さて、今回でこの鳴神異変の最終話となります。舞台を壊されて呆然とする晴竜達。晴竜達は無事に雷獣を鎮める事が出来るのか?この話は諏訪子とあいつが活躍します。後、題名が最終話っぽく無いのは本文を読んで下さると分かります。
それでは第八話始まり始まり。
『ガオォォォォオー』
雷獣が雄叫びを上げる中、俺達は雷獣を止めるべく各自動いていた。
「全く!大人しく私たちの舞を見てなさい!行くわよ魔理沙!」
「了解だぜ霊夢!」
霊夢と魔理沙は雷獣に向かって行こうとした。そんな二人を俺は慌てて止めた。
「駄目だ!」
「晴竜?何で止めるの?このままじゃあここにいる皆にも被害が」
「確かにそうだが、雷獣が出す毒素は俺達人間には有害なんだ。だから無闇に近付いても俺達がやられるだけだ!」
「なら何なの!私たちはこのまま指をくわえて暴れているのを見てるだけなの?」
霊夢は怒りに満ちた目でこちらを見てきた。何とかしたいのは俺も分かる。しかし結界が通用しない今の状況じゃあ見守るしか無い。そう諦めかけたその時だった。
「なら私が行くよ」
俺達は声のした方を見た。そこに居たのは諏訪子だった。
「人間には有害な毒素でも私には効かないよ。だって私は神様だからね。晴竜、私なら問題無いよね?」
「確かにそうだが……。でも危な過ぎる!」
俺はそう言った。神である諏訪子なら毒素は効かないが万が一の事がある。しかも今は神奈子や文、華扇、プリズムリバー姉妹はここに来ていた天狗や、妖怪達の避難誘導をしてるし、咲夜に妖夢。お空や優曇華、響子の五人は自分達の主の安全を確かめる為に主の元へ行っている。だからここに残された俺、霊夢、魔理沙、早苗、諏訪子の五人の内、雷獣に近付く事が出来るのは諏訪子しか居ない。そのため諏訪子が何かあっても俺達は近付く事が出来ないのだ。
「大丈夫。大丈夫。私は心配要らないって」
「………諏訪子様がそう言う時は絶対大丈夫じゃあ無いんですよ」
「早苗?」
諏訪子が目を丸くし早苗の方を見た。
「いつもなら私をこき使うのに。それなのに何でこんな大変な時は私を頼ろうとしないんですか!」
「早苗………」
諏訪子は少しずつ早苗に近付くとゆっくり手を頭に近付かせて行くと
「えいっ!」
「きゃ!」
早苗の額に指弾を打った。
「痛たたぁ。す、諏訪子様?」
「早苗を頼るのは早苗自身に危険が及ばない時だけなんだ。だから今は早苗に頼らないの?分かった?」
諏訪子の言葉に早苗は反論しようとするが、諏訪子の目が鋭い目付きになった。まるで反論は聞かないと言わんばかりに
「それじゃあ行ってくるね」
諏訪子はそう言うと俺達に手を振り、雷獣に向かっていった。
諏訪子は未だに暴れる雷獣の前に立った。雷獣は諏訪子に気付くとすぐさま威嚇をした。
『ガアゥゥゥウ』
「おーおー。怖い怖い。でも直ぐに私に怯える事になるよ」
次の瞬間、いつもの諏訪子の声から一気に声が低くなった。
「覚悟する事だね」
諏訪子はスペルカードを使った。
「開宴、二拝二拍一拝!」
諏訪子がそう叫ぶと雷獣に向かって赤と青のレーザーが放たれ、諏訪子はパンパンと拍手を打った。その瞬間に弾幕が放たれ、そして雷獣の左右から赤いレーザーが放たれた。よろめく雷獣に諏訪子はさらに追撃した。
「まだまだ!神具、洩矢の鉄の輪!」
諏訪子は手を上にかざすと諏訪子の手に鉄製の大きな輪っかが出てきた。
「はぁぁぁ!」
諏訪子はそれを雷獣に向けて投げるとその輪っかは赤い弾幕となり、雷獣を襲った。神によるスペルカードの攻撃に雷獣は為す術が無く、苦しんでいた。
「さぁ!これで最後だ!祟符、ミシャグジさま」
諏訪子が手を合わせると諏訪子の周りに米粒弾が出現し、雷獣に向けて放たれた。ただの弾幕みたいだがこのスペルカードの強さは効果時間の長さだ。雷獣が必死に耐えているが全く弾幕が止む気配が無かった。遂に雷獣は右前足の膝をついた。
「これでよしと。晴竜!ちゃちゃっと結界を張ってこいつの身動きを封じちゃって」
諏訪子が雷獣から目を離し、俺達の方を向いた瞬間。さっきまで苦しんでいた雷獣が一瞬の内に立ち上がった。
「まずい!」
「「諏訪子!」」
「諏訪子様!後ろ!」
「え?」
諏訪子は俺達の叫びに直ぐに慌てて雷獣の方に振り返った。そんな諏訪子に雷獣は諏訪子の首を喰らおうと牙を剥いた。霊夢達三人が悲鳴を上げる中、俺は諏訪子に結界で守ろうとしたが間に合いそうに無い。(くそっ!術が間に合わない!)そう思った時だった。俺の横を風が吹いたかと思うと雷獣が後方に飛ばされていた。そして雷獣と諏訪子の間にいる者の姿を見て俺は気付いた。ここにはもう一匹雷獣に近付ける奴が居たと。俺はそいつに叫んだ。
「諏訪子から雷獣を引き離せ!輝龍!」
『グォォォォォオー!』
俺の式神である輝龍は応と答えるように雄叫びを上げた。そして輝龍は雷獣の前に迫った。
『ガオォォォォオー!』
