戦士開眼シンフォギアゴースト   作:メンツコアラ

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ドーモ、読者=サン。
新年、明けましておめでとうございます。
これからも頑張って参りますので、応援よろしくお願いします。
今回はラストに重大発表があります。何かは最後まで秘密です。
それではどうぞ。





魔王! 是非もないネ! 後

 マリアたちがオートマタたちと戦闘を繰り広げている頃。千石カンパニー屋上に橋場が織田信長直筆の礼状を持って一人で訪れていた。しかし、屋上には既に先客が居り、橋場はその先客に声をかける。

 

「待たせてしまったかな、()()()()()()()くん?」

 

「いいえ。ちゃんと時間通りに到着なんて、流石は社長と言ったところかしら?」

 

 笑みを浮かべ、座っていたフェンスから降りたアヴェンジャーだが、橋場は淡々と問いかける。

 

「余計な話はいい。君に言われた通りの場所を傘下に納めた。これで私は信長になれるのだな?」

 

「ええ。後は貴方がこの魔方陣に入れば準備完了よ」

 

 そう言ったアヴェンジャーは登っていたフェンスから降り、屋上の床に描かれた魔方陣へ歩み寄り、橋場も魔方陣の中心へ足を進めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それは突然起こった。最初に気づいたのは一人の通行人。

 

「おい。なんだ、あれ?」

 

 空を見上げてみれば、そこに広がるのは千石カンパニーの真上を中心に広がる巨大な魔方陣。通行人たちは視線やカメラを向け、建物の中にいた人々も窓に集まっていた。物珍しさのせいか、それとも理解していないのか、危機感を抱いていない人々。

 だが次の瞬間、魔方陣の下にあった千石カンパニーを含めた八つの企業から光が放たれ、魔方陣で一つに集束し、天に向かって放たれた。

 光の影響なのか、空は暗雲に覆われ、街に大きな地震が襲いかかる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、千石カンパニーの屋上では橋場が床に書かれた魔方陣の中心で膝を付き、悲鳴を上げており、それを見ているアヴェンジャーは喜劇でも見ているかのように笑っていた。

 

「アハハハッ! 随分と無様に叫ぶわねッ! さっきまであんなに自信たっぷりだったのにッ!」

 

「アヴェンジャー……! 騙したのかッ……!」

 

「騙してなんてないわ。貴方は織田 信長と同じになるのよ。死んで亡霊となってねッ!」

 

「貴様…ッ……!!」

 

 橋場は襲われる苦痛に歯を食い縛りながらアヴェンジャーを睨み付けるが、彼女にとって、その視線は自分の嗜虐心を昂らせる為のスパイスでしかない。彼女はさらに橋場を追い詰めようと口を開くが、バンッと屋上の扉が勢いよく開かれ、中から武瑠とセレナ、そして二人に着いてきたであろう畔田が姿を現した。

 

「しゃ、社長ぉッ!!?」

 

 苦しむ橋場を見た畔田はすぐさま駆け寄ろうとするが、その行く手を阻むように三体のオートマタが召喚される。

 

「ヒィイッ!?」

 

「セレナッ! 畔田さんと橋場さんをッ!」

 

「分かりましたッ! ───変身ッ!!」

 

 眼魂をベルトに装填し、スペクター ウラド魂、ゴースト アルトリア魂に姿を変えた二人は己の武器を召喚し、スペクターは畔田の前に出てオートマタを、ゴーストはアヴェンジャーを相手にする。

 

「畔田さんッ! 下がってくださいッ!」

 

「でも社長がッ!」

 

「私がどうにかしますからッ! 前に出られると守れませんッ!」

 

 ロッドモードにしたガンガンハンドで、迫るオートマタ達から畔田を守り、苦しむ橋場に近づこうとするセレナ。

 一方、ゴーストはブレードモードとなっているガンガンセイバーで戦旗を振るうアヴェンジャーと激しい攻防を繰り広げていた。

 

「ほらほらッ! もっと攻めて来なさいよッ!」

 

「望み通りにしてやる───風王鉄槌(ストライク・エア)ッ!!」

 

 自分の防御に回していた風王結界(インビジブル・エア)を解放し、破壊力を持った暴風としてアヴェンジャーに放つ。しかし、アヴェンジャーは戦旗を巧みに使って見えないはずの暴風を完全にとは言えないがいなして見せたが、衝撃波で数歩後退する。

 

「か弱い女性に暴力なんて酷いわね」

 

