今回から数話はBREAKERZさんの【デート・ア・ライブ 指輪の魔法使いと精霊の恋愛譚】とのコラボ回です。
BREAKERZさんに迷惑をかけないよう、精一杯頑張ります。
私は魔術師。
この本によれば、普通の高校生だった少年、天空寺 武瑠こと仮面ライダーゴーストとシンフォギアに選ばれし詩姫たちの華麗にて波乱なる物語とある。
時計塔の魔術師 ウェイバー・ベルベットから教えられた自分の知らない父親の過去。そんな彼に世界と世界を繋げる完全聖遺物『ギャラルホルン』の起動が知らされる。
武瑠たちは繋がった並行世界へ向かうのだが、そこは並行世界ではなく───と……ここから先は、皆がまだ知らない物語だったね。
先まで読みすぎてしまったよ。
取り付けられた松明と地面に描かれた魔方陣のみが照らす薄暗い空間。そこに立つのはヘファイスティオンと詠唱を紡ぐ学士のキャスター。そんな空間の奥からアヴェンジャーが姿を現した。
「おはよう、アヴェンジャー。よく休めたか?」
「お陰様でね。今すぐにでもあのいけ好かない奴等をぶっ飛ばしに行きたいわ」
「無理はするな。お前は今回の功労者なのだからゆっくり休め。お前が上手く事を運んでくれたお陰で魔術式は起動し、●●は此方にまっすぐ向かい始めている。計画は順調だ」
「それで次はどうする?」
「少し遠出をする。お前たちは待機だ」
「護衛は要らないのかしら?」
「問題ない。彼女を連れていく」
そう言って、キャスターは魔方陣の中央に浮く
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ノブナガ眼魂を手に入れてから数日。武瑠は一人、自分の父親が眠る墓の手入れをしていた。すぐ隣ではクリスが自分の両親が眠る墓を掃除している。
「……はぁ…………」
「ため息つくと幸せが逃げんぞ」
「ため息もつきたくなるよ。あんな話を聞かされたらね」
それはウェイバーから教えられた話だ。
『聖杯、戦争……?』
『あぁ。万能の願望具「聖杯」を求め、七人のマスターと七騎の英霊たちが行う争い。それが聖杯戦争だ。私も二十七年前に行われた第四次聖杯戦争に参加している』
『それと父さんにどんな関係が?』
『正確には第四次から七年後……つまり、今から二十年前に行われた聖杯戦争。その聖杯戦争は異常でね。七人のマスターと英霊ではなく、
『まさかとは思うんですけど……』
『おそらく、そのまさかだ。この聖杯乱戦を見事勝ち抜いたのは君の父親……天空寺 龍だ』
ウェイバー曰く、何を願ったのかは不明だが、彼はその後、聖杯戦争が二度と行われないようにし、以来聖杯戦争は一度も起こっていないそうだ。
「ウェイバーさんがお前のパパさんを恨んでた理由は?」
「聖杯戦争を廃止したことへの恨み。どうしても参加したい理由があったんだって」
「なんだそれ……」
クリスの言いたいことも分かるが、今の武瑠は自分の父親の事で頭が一杯だった。何故、参加したのか。何を願ったのか。考えれば考えるほど頭の中がごちゃ混ぜになってくる。答えの見えない疑惑に、武瑠はまたため息を吐きそうになるのだが、
「お~いッ! たっける~ッ!」
「ぐぺがッ!!?」
武瑠の背中にオレンジ色の塊……ユルセンがタックルし、ゴキュッと鳴ってはいけない音が聞こえた。
「な、なんか…デジャブ……ッ」
「あ、ゴメン」
「急にどうしたんだよ、えっと……「ユルセンでいいぞ」じゃあ、ユルセン。急に突撃してきてどうしたんだ?」
「弦十郎の旦那から招集だ。ギャラルホルンが起動したってよ」
「マジかッ!? おい、武瑠ッ! すぐにいかねぇと───」
「その前に、ナイチンゲールさん、呼ん、で……」
