戦士開眼シンフォギアゴースト   作:メンツコアラ

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すいません。
何処ぞのうつけが題名を書き換えていますが気にしないで下さい。
それではどうぞ。






魔王! 是非もないネ! 前

 千石カンパニーのすぐ側に大量の硝子片が降り注ぐ。幸いにも人はいなかったが、そこに遅れてアヴェンジャーが着地した。硝子片が散らばったコンクリートの地面を踏み締める度にパキッピキッと小気味いい音が耳に入る。

 

(さて。後はあいつらが無様に走って来るのを待つだけ。来たら『随分と遅かったわね』って───)

 

「………ぉぉぉぉ」

 

「───は?」

 

 頭上からつい先程聞いたばかりの年若い男性の声が聞こえる。いや、そんなバカな…とアヴェンジャーは顔を上に向ける。彼女の視界に写ったのは、

 

「───ぉぉぉおおおお!!」

 

 急降下してくる武瑠とセレナの姿だった。

 

「はあああああ!?」

 

 予想外の登場に叫ぶアヴェンジャー。普通に考えて、自分自身から十数階分の高さを飛び降りる者がいるだろうか? 居たとしたら、その人物は自殺志願者か、他者とは違う何かを持っているのだろう。

 

「「変身!」」

 

《カイガン! オレ!》

《カイガン! スペクター!》

 

 変身を終えた武瑠とセレナ改めて、ゴーストとスペクターはヒーロー着地を決める。それを見たアヴェンジャーは発狂した。

 

「ちょっと!? なんで飛び降りて来るのよ! 普通ならエスカレーターか、長い階段で降りてくるものでしょう! あんた達、それでも人間!?」

 

「人間……じゃないな。ゴーストだから」

 

「ブーメランって知ってます? 貴女も人じゃありませんよね?」

 

「うっさい!!」

 

 そう言ったアヴェンジャーは手に持った旗を槍のように振るい、ゴースト達に迫る。ゴースト、スペクターも各々の武器で応戦するが、アヴェンジャーは戦旗を巧みに扱い、決して懐には入らせない。

 

「ほらほら! もっと攻めて来なさいよ!」

 

 高笑いするアヴェンジャーは腰の剣を抜き、それを振るえば剣先が向けられた場所に黒炎が燃え盛った。

 

「あっつッ!?」

 

「大丈夫ですか、武瑠さん!?」

 

「なんとか……だけど、何者なんだ? 戦旗を巧みに操って、同時に憎悪を思わせる黒炎を使うなんて」

 

「……まさか、ジャンヌ・ダルクなんて事は?」

 

「偉人が甦ったっていうこと? 流石にそれは……───いや。待てよ……」

 

 一つだけ。セレナの言葉を事実にするものがたった一つだけあった。それは、ついこの前、あの時計塔で戦った一人の女性。名をヘファイスティオン。彼女はあのイスカンダルの影武者として存在していた者が人の手によって現代に召喚された。

 

「───英霊(サーヴァント)、か?」

 

「あら? 案外早く分かったようね」

 

「てことは、あの学士のキャスターの差し金か! 何が目的だ?!」

 

「御名答。御褒美に私の宝具を味わいなさい!」

 

 アヴェンジャーが剣を上に翳せば、周りの焔が彼女を囲むように滾りだし、同時に彼女からも強力な魔力が発せられる。宝具と聞き、ゴーストたちも身構えるのだが、アヴェンジャーは剣を振り上げたまま動きを止めた。

 

「……ちょっと。どういう事よ」

 

 急に喋り出すアヴェンジャー。しかし、視点は武瑠達に向けられておらず、まるで此処にはいない別の誰かと話しているようだ。

 

「ちっ。分かったわよ……残念だけど、今日はここまでよ。さようなら」

 

「あ、待て!」

 

 だが、ゴーストの制止も遅く、アヴェンジャーは霊体化で姿を消した。それを確認したゴースト、スペクターは変身を解き、元の姿に戻る。ちょうどその頃、社内からマリアが全力疾走で此方に向かってくる姿が見えた。

 

「セレナァァァ!」

 

「ま、マリア姉さん!?」

 

「良かった! 無事なのね!? 怪我とかしてない? 急に飛び降りるんだから驚いたわよ!」

 

「マリア姉さん。私は大丈夫だから落ち着いて」

 

「これが落ち着いていられますか!」

 

「た、武瑠さぁん……」

 

「俺が首を突っ込むとややこしくなりそうだから自分でどうにかして……あ。調達も来た」

 

 調、切歌、畔田が走ってくる姿を確認する。

 

「お、お兄ちゃん! 大丈夫デスか!?」

 

「急に飛び降りないで。心臓に悪い」

 

「ごめんごめん。それで畔田さん、植杉さんは……」

 

「はい。植杉社長は我が社の傘下に入るといい、先程逃げるように立ち去っていきました」

 

