さて、今日で憑依異変の章最終回になります。晴竜はどうやって憑姫を倒すのか?
それでは最終回始まり始まり。
ここは妖怪の山の麓にある野原。俺はこの野原で魔理沙__否、魔理沙に取り憑いてる者と対峙していた。
「何が大丈夫だ、ですって?あなたごときが私に勝てるとでも?」
「その口調、感じる魔理沙の魔力に混じった妖力。間違いないな。霊夢の母さんに取り憑いていたあの妖怪か」
「あの妖怪呼ばわりしないで。私は憑姫。前回は失敗したけど、今度こそ復讐するわ!」
憑姫はそう宣言し、俺の縛魔術を破壊すると手を上に上げ振り下ろした。その瞬間、妖怪達が俺に向かった飛びかかって来た。
「まったく、面倒臭い!」
俺がそう叫んだ時大きな影が見えたかと思った時、妖怪達が一掃された。
「なるほど。式神もちゃんと居たのね…」
そう呟く憑姫に妖怪達を一掃した輝龍は雄叫びを上げた。
『グォォォォー!』
「うるさいわね!お前はしばらく妖怪達の相手になっていなさい!」
輝龍の周りに現れた妖怪達と輝龍は戦い始めた。
「あなたって今、どんな状況は分かって無いでしょ?」
「突然何だ?」
俺は刀印を結び憑姫に聞いた。
「あなたに今の私を倒せると思うの?幻想郷最強である霊夢でさえあのざまなのに?」
「そうだな。確かに俺は霊力も、体術も弾幕勝負も霊夢に劣る。だが、お前が霊夢をあそこまで出来たのはお前が魔理沙という盾を持っているからだ」
「そうよ。だからあなたも私には勝てない」
「それは違うな。俺はお前に勝てる」
「なら、来てみなさいよ。ただし…」
そう言って憑姫は手に持っていた短剣を自分の首元に置いた。
「来た瞬間、首を切るから」
「やめて!晴竜、早くどうにかして!」
「このままじゃあ魔理沙が死んじゃう!」
霊夢とアリスがそう叫んでいるのを見て俺はどうして幻想郷がこうなったのか分かった。
「なるほどな。お前はそうやって幻想郷をこうしたのか」
「どう?いい考えでしょう?さあ、来なさいよ!」
「そうか?なら遠慮なく…」
俺はそう言うと憑姫に近付いた。
「ちょっと晴竜!なにしてるの!」
「晴竜!魔理沙を殺すつもりなの?」
霊夢達の悲鳴を聞きながら俺は一歩、また一歩と憑姫に近付いた。しかし、憑姫は首を切る所か俺が近づく度、後退りした。俺はそれを見て自分の考えが合っていると確信した。
「どうした憑姫?切らないのか?」
「…」
憑姫は依然、沈黙するばかり。不思議がっている霊夢と輝龍によって助けて出されたアリスに俺は憑姫から視線を離さず説明した。
「憑姫の一番の強さは人に憑依する事だ。憑依とは、生きている者、もしくは死んで間もない者の体や力を自分の力と同化する事を言うんだ」
「「同化?」」
霊夢達の言葉に俺は頷いた。
「そう、同化。憑依する者は憑依された者の体に同化する事で力を得る。死んだ者に憑依すれば体は自分の者として自由に動かせるが、それだけだ。その人の元々持っていた力は手に入らない。まぁ、ごく稀に霊力や、才能が残っている時があるが…」
霊夢がお母さんの事だ。と呟いた。
「それに対して生きている人に憑依すればその人の霊力、もしくは魔力と同化し、元々持っていた妖力に上乗せ出来る。しかも、その人の技術も使えるようになる」
そこでアリスが聞いて来た。
「でも、それじゃあ生きている人の方が断然憑依されるじゃない?」
「確かに、こっちの方が良いように思えるが…。実は、生きている人に憑依する事にはたった一つ、しかし大きな弱点がある」
「弱点?」
「生きている人に憑依すれば力や、技術だけで無く命さえ同化してしまう。つまり、憑依された人が死んでしまったら憑依した方も死んでしまう。と言う事だ」
「なるほど。だから憑姫は魔理沙を殺さないのね。自分も死んでしまうから」
「そういう事だ」
霊夢の結論に頷くと憑姫はふんと鼻を鳴らした。そして首元の短剣を下ろした。
「あーあ、バレちゃった。最後まで騙せると思ったのになー」
「残念だったな。幻想郷にはこの知識を知ってる奴はほとんど居ないからな」