「か弱い女性が見えない攻撃を対処できるわけないだろ。一体何が目的だ? なんで橋場さんを狙ったッ!」

 

「私が知るわけないでしょう? 全部マスターの指示で動くだけ。私たちサーヴァントはそういうものよ。まあ、面白いものは見れたけどね」

 

「面白いもの?」

 

「そこに叫びながら無様に転がっているじゃない。織田信長になりたいと願い、見事に騙されて苦しむ一人の男が」

 

「お前ッ……!」

 

「だってそうでしょう? なれもしない者に憧れて、周りが見えなくなったせいで自分の身を滅ぼす。三流の喜劇みたいでくだらなく面白いじゃない」

 

「───ッ」

 

 橋場を嘲笑うアヴェンジャーの言葉に怒りを覚えた武瑠は彼女の言葉に異を唱えようとするが、それよりも先に口を開く者がいた。

 オートマタ達を倒し終えたスペクター……セレナだった。

 

「それは違います、アヴェンジャー。確かに彼は織田信長にはなれません。ですが、彼は既に織田信長になっていました。……この会社で働く、多くの社員たちにとっての織田信長に」

 

「……はぁ?」

 

「織田信長は裏切った家臣の頭蓋骨で盃を交わしたり、魔王と恐れられた人物です。それでも家来の人々は彼を慕っていた。彼が冷酷なだけでなく、人間味のある方だったからです。

 それは橋場社長も同じ。彼が慕われているからこそ着いていき、畔田さんのように心配する。私はそう思います」

 

「……随分と力説してくれたけど、話はそれで終わりかしら?」

 

「えぇ。───それは貴女もです」

 

 次の瞬間、バキンッ!とガラスが割れるかの如く空の魔方陣が崩壊する。

 

「な───ッ!?」

 

 驚愕するアヴェンジャー。慌てて床に描かれた魔方陣を見るが、手を加えられた様子は一切ない。

 

「まさか───」

 

「ええ。マリア姉さん達が他のビルに描かれた魔方陣を破壊しました。これで貴女達の企みは潰えました」

 

「社長ぉッ!」

 

 苦しみから解放された橋場の元に畔田が駆け寄る。大丈夫ですか、と寄り添う彼に橋場は問いかけた。

 

「畔田……俺は、お前達の信長になれたのか……?」

 

「───はい。社長は今までも、これからも俺たちの信長です。何処までも御供します」

 

「畔田……」

 

 嬉しさからなのか、橋場の頬に一筋の涙が流れる。そんなとき、彼の持っていた礼状が眩い光を放ち始めたではないか。それを見たアヴェンジャーは礼状を奪おうと飛びかかるが、彼女の行く手をゴーストが阻む。

 

「行かせないッ!」

 

「邪魔するなッ!」

 

 アヴェンジャーが剣を振るい、ゴーストに獄炎を放つ。しかし、風王結界で自分を守るゴーストに炎が届くことはない……そう。()()()()()()

 

「───我らが憎悪に喝采をッ!!」

 

「な───ッ!?」

 

 何もなかった筈の床から獄炎を纏った槍が飛び出す。予想外の事に防御が遅れ、ゴーストは避けることも防ぐことも出来ずに槍の一撃をくらい、あまりのダメージに変身が解除される。

 床を転がる武瑠。彼の元から離れたアルトリア眼魂はアヴェンジャーに拾われる。

 

「武瑠さんッ!」

 

「さあッ! その礼状も寄越しなさいッ!」

 

 アヴェンジャーがセレナ達に迫る。

 

 ……しかし、そんな彼女に無数の丸鋸が放たれた。慌てて足を止めるアヴェンジャー。そんな彼女に今度は蛇腹剣の刃が迫る。

 

「待たせたわね、皆ッ!」

 

「マリア姉さんッ! みんなッ!」

 

 アヴェンジャーとセレナ達の間にシンフォギアを纏ったマリアが降り立つ。共に降り立った調と切歌は床に倒れる武瑠の元に駆け寄った。

 

「武瑠先輩ッ!」

 

「お兄ちゃんッ! 大丈夫デスかッ!?」

 

「お、俺は…大丈夫……セレナ、ノブナガゴーストを……!」

 

「はいッ! 橋場さん、すいませんッ!」

 

 スペクターは礼状に瞳の紋章を描く。すると、礼状が紫色の煙に包まれ、その中から煙と同じ色をした武将陣羽織を模したパーカーゴースト『ノブナガゴースト』が姿を現した。

 

「信長さんッ! 私に力をッ!」

 

 スペクターの呼び掛けにノブナガゴーストは頷き、一個の紫色の眼魂となって彼女の手に収まる。

 スイッチを押した彼女はゴーストチェンジを行った。

 

 

《カイガン! ノブナガ!

