ハッピーバースデー、クリスッ!!
12月28日。
今年もあと3日に迫る中、クリスはS.O.N.G.の休憩場で寛いでいた。クリスの膝には彼女の面影を感じさせる少女の頭を乗せており、夢の世界へ旅立っている少女をクリスは優しく撫でていた。
そんな彼女たちの元にTVの収録から帰ってきたスーツ姿の翼が姿を現す。
「おや? 先客がいたか。久しぶりだな、雪音」
「お疲れ様、先輩。あと、あたしはもう雪音じゃねぇよ」
「そうだったな、天空寺…いや。これだと被るか」
翼の言葉に
「では、そう呼ばせてもらおう。しかし、天空寺と雪音が結婚して早10年か。時が流れるのは早いな。武瑠は今、叔父様の所か?」
「ああ。副司令として、お父さんとして頑張ってるよ。まあ、職場でアイツらと一緒に居るのが最近の不安かな」
「月読とセレナか。今思い返せば、二人の交際発表で一番荒れていたのも彼女たちだったな」
「前見に行ったら、やたらと近づきやがって。人の夫をなんだと思っているんだよ」
呆れるクリス、そんな彼女に苦笑を浮かべる翼。その時、眠っていた少女が目を覚ます。
「うみゅ…ママ…」
「おっと…起こしちまったか? どうした?」
「パパ……」
「ん? 武瑠がどうし───」
少女が指差す方向に視線を向けるクリス。そこには……
「武瑠さん。今日、一緒に飲みに行きませんか?」
「いや。だから今日は──」
「良いじゃないですか。たまにはクリス先輩じゃなくて、私たちと一緒に…ね」
「だから、さっきから言ってるけど、今日は予定が───」
「………先輩。この子を預けてもいいですか?」
「ああ。行ってこい」
「んじゃあ…」
そう言って、クリスは少女を翼に預け、武瑠の元へ向かうのだった。
そして、夜。天空寺でクリスの誕生日パーティーが行われ、解散した後、少女がベビーベッドで寝息を立てている中、隣のダブルベッドの上ではクリスが頬を膨らまし、怒ってますと無言のアピールをしていた。
「だから、調たちとは何も無いって。俺はクリス一筋だ」
「はッ! どうだか。それならキッパリ突き放せば良いじゃねぇか」
「いやぁ…それは何か可哀想で…」
「そら見ろ。どうせ、あたしには飽きてんだろ。都合の良い女だった───」
だが、クリスの言葉が続くことは無く、彼女の口は武瑠の口で防がれた。
突然の事に目を見開き、しかし、突き放さずに自分からも求めていくクリス。唇同士の口づけは、後に舌の絡み合いになり、彼女の体はベッドへと押し倒された。
「──ぷはぁ…俺の思い、分かってくれたか?」
「……………い」
「なんだ?」
「………まだ、足りない。だから、その……二、二人目を、その……」
「……分かりましたよ、御嬢様」
そう言って、武瑠はクリスの頬をそっと撫で、二人の唇がまた一つになる。
───その直前で、クリスは目を覚ました。
「………………」
無言でベッドから体を起こし、状況を整理するクリス。
先程までの光景を思い返し、現実を受け入れるまで50秒。その後、彼女は枕を掴み、顔を埋める。
「夢オチかよおおおおおおおおおおおおッ!!!!」
(夢の誕生日プレゼント。彼女は気に入ってくれたかな)
「おっちゃんさん、朝早くから居るなんて珍しいですね」
「野暮用でね」
というわけで、今回は魔術師の誕生日プレゼントでした。
あの後、夢のプレゼントの事を知った雪音は鬼の形相で魔術師を追いかけ、お返しにと鉛と真鍮のプレゼント。ついでに武瑠には赤面と右ストレートをプレゼントしたそうな。
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