高校一年の春にノイズに殺され、生き返るために仮面ライダーゴーストとなって英雄の眼魂を集めている。
ギャラルホルンの先にあった異世界で出会った最悪の精霊『時崎 狂三』。彼女は俺と翼さんに突然勝負を仕掛けてきた。
何とか応戦できたけど、彼女の目的や意図は一切分からない。
願いを叶えるために必要な眼魂はあと三個……
お出掛け中盤。
昼食を食べ終え、次に何処によろうかと街を歩きながら話し合う武瑠たち。そんなとき、十香が店に貼られた一つのポスターを見つけた。
「シドーッ! シドーッ! あれはなんだ?」
十香に問われ、士道だけでなく皆の視線が十香の指差すポスターに集まる。
「『オーパーツ博覧会』?」
「へぇ。こっちの世界にもオーパーツはあるんだな」
「なんなのだ? そのオーパーツとやらは?」
「簡単に説明すると、その時代の技術や知識にはそぐわない出土品の事だな。例えば、『アンティキラ島の歯車』とかが有名かな?」
「それは凄い物なのか?」
「うーん……そういう風に見立てた偽物もあれば、本当に意味不明な物まで多種多様にあるからな。どれが凄いとかは見ないと分からないな」
「なるほど。それは気になるなッ! シドーッ! ここに行かないか?」
「俺はいいけど……みんなは?」
「私たちは大丈夫です」
「私たちも問題ないわ。せっかくだし、行ってみましょう」
「よーしッ! それでは出発だッ!」
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「───という訳で、探すのを手伝ってほしいんだけど、協力してくれるかどうか答えてくれる前にその銃を仕舞ってくれるかな?」
「……アーチャーさん。この方、殺しても構いませんわよね?」
「早まるな、時崎。コイツを殺したところで問題は変わらない」
「そうそう。私を殺すよりも、協力して問題を解決した方が最善だ」
「……協力する前に一つだけ質問させろ。何故そんな物をこの世界に捨てた? 貴様の住処で保管すれば良かっただろう」
「それを捨てたとき、その考えが思い付かなくてね。
まあ、アレ単体では害は無いだろうし、念のために箱に入れて封印した。私と同じ魔術師クラスの者か、かの『
「とりあえず、私たちに捜索はさせますわ。あまり良い結果が出るとは思われませんが」
「本当にすまない。でも、出来る限り頑張ってほしい。あの男がアレを見つける前にね」
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十香の突然の思い付きで『オーパーツ展覧会』の会場となっている施設に訪れてた武瑠たち。
施設内に置かれていたオーパーツは一部を除いてレプリカ、もしくは写真。展示品説明文は小難しいが、何故かそれなりに詳しい武瑠と士道、そして耶倶矢の解説により、発案者の十香を含め、皆が楽しんでいた。
「詳しいんだな。言動はアレなのに」
「う、うっさいしッ!」
「質問。士道や天空寺さんが詳しいのは何故でしょう?」
「それはですね、中学生の頃、なんかカッコいいからって色々調べてたんです。確か引き出しの奥に隠してあるノートに自分が考えたのオーパーツを書いていたりしていたかな?」
「あら?
