今回は『宇宙刑事ブルーノア』様の作品
『新サクラ大戦・光』とのコラボです。
それではどうぞ。
暗い洞窟。アルキメデスたちが拠点としている場所。
「──なに? アーチャーがいなくなっただと?」
「そうだ。どうやら別の世界へ跳んだらしい」
「ついでに言うと、あの眼魂も持ってね」
フェイカー、アヴェンジャーの言葉に眉間を押さえるアルキメデス。
「なんということをしてくれたッ! あの眼魂は未知数ッ! どの人類史にも名前が刻まれていない英霊なんだぞッ!」
「どうする? 連れ戻すか?」
「無論「捨て置け」」
アルキメデスの言葉を遮り、洞窟の中に乾いた靴音と新たな若い少女の声が響く。見れば、洞窟の奥からローブを纏った一人の幼い女の子が姿を現した。
「(こやつ──ッ!)」
「(只者じゃないッ!)」
少女が放つ、見た目に反した強者の風格に臨戦態勢を取るフェイカーたちだが、それをアルキメデスが制し、あろうことか、少女に対して深く御辞儀をするのだった。
「お久しぶりですね、
「どちらでも良い。それよりもキャスター。面白い眼魂を手に入れたそうだな?」
「(全てお見通しと言うことか….)申し訳ありませんが、今手元にはありません。アーチャーが持ち出しております」
「分かっている。だから捨て置けと言ったんだ。アーチャーが能力を使えば、自ずと眼魂に秘められた英霊の力も分かる」
「….分かりました。今回は貴女に従いましょう」
「それでいい….ついでだ。コイツらもお前に預けよう。●●の欠片には選ばれていないが、多少の役には立つだろう。アーチャーのサポートに回せ」
そう言って、少女は三つの眼魂を投げ渡し、その場を去っていく。
血濡れのような朱。鈍い金色。光の反射で虹色に輝く白。
アルキメデスはスイッチを押し、瞳の紋章を描くと、眼魂から光が溢れ、それぞれ一つの姿を取るのだった。
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11月。秋終盤となり、冬の兆しが見え始めるこの季節。
大天空寺地下の研究室ではある少年によって、数名の人物が集められていた。
「それでは、今から地下大掃除を始めます」
そう言うのはバンダナを頭に巻き、目の前で正座する者たちを見下ろす武瑠。そんな彼に、正座させられている者の一人、響がそっと手を挙げる。
「た、武瑠ぅ…なんで、わたし達は正座させられているの?」
「そうじゃッ! わしら、なんも悪いことしとらんだろッ!」
「お姉さん、そろそろ足が辛くなってきたかなぁ」
響とノッブ、武蔵が文句を言う。そんな彼女達に対して、武瑠は静かにため息を吐くのだった。
「悪いことしてない? ああ。君たちからしたら悪く無いだろうね。でも、皆さんの現状には訳があります。まずは響とノッブッ!」
「「は、はいッ!」」
「手伝いもしないでダラダラしすぎッ!! ちょっとは何かを手伝えッ!」
「意義ありッ! わしら、お主に力を貸しと「それとこれとは話が別」是非も無しッ!?」
「手伝いならイスカンダルさんも「イスカンダルなら地下の野菜工場の栽培を手伝ってるぞ」…えッ!? あのイスカンダルさんがッ!?」
「次に武蔵ちゃんッ! この請求書なにッ!? 俺のアカウントでBL本とか、ショタ系ヌード写真を買わないでッ!!」
「それはほんとーにごめんッ!!」
「….とにかく、皆には罰として研究室の掃除を手伝ってもらう….まあ、皆だけに任せると不安だから、助っ人も呼んだ」
武瑠がパチンッと指を鳴らすと、いつから準備していたのか、武瑠の後ろに待機していた六人にスポットライトが当たる。
「まず一人ッ! 料理、掃除、なんでも御座れッ! 家事全般がプロフェッショナルッ! 食堂のオカン『エミヤ・シロウ』ッ!」
「なんだねッ!? その不名誉な紹介文はッ!」
「速き事沖田さんの如し。神速の速さで汚れ一つ残さないッ! 斬り込み掃除係『沖田 掃除』ッ!」
「斬り込み掃除係ってなんですか….」
「厳しい方かと思いきや、実は母性溢れる優しいお姉さんッ! 正直、結婚するなら大天空寺で一番の女性では? 魅力の歌姫『マリア・カデンツァナ・イヴ』ッ!」
