さて、今回は永遠亭がメインとなります。そして、輝夜と永琳と妹紅の昔のお話が出ます。昔の輝夜と永琳、妹紅はどんな生活をしていたのか自分なりに考えましたのでお楽しみに。(昔の輝夜達は全部オリジナルです。)
語り手は輝夜です。
それでは第四話始まり始まり。
「今日も天気がいいわね…」
わたしは空の晴天を見てそう呟いた。わたしの名は蓬莱山輝夜。ここ永遠亭の主だ。私はここに千年以上も住んでいる。わたしが廊下を歩いていると永琳が声を掛けてきた。
「姫様。晴竜達が来ていますがどうなされますか?」
「分かったわ。すぐに通して」
永琳はお辞儀をすると晴竜達を呼びに戻った。
数分後、わたしは永遠亭の中庭を見ている晴竜達に話しかけた。
「待たせたわね」
「ホントよ。どれだけ待たせるの?」
「ホントだぜ」
「勝手に付いて来た二人が何を言うんだ?」
怒る霊夢と魔理沙に対して晴竜は困った感じだった。
「悪かったわよ。それで、今日はどうしたのかしら?」
霊夢と魔理沙は晴竜の方を見た。晴竜は実はと話し始めた。
「輝夜達って千年以上も前から生きているんだろ?」
「まあ、そうなるかしら」
「なら、あの人知ってるかなって思って…」
「あの人って?」
「安倍晴明の事なんだ」
「安倍晴明……」
わたしはその名前を繰り返していた。晴竜がどうと聞いてくる。わたしはうんと頷いた。
「安倍晴明って誰?晴竜の苗字と同じって事は親戚とか何か?」
知らない霊夢と魔理沙に晴竜は安倍晴明について話した。
「安倍晴明は千年以上も前、平安時代に実在した陰陽師だ。晴明は半人半妖と呼ばれたり、狐の子と呼ばれた程強い霊力を持っていた。その為、晴明を頼る人達が大勢いたから、晴明はいつしか都一の陰陽師と呼ばれるようになった」
「なるほど、凄い人だと分かったけど。それで、その晴明とはどんな関係なの?」
「俺は一応、晴明の末裔にあたる。他にも外の世界に何人か晴明の末裔はいるけど……」
「へぇー」
霊夢は興味無さそうに返事をした。でも、わたしにとっては驚きだった。(まさかだと思っていたけど本当にあの晴明様の末裔だったんだ!)
「ん?輝夜?」
晴竜が顔を覗き込んできた。わたしは何でも無いわと言った。
「で、どうなんだ?知っているのか?」
「えぇ。知っているもなにもわたし達の恩人ですもの。ねぇ?永琳」
わたしはお茶を持って来た永琳にそう言った。永琳はそうですねと答えた。
「そうですね。あの時は本当にお世話になりましたね」
「あの時って?」
晴竜が聞いて来るのでわたしは話始めた。千年前、晴明様と出会い、そして別れた時の話を____
ここは平安京。この国の中心である。ここにわたしは竹取の翁とその奥さん。そして永琳とこの平安京にやって来た。そして、平安京に住んでいるとどこから話を聞きつけたのかわたしの元に様々な貴族の殿方がやって来るようになった。でも、わたしはあまり会おうとは思わなかった。理由はやってくる人は全員結婚を申し込んで来る人ばかり。それに、結婚をしたい理由を聞くと全員こう答えた。
「この世とは思えない程お綺麗な貴方は私の横が相応しいです」
所詮、男達は中身より外見。だからわたしは無理難題を言って男達が諦めるのを待った。でも、ある日の事。わたしの元にその難題を成し遂げたと一人の貴族がやって来た。わたしは御簾越しに聞いた。
「本当に持ってきたのですか?」
「もちろんです。こちらが貴方様が申し出た品物。蓬莱の珠の枝です」
そう言って男が差し出した枝。しかしその枝はただの枝のように見えた。
「おかしいわね。わたしには普通の枝のように見えますが?」