「「ちょっと待てッ! なんで知ってるッ!?」」
「幼馴染みだからね」「妹だからよ」
二人の健全男子の黒歴史が暴露されるなか、皆楽しみながら進んでいく。
「ん? あれはなんだ?」
翼が展示品の一つに目をつける。
それは鍵穴が無い小さな寄せ木細工の箱。一見何の変哲もないその箱は周りの物と比べると何処か異質のように感じた。
「どうやらレプリカではなく本物のようだが……」
「『ブリテンのパンドラ』……へぇ。ブリテンで見つかった決して開けることも壊すことも出来ない箱ね。本当に壊れないのかしら?」
「実際にレーザーとか試したみたいですねぇ」
「それで壊れないって、どんな素材なんだ?」
「中身を調べることも不可能ってのもおかしいだろ」
木箱をまじまじと見つめる士道だったが、そんな中でドラゴンが珍しく感嘆の声を上げた。
≪ほう……これは素晴らしいな。もはや一種の芸術だ≫
「(そうか? そんなに珍しい物には見えないけど───)」
≪ど阿呆が。箱ではなく、
「(は? ま、魔術って……)」
≪状態からして不壊、密封、御丁寧に隠蔽まで掛けられている。我もじっくり見るまで気づかなかった。これは相当腕の立つ者が手掛けたのだろう≫
「(でも、なんでそんな事を? コイツには一体何が───)」
「おーい、シドーッ! 早く次に行くぞッ!」
「え? ……あ、ああ。分かった」
士道は疑問を持ちながら十香たちの後を追うのだった。
数十分後。無事に回ることの出来た響たちは会場を出ると満足したと感想を言い合っていた。しかし、士道だけは難しい顔をしていたので、気になった武瑠と琴理は彼に問いかけた。
「士道、どうしたんだ?」
「……いや。さっきの木箱についてちょっと、な」
「そういえば、その時から様子がおかしかったわね。何か気になることでもあった?」
「ドラゴンが気づいたんだけど……あの箱、かなり高度な魔術が掛けられていたんだ。それが気になって」
「魔術が? まあ、古いものでも効果が残っている物とかあるだろうし、そこまで気になることなのか?」
「(魔術があることに驚かないのね)」
「いや。魔術が気になったんじゃなくて、そこまでして守る箱の中身が気になってな」
「言われてみれば……けど、そこまで丁寧過ぎると逆に怪しくなってくるな」
「武瑠、士道くんたちと何を話しているの?」
「さっきの展示物に士道が気になるものを見つけたから、その話を───」
次の瞬間だった。
武瑠の言葉を遮り、ドバァンッ!と爆発音が、続けてバリンとガラスの割れる音が響き渡る。見れば、先程まで武瑠たちのいた展示会があった施設から火の手が上がっているではないか。
「今のはッ!?」
「ちょっと様子見てくるッ!」
「私もッ!」
周りが驚くなか、迷わず会場に走り出す武瑠と響。翼や未来が慌てて止めようとするが、次の瞬間に士道たちには聞きなれた、翼たちには初めて聞くサイレンが街に鳴り響いた。
「空間震警報ッ!?」
「空間震? それって確か、精霊がこっちの世界に来るときに起きるって言ってたあれか?」
「その通りよ。だけど、不味いわね……あの二人が避難に間に合うかどうか……」
「……士道。あの二人を連れて、すぐに避難して」
「あ、折紙ッ!?」
士道が止める間も無く、折紙は燃え盛る会場とは真逆の方向に走っていった。
「お、おいッ!? アイツ、何処に行くつもりだッ!?」
「彼女、ちょっと訳有りなのよ。それで? 士道はどうする?」
「武瑠たちを呼んでくるッ! 琴理は十香たちをッ!」
「我々も行くぞッ!」
「ああッ! あのバカどもを放ってはおけないしなッ!」
「言われなくても行きますッ!」
「分かったわ。だけど、全員、無茶はしないように」
「み、皆さん、頑張って、下さい……ッ!」
士道、翼たちは武瑠たちの後を追い、会場へ駆け出すのだった。
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「これでよろしいのですか?」
「うん。あの男の事だ。周りの被害なんて考えないだろうしね」
「まさか、こちらよりも先に見つけられるとはな。丁寧に隠蔽したのが逆に仇になったようだ」
「失敬失敬。次からは気を付けるよ」
「───はぁ……狂三、ASTとやらは貴様の分身に任せられるか?」
「問題なく。既に向かわせてますわ」
「よし。なら、俺たちは近くまで移動するぞ」
