太正桜に浪漫の嵐。
かつて、帝都を護る伝説の乙女たちがいた。
歌い、踊り。そして、戦う乙女たち。
その名は" 帝国華擊団 "。しかし、彼女たちは復活を遂げようとしていた降魔の王『降魔王』を封印するため、もうひとつの世界『幻都』へと姿を消す。この出来事は『二都作戦』と呼ばれ、一部の者のみに知らされていた。
時は経ち、二都作戦から十一年。彼女たちの意思は新たな乙女たちへ受け継がれた。
その者たちこそ、新生帝国華擊団・花組である。
『望月 あざみ、参るッ!!』
忍者であるあざみの黄色い霊子戦闘機・無限(あざみ機)は跳躍し、地上を闊歩する降魔に向けて爆弾を投下。さらに向かってくる飛行型降魔を空中だというのに華麗に避けて見せ、左腕の手甲に装備された武装『鉄爪』で切り裂く。
『クラリッサ・スノーフレークッ! 一匹たりとも逃しませんッ!』
『重魔導』の継承者であるクラリスの乗る深碧の無限(クラリス機)は降魔の間をすり抜け、後ろを取ると、両肩にマウントされていた装備の一つ『魔導書・罪』を手に取って広げ、自身の魔導を行使。広範囲に放たれた魔弾が降魔を滅する。
『アナスタシア・パルマ。ここから先には行かせないわ』
アナスタシアの駆る紺碧の無限(アナスタシア機)は手に持つ番傘型アンシャール鋼製開閉装甲付長銃の銃口を降魔に向け、的確に射撃。降魔が一直線状に並ぶ僅かな瞬間さえも逃さず、確実に撃ち抜いていく。
『東雲 初穂ッ! 行くぜぇッ!』
初穂が乗る朱色の無限(初穂機)が持つのはブーストユニット付の巨大ハンマー『神槌』を手に突撃。降魔を真っ正面から叩き潰し、凪ぎ払い、かち上げて見せ、その戦い方は『豪快』の二文字が最も似合うだろう。
『天宮さくらッ! 参りますッ!!』
街の道路を滑るように駆ける薄桜色の無限(さくら機)。降魔をスレ違いざまに一閃。一体、また一体と斬り倒していく。次々と押し寄せる降魔たち。さくらは纏めて凪ぎ払うべく、無限の武装の太刀を上段に構え、霊力を籠める。
『──天剣・桜吹雪ッ!!』
桜吹雪の如く吹き荒ぶ桜色の霊子。刀身から解き放たれた霊力は降魔たちを飲み込み、塵一つ残すこと無く消し去った。
帝国華擊団・花組の戦い。それは地下作戦指令室にいたすみれを始めとした華擊団員は勿論、誠十郎の側にいるクラーラやこまちの案内で連れられた武瑠たちもモニターで見ることが出来た。さくらたちの戦いぶりを見て、皆が感嘆と称賛の声を上げるなか、誠十郎…いや。正確には、
『……やっぱり勘違いじゃねぇな』
(ゼロ? どうかしたのか?)
難しい顔を浮かべる戦士…M78星雲 光の国からやって来た超戦士『ウルトラマンゼロ』に誠十郎は疑問符を投げ掛ける。
『このクラーラって奴、人間じゃねえ。降m(ゼロ)』
(何かに気づいたのは分かる。だけど、今は止めてくれ。彼女にも理由があるはずだ)
『へッ…分かったよ。だけど、アイツらはどうする? 降魔ではねぇけど、あの桃髪の女以外、全員人間じゃねえぞ。異世界からってのはあり得るかも知れねぇが、一人だけ人間は怪しくないか?』
(そ、それも事情があるんじゃないか?)