「何を仰っているのです?よーく、見てください」
言われた通り見ていると段々そう見えて来た。(そんな事、有り得ない。本物な訳…)わたしはなんだか意識がぼぅーとしてきた。御簾の横にいる永琳が何か言っているようだけど全然耳に入ってこない。
「それでは輝夜様?私の妻になってくれますか?」
拒否しようとしているのに何故か口が言う事を聞いてくれない。口はわたしの思っている事と真逆な事を言おうとした。
「分かりました。妻になりましょ___」
その時、突然呪文が唱えられた。
『オンバビラウンケン、シャラクタン!』
それを聞いた瞬間口が思う通りに動いた。
「うとは思いません!」
「なっ!」
男は驚いた。すると男の後ろからもう一人の男がやって来た。
「いけませんよ。たとえ、この世に無い物を頼まれたからって幻術を使うなんて事は」
「くっ、貴様!」
男は怒り狂い勢いよく振り返り腰に身につけた太刀を抜こうとした。わたしと永琳は止めようとしたが男は相手を見るなり身動きする止めた。
「賢明な判断ですね」
「あ、貴方は安倍晴明殿!」
安倍晴明と言われた男はふっと微笑んだ。これが晴明様と初めて会った瞬間だった。
男が帰るとわたしと永琳はため息をついた。
「大丈夫でしたか?」
晴明様に言われてわたしははいと答えた。すると永琳が晴明様に聞いた。
「すいませんが、一体どこからこの邸に入ったのですか?」
「あ!すいません。何か怪しい力を感じたので勝手に入ってしまいました。申し訳ありません」
そう言って晴明様は頭を下げた。わたしは慌てた。
「いえいえ。こちらこそ助けて頂いたのに。永琳!」
「はぁー。本当なら追い出す所ですが今日は見なかったことにいたしましょう」
「ありがとうございます」
そこで晴明様はほっとしていた。ところでとわたしは晴明様に聞いた。
「晴明様は聞いた所によると都一の陰陽師だとか…」
「そんな事はありませんよ」
晴明様は謙遜するけどわたしには分かる。だって晴明様から強い霊力を感じたから。わたしはふと思った事を晴明様に言った。
「晴明様はわたしの事知っているのですか?」
「もちろんですよ。都に突然現れた絶世の美女と聞いております」
「じゃあ、晴明様はわたしを妻にしたいと思わないのですか?」
「全然そう思いませんが?」
この言葉に何故かわたしはカチンと来た。
「本当ですか?ホントはちょっとそう思っているなんて事___」
「有り得ませんね」
「そこ即答ですか!?」
「わたしは妻など興味ないですし、美女とかも興味ありません」
「嘘はいけませよ晴明様?」
「嘘は言っておりません。それにあったとしても貴方様と。とは思っておりません」
「何ですって!」
「ちょっと姫様……」
永琳の制止を振り切りわたしは晴明様と口論になった。そして気付けばわたしは立ち上がり御簾から出て晴明様と面と面向かって口論していた。
「しまった……」
「姫でありながら自ら御簾を越して来るとは、私も思いませんでした」
「これは全部貴方のせいです!責任取って下さい!」
「責任取って。と言われましても……」
「もう良いです!あんな事こんな事言われて黙っていません!また明日ここに来なさい!貴方の心を奪ってみせるわ」
「段々と口調が……。はぁー。分かりました。また明日ここに来ましょう。ま、無駄だと思いますが」
そう言って晴明様はわたしの邸を後にした。
「そうと言ったものの結果は連戦連敗という訳か」
「うぅ…」
わたしは親友で、藤原道長の娘である妹紅と切った桃を食べながら晴明様の事を話していた。
「あの晴明って奴、誰も食ってかかって勝った奴はいないらしいからなー。後、女絡みの事なんて聞いたことないしなー」