 一応無事ではある事に武瑠はほっと一息つくが、相手があの学士のキャスターの手先という事もあり、すぐに気持ちを切り替える。

 

「すいません。今から機密の連絡をしますので、先に戻ってもらっても大丈夫ですか?」

 

「大丈夫です。度々頼み込むようですけど、社長の事をよろしくお願いします」

 

 畔田を会社に戻し、武瑠達はコブラケータイを使い、スピーカーで弦十郎達と通信を取り、今起こったばかりの出来事を話した。

 

『アヴェンジャーの英霊……まさか、学士のキャスターが絡んでいたとは』

 

「でも、なんで会社に手を出すの? 目的が分からないわ」

 

『その答えは千石カンパニーが傘下に納めた会社にあるはずよ』

 

『武瑠くん、セレナくんはそのまま千石カンパニーを調査。アヴェンジャーがまだ近くにいるだろうからな。マリアくん達は傘下に納められた企業の調査に向かってくれ』

 

 

 

 

 

 

●●●●●●●●●

 

 

 

 

 

 

 その後、千石カンパニーに残った武瑠とセレナは別れて捜査をしていた。セレナはロビーで聞き込みを、武瑠は畔田に頼み、社長室に連れていって貰った。

 

「ここが社長室です。あの……本当に入る必要が?」

 

「さっきのような不可思議現象が起こってないとも限りません。それに社長の性格が急変したのが、不可思議現象が起こり始めたのとほぼ同時期。無関係ともいえません」

 

「わ、わかりました……」

 

 畔田が恐る恐る扉をノックする。数秒後、中から『入れ』と男性の声が聞こえてきた。扉を開け、中に入ると橋場がデスクに座って腕を組んでいた。

 

「畔田。なんで社員でない者をこの部屋に連れてきた?」

 

「申し訳ございません。最近、社内で起こっている不可思議な現象の原因を調査してもらおうと思い……それで、社長室も被害に遭っていないかと気になって」

 

「そういう時は一旦アポを取ってくれ。此方にも都合というものがある。」

 

「も、申し訳ございません!」

 

「……それで? そちらの少年は?」

 

「天空寺 武瑠って言います」

 

「天空寺? ……失礼。大天空寺と何か関係が?」

 

「俺の実家です」

 

「そうか……だいたい八年程前か。大天空寺の関係者だという男がこれを見せて欲しいと訪ねて来てね」

 

 橋場はデスクから立ち上がり、壁に飾ってあった額縁を取って武瑠に見せる。納められていたのは古い文書で、それには大きな朱印が押されていた。

 

「その朱印って……」

 

「テレビとかで見たことがあるかもしれないな。私の先祖は身分は高くなかったが、あの織田 信長に遣えていてね。これは良い働きをした私の先祖へ織田 信長が送った直筆の礼状だ」

 

(織田 信長ってマジか!?)

 

 まさかの眼魂に繋がる手懸かりに驚きを隠せない武瑠。だが、同時に過去に訪ねたという大天空寺の関係者とやらが気になった。

 

「すいません。その大天空寺の関係者ってどんな人でしたか?」

 

「そうだな……白いフワフワとした掴み所のない男だったと覚えている。あと、何処か胡散臭い」

 

「すいません。大天空寺のではないですけど、自分の関係者です」

 

 真っ先に思い浮かぶのはあの魔術師。せめて、胡散臭いは否定しようと思ったが、武瑠やこの場にはいない未来たちも同じことを思っているのでNOと言うことが出来ない。

 

「そろそろ良いかな? 見ての通り、私の部屋は無事だ」

 

「そうみたいですね……お時間頂き、ありがとうございました」

 

 

 

 

 

 五分後。退室した武瑠はロビーにいるセレナと合流し、社長室で見た織田 信長の聖遺物について話した。

 

「信長直筆の礼状……まさか、橋場さんが信長に強い思いを抱いている人なんでしょうか?」

 

「まだはっきりと言えないけどね。でも、おっちゃんが来てるみたいだから間違いはないと思う」

 

「本当にあの魔術師なんでしょうか?」

 

「でも、白くてフワフワとした掴み所のない胡散臭い男性って言えば───」

 

「あの魔術師しかいませんね。ついでに『人としてクズ』がつくと完璧です」

 

(セレナってこんな性格だったっけ?)

 

「それにしても何で魔術師が此処に?」

 

「……今思えば、俺たちって、おっちゃんの事何も知らないんだよな」

 

 武瑠やセレナ、未来に力を与え、眼魂を集めさせて願いを叶えさせようとしている。自分のメリットが何もないし、何より武瑠達は魔術師の正体を知らない。

 武瑠とセレナの中で魔術師に対する疑心が生まれる。それを胸の内に秘めながら、これ以上考えても仕方ないと調査を再開するのだった。

 

 

 

 

 

 




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