さて、昨日も予告した通りこの話は霊夢が語り手となります。そして、幼い霊夢と霊花の生活も出ますのでお楽しみに。
それでは、第六話始まり始まり。
いつだっただろう。私が霊花と一番楽しく暮らしていたのは。あぁ、確か私が七つの頃だったと思う。その頃は紫の他にも妖怪や妖精と触れ合う事が多くなった時だった。その頃の私は自分で言うのもなんだけど、やんちゃだったと思う。その証拠にいつも霊花に怒られてたっけ。
「待ってー。ちょうちょー」
「こら、霊夢!危ないわよ」
蝶を追いかける私を注意する人、黒髪を背中まで伸ばし、赤い鎧を身に付けた女性この人が私のお母さん、博麗霊花だ。
「大丈夫だよー!って、わっ!」
「危ない!」
つまずいて転びそうになった私を霊花は支えてくれた。
「ありがとう!霊花」
「そこはお母さんでしょ」
「霊花は霊花だもん」
「分かったわよ…はぁー」
霊花はため息をつくと私を抱っこすると家の縁側に座らせた。
「さて、霊夢。遊びはおしまい。修行するわよ」
「えー。嫌だよ。修行辛いもん」
「ダメよ。しっかり修行しなきゃ。いずれは私から博麗の巫女を受け継ぐんだから」
「そんな大丈夫だよ。霊花は強いし、私が博麗の巫女をしなくたって…」
「駄目よ」
その時、霊花は私の肩を掴み体を自分の方に向かせた。その時の顔は真面目な顔をしていた。
「れ、いか?」
「確かに私は強いかもしれない。でもね、人はいずれ死んでしまうの」
「え、霊花も?」
「そうよ。私だって人間。病気にもなるし、怪我もする。そうしている内に私は死んでしまうかもしれない。そしたら、幻想郷は誰が守るの?」
「え、それは紫や文達が…」
「もしも、紫達が動けなかったら」
「それは…」
「それにいつかは紫や文達といった知っている妖怪が異変を起こすかもしれない。その時、霊夢ならどうする?」
「私は…止める。紫達を止める!」
「なら、今の霊夢は止められると思う?」
私は首を振った。
「だから、もしそうなった時の為に修行するの。分かった?」
「うん…」
「それじゃあ、早速やろう!やろう!」
霊花が元気に立ったが私は顔を俯いた。それを見た霊花はどうしたの?と私の顔を覗き込んだ。
「死んじゃいや」
「え?」
「霊花は死んじゃいや。ずっと、私の側に居て!」
霊花は驚いた顔をした。でもすぐに微笑むと私を抱きしめた。
「大丈夫よ。霊夢が一人前の巫女になるまでずっと側に居てあげるから。だから顔を上げて。ね?」
「うん…」
私は頷いて顔を上げた。そして私の手を取ると引っ張って私を立ち上がらせた。
「それじゃあ、始めましょうか。霊夢?」
「うん!」
こうして、霊花と私は巫女になる為の修行を始めた。それから六年。私は霊花から体術やスペルカード、弾幕などの博麗の巫女に必要な事を習った。それだけでなく読み書きを習う為に人里の寺子屋に通ったりもした。そんな時のある日の朝だった。朝早めに起きた私は廊下で霊花と紫が話しているのに気付き、どんな話をしているのか気になって耳をすませた。
「紫?話って何?」
「遂に、恐れていた事が起きたわ」
「まさか!」
「幻想郷と外の世界を繋ぐ穴が空いたわ。このままだとこの博麗大結界は崩れてしまうわ」
「そう、なの…」
「穴を塞ぐ方法、分かってるわよね…」
「ええ、私が、依り代となって穴を塞ぐだったわよね」
「え?」
私は思わずしまった。と口を押さえた。
「霊夢?起きたの?」
二人に気付かれた私は部屋を出て二人の元に行った。
「霊夢?どこまで聞いていたの?」
紫に聞かれ私は全部と言った。そして私は霊花に詰め寄った。
「ねぇ、霊花?嘘よね?依り代?穴を塞ぐ?どういう事?」
「それは、その…」
霊花は助けを求めるように紫を見た。紫は私を霊花から引き離すと説明してくれた。
「博麗大結界はここ幻想郷と外の世界を隔てる結界だって事は分かるわね?」
