになった朱色の布切れを手に取った。
「……お前なら、何と言うんだろうな」
「おやおや。貴方が持っていましたか。その触媒を」
「───ッ!?」
聞こえるはずがない自分以外の声にすぐさま体を起こそうとするウェイバーだったが、まるで体を大の男に押さえつけられたかのように動かすことが出来なかった。
(魔術による拘束だとッ!? いつの間に───)
「お前は……一体ッ……!?」
「御初に御目にかかります、先代ロード・エルメロイ。私は学士のキャスター。以後、お見知り置きを」
「まさか、サーヴァント!?」
「正解。貴方の予想通り、私はクラスキャスターのサーヴァント。真名はまだ教えられません」
そう言った男『学士のキャスター』はウェイバーの手から朱色の布切れ『イスカンダルのマント』を奪い取った。
「かえ、せ……!」
「それは無理ですね。何せ、来るべき日の為に少しでも手駒が必要。故にサーヴァントとしては一流のイスカンダルを呼ぶことにしたが……
「……!? まさか、サーヴァントを───」
「その通り。どうせなら、そこで見ていなさい。目の前で神秘が起こる瞬間をッ!」
それは何の前触れもなく訪れた。
『「───ッ!?」』
「どうしたの、武瑠?」
「あ、いや……」
(なんだ、今の押し潰されるような感覚は……!?)
『おいおい、ヤベェぞッ! 嫌な魔力がわんさか現れてるッ!』
「……皆さんはここに居てくださいッ! 私は外の様子を見てきますッ!」
「あ、グレイさん───行っちゃった」
そんなとき、響が持つ通信機に弦十郎から連絡が入った。
『聞こえるか、お前たちッ! 今、何処に居るッ!?』
「ロンドンの時計塔ですけど……」
『ちょうどいいッ! 今、君たちが居る場所から高エネルギー反応を確認したッ! アースで観測した結果、謎の人型が出現し、建物内の人々を攻撃しているッ!
「おいッ! 謎の人型ってなんなんだよッ!」
『此方も不明だッ! 確かなのは、ノイズでも人でもない未知の存在ということだけ。既に装者並びにライダーの国外活動許可は取ってあるッ! 総員、謎の人型の対処を頼むッ!』
「「「「「了解ッ!」」」」」
『おいおいおいおいッ! どんどん増えてるぞぉッ!!』
「分かっていますッ!」
廊下を駆けるグレイ。
アッドのナビに従い、魔力の発生源へ向かうなか、彼女は自身が自然とウェイバーの部屋に向かっている事に気付き、嫌な想像をしてしまう。
(師匠、どうか御無事で───)
『次ッ! そこの角を左n───グレイ、避けろッ!』
「───ッ!」
咄嗟に横に飛ぶグレイ。その瞬間、先程まで彼女が立っていた場所に剣が振り下ろされた。
「あれは……!?」
着地したグレイが見たのは奇っ怪な姿をした何か。角張った体や胴体に繋がっていない手足。目などは分からないが明らかにグレイを認識している。しかも、その数は視認出来るだけでも十を越えていた。
「アッドッ!」
『おおさッ!』
「第一段階ッ! 限定解除ッ!」
グレイの言葉に応え、アッドが一振りの大鎌『
戦ってみると、謎の人型一体一体の強さは大した物ではなかった。まるでプログラムされたことしか出来ない機械のような動きをする奴らを倒すのに然程苦労はしない。しかし、
「数が、多すぎるッ!」
『どんどん増えてるぞッ!』
一体倒している間に二体、三体と増えていく謎の人型。狭い廊下では死神の鎌を振り回す事も出来ない。
(変形しようにも、その暇がない。どうすれば──「グレイさんッ! しゃがんでッ!」───ッ!?)
聞こえた声に従って、しゃがんだグレイの頭上を灼熱の炎が通り過ぎ、謎の人型の軍団を焼き斬っていく。振り返れば、そこにはサングラスラッシャーを持ったゴースト闘魂ブースト魂の姿があった。
「グレイさん、大丈夫ですかッ!?」
「天空寺さんッ!? あの、その格好は一体……?」
『こんなときにコスプレとか余裕かッ!?』
「いや、コスプレじゃなくて、魔術礼装的な物って言えばいいのかな? とにかく、援護に来ました。他の所は響達が対処しています。俺たちは目の前の奴らを。
───沖田、力を貸してくれ」
『速攻でカタを着けますよッ!』
武瑠は懐から浅葱色の眼魂『オキタゴースト眼魂』を取り出した。それを見たアッドは眼魂の持つ魔力量に驚いていたが、武瑠は気にせず、その眼魂のスイッチを押してゴーストチェンジを行った。
《カイガン!オキタ!