「なら、何であなたは知っていたの?」
「俺は外の世界から来たんだ。それもお前のような妖怪といっぱい会って来た人の子孫だからな。自然とそんな知識を親などから聞かされたんだ」
「本当、あなたって嫌いだわ」
「そうか。俺もお前の事は大嫌いだ」
「そう。なら早めに嫌いな物は排除しないとね!」
憑姫は言い終わるが早いか、俺に向かって来た。俺はそれを見て叫んだ。
「今度こそお前を倒してやる。弾幕勝負でもない。スペルカードでも無い。本当の陰陽術でな!」
俺はすぐに呪文を唱えた。
『五芒障壁!急急如律令!』
すると俺と憑姫の間に五芒星の壁が現れ、憑姫の剣を止めた。
「ちっ!」
憑姫が舌打ちし、後ろに飛び退いた時に俺はスペルカードを唱えた。
「神器!アメノムラクモ!」
俺は出した剣ですぐ、憑姫とのふどころに入った。が、憑姫はポケットからミニ八卦炉を取り出すと
「恋符!マスタースパーク!」
「なに!」
憑姫が放ったレーザーに俺は咄嗟に言霊を発した。
「裂!」
すると、マスタースパークは見事に真っ二つに切れて後ろに飛んで行った。
「マスタースパークを至近距離から受けといて無傷なんて大したものね」
「流石にあの距離からのアレは前の俺なら完全に喰らっていたな」
憑姫は連続で弾幕を撃って来た。俺はその弾幕を避けたり言霊で破壊したりと防戦していた。そして、一瞬、弾幕が収まった瞬間。
『オン!』
俺が真言を叫ぶと霊力の弾が憑姫に向かって飛んで行った。
「ふっ!」
それを憑姫は紙一重で回避した。そして、憑姫が横から俺に攻撃してきた。
「はぁ!」
「無駄だ!」
俺は憑姫の攻撃を霊力で体ごと後方に退けた。後方に飛ばされ地面に着地した憑姫の顔は少しづつだが疲れ始めていた。まぁ、こっちもだいぶ疲れているが。その時、憑姫は突然妖怪達に指示し、無防備になっていた霊夢達を襲わせた。
「しまった!」
俺はすぐに輝龍を向かわせようとしたが輝龍も周りの妖怪達が邪魔で出遅れた。
「霊夢!」
「アリス!?」
霊夢を庇うようにアリスが前に出て腕を広げた。妖怪達の牙や、爪がアリスに届こうとした時一体の妖怪が倒れた。次の瞬間、妖怪達の間に風が吹き次々と妖怪達が倒されていった。(一体何が起きたんだ?)俺達が呆然としている中、ある声が聞こえて来た。
「この幻想郷は僕のものだよ。そしてこの子達も僕のもの。決して傷付けたりしない」
「この声…。まさか、黒尾か!」
俺の声に答えるかのように黒尾は姿を現した。
「久しぶりだね」
「何が久しぶりだね、だ。俺達から逃げて姿をくらませたくせに」
「僕の目的を果たすためだよ。それより今は目の前の事に集中したらどうかな?」
「ちっ、後で調伏してやるからな」
俺は改めて憑姫と黒尾は輝龍と戦っている妖怪達に向かって行った。
「次から次へと邪魔ばかり!もう許さない!」
憑姫は疲れと怒りを見せ、弾幕と剣術を同時に繰り出してきた。俺は陰陽術で防ぎながらすきを探っていた。そのとき一瞬、憑姫の背後に回る人影。俺はすぐに呪文を唱えた。
『六芒捕縛!急急如律令!』
捕えられた憑姫。しかし
「こんなもの!」
憑姫は魔力と妖力で術を破壊した。
「私を捕えられると思ったの?」
「別に思っていないさ」
「じゃあ何で?」
「それは…」
俺はそこで笑った。
「あいつの為にスキをつくるためだ!」
「え?…!しまった!」
やっと気付いたのか憑姫は背後を振り返った。しかしもう遅い後ろに回っていた人影___霊夢が憑姫のふどころに入ると憑姫のお腹に手を置いた。
「ごめん、魔理沙。少し我慢して」
そして霊夢はスペルカードを使った。しかも奥義を。
「喰らいなさい!夢想天生!」
その瞬間、霊夢の手から霊力の波動が放たれた。
「ぐわぁぁぁ!」
憑姫の力が弱まった時、霊夢が叫んだ。
「今よ!晴竜!」
「おう!」
俺は答えると憑姫を魔理沙から引き離す呪文を唱えた。
『闇持つ者よ。今、ここに真の姿を現わせ!』
憑姫は苦しみ、魔理沙から離れた。倒れる魔理沙を霊夢が抱き留めた。逃げようとする憑姫を俺は手刀で空中に四縦五横の格子を描き言霊を発した。
