戦士開眼シンフォギアゴースト   作:メンツコアラ

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大変長らくお待たせしました。
シンフォギアゴーストの更新です。


剣製! 英霊の紛い物! 後編!

 響たちがキャスター……古代ギリシアの数学者『アルキメデス』とアルトリアと戦闘を始めていた頃。

 そこから一キロも離れていない高台で、武瑠と士道は変身し、アーチャーと熾烈な戦いを───否。彼の力の前に劣勢に立たされていた。

 

「どうしたッ! 貴様らの力はこんなものかッ!」

 

「がッ……!?」「くッ……!」

 

 アーチャーの持つ白黒の双剣『干将・莫耶』が容赦なく振るわれる。

 カナデ魂に変身したゴースト、フレイムドラゴンスタイルとなったウィザードは各々の武器で防ぐも、その衝撃は凄まじいものだった。

 

「(これが英霊の力って奴かッ……こんなのと武瑠たちは戦っていたのかッ!?)」

 

≪何を考え事しているッ! 次が来るぞッ!≫

 

 ドラゴンの声にハッとなるウィザード。見れば、どこから取り出し、どう操っているのか、アーチャーの周りに数本の剣が現れ、それらの剣先がウィザードに向けられていた。

 剣が銃弾の如く放たれ、士道は咄嗟に『ディフェンド』で防ぐが、いくつかが炎の障壁を撃ち破る。幸い、直撃は避けることが出来たのだが、

 

≪がああああッ!!?!?≫

 

「ド、ドラゴンッ!?」

 

「どうかね、竜殺しの剣(ドラゴンスレイヤー)のお味は? 貴様に対する驚異は低くても、貴様の中にいる奴には有効───と」

 

「ちッ……これに反応するのかッ!」

 

 アームドギアの一撃を防がれ、すぐさま距離を取るゴースト。

 

 息もつかせぬ攻防の中、ゴーストはアーチャーの真名を探っていた。

 

「(さっきは妖刀、今度は竜殺しの剣……多種多様とも言える剣の種類とそれを惜しみ無く使う豪快さ……考えられるのはギルガメッシュ王。だけど───)」

 

 今まで、ゴーストはレオニダスやヴラド、イスカンダルなど、多くの王を見てきた。そんな彼らからは大なり小なり、王としての『風格』ともいうべきものが感じ取れた。だが、アーチャーからはそれを感じとることは出来ない。

 だとしたら───

 

「戦闘中に考え事をするなッ!」

 

「ちッ……!」

 

 咄嗟にアームドギアをガントレットに戻し、振り下ろされたアーチャーの剣を左で防ぐゴースト。響を見て、その強度をある程度理解していたゴーストは見事に刃を受け止めると、がら空きになった彼の腕を掴んで投げ飛ばそうとする。

 

 だが、腕に触れた瞬間、彼の目に見たことのない景色が浮かんだ。

 

「───ッ!?」

 

 

 

 

 ───燃え盛る街。

 

 ───夜の街で共に闘うアルトリアの顔。

 

 ───広野で、人につまり向けて構える弓矢。

 

 ───目の前に移る首吊り台。

 

 ───無限に広がる剣の荒野。

 

 ───そこに立つ、一人の男の名は…………

 

 

 

「───武瑠ッ!」

 

「───ッ!? がッ!?」

 

 無防備だったゴーストの腹に膝が入り、体勢が崩れたところに、アーチャーは容赦なく蹴り飛ばす。

 地面を転がるゴースト。ウィザードは倒れた彼の元へ駆け寄り、アーチャーの追撃から守ろうとする。

 

 ───が、しかし、

 

「くッ……」

 

「……あれ?」

 

≪(追撃しない、だと? 今のコイツらは隙が有りすぎると言うのに……)≫

 

 アーチャーは片目を押さえ、ゴーストを睨んでいた。彼の仕草は、まるで精神的な攻撃をうけたかのように見えた。その理由はすぐに判明する。

 

「天空寺 武瑠ッ……貴様、何を見たッ!?」

 

「……そういうことか」

 

 アーチャーの態度から、自分が見たものが何か、ある予想を立てるゴースト。まだダメージが抜けきれていない体にむち打ち、立ち上がった彼はそれの答え合わせを始める。

 

「……あんたが怒ってるのは()()()()()()()()()()()、アーチャー───……いや。()()() ()()()()ッ!」

 

「まさか、触れたことでオレの記憶を見たのか」

 

「エミヤ、シロウ……? そんな名前の英雄、いたか?」

 

≪いや。そんな名前の英雄は存在しない。考えられることはあの幽霊と同じ、この世界の住人ではないと言うことだが……≫

 

「知らなくて当たり前だ。エミヤ シロウという英雄は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

≪───……そういうことか≫

 

「え? どういうこと?」

 

≪ノミ虫以下の頭脳しか持たないお前に分かりやすく言えば、未来の時代に英雄として昇格した存在だ≫

 

「みら……はぁッ!?」

 

 ウィザードが驚きの声を上げるが無理もない。

 英雄という存在が知られているのは、彼らが歴史を歩んだ痕跡があったからだ。しかし、未来とは未知の領域。誰も歴史に痕跡を残せていない状態で、英雄が存在するはずがない。

 だが、ゴーストが見たものは確かにアーチャー……エミヤ シロウの記憶であり、それが彼が過去ではなく現代の生まれである事を物語っていた。

 

「過去視の魔眼……いや。お前自身の能力か」

 

