ここまで時間をかけてしまい、誠に申し訳ございません。
午前9時。誰もいなくなった町外れの遊園地跡地に訪れた響、翼、クリスの三人と十香、耶倶矢、夕弦の三人。響たちはシンフォギアを、十香たちは限定霊装を纏い、響の手にはアタッシュケースが握られていた。
「おいッ! 学士のキャスターッ! 言われたものを持ってきたぞッ!」
皆が周囲を警戒するなかで、クリスの叫ぶ声が静寂に包まれた遊園地跡地に響き渡る。そんな彼女の呼び声に答えるかのように、奴は黒騎士を従え、音を立てること無く姿を現した。
「随分とお早い登場ですね……おや? 天空寺 武瑠が居ませんね。代わりに何故部外者がいるのですか? 殺されるかもしれない可能性があると言うのに、あなた方も酷いことをする」
「学士のきゃすたーと言ったか? 我々は友を守るために此処にいる。そう易々殺されるつもりなぞない」
十香は
十香の殺気に反応した黒騎士……つまり、アルトリアはキャスターの前に立とうとするが、キャスターがそれを制する。
「まあいいでしょう。それで? 約束の物は持ってきていますか?」
キャスターの言葉に、響は無言でアタッシュケースを開け、中に入っていた『ブリテンのパンドラ(以後、パンドラ)』を見せる。それを確認したキャスターは自身の武器でもある歯車を現出させ、どういう原理か、歯車はひとりでに響の前に移動。
その歯車の上に乗せろ、というキャスターの指示に従い、響がパンドラを乗せると、歯車はまたひとりでに動き出してキャスターの元に戻っていく。
キャスターはパンドラを手に取り、それが本元であることを確認すると、その顔に凶悪な笑みを浮かべ、高らかに笑い声をあげるのだった。。
「クハハハハハハハッ!! 遂に……遂に手に入れたぞッ! この時をどれ程待ち望んだことかッ!」
「学士のキャスターさんッ! 約束の物は渡しましたッ! だから、街を狙うのは───」
「ええ。街に宝具は放ちませんよ。ただし、あなた方はここで死んでもらいます」
次の瞬間、キャスターが指を鳴らすと遊園地跡地の空気が一変。その場一帯がキャスターが形成した結界に覆われたのだ。
「これは───ッ!?」
「見ての通り、結界を張りました。外からの侵入は容易く、中からの脱出はほぼ不可能にしてあります。抜け出たくば、我々のうちのどちらかを倒すこと。まあ、それは不可能ですがね」
「学士さんッ……貴方の目的は一体なんなんですかッ!? その心臓を使って何をするつもりなんですかッ!?」
「……なるほど。これがどういったものか、既に御存知というわけですか。まあ、誰が教えたのかは考えるまでもない。しかし、どこまでもバカな奴等だ」
「バッ……!?」
「今、お前たちが心配するべきは自分の身の安否。殺されると言うのに、他の事は考えるべきではない」
そう言葉を終えたキャスターは自分の周りに直径一メートルはあるであろう歯車を二つ現出させ、それと共にアルトリアも剣を構える。
「改めて───私は学士のキャスター。真名 アルキメデス。
これよりあなた達の答えを出しましょう。『敗北』という、あなた達つまらない答えをね」
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一方、その頃───
「───どうッ!? 見つかったッ!?」
「だ、ダメ、でした……」
「うーん……探せる所は粗方探したんですけどねぇ」
『うーん。ここまで探しても見つからないなんて、まるで神隠しにでもあったみたいだね』
戦闘に参加せず、姿を消した武瑠達を探して、町中を駆け回っていた琴理達。一旦集合して情報を共有するが、それらしい手がかりは見つかっていない。
「琴理ちゃんッ! みんなッ!」
ふと琴理達の頭上から聞き覚えのある声がしたかと思えば、彼女たちの頭上から光学迷彩を解いた未来……もとい、仮面ライダーネクロム シェンショウジン魂が姿を現し、降り立つと同時に変身を解いて未来の姿に戻った。
「お帰り、未来。それで? そっちは何か見つけた?」
「それが、空から探しても武瑠たちの姿は無かったの」
「そう……」
既にフラクシナスからの通信で、響たちが戦闘を開始している事は知っている。
早く武瑠達を見つけなければ、彼女達の身に何が起こるか分かったものではない。本質は違うかもしれないが、
「ったく。どこに行ったのよ、あのバカ兄は」
「とりあえず、もう一度探そう。多分、何処かにいるはず───ッ、誰ッ!?」
言葉を止め、自分の後方を警戒する未来。何事かと思い、琴理も未来が警戒する方向を見るのだが、すぐさま彼女たちも警戒心を丸出しにする。
まあ、無理もないだろう。
何せ、最悪の精霊が姿を現したのだから。
「狂三ッ……!」
「ごきげんよう、皆さん」
「(狂三って、確か……この前、武瑠達を襲った───)狂三さん、でいいかな? 私たちになんのようかな? 今、急いでいるから、用があるなら手短にして欲しいんだけど」
「そう警戒なさらなくても。私は世間話をしに来ただけですわ。例えば、士道さん達の事とか」
「───ッ!? 貴女、士道が何処にいるか知っているの?」
「ええ。人避けの結界とやらが張られているようですが、何とか抜け道を見つけましたわ。今からご案内しますが、ついてくるかどうかは貴女方次第。どうされます?」
「……何が狙い?」
「狙いなんてありませんわ。ただ、茶番劇は一人よりも大勢で見る方が楽しいではありませんか」
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