「おや? 直接助けてはくれないのかい?」
「俺が呼ばれた理由が必ずしも貴様の用事と関係している訳ではない。危なくなったら援護くらいはするさ」
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炎が空気中の酸素をどんどん燃やし、熱が体力を奪いに来る中でゴースト アナスタシア魂に変身し、冷気で炎を鎮火する武瑠(以後、ゴースト)と念のためにシンフォギアを纏った響は逃げ遅れた人が居ないか呼び掛け続ける。
幸いにも武瑠たちが通ってきた通路に負傷者は居らず、このまま運良く負傷者が居ない事を祈るばかりだ。
「誰かッ! 誰かいませんかッ!」
「だいぶ派手に爆発してるな。通路でこれなら奥はもっと酷いぞ」
「だったら急がないとッ! おーいッ!」
懸命に叫び続ける響。炎の向こうで人影を見つけた。燃え盛る炎のせいでよく見えないが、立っているということはまだ無事なのだろう。
「いたッ! 武瑠ッ!」
「そこでじっとしてッ! すぐに助けますッ!」
手から放つ冷気の光線で自分たちと人影を分け隔てる炎を鎮火する。炎と冷気の温度差によってモウモウと立ち込める水蒸気の煙。響はそれを掻き分けて人影に駆け寄るのだが、そこに『人間』の姿は無く、代わりに居たのは、
刃を振り上げる人型の異形だった。
「え───?」
「───ッ!? 響ッ!」
ゴーストが前に出ようとするが間に合わず、彼女に向かって刃が振り下ろされる。
咄嗟に籠手でガードしようとするが、その必要はなかった。
ダァンと一発の銃声が鳴り響き、銀の弾丸が武瑠の後ろから放たれ、放物線を描きながら響の前にいる異形を貫く。
武瑠が後ろを振り返ってみれば、そこにはウィザーソードガンを手に持った士道……いや。仮面ライダーウィザード フレイムスタイルとシンフォギアを纏った翼、クリス。そして、ネクロムに変身した未来(以後、ネクロム)がいた。
「士道さんッ! 皆もッ!」
「遅れて、すまないッ! だが、早く先に進むぞッ! お前たちも気づいている筈だ」
「そあの偉そうなチビから連絡だ。この奥にアイツらと、他とは比べ物にならねぇエネルギー反応がある」
「まさか、アイツがッ!?」
「違ってほしいけど、これがいるのが何よりの証拠……」
「な、なあ。話について行けてないんだけど、『アイツ』って誰だ? この爆発に関係しているのか?」
「走りながら説明する。今は急ごうッ!」
展示場へ駆け出し、その道中でウィザードに『アイツ』について説明する。
展示場に到着したゴーストたち。そこには彼らの予想通り、あの男が黒剣を持ち、面を被った黒騎士と共に立っていた。男はこちらに顔を見せると深くため息をつく。
「……やれやれ。何故、異世界に来てまで貴殿方の顔を見なければいけないのでしょうか?」
「それはこっちの台詞だ、学士ッ! なんでお前がここにいるッ!?」
「貴方たちに話す必要性が何処にある?」
(アイツが学士のキャスター? ただの人間にし≪逃げろ≫か……へ? ドラゴン、今なんて───)
≪何を呆けているッ! あの黒騎士はヤバいッ! すぐにこの場から逃げろッ!≫
(ど、ドラゴンッ!?)
冷静で皮肉屋の毒舌家なあのドラゴンが普段なら見せないであろう姿に驚き、困惑する士道。
ドラゴンは本能で理解していたのだ。今の士道達ではあの黒騎士に勝つことなど天地がひっくり返っても不可能だということに。
だが、それを士道が教えられずに理解出来る訳がなく、物事は絶望へ進んでいく。
「いい加減、貴殿方の顔にもうんざりしてきましたね。
───セイバー、やれ」
次の瞬間、セイバーと呼ばれた黒騎士の姿が消え、ゴーストたちの前に立ち、その手に持つ黒剣を構えていた。
『───ッ!?』
生命としての生存本能か、咄嗟に後ろに飛び退いたのは反射的だった。
だが、それでもセイバーの剣は彼らに猛威を振るう。
横に一振り……たったその一回で、槍が触れていないのにも関わらず、ゴーストたちの体は吹き飛ばされた。
(たった一振りでこの威力ッ……! ただ者じゃないッ……だけど───)
「あの人、何処かで───」
「呆けるな、立花ッ!」
「───ッ!」
響に対し、セイバーの追撃が迫る。
だが、彼らも黙って攻撃を受けるつもりはない。
振り上げられた黒剣。それが響に振り下ろされる前にクリスがセイバーに弾丸を放ち、それを阻止する。