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大天空寺地下の最下層。そこには数多くの聖遺物が保管され、その内の一つにラグナロクの到来を告げる角笛の名前を持った完全聖遺物『ギャラルホルン』がある。驚くべき事に、この完全聖遺物は武瑠たちのいる世界と並行世界を繋げる……つまり、別世界への移動を可能にする能力を持っていたのだ。実際、過去に武瑠と未来が並行世界へ行き、逆に並行世界の方から此方に訪れる事もあった。
場所は大天空寺地下の司令室。武瑠たちライダー組の三人と響たちシンフォギア装者の六人、計九人は弦十郎の前に集まった。
「今から三十分前、ギャラルホルンの起動を確認した」
「ということは、また並行世界に異常が?」
「それなんだが……了子くん」
「はいはいはーい♪ 皆、ちょっとこれを見て頂戴」
了子はキーボードを操作し、モニターに二つの折れ線グラフを写し出す。
「これは過去にギャラルホルンが起動したときのデータよ。そして、これが今回のデータ」
追加される三つ目の折れ線グラフ。他の二つと見比べてみれば、数値の変動が圧倒的に激しかった。
「見て分かるように今回は異常。おそらく、今まで通りとは考えない方がいいわ。もしかすると……」
「もしかすると?」
「……いいえ。あまりにも低い確率の話だから気にしないで。とりあえず、今回ばかりは細心の注意をはらって挑むべきね」
「皆、聞いた通りだ。全員、覚悟して臨むように」
『了解ッ!』
数分後。並行世界へ向かうメンバーとして変身を終えた
「それでは行ってくる」
「気をつけてね」
「楽しみだなぁ、へいほーせーかい」
「並行世界ね」
「てめぇら、留守番頼んだぞ」
「合点承知の介デスッ!」
「クリス先輩に言われるまでもない」
「武瑠さん。本当にヴラドさんたちを連れていかなくて大丈夫ですか?」
「こっちで何かあったとき、動けるのはセレナだけだからな。手段は一つでもあった方がいい」
一通り言葉を交わし、ゴーストたちはギャラルホルンに触れる。すると、彼らの視界を光が包み込んだ。
数秒後。目を開けてみるとギャラルホルンが納められた部屋とは別の景色が視界に写る。
「無事に着いたみたいだね……で、ここは何処?」
「それよりも響、周りに注意してッ! 了子さんに言われたこと忘れたの?」
「……と言っても、何も無さそうだな」
「あぁ。至って平和のようだが……感じないか?」
「確かに。違和感って奴か?」
「とりあえず、町の方に向かってみたらどうだ?」
「それもそうだな───って、奏ッ!? 着いてきたのッ!?」
「おう。またイギリスの時みたいに置いてけぼりとか嫌だからな」
「とりあえず、ユルセンの言う通り町に行ってみようぜ」
「それもそうだね。行こう、武瑠」
「………………」
話しかけられたが、先程から後方を見つめる武瑠は気づいていないのか、返事をしない。響が何度か呼び掛けた所でようやく反応した。
「ごめん。気づいてなかった」
「どうかしたの?」
「いや。さっきから見られているような気がして……」
「確認してみる?」
「いや。今は町に向かおう」
武瑠たちは変身を解除し、町へ足を運ぶ。
……そんな彼らの後ろ姿をじっと見つめている者がいることに気づかず。
その者は影から彼らを観察し、唇を舐める。
「あらあら。面白い方々が来ましたわね」
そう言う者……彼女の左目は刻々と時を刻んでいるのだった。
ユルセン「次回、戦士開眼シンフォギアゴーストッ!」
「私は夜十神 十香だ。お前の名は?」
「あの魔界の怨霊のごとき異形はファントム」
「解説。人の絶望から生まれた化け物です」
「お前は……一体?」
「俺は仮面ライダーウィザード。指輪の魔法使いだ」
『会遇! 指輪の魔法使い!』
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