  ワシの生き様! 桶狭間!》

 

 

 スペクターの体にノブナガゴーストが纏われ、頭部に火縄銃が交差した模様が描かれたマスクが装着される。

 

 

 日本の歴史に名を残す武将は数あれど、この英雄ほど有名な武将はいないだろう。日本の風雲児と呼ばれた大英雄。自身を『第六天魔王』と名乗った男。その名を織田 信長。

 その力を纏うことで得た、スペクターの新たな姿。

 

 

 その名を仮面ライダースペクター ノブナガ魂である。

 

 

《ガンガンハンド!》

 

 スペクターは銃モードにしたガンガンハンドをマリアと戦うアヴェンジャーに向ける。すると、彼女の後ろに十丁近くのガンガンハンドが召喚される。

 

「マリア姉さんッ! 避けてくださいッ!」

 

「えッ、きゃあッ!?」

 

 容赦なく放たれた多数の銃弾を慌てて避けるマリア。アヴェンジャーも戦旗で防ぐが、全ては対処できず、何発かが彼女に命中する。

 

「セレナッ! 急に射たないでッ! 当たったらどうするのッ!?」

 

「大丈夫です。当たったら当たったでナイチンゲールさんがどうにかしてくれますから」

 

 マリアの質問に答えながらもセレナはガンガンハンドの引き金を引き続ける。その光景は正に嵐。止むことのない銃弾の雨はアヴェンジャーを追い詰める。

 

「やりすぎでしょッ! 加減ってものを知らないのッ!?」

 

「日本には『下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる』という諺があるんですよね?」

 

「それ、意味絶対に違うッ!」

 

「でも、こうすれば貴女も攻撃出来ませんよね? え? 周りの被害? そんなものは既に考えても意味がないレベルになってますから是非もないですよね」

 

「ねぇッ?! あんた、性格変わってないッ!?」

 

 信長眼魂のせいです。

 

 だが、アヴェンジャーにそんな事が分かる訳もなく、抗議を続けるのだが、銃弾によって抉れた床の段差に気づかず躓いてしまう。

 

「しま───」

 

「そこですッ!」

 

 スペクターの放った弾丸はまっすぐアヴェンジャーに向かい、彼女の顔面に命中する……そう思われたのだが、突如空から落ちてきた赤雷が弾丸を防いだ。

 落ちてきたのは赤雷だけにあらず。赤雷の閃光が晴れ、アヴェンジャーの前に立っていたのはあのフェイカー ヘファイスティオンだった。

 

「随分と滑稽な姿をさらしているな、天空寺 武瑠……もっとも、それは此方も同じか」

 

 所々傷ついたアヴェンジャーを見て、ヘファイスティオンは小さくため息をつく。

 

「貴様らには悪いが、こいつはこのまま帰させてもらう。マスターが煩いのでな」

 

 ヘファイスティオンは自身の宝具である小型の飛竜のスケルトンが牽引する戦車『魔天の車輪(ヘカティック・ホイール)』を呼び出し、アヴェンジャーを担いでそれに乗り込む。無論、セレナは逃がすまいと銃口を向けるのだが、ヘファイスティオンは上空を指差し、

 

「相手をするのも良いが、()()を放っておいてもいいのか?」

 

『───ッ!』

 

 聞こえてくる咆哮。空を見上げれば、そこには鳥のような形をした異形の群れがスペクターたちの上空で円を描くように飛んでいた。

 

「あれは私の指示で動いている。その引き金を引けば、一斉に襲いかか「それが何か?」って───なに?」

 

「数が多い? それが何か? 手を出したら襲われる? なら、同時に始末すればいい」

 

《ダイカイガン!》

 

 ベルトから放たれる音声と同時に、スペクターの周りに無数のガンガンハンドが召喚、展開され、その銃口がヘファイスティオン達や空の異形の軍勢に向けられる。

 

「正気かッ!?」

 

「正気も何も見ての通りです。

 

さぁ。三千世界に屍を晒しなさい……」

 

「さっきも思ったけどッ! あんた、絶対にバーサーカーでしょッ!? フェイカーッ! 早く出しなさいッ!」

 

「言われなくとも分かってるッ!」

 