「それでも、わたしは晴明様を振り向かせたいの!」
「なあ輝夜?何でそこまで晴明にこだわるんだ?別に気にしなくてもいいだろ?」
妹紅の言葉も一理ある。でもわたしは嫌だった。今までわたしの美しさに心うたれた人はいっぱいいた。でも、わたしの美しさにうたれない人が居るなんて嫌だ。
「私さ、思うんだけど」
「何?」
「お前、晴明の事好きなんじゃないのか?」
「え!何を言ってるの。そんな訳……」
「そんな訳?」
わたしは最後まで違うと言えなかった。晴明様をどう誘惑しようか?どう接しようか?考えている内にわたしは晴明様以外の事、考えられなくなっている事に今、気付いた。
「そんな訳……あるかも」
「だろ?晴明ってやるな。輝夜を惚れされるなんて」
「わたし、晴明様に勝てないのかな」
「いや、勝てる方法はある」
「え!本当に!聞かせて!」
「その方法は……」
「その方法は……?」
「晴明にその気持ちを伝える事だ!」
「え、えぇぇぇ!」
妹紅の案にわたしは激しく首を振った。
「無理だって!晴明様に告白するなんて事………」
「大丈夫だって。お前に告白されて嫌な奴なんて居ないから」
「で、でも……」
「まぁ、今すぐとは言わない。よく考えて言う事だな」
そう言って妹紅は最後の桃を食べた。
(晴明様に告白……。どうしよう………。)と考えている内に最も恐れていた時が来てしまった。そう、月からの迎えだ。晴明様の事を考えていたら月からの迎えが来る日になってしまった。月を見上げるわたしに永琳が声を掛けた。
「姫様」
「何?永琳」
「もうお時間です」
「そう、なの……」
「姫様?」
「わたし、我儘言っていいかしら?」
「?何でしょう?」
「わたし、地上に残りたい」
「え!でも……」
そこで永琳は言葉を切った。きっとわたしの心を汲み取ったのだろう。永琳はならと言って近付くとわたしを抱き締めた。
「ちょっ、永琳?」
「……なら、私は姫様と同じ蓬莱の薬を飲み共に居ましょう」
「永琳……」
わたしは優しく永琳を撫でた。
わたしが永琳と共に地上に残ると決めた事に反対した者達がいた。月の都の者達だ。月の者達は地上の人々を騙し、わたしと永琳を捕まえさせようとした。そしてそれを止めるべく立ち上がった妹紅も父親の逆鱗に触れ、わたし達同様に逃げる側になってしまった。
「ごめんね。妹紅。あなたまで巻き込んで」
「別にいいさ。それに昔からこの鳳凰の力を持つ時から親父から遠ざけられていたし。後、蓬莱の薬ありがとうな」
そう、妹紅に強く迫られわたし達は根負けし、蓬莱の薬を妹紅に渡した。これで妹紅も不老不死になった。そしてわたし達は都から離れ東の方に逃げた。しかし、追っ手は次から次へとやって来る。しかも、逃げてる途中で今度は妖達の群れに出会ってしまった。
「姫様!安全な所に隠れていて下さい!」
「いいな!輝夜!出るんじゃないぞ!」
永琳と妹紅が戦っている中わたしは物陰に隠れながら身を震わせていた。こうなるんだったら月に帰れば良かったと思っていた時。突然、妖が飛び出して来た。
「………!」
咄嗟の事に声が出ない。妖の爪がわたしに届きそうになった瞬間だった。
『オン!』
妖が吹き飛ばされた。そしてわたしの前に立った人はこう言った。
「全く、勝負を途中で放棄なんてずるいですね」
「晴明様!」
すると永琳と妹紅がわたしの元に戻って来た。
「姫様!って、何故貴方がここにいるんですか!」
「うわっ!安倍晴明だ!」
「ずっと貴方達を探して居たんですよ」
「まさか!わたし達を捕まえに?」
わたしの言葉に晴明様は首を振った。