「うん…」
「その結界に数十年後に一度大きな穴が開く時があるの。どうして開いたのか分からないその穴をそのままにして置くと徐々に広がっていき、結界は崩れてしまう。だから、その穴を塞ぐ必要がある」
「その穴を塞ぐ為に霊花が依り代になれって言うの?」
「そうよ」
「ふざけないで!」
私は叫んだ。それも泣きながら。
「ふざけないでよ!何で霊花がそんな事をしなきゃ行けないの!」
「穴を塞ぐ事が出来るのは博麗の巫女だけ。今までの巫女の中には穴を塞ぐ為に依り代になった巫女もいるわ。それが、今回は霊花になったの」
「それじゃあ、霊花にはもう会えないの?」
「そうよ」
「嫌だ!霊花に会えないなんて嫌だよ!紫はいいの!霊花がいなくなっても」
「私だって嫌よ!」
紫の叫びに私と霊花は紫を見た。気付けば紫も泣いていた。
「私だって、嫌よ。毎回毎回、博麗の巫女にこんな事を伝えないといけないのよ?家族同然に触れ合って来た人達によ?特に霊花には一番仲良く接して来た。これがどれほど辛いのか分かる?それでも、私は言わないと行けないの。幻想郷の、為に」
「…」
紫の言葉に私は何も言えなかった。すると今まで黙っていた霊花がありがとうと呟いた。私と紫は霊花の方を振り向くと霊花は私と紫の頭の上に手を置いた。
「ありがとうね。二人共。私をそこまで思って居てくれて、私はそれで充分よ」
「霊花…」
「紫、霊夢の事お願いね」
「…分かったわ」
霊花はそう言って紫が作ったスキマに入ろうとした。私は霊花に抱き着くとその手を強くした。
「行かないで!」
「霊夢。博麗の巫女よろしくね」
「嫌だよ。私、まだ一人前じゃない!霊花、言ったじゃない!一人前になるまで側にいるって!まだ霊花が必要なの!」
「いいえ。霊夢はもう一人前よ。体術においても、スペルカードにおいても、私と互角に張り合える程になった。それにあなたはここまで、大きくなった…。私は後悔はないわ」
「私は後悔ありありよ。行かないで!」
そう言うが私は紫によって霊花から離されてしまった。
「嫌!紫離して!」
「さぁ、霊花。今のうちよ」
「ええ」
霊花は再びスキマに向かって歩きだした。
「待って!霊花。お願いだから!」
「…」
「待ってよ!」
「…」
「ねぇ!お願いだから!おかあさん!」
「…!」
霊花は私の言葉に振り返った。その顔は泣きながらも微笑んでいた。そして最後に一言残してスキマに入っていった。
「じゃあね。霊夢」
「う、う、うわぁぁぁ!」
私は泣いた。涙が枯れるまで。これが私が霊花をお母さんと言った。最初で最後の記憶だ___
「う、う」
私はクラクラする頭を抑えると周りを見た。恐らく妖怪の山の何処かだと思うこの場所に私は気絶させられ連れて来られたらしい。
「晴竜やレミリア達は大丈夫かしら?」
先程まで共にいた晴竜達の事を思って立ち上がろうとしたが思う様に、足に力が入らない。(随分、懐かしい記憶だったわ…)
幼い時の記憶に私は乾いた笑みを浮かべた。この記憶を思い出したのは間違いなくあいつのせいだ。私は私を連れ去った犯人の方を見た。あの時、紅魔館で偽の私に捕まった時、偽物はこう呟いた。
「ただいま。霊夢」
私はそれで固まってしまった。だって、それが私が一番会いたい人の声だったから___
「ねぇ、何でこんな事をしたの?」
「…」
「ねぇ、答えてよ!」
「…」
「答えて!お母さん!」
偽の私。否、博麗霊花は振り返えると霊花は私が知るあの声で、あの微笑みで言った。
「おはよう。霊夢」
第七話に続く
今回は上手く考えていた通りに行けた。やったぜ!どうだったでしょうか。まさか、偽霊夢の正体はまさか先代の巫女、博麗霊花だったとは。次回は語り手を晴竜に戻し、二人を追います。一体、霊花はどうするのかお楽しみに!
それでは、また次回!