 魔天の車輪が空へ飛び立つと同時に空の異形がセレナへ一斉に襲いかかる。だが、今のスペクターには関係ない。

 スペクターは手に持った銃を異形に向け、同時に周りに並ぶ無数のガンガンハンドも異形をロックオンする。

 

 

「天魔降臨ッ! これが魔王(わたし)の三段撃ちですッ!」

 

 

 絶対的な破壊力と圧倒的な射撃密度で空飛ぶ異形を次々と打ち落としていく。無論、異形たちも避けようとするが、絶え間なく放たれる弾幕にセレナへ接触する個体は居なかった。

 宝具を解放して約一分。ヘファイスティオンには逃げられたが、目測で百体近くは居たであろう異形の群れは一欠片も残さず消滅した。

 

 ……代償として、屋上はボロボロになってしまったが。

 

『セレナ、やり過ぎッ!!』

 

「私が活躍したのに怒られましたッ!? まあ、この現状なら是非もありませんね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 その後、後始末(屋上の修理など)を終えた武瑠たちは大天空寺に帰投した。

 セレナはノブナガ眼魂を橋場に返そうとしたが、

 

『それは君たちが貰ってくれ。私は信長に囚われすぎていた。もし受けとれば、私は昔の自分に戻ってしまう。私はいずれ、この企業競争という戦国時代で天下を取り、信長を越えてみせる』

 

 こうして、武瑠たちは無事にノブナガ眼魂を手に入れたのだが……肝心の信長と言えば、それはもう酷いものだった。

 

「なあ、たける~。菓子持ってきてくれ~。あと茶も~」

 

 広間の畳に寝転がり、漫画を見ながらぐだる信長ことノッブ。見た目は可憐な少女なのに中身は残念である。

 

「……君も、英霊に苦労しているのだな」

 

「……すいません」

 

 場所は客間。机を囲むように座る武瑠とウェイバーたち。

 

「それで……態々日本まで、何をしに? 観光ですか?」

 

「いや。これは君に直接話した方がいいと思ってな」

 

「まさか───」

 

「あぁ。君のお父さん……天空寺 龍についてだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ウェイバーが語るなか、部屋の外に人知れず立っていた魔術師は静かにその場を立ち去る。静かな廊下を歩く中、彼は手に持っていた『世界偉人録』を開いた。

 

「かくして、ノブナガ眼魂を手にした天空寺 武瑠。だが、次に彼らの戦場となるのは異世界だった。そこで彼らが出会う英雄。そして……

 

 

 ───()()()()()とは」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   [フレイム プリーズ]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




仮面ライダーゴースト

 ムサシ眼魂
 オキタ眼魂
 タワラ眼魂
 イスカンダル眼魂
 アナスタシア眼魂
 リ・ショブン眼魂
 ライコウ眼魂




仮面ライダースペクター

 ノブナガ眼魂←NEW
 ヴラド眼魂
 フウマ眼魂




仮面ライダーネクロム

 マリー眼魂
 ダ・ヴィンチ眼魂
 ナイチンゲール眼魂





願いを叶えられるまで、あと三個




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ユルセン「久しぶりの~ッ! 次回、戦士開眼シンフォギアゴーストッ!」




 完全聖遺物 ギャラルホルンが繋いだ別世界。そこで彼らが出会ったのは、

「お前は……?!」

「俺は仮面ライダーウィザード。指輪の魔法使いだ」





「ようこそ、ラタトクスへ」

「お前もシドーと同じ仮面ライダァなのか?」

「こ、こんにちは……」

『よしのんだよ~。よっろしく~』

「我は八舞 耶倶矢ッ! 汝も我の同胞と見たが如何かな?」

「疑惑。貴方も中二病ですか?」

「あらあら~。可愛い子が沢山ですねぇ」


 異世界に現れる学士のキャスター。そして、

「黒い、アルトリアさん……ッ!?」



 圧倒的な力の前に、一人の男が彼らを助ける。

「天空寺 武瑠。五河 士道。自分達が掲げるものが偽物の正義だと分かっていながら何故戦う?」



「俺たちが"最後の希望"だッ!」

「───命、燃やすぜッ!!」




『戦士開眼シンフォギアゴースト』

特別イベント『デート・ア・シンフォニー』





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この度、BREAKERZさんの作品
『デート・ア・ライブ 指輪の魔法使いと精霊の恋愛譚』
とコラボさせて頂けることになりました。
はじめてコラボ作を書くので、全力で頑張りますッ!

……投降頻度下がる可能性&予告と違う可能性がありますが、ご了承ください。

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