無明の剣!誠の誓い!》
ゴーストの体に、『誠』の字が背中に刻まれた浅葱色のパーカーゴーストが纏われ、顔に誠の字と彼方が刻まれたマスクが装着される。
幕末の京都。剣客集団としても恐れられた治安組織『新撰組』の一番隊隊長にして天才剣士『沖田総司』の力を纏い、『仮面ライダーゴースト オキタ魂』となったゴーストはサングラスラッシャーを片手に謎の人型達へ斬り込む。
「はッ! せいッ!」
鋭く、早く、しかし滑らかな、まるで舞踊のようにも見える剣撃は次々に謎の人型を切り捨て、その一太刀で確実に命を断った。
グレイと違い、ゴーストが使っている得物は剣。廊下でも問題なく振るえ、少しずつではあるが確実に数を減らしていった。
「す、すごい……あれが日本のSAMURAIなんでしょうか?」
『お前も余裕かッ!? そんなことより、アレを見ろッ!』
「え? ……───あれはッ!」
アッドが示した方向……今まで気づかなかったが、謎の人型の軍団の奥にクラゲのような異形が漂っていた。その異形の頭部からは視認できる程の濃度の魔力が溢れ、そこから謎の異形が姿を表した。
「あれがコイツらの親玉か」
『さしずめ、「
「行くぞ、俵さんッ!」
『では、やるかッ!』
『えッ!? ここは沖田さんの力で無双パートでは無いんですかッ! 初めての沖田さんの活躍シーンこれだけッ!? ちょっと武瑠ッ!? 武瑠うううぅぅぅぅッ!!』
沖田が涙声で必死に訴えてくるが、武瑠は気にせずライトグリーンの眼魂『タワラゴースト眼魂』とオキタ眼魂を取り替えた。
《カイガン!タワラ!
百足!宴!無限の俵!》
ゴーストの体に和風のパーカーゴースト、頭部に百足と弓矢が描かれたマスクが装着され、手にはガンガンセイバー アローモードが握られていた。
竜殺しの逸話は数あれど、極東の竜殺しといえばこの男。東国における武芸の祖と崇められ、後に藤原 秀郷と名乗る平安時代の武将『俵 藤太』。
その力を纏ったゴーストの姿こそ、
仮面ライダーゴースト タワラ魂である。
《ダイカイガン!》
「南無八幡大菩薩……
願わくば、この矢を届け給えッ!」
《タワラ!オメガドライブ!》
「
八幡神に祈りを捧げ、見事大百足の頭を撃ち抜いた逸話を反映した宝具が異形目掛けて放たれる。その矢は水を纏い、龍となって異形とその間にいた謎の人型ごと撃ち抜いた。
……水は湖に住む龍神の加護によるもので、決して唾ではない。確かに大百足を倒すときに鏃に唾をつけたとされているが、水の竜は決して唾ではない。重要な事なので二回言った。
「さて、ここは一掃出来たか」
「す、すいません。ありがとうございます」
「なに。俺がしたいと思いしたことだ。
しかし、腹が減ったな。さて、グレイ殿。何か食べるものは持ってないかな?」
「え? 食べるもの、ですか? ……その、マスクでどうやって食べるんですか?」
「なに。言ってみたかっただけだ。大した意味はない。
しかし、妙だな……」
「妙、ですか?」
「いざ戦ってみれば、どれも大した力を持たぬ。なのに、数は多い。こういった場合、数の暴力で敵を殲滅するのが目的か、またh───」
「時間稼ぎの為の捨て駒、とい可能性もある」
「「───ッ!?」」
武瑠たちの目の前。さっきまで異形がいたその場所に、
女性としては十分、男性としては小柄な体格。片方の眼は夜の暗闇のように黒く、もう片方は空の如く青い瞳を持った黒髪の女性。
外見だけで判断すれば、珍しいオッドアイの女性として見れるだろうが、ゴーストは言葉に出来ない圧力のような物に圧倒されていた。
(さっき感じたのは、多分この人で間違いない。でも、この威圧感はなんだ? 人が出せるそれじゃない……!)
いつでも動けるように身構えるゴースト。
しかし、それをグレイが手で制した。
「グレイ殿?」
「……なんで……なんで貴女がここにいるんですかッ!
ヘファイスティオンッ!!」
次回はいよいよあの王の登場……させる予定ですが、しばらくFate関係から離れていたい……
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