『グォォォォォオー!』
雷獣と輝龍は威嚇し合うと凄い勢いで頭突きで激突した。二匹とも後方に下がると輝龍は龍神の咆哮を放ち、諏訪子から雷獣を引き離すように攻撃して行った。毒素が諏訪子の居る所から消えたのを確認した俺達は諏訪子に駆け寄った。
「諏訪子!大丈夫か?」
「うん。大丈夫だよ。ありがとう」
「うぅ。諏訪子様ぁぁぁぁ。心配しましたぁぁぁぁ!」
「早苗泣くんじゃないよ」
泣きながら抱きつく早苗を諏訪子はごめんごめんと謝りながら頭を撫でていた。そして俺に声をかけた。
「ありがとう晴竜。助けてくれて」
「いや、俺じゃあ無い。お前を助けたのは輝龍だ。お礼を言うなら輝龍に言ってくれ」
「そう、だね」
諏訪子は雷獣と戦う輝龍に向かって叫んだ。
「頑張って!輝龍!」
『グォォオ!』
輝龍は返事をすると尻尾で空に飛び上がろうとしていた雷獣を上から叩き落とした。その光景を見ていると避難誘導や主の元に行っていた神奈子達が戻って来た。
「お前達!大丈夫か!」
「一応全員大丈夫だ」
神奈子の問いに俺が答えると神奈子達はほっと胸を撫で下ろした。
「それにしてもなんか凄い事になってるねー」
プリズムリバー姉妹のリリカが雷獣と輝龍との戦いを見て言った。リリカの言葉に頷く少女達。
「そうだね。まさか輝龍が戦ってるなんて。このまま雷獣をやっつけてくれないかな」
「それは無理だ妖夢。雷獣は妖怪の山には必要な妖怪だし、それに今は輝龍が優勢でもさすがの輝龍も長くは持たない」
「じゃあどうすれば………」
「そんなの。決まってるじゃん」
優曇華の言葉に諏訪子が答えた。
「舞を踊るんだよ。そうすれば雷獣の力は弱くなる。そして弱くなった所を輝龍が叩く。スペルカードの龍神の咆哮なら雷獣を調服しなくて済むでしょ」
「でも雷獣の雷や毒素はどうするの?」
「それは俺が何とかする。前は雷獣の身動きを封じながらだったが、今はその役目を輝龍がやってくれてる。今なら行ける!」
諏訪子と俺の言葉に全員顔を見合わせるとうんと頷いた。
「ならやろう!そして絶対成功させよう!」
『おー!』
諏訪子の掛け声に全員腕を振り上げた。そして俺達は雷獣と輝龍の戦う場所へと向かった。
「輝龍!その場で雷獣を食い止めろ!」
俺の指示に輝龍は雷獣の体に巻き付き、身動きを封じた。俺は身動きを封じたのを確認して結界を張った。そして霊夢達は雷獣を囲むように立った。俺は結界を維持しつつ笛を構えた。プリズムリバー姉妹の三人も楽器を構えると俺に目線を向けて来た。俺は静かに笛を吹き始めた。俺の笛の音色とプリズムリバー姉妹の奏でる楽器の音色に合わせ霊夢達は舞った。全員、練習以上に美しく舞っており、なおかつプリズムリバー姉妹の音色もとても綺麗で、思わず笛を止めそうになるほどだった。ふと雷獣の方を見ると今まで以上に苦しんでおり、黒い煙のようなものが体のあちこちから出ていた。そして遂に霊夢達は舞を踊り切った。踊り切った霊夢達は輝龍に向かって叫んだ。
『今よ!輝龍!』
『グォォォォォ!』
輝龍は雷獣を地面に抑えると空に飛び上がった。そして雷獣に向け渾身の龍神の咆哮を放った。
『ガオォォォォオ!』
雷獣は悪あがきの声を上げるとレーザーに包まれた。
雷獣との戦いが終わってから数日が経った。俺は博麗神社にやって来ていた。輝龍の龍神の咆哮をくらった雷獣はあれからいつもの姿に戻り力や意識もいつもの雷獣に戻ったとこの前にお礼しに来た諏訪子が言っていた。お礼を言われた輝龍は今は俺の膝の上でどくろをまき、寝ていた。するとお茶を用意しに行った霊夢が戻って来た。
「はい。お待たせ」
「ありがとう霊夢」
「どういたしまして。ん?」
「どうしたんだ?」
「晴竜が持っているそれって何?」
霊夢は俺が手に持っていた黒い結晶を見て聞いてきた。
「あぁ。これは雷獣と戦った後で落ちていたんだ」
「これって確かレミリアが持っていた水晶と同じよね?何で雷獣が?」
「分からない。でも一つだけ言える事がある」
「何?」
「前に起こしたレミリアの紅霧異変と今回の異変。どちらも何か裏で動いている」
「何かって何?」
「それは分からないけど。でも、何者かがレミリアと雷獣を使って異変を起こしたんじゃないかなと俺は思っている」
「もしも晴竜の言う通りならこんな風な異変は___」
「うん。まだまだ続くだろうな」
俺と霊夢は空を見上げた。鳴神が収まったこの幻想郷に、再び闇が襲おうとしていた。
鳴神異変〜完〜
予想通り書けて良かった。流石最終話。この章一番長く書けた。後、だいぶ章同士のリンクがあるのもよく出来たと自画自賛しています。
さて、今回で鳴神異変は終わりますが黒幕は今はまだ倒せていません。なので次の異変も大変な異変になると思います。また次回は紫さんをメインにして行きます。(紫さん!やりますよ!)それもふまえてこれからもお楽しみください。
それではまた次回!