『縛!』
すると、憑姫の本体が格子に捕まり動けなくなった。流石に今の体と力では破壊出来ないらしい。
「くそっ!はなせ!」
憑姫はわめくが俺は気にせず目を閉じ両手で手印を結ぶと神咒を唱えた。
『我に力を与えませし、国津神、天津神並ぶこの国を守りし八百万の神々よ。今、神々の光を放ち、闇を打ち払わん!』
そして、目を開き、叫んだ。
『神光破邪!急急如律令!万魔拱服!』
その瞬間、空から光の柱が降りてきたと思えば、たちまち憑姫を包み込んだ。
「_____!」
憑姫は言葉では表せられない悲鳴を上げ、光に消えていった。憑姫が消えた事で部下の妖怪達も苦しみ消えていった。
同時刻、人里。ここでは、華扇達が妖怪達と戦っていたが、突然、妖怪達が苦しんだかと思えば煙のように消えていった。
「妖怪達が、きえた…?」
陰陽師の誰かが呟いた。そして、全員喜びを爆発させた。
「やったぞ!妖怪達が消えたぞ!」
「博麗の巫女だ!博麗の巫女があの妖怪を倒したんだ!」
人々が喜びに暮れる中、華扇達は気付いていた。憑姫にとどめをさしたのは霊夢では無い。いつの間にか帰って来た晴竜だという事を_____
それからというもの、俺は休む事が出来なくなった。人里や、紅魔館などの建物の修復の手伝い。心や、身体に傷を負った人や妖怪、妖精達のケア。そして、残党が残って居ないか確かめる為の見回りなど、大変だった。それに、あの戦いの後、黒尾はいつの間にか姿を消していた。黒尾も見回りついでに探したが結局見つからなかった。そして今日、一通り仕事が落ち着いた俺は博麗神社に来ていた。ここに来た理由。それは去年、幻想郷を離れる時の約束を果たすためだ。
「何?急に呼び出して?」
霊夢が家の中から出て来た。俺はすぐ、本題に入ろうとしたが
「え、あ、その…」
「何なの?」
「えっとー」
中々、本題を切り出す事は出来ない。結局、関係ない事から話し始めた。
「実は、俺…。完全にこっちに移り住む事になった」
「完全に?」
「そう。完全に」
「何で?」
「まぁ、それはこっちは俺にとって第二の故郷だし、それに元々こっちに住みたいと思っていたからな」
「どうして完全って言えるの?あの道がある限りまた外の世界に戻れるじゃない」
当然の疑問だ。外の世界と繋がれる所がある限り完全とは言えない。
「いや、無理だ」
「どうして?」
「だって、その道封印したから。もうこれで絶対に幻想郷から外の世界に戻る事も、外の世界から幻想郷に来ることも出来なくなった」
「え!ならあんたが作っていた幻想日記はどうなるの?」
「それなら、ちゃんと渡した。去年までの内容だけど、あれで最後だ。でも、総司おじさんには渡せないけど幻想日記は書き続けるつもりだ」
「そう」
「…」
「…」
やばい。会話が終わってしまった。このままじゃあタイミングが無くなってしまう。俺は己を鼓舞した。
「晴竜?」
「え!あ、何だ?」
「もう言いたい事が何も無いなら戻るけど?」
「いや!まだあるんだ」
「何なの?」
「そのー、えーと」
「早く話してよ」
「うーん」
「はぁー。もういいわ」
「あ!」
霊夢が待ちくたびれたのか家に戻ろうとした。俺は慌てた。すると、さっきまで渋っていた言葉がスラスラと口から出てきた。
「待ってくれ霊夢!」
「もう何なの?これでも私忙しいんだけど?」
「分かってる。でも、聞いてくれ!」
「?」
「俺は霊夢!お前の事が好きなんだ!」
「え…」
遂に言ってしまった。俺は幻想郷に来てから一緒に暮らす中で霊夢の優しい所、面白い所、可愛い所など、様々な霊夢の一面を見てきた。それは自分の家が出来た頃からも続き…。そして、気付けば俺は霊夢の事が好きになっていた。そう考えると俺は霊夢の顔を見れなくなった。
「無茶だって事は分かってる。お前は幻想郷を守る幻想郷最強の博麗の巫女。俺はただの陰陽師。あまりにも立場が違いすぎるのも分かっている。でも、どうしても伝えたかったんだ。今言わなかったらもうこんな時は無いだろうから…。振るときは早く振ってくれ。覚悟は出来てる」