セイバーが剣で弾丸を防ぐ隙に響は剣の射程から離れ、彼女と入れ替わるようにネクロムがマリー眼魂を装填したガンガンキャッチャーを振るう。
《オメガクラッシュ!》
「はあああッ!」
ネクロムの一撃がセイバーに放たれるが、セイバーはそれを黒剣で容易く受け止める。だが、これで僅かだが動きを止めることが出来た。
「翼さんッ! 士道さんッ!」
「心得たッ!」
≪逃げろと言よるのにコイツらッ!≫
「でも、アイツは武瑠たちを殺そうとしてるッ! 見捨てるわけにはいかないだろッ!」
[ライト プリーズ]
ウィザードの魔法によって閃光が放たれ、それによって出来たセイバーの影に翼は短剣を突き刺し、『影縫い』で黒騎士の体を拘束する。
もちろん、ウィザードの魔法もそう長く効果を発揮するわけではないし、影が消えれば『影縫い』の効果も消える。だが、その僅かな時間でも強力な一撃を叩き込むことは出来る。
《ダイカイガン!》
「八幡祈願・大妖射貫ッ!!」
タワラ魂にゴーストチェンジしたゴーストが俵の宝具を放つ。放たれた矢は水龍となってセイバーを呑み込み、壁に激突する。
舞い上がる土煙。だが、誰一人警戒を解いていなかった。
「み、みんな、流石にやり過ぎなんじゃ……」
「アホかッ! あんなにも分かりやすい殺気を飛ばして、和解できると思ってんのかッ!?」
「それに今の攻撃で倒せているとは思えんッ! 油断するなッ!」
翼の警告通り、土煙の中からセイバーが姿を現す。面にヒビが入っているが、明確なダメージは受けていないようだった。
各々の武器を構えるゴーストたち。しかし、その警戒は解かれ、ウィザード以外は激しく困惑する事になるだろう。
ひび割れた面が限界を迎え、セイバーの素顔が晒される。その時、ゴーストたちは信じられないものを眼にした。
「な───ッ!?」
「嘘だろッ……!?」
「そ、そんなッ……!?」
少し色素が薄い肌と髪。どこまでも冷徹な金色の瞳。
雰囲気も違う。ゴーストたちに向ける視線も違う。だが、その顔を見ま違う筈もなく、セイバーの……彼女の素顔を見たゴーストたちは激しく動揺した。
「なんで……なんで貴女がそこにいるッ!
「───ほう。私の真名を知っているか」
初めて言葉を発するセイバー……いや。アルトリア・ペンドラゴン。その声音は武瑠たちの知る軟らかな物ではなく、鋭い刃を思わせる物に変わっていた。
「黒い、アルトリアさんッ……!?」
「貴様も知っているのか。生前と何か関わりがあったか? はたまた別の私を知っているのか……まあ、この際どちらでもいい。
だが、私を知っていると言うのなら
アルトリアの周りを黒い光の粒子が漂い始める。
本来、眩しくない筈の黒。その光は彼女の体から溢れる余剰の魔力であるのはウィザードもすぐに理解できた。
無論、その魔力から考えられる周りの被害も。
それはゴーストたちも同じ。アルトリア・ペンドラゴンという英雄を知っているからこそ、彼女の次に取るであろう行動が理解できた。
「未来ッ!!! クリスッ!!!」
「言われなくてもッ!」
「分かってるッ!」
《テンガン! マリー!
メガウルオウド!
ウィヴ・ラ・フランス!》
すぐさま皆の前に出る
ネクロムはガンガンキャッチャーに装填していたマリー眼魂をメガウルオウダーに装填。白百合や宝石を思わせるきらびやかなドレスの様なパーカーゴースト『マリーゴースト』を纏い、その姿をネクロム マリー魂に変え、すぐさま宝具を放つ。
クリスはリフレクターを展開。黄金の小さなクリスタル郡がウィザードたちを護るように漂う。
ゴーストもサングラスラッシャーにオレ眼魂、闘魂ブースト眼魂を装填。ベルトのトリガーも押し込み、俵の力を全力解放する。
「卑王鉄槌、極光は反転する」
「第二宝具───展開ッ!」
「宝具複合解放ッ!」
「屍の山に沈め。崩壊せよ」
「空に輝きを 地には恵みを そして、民に幸せを───」
「南無八幡大菩薩……願わくば、この一太刀を持って虚悪を絶つッ!」
「───
「
どこまでも透き通った水晶の城がウィザードたちを護るように構築され、炎を纏った龍がアルトリアに迫る。
……だがしかし───
───
次の瞬間、ゴーストたちの視界は闇に染まった。
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