ゼロの言葉に少し自信を無くす誠十郎。そんなとき、ギュッとクラーラが誠十郎の服を強く掴んだ。何事かと心配し、声をかけようとする誠十郎だったが、その原因と思われるものが画面に写された。
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「ふぅ…これより帰還します」
『今回も楽勝だったなッ!』
「初穂、帰るまでが任務でしょ。まだ油断しないで」
『心配ねぇよ。あたしらは最ky「愚かだな」──ッ?!』
突然割り込んできた声に皆が警戒体制を整える。
その声の主は意外にも近く…彼女たちの側にあった高い建物の屋上に立っていた。
赤い軍服に制帽、黒いマントを纏った中性的な少年。彼女たちの知る陸、空、海のどの軍のものでは無いが、その顔立ちは何処か見覚えがあった。
『誰だ、テメェッ!』
「我が名は織田信勝ッ! 貴様らを倒す者だッ!」
『『『『「──は?」』』』』
『な、何言ってんだ…?』
『理解に苦しみます…』
『第一、信勝なんてあり得ない』
「ふっ…驚いて声も出ないか。それもそうだろう。何せ、あの織田信長の──って、何処へ行くッ?!」
『いや、帰ってんだよ』
『おふざけに付き合ってる程暇ではないので』
「おふざけだとッ!?」
『嘘を言うなら、まずは相手に信じてもらうことから始めなさい』
『仮に、本当に織田信勝として、私たちを倒せるなんて思えない』
「あ、あははは…」
一応、武瑠と共にいる武蔵たちの事は聞いているのだが、彼が本当に信勝である証拠はない。故の彼女たちの態度だったのだが、それが信勝を怒らせた。
「バカにしてッ! もういいッ! 貴様らはここで殺すッ!
──やれッ!
『のぶのぶ~ッ!!』
『──ッ!?』
次の瞬間、建物から飛び降りて来た謎の二頭身生物…いや。
『ノッブッ!?(さんッ!?)』
そうである。まるで誰かが描いたような二頭身キャラとなったノッブの群れ。まあ、それだけならまだ彼女たちで対処できるだろう。
…そう。
『ノ~~ブ~~ッ!』
建物の影から姿を現す、四五メートル以上はありそうな三体の巨大な二頭身ノッブ。さくらたちは先ほどの呑気な雰囲気から一転。全力で行かなければと兜の緒を絞めるのであった。
一方、大帝国劇場地下・指令室。
『──ノッブ?』
「知らんッ! ワシ、何も知らんッ!!」
『誠十郎。織田 信勝って誰だ?』
(確か、歴史上の人物で織田信長の弟だったはず…本人って訳じゃないだろう。とりあえず、俺たちも──あれ?)
「どうかしましたか、神山くん?」
「あの…何人か居なくなっているんですが…」
「それなら今さっき出てったで」
「大人しくしようね、ノッブちゃん」
「嫌じゃあッ! ワシまで行かんとあかんの?!」
「はい文句言わない。明らかに俺たちに原因ありそうだろ」
「嫌じゃあッ! どうせワシ似の謎生物を容赦なく倒すんじゃろ? 切殺すんじゃろッ?!」
「人聞きの悪いことを言うな。エミヤ、どこまで戦闘出来る?」
「あれについては未知数だ。だが、援護なら出来るだろう」
「分かった。ブーディカさんの宝具で向かう」
「任せて…って言っても使うのは武瑠くんか」
ブーディカは眼魂へ戻り、武瑠の手に収まる。大帝国劇場を出た武瑠、エミヤ、ノッブの三人。武瑠はベルトを顕現させ、ブーディカ眼魂を装填する。
トリガーを引くとベルトから出現する裏地が赤い白マントを羽織った白いパーカーゴースト『ブーディカパーカーゴースト』。フードには黄金の
「──変身ッ!」
《カイガン! ブーディカ!
纏われるブーディカの力。マスクには彼女の乗るチャリオッツと剣。
この姿こそ、『勝利の女神』と呼ばれた、一世紀のブリタニアの若き戦闘女王 ブーディカの魂を纏った姿。
仮面ライダーゴースト ブーディカ魂である。
《ダイカイガン!》
「この道の先…我が行く道の先に勝利ありッ!
武瑠たちを追って帝劇を出た誠十郎。だが、そこに武瑠たちの姿は無く、見上げればさくらたちが居る場所に向かって何かが飛んでいくのが見える。
「ゼロ、俺たちも──」
『よっしゃあッ! 久々に行くぜぇッ!』
誠十郎の体の主導権がゼロに替わり、彼は左腕のブレスレットからウルトラアイ型のゼロ専用変身アイテム『ウルトラゼロアイ』を取り出し、装着する。
「セエアッ!!」
誠十郎の体が金色の光を放ち、ゼロアイからはトリコロールカラーの光の嵐が巻き起こり、彼の体を超人へと変えていく。
トリコロールカラーのボディ。頭部には二つのトサカ。鋭く輝く目付きは僅かな悪も逃しはしない。
彼こそウルトラ兄弟の一人であるウルトラセブンの血を継ぐ戦士。多くの宇宙を救ってきた光の巨人『ウルトラマンゼロ』である。
「シュア──ッ!!」
彼は巨大化すると武瑠たちの後を追うように大空へと飛び立った。