「ちょっと黙ってなさいッ!///」
「隠しきれない溢れる母性ッ! 頼光さんを差し置いて、調と切ちゃんにお母さんと言わせた母親王ッ! みんなのお姉さん、ブーディカさんッ!!」
「みんなのお姉さんかぁ….なんだが恥ずかしいなぁ」
武瑠の紹介に文句を言ったり、赤面したりする面々。そんな中で照れくさそうにしている赤毛の女性は、新たに武瑠に力を貸す、『勝利の女王』の異名を持つ英霊『ブーディカ』。
「なお、今回は自主的な手伝いとしてアルトリアさんに来てもらってます」
「よろしくお願いします」
「そして、サボった人には卑弥呼ちゃんのげんこつを受けてもらいます」
「まっかせてッ!」
武瑠の紹介に、
『さすがにやり過ぎ』、『げんこつ受けたら死ぬ』とノッブや武蔵が文句を言うのだが、武瑠は聞く耳をもたず、響たちは渋々、武瑠たちはそんな彼女たちの姿に呆れながら片付けを開始するのだった。
「これ、意外と重いわね….」
「マリア、その本は私が運んでおこう」
「こ、これはッ….!?」
「はい。武蔵ちゃん、アルバムは後にして手を動かしましょうねぇ」
「武瑠くん、これは何?」
「それは父さんの研究資料。あっちの棚に入れといて」
「….響、ノッブ、どうかしましたか?」
「いや。本当にアルトリアさんだなぁって。やっぱり、まだ慣れないというか….」
「そうですか。私としては、そこまで変わったつもりはないのですが」
「いや、変わりすぎじゃろ。スッスッスッだったボディがボンキュッボンじゃもん。初めてその姿を見た翼と調を覚えとるか? 絶望しとったぞ」
先ほどのぐだぐだとした空気は何処へやら。テキパキと掃除する武瑠たち(一部を除く)。少し埃っぽかった研究室は徐々に小綺麗になっていくのだった。
一時間後。一段落着いた武瑠たちは一旦休憩。響が台所に行ってお茶菓子を取りに行っている間、残った者たちは武蔵が偶然見つけた武瑠の幼少期を納めたアルバムを見ていた。
「おやおや。随分と愛らしい姿をしていますね」
「うんッ! スッゴくかわいいッ!」
「アイス落として泣きそうになってる….(セレナほどではないけど可愛い….)」
「可愛いなぁ….あの子たちを思い出すよ….」
皆が写真を眺めるなか、武瑠は恥ずかしさのあまりに蹲り、エミヤが武瑠の背中を擦っている。
そんな中、ノッブがある写真を見つける。
「おい、武瑠。このお前の隣にいる少女なんじゃが──」
「なにッ!? ….て、あれ?」
ノッブに見せられた写真を見て疑問符を浮かべる武瑠。
無理もない。何せ、そこに写っていたのは幼き頃の武瑠と、
「これ….翼さん?」
「じゃよな? この幼子、翼にそっくりじゃよな」
「武瑠くんと翼ちゃんって幼馴染みだったの?」
「記憶にない….というか、こんな写真撮った覚えもないし、知り合いがアイドルとかやってたらすぐに気づくだろ?」
(((気づかないだろうなぁ….)))
「….ねぇ、皆。写真に夢中になっているところ悪いのだけど….あれ、なにかしら?」
「「「あれ?」」」
マリアが指差す方向….研究実の中心、モノリスがある場所に全員の視線が集まる。そこにあった光景に、武瑠たちは意図せずして口を揃え、
『あの穴、なに?』
「え? ガチでなんじゃ? あの作者が『グダグタ系だから適当にここに置いとけ』みたいな感じで開いてる穴は」
「ノッブ、メタいですよ」
「だって、空間に穴じゃよ? 意味ありげにあるモノリスの前に意味ありげに穴がじゃよ? もう何か起こるか確定じゃん。どうせ、あの穴が広がってブラックホールの如く、わしらを吸い込むんじゃろ───」
次の瞬間、その場にいた全員を飲み込まんとするほどの大穴が広がった….いや。開いたと言った方がいいだろう。何せ、開いたのは武瑠たちの視線の先ではなく….
武瑠たちの真下なのだから。
『へ───』
一瞬の浮遊感。すぐさま襲ってくる重力に武瑠たちは叫ぶ。
『ノッブウゥゥゥゥゥゥッ!!! 』
『わぁぁぁしぃぃぃのぉぉぉせぇぇぇいぃぃぃッ!!?』
穴の中へと消えていく武瑠たち。
武瑠たちを飲み込むと、床の穴は人知れず閉じていき、研究室は何事もなかったかのように静かになった。