「違いますよ。むしろその逆です。この先に大きな竹林があります。その竹林に行ってください。そしてこの札が引き付けられる方向に向かって下さい。そうすれば、もう追っ手も妖も来ません」
「え、でもそうなれば晴明様には……」
「もちろん、会えなくなります」
「え……」
(そんな!せっかく会えたのに!)わたしは動けなくなった。
「さ!早く!ここは私が引き受けます」
「姫様!ここは晴明様に任せて行きましょう!」
「輝夜!」
「……うん。でも一人だけじゃあ!」
「大丈夫ですよ。だって私は一人ではありませんから」
そう言うと晴明様は手を真上に上げた。すると晴明様の周りに不思議な格好をした十二人の若い男女が出現した。
「行くぞ!十二神将!」
晴明様がそう叫ぶと十二神将は妖の群れに向かって突撃して行った。晴明様は振り返り頷いた。わたしは黙って頷き返すと永琳と妹紅と共に竹林に走った。そして竹林の中にあった邸で身を隠し暮らす事になった。それがここ迷いの竹林の永遠亭という訳。
話終えたわたしはお茶を飲んだ。晴竜の方を見ると興奮しながら永遠亭を見渡していた。
「マジか!ここって元々晴明の邸だったのか!」
「そう見たいね」
わたしがそう答えた。すると霊夢が聞いてきた。
「でも結局、晴明に言えなかったんでしょ?好きな事?」
わたしが頷いた。すると晴竜は突然あ!と叫んだ。その声に霊夢が驚いた。
「な、何よ!びっくりしたじゃない」
「すまんすまん。それより実は外の世界に戻った時、安倍晴明についてちょっと調べていたんだけどある事実が分かったんだ」
「事実?」
わたしが聞くと晴竜は続けた。
「霊夢?魔理沙?竹取物語って知ってるか?」
「知ってるわよ。それがどうしたの?」
「そういえば、輝夜の名前といい、時代といい、構成といい。竹取物語と輝夜の話ってそっくりだな」
と魔理沙が言うと晴竜はそこだと言った。
「そう!そこなんだ!その竹取物語は実は輝夜を題材としたんだ」
「何故そんなこと分かるの?」
今度は永琳が聞いた。
「外の世界はもちろん。ここでも竹取物語の作者は知られていない。でも俺達の家系はその作者を知っている」
「俺達の家系ってまさか!」
気付いたのは永琳だけらしい。わたしを含め他は頭を傾げた。
「あの竹取物語の作者は安倍晴明なんだ」
「え……」
わたしは驚き固まった。晴明様があの竹取物語を書いていたなんて。でもなんで?その疑問が口から出た。晴竜は答えてくれた。
「そこまでは言い伝えられてないが、俺が思うに輝夜達をいなかった事とする為だったんだと思う」
「わたし達をいなかった事にする?」
「そうだ。晴明はさりげなく自分の言葉や、書に呪をかける。そしてこの竹取物語にもかぐや姫が月に帰ったと書かれている。そう書くことで輝夜達が月に帰ったとして都の人達に呪をかけたんだ」
「どうして、どうしてそこまでわたし達を助けてくれたの?」
わたしの問いに晴竜は頭をかいた。
「俺に聞かれても……」
「そうよね……」
「でも、もしも俺が考える事が合っているなら晴明は好きだったんだと思うぞ。それ以外に理由があるか?」
「そうね。そうだったら……。嬉しいかな」
わたしはそっと空を見上げた。もう晴明様はこの世にはいない。確かめる事は出来ないけどそうあって欲しい。そうわたしは願った____
第四話〜完〜
中々、終われない。終わったと思い気付けば五千文字越え。うん。頑張った。
さて、安倍晴明を出したことについて輝夜が平安時代から生きていると分かった頃からこうしたいと思っていました。その為難しいかったです。次回は、命蓮寺をピックアップしたいと思います。
それではまた次回!