戦士開眼シンフォギアゴースト   作:メンツコアラ

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剣製! 英霊の紛い物! 前編!

 時計の短針が天辺に差し掛かろうとしている午後11時30分。武瑠は与えられた部屋で一人、ベッドに寝転がって天井を眺めていた。

 思い返すのは数時間前の戦闘。放たれた黒き王の聖剣の一撃は彼の脳裏に深く刻まれていた。

 

「おいおい。大丈夫か?」

 

「……ユルセン。こんな時間に何の用?」

 

「そりゃあ、明日の戦いで悩める後輩の様子を見に来たんだよ」

 

 あの通信の後、武瑠たちは街を犠牲には出来ないとブリテンのパンドラを学士のキャスターに渡すことを決めた。だが、学士のキャスターは武瑠達を躊躇い無く殺そうとしたり、街を容赦なく破壊しようとしたりする男だ。渡しただけではい終わり、という事はないだろう。恐らく、またアルトリアを使って武瑠たちの命を狙ってくるに違いない。

 無論、これは自分達の問題だから士道達を巻き込みたくないと武瑠たちは言ったのだが、心優しい彼らがそれを聞くわけもなく、最初は渋っていた琴理も仕方なく承諾。出来る限りのサポートを武瑠たちに約束したのだが……

 

「アルトリアさん……なんで……」

 

「あれはお前の知ってるアルトリアじゃない。お前と一緒だったアルトリアとは別次元の存在だって、魔術師がそう言ってた。だから、迷うな。力を振るうことを迷っていたら殺されるぞ」

 

「分かってる……だけど───」

 

 そんな時、コンッコンッと窓ガラスを小突く音が聞こえた。

 こんな時間に、しかも窓からの来客に驚き、同時に誰だろうと困惑しながらベッドから起き上がる。窓の外を見るが、そこに人の姿があるはずもなく、一体なんだったのだろうと首を傾げているとユルセンが窓に挟まっている手紙を見つけた。

 

「おい。なんか窓に挟まっているぞ?」

 

「これって……手紙か?」

 

 手紙を手に取り、中を見ると『明日の早朝06:00までにここに来い』という短い文章と地図が記されていた。地図には指定された場所と思われる赤点が一つ。

 差出人は不明。それに明日は学士のキャスターたちとの戦闘があると思われるので、本来なら無視するのだが、どういうわけか、武瑠はこの手紙を無視しては行けないと感じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ───翌日、皆が寝ている内にユルセンと共に指定された場所へ向かう武瑠。本来なら響などに相談すべきなのだが、武瑠は誰にも言わずに来ていた。だが、目的地で武瑠は予想外の人物に会う。

 

「武瑠? どうしてここに?」

 

 それは士道だった。彼の肩には思念体のドラゴンが眠たそうにアクビをしている。

 

「士道? まさか、お前が俺を呼んだのか?」

 

「……その反応だと、武瑠もあの人に呼ばれたんだな」

 

「俺も?……まさか」

 

 武瑠の問いかけを肯定するように、士道はポケットから武瑠が持つものと同じ手紙を取り出して見せた。

 

「昨日の夜、窓に挟まっていたんだ」

 

「士道もか。一体、誰がこんな事を?」

 

≪考えなくとも差出人は既に分かっておる。言っただろう? 『あの人に呼ばれた』と。

 おい。隠れてないで出てきたらどうだ

 

 ───アーチャー≫

 

「───まさか、気づいて居たとはな」

 

 武瑠たちの耳に届く彼の声。何もなかった虚空からアーチャーが姿を現した。恐らく、霊体化していたのだろう。それでも彼に気づいたドラゴンには流石と言うべきか。

 

≪それで? 貴様の目的は何だ? 何の為にこやつらを呼びつけた≫

 

「その問いに答える前に私の問いに答えてもらおう。

 ───天空寺 武瑠。五河 士道。貴様らは何の為にその力を振るう?」

 

「え? なんでそんなこ「答えろ」」

 

 疑問符を浮かべる士道だが、そんな彼をアーチャーは睨み付ける。そんな彼の視線に戸惑いはしたものの隠す事でも無いだろうと武瑠たちは正直に答えた。

 

「……すべての命を未来に繋ぐためだ」

 

「……絶望を希望に変えるため」

 

「一応、言っとくぞ? 武瑠───というか、多分二人とも嘘はついてねぇから」

 

≪遺憾だが、そこの人魂に同意だ≫

 

「……そうか───」

 

 アーチャーが小さく溜め息を吐くと、次の瞬間、彼は()()()()()()()()()()()()

 

「「───ッ!?」」

 

 反射的だった。咄嗟に武器を召喚して放たれた剣を弾く武瑠と士道。もし、反応が0.1秒でも遅れていれば、彼らの首は胴体と離ればなれになっていただろう。

 

「何するんだ、アーチャーッ!?」

 

「見ての通り、私が君たちに攻撃を仕掛けた」

 

「そういう意味で聞いてるんじゃないッ! なんで攻撃してきたんだッ!? 俺たちは敵同士じゃないだろッ!」

 

「ああ。そして、味方同士でもない」

 

「そ、それは───」

 

 冷酷な言葉に何も返すことが出来ない士道。

 アーチャーの手には何処からか取り出したのか、黒と白の双剣が握られている。

 

「構えろ。私と戦え」

 

「……理由もなく刃を振るえって言うのか?」

 

「理由が欲しいならくれてやる。今、貴様らの前にいるのは敵だ。武器を取らなくては貴様らの命は無いぞ」

 

 そう言うアーチャーの眼光はとても鋭く、冷たい……まるで剣のようなそれを向けられるが、武瑠たちは武器を取ろうとしない。

 

「なんであんたと戦わなくちゃならないんだッ!? せめて、その理由を教えてくれッ!」

 

「なに、初歩的なことだ……───只の八つ当たりだ」

 

 次の瞬間、アーチャーは地面を蹴り、武瑠たちに刃を振り下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

 

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