「…」
霊夢から返事が無い。恐らく呆れてるのだろう。私を好きになるなんてありえないとか、まだ百万年早いとか言いたいのだろう。俺は静かに返事を待った。すると霊夢が小さな声を出した。
「__そい」
「え?」
「___っそい」
「ごめん。もう一度」
「おっそいって言ってるの!聞こえた!」
「う、うわぁ!」
あまりにも聞こえなかった為、近付いた瞬間大きな声を出され俺は尻もちをついた。
「れ、霊夢?」
「遅すぎるわよ!さっさと告って来なさいよ!どれだけ待ったと思ってるの!」
「え、という事は…」
「………私も、晴竜。あんたの事が好きよ」
そこで俺は霊夢の顔を見た。霊夢の顔は呆れている顔では無く、頬を赤らめ、恥ずかしそうにはにかむ顔だった。(うわっ。ずりぃ。この顔可愛すぎるんだが…)俺が霊夢に見とれている時背後から声が聞こえた。
「ちょ、押すなよ!」
「しっ!静かに!バレてしまいますよ!」
「そうだな。静かに見守ろ__って晴竜がこっちを見てる。いや、睨んでるぜ」
「何ですって!本当ですね。しかも、霊夢までこっちを睨んでますよ」
「…………出るか」
「…………出ましょう」
そう会話しながら出てくるのは華扇と最近、やっと動けるようになった魔理沙だ。
「お前ら、いつから聞いていた?」
「何も聞いてないぜ。な、華扇?」
「そうですよ。何も聞いていませよ」
「本当か?」
「嘘言ったら、容赦しないわよ…」
「「すいませんでした!最初から聞いていました!」」
やっぱりか。俺はため息をつくと霊夢の方を見た。すると霊夢はまるでトマトのように真っ赤になっていた。
「霊夢!大丈夫か?」
「もう…。だめ…。恥ずかしすぎるわ…」
「大丈夫だって聞かれたのはたった二人___」
その時だった。
「二人だけじゃないわよ」
レミリアの声がしたかと思い俺と霊夢は同時に声のした鳥居の方を向いた。そこには思い思いの宴会の料理や、酒を持って来た幻想少女達がいた。(あ、やべ、これは幻想少女達全員にもう知られたパターンだ…)霊夢はもう頭を抱え、うずくまっている。そんな様子を見てレミリアは笑った。
「別にいいじゃない?どうせ、霊夢が晴竜の事を好きだったなんて最初から分かっていたし」
「え?どういう事ですか?そこの所詳しく」
「せーいーりゅーうー!」
「はいごめんなさい」
レミリアはふふっと微笑み、幻想少女達全員に聞こえるように言った。
「今日は異変解決、そして晴竜と霊夢の告白成功を祝って宴よ!」
『オー!』
全員が準備する中、俺はそんな幻想少女達を見守っていた。力を持つ華麗なる少女達。会った時は近付けないと思っていた。だが、今では近寄るどころか少女達の方から近付いて来て頼ってくれる。しかも、今では幻想少女の彼女が出来た。前までの俺は想像出来ただろうか?俺はこの幻想郷に残る事でこの幻想少女達を可能な限り守り、そして支えて行きたいと思った。特に霊夢の事を。たとえ、この命が果てようとも____
「晴竜?」
思考を切るように霊夢に話しかけられた。
「何?」
「宴会の準備が出来たようよ。さ、行きましょ!」
そして、霊夢は少し考える素振りを見せたが意を決したろように俺の手を強く握った。
「れ、霊夢さん!?」
「うるさい!黙って着いて来る!」
「は、はい」
俺は霊夢に怒られ黙った。周りからヒューヒューと言う声が聞こえる中、霊夢が小さく呟いたようだったが周りの声で聞こえなかった。だが、何故か霊夢がなんて言ったのか分かった。
「これからも…。末永くよろしくね。晴竜」
憑姫異変の章〜完〜
はっ!気付けば六千字越え!書いていたら日付変わってる!やべーよ!
さて、今回で憑姫異変の章最終回でした。いかがでしたか?晴竜と霊夢がやっとくっつけられたので私自身は満足しています。さて、今回で質問などは締切たいと思います。やっぱり、無謀でした。反省しております。次回はどうなるのかお楽しみに!
それではまた次回!