「さあね。なにぶん、初めて使う能力だからな……それで? なんで、お前は自分自身に怒っているんだ?」

 

「記憶を見たのだろ?」

 

「見ただけじゃ分からない事だってある。教えてくれ。なんで過去の自分に怒っているんだ?」

 

「……いいだろう。そこまで知りたいなら教えてやる」

 

 アーチャーは語り始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あるところに、正義の味方になると夢見る青年がいた。

 

 誰かを助けたいという願いに憧れた。

 

 この身は誰かのためになろうとした。

 

 青年は大人になり、正義の味方を貫こうとした。

 

 だが、現実は違った。

 

 何かを得る度に何かを失い、何を救うかも定まらない。

 

 青年は気づいた。

 

 自分が持つこの正義は偽善であると。

 

 誰もが幸せであって欲しいという願いは空想でしかないのだと。

 

 それでも青年は止まることを許されなかった。

 

 守護者として、終わらぬ戦いに身を投じてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……それがお前の、英雄になるまでの道のりか、アーチャー?」

 

「英雄、か……彼女らのような誇りを持たず、馬鹿げた後悔だけしな無かった私に名乗る資格などない。

 だというのに、聖杯は私を抑止力として座につかせた。

 

 『なんて愚かだったんだろう』

 

 そう何度となく自分を呪った。

 だが、今さら遅く、私は守護者として多くの者を手に掛けてきた。

 人間の後始末など御免だというのに、その輪から逃げ出すことが出来ない。

 

 お前たちは過去の俺と同じだ。自分の正義を信じ、その心に疑いを持たない。故に、いずれ私と同じ場所に辿り着くだろう」

 

 それは遠回しの忠告だった。

 『夢を捨てろ』、『正義を捨てろ』と……それは彼なりの優しさなのかもしれない。

 

 ───だが、

 

「───ふざけるな」

 

 ウィザードが口に出したのは怒りだった。

 

「それはお前が歩んできた人生だッ! 俺たちは関係ないだろッ!」

 

「そうかもな。だが、お前達は既に若い頃の俺と同じ道を辿っている。すぐに力を持ちながら何も出来ない自分の無力に気づく」

 

「それは───」

 

 ウィザードがエミヤの言葉に反論しようとしたとき、ぽん……と彼の肩にゴーストの手が置かれた。

 

「た、武瑠……?」

 

「……理想に溺れて、何が悪いんだよ」

 

「……なに?」

 

「確かに、理想は呪いみたいなものだ。理想を追いかければ、どこまで行っても追及してしまう。それで失敗する人だってごまんといる。

 でも、理想を追及したからこそ、今の世界がある。俺たちが今生きている世界は先人達が理想を抱いた結果だ。だからこそ、俺たちは理想を、自分の正義を諦めないッ!」

 

「───……そうだよな」

 

 ウィザードはマスクの下で小さな笑みを浮かべ、自身もエミヤに胸の思いを伝える。

 

「エミヤ。お前がどれだけ否定しても、俺たちは自分の正義を、理想をを信じ続け、肯定する。それでも俺たちがお前と同じと言うのなら、死力を尽くして、お前という自分を打ち負かすッ!」

 

「なら、最後に聞かせてもらおうか。

 

 ……お前たちはなんだ?」

 

 

 

「理想に溺れながらも前に進み続け───」

 

「すべての人々の希望になり、命を未来に繋げる───」

 

 

「「───仮面ライダー(どうしようもない御人好し)だッ!!!」」

 

 

 

「そうか。なら、それが最後の言葉にならないことを祈るといい

 

───投影(トレース)開始(オン)」 

 

 再び、エミヤの手に新たな剣が握られる。その剣をゴーストたちは知っていた……いや。ウィザードに関しては、それと同じであって違うものを知っていると言った方が正しいだろう。

 

「本物とは比べ物にならないほどの粗悪品だ。これに負けるようなら、理想を語る資格などない」 

 

 手に持った投影品を構えるエミヤ。粗悪品と彼は言っていたが、そ剣が放つ光は本物に近いものを感じさせている。

 二人は分かっていた。自分達が持つ、あれに対抗する方法はただ一つ───

 

「「──自分の全力をぶつけるッ!!」」

 

 ゴーストはサングラスラッシャーの力を解放し、本来の姿であるサクリストD……黄金に輝く不滅の聖剣 デュランダルを、ウィザードは自身の中に封印された精霊の力を発揮させ、その手に淡く光を放つ天使(つるぎ)鏖殺公(サンダルフォン)』を握る。

 

 

 

「───我が手には、真実の絶世。不滅の聖剣。

我が身は泡沫であったとしても、我が心は不滅。

 

我が意思、我が心、我が正義を貫くため、

 この力を振るうッ!!」

 

「十香───力を借りるぞッ!」

 

 

 

 三人の手に握られた力が高まり、朝の光でさえ霞んでしまう。その力は一分もかからない内に限界へ達し、彼らはその力を解放した。

 

 

「──偽・約束された勝利の剣(エクスッ、

カリバァァァァァァ)ッ!!!」

 

 

「──真実の絶世剣(トゥルース・デュランダル)ッ!!!」

 

「──いっけぇぇぇぇッ!!!」

 

 

 言葉では表し切れないほどの強大な力がぶつかる。

 

 ちょうどその頃、宇宙では地球から銀河の彼方まで高く聳え立つ光柱が確認されたのだった。

 

 

 

 

 




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