さて、今回でこの神隠し異変は最終回となります。霊夢と紫の戦いの結果は?そして晴竜達は霊夢達との元へたどり着くのか?
それでは第八話始まり始まり。
弾幕を放ちながら私から距離を取る紫に対して私はその弾幕を彼岸花で薙ぎ払いながら紫に近付こうとしていた。紫との戦いは不利から優勢に逆転していた。
「全く。霊花の刀は本当に厄介ね」
「待ちなさい!」
私は札を取り出しそれを放った。
「封魔陣!」
無数の札が紫に降り注いだ。
「くっ!」
紫は避け切れず防御姿勢に入った。私はずっとそれを待っていた。
「貰った!」
私は刀を地面に刺すと両手を大きく広げた。
「霊符、夢想封印!」
放った私の夢想封印は真っ直ぐ紫に行き、全弾命中した。砂煙が舞う中、私はこれで紫が反省すると思っていた。しかし、安心した瞬間砂煙の中から弾幕が私に向かって飛んできた。
「!」
私は空中に飛び上がり何とか避け切ると砂煙を見た。するとだんだんと砂煙が落ち着いて行き、紫が傷を負いながらもこちらを睨み付けていた。
(これでもまだやるって言うの………)
私はゆっくりと下に降りると彼岸花を再び手に取った。
「あんたいい加減にしなさい。もう勝負は____」
「まだよ。まだ、ついて無いわ」
そう言う紫はスキマを開いた。私は逃げるつもりだと思っていつでも飛びかかれるように構えた。しかし紫は手だけをスキマに入れた。私は何をするつもりなんだろうと思っているとそのスキマから一人の少女を連れ出した。
「その少女は!?」
「最初の神隠しで攫って来た少女よ。ねぇ霊夢?よく見てご覧なさい。この少女の顔」
「何かある、の…………」
その少女の顔をよく見るとその顔は毎日鏡で見る自分の顔にそっくりだった。
「あなたにそっくりでしょ?」
「あなた、私にそっくりな少女を攫って食べようとしていたの?」
「そうよ。どう?本物では無いものの苦悶に満ちた顔になった時はとてもいい気分になるのよ」
この紫の言葉に私の何かが壊れた気がした。
「あんた。つくづく堕ちたものね」
「褒め言葉として受け取っておくわ」
「………もういい」
私はもう限界だった。こんな紫と相手してるぐらいなら____
「決めたわ。今までは〈倒す〉だったけど、今から私はあんたを〈殺す〉わ」
私の意思はもう変わらない。これ以上幻想郷に仇なすなら紫を殺す事に。
「それは良かったわ。それならこれを使えるわ」
そう言って少女をスキマに戻すと代わりに紫が取り出したのはレミリアや雷獣を操った黒い水晶玉だった。紫はそれを胸に当てると目を閉じた。すると水晶玉が黒く光り辺りを照らした。思わず目を閉じた私は目を開けるとそこにはさっきよりも禍々しい妖力を纏った紫がいた。
「さ、始めましょう〈殺し合い〉を」
「ええ。始めましょう」
私達は微笑み合うと同時に地を蹴った。
俺は魔理沙と共に霊夢と紫を探していた。
「くっそ!霊夢と紫はどこに居るんだ!」
「なぁ晴竜?本当に幻想郷に居るのか?スキマの中だったら私達は行けないぜ?」
「大丈夫だ。霊夢達は幻想郷に居る」
「何故そう言い切れるんだ?」
「俺の陰陽師の勘がそう言ってる」
「勘かよ!?」
「陰陽師の勘を舐めるなよ?意外と当たるんだから」
「まあ、晴竜がそう言うのなら___」
その時だった。魔法の森の方から霊夢の霊力と紫の妖力の衝突を感じた。
「!」
「晴竜!これは」
「間違いない。霊夢と紫だ」
「何か………やばくないか?」
俺は無言で頷いた。さっき感じた霊夢の霊力からは強い殺気を感じたし、紫の妖力からは異変の時のレミリアや雷獣から感じた力が含まれていた。
「急いで行こうぜ!」
「応!」
俺達は急いで霊夢達との向かった。
(頼む!間に合ってくれ!)
私達の戦いは既に弾幕ごっこでは無く、本当の殺し合いとなっていた。私は躊躇無く紫に向かって刀を振った。紫もさらに強くなった妖力を刃に変え放って来た。油断すれば腕などが切られる。そんな戦いをしていた。その時私はある事に気が付いた。紫がさっきから左手を固く握り締めている事に。恐らくあの中に黒い水晶玉が入っているのだろう。私はそう考え紫に近付くチャンスを探った。そして紫が一瞬、苦しそうにしたのを見て私は紫に急接近した。そして紫の左手を組手の要領で後ろに回すと左手から黒い水晶玉を奪うと距離を取った。
「霊夢!返しなさい!」
紫が怒りに満ちた表情で迫ってくるが私は水晶玉を上に投げると落ちてきた水晶玉を横に彼岸花で真っ二つに切った。すると水晶玉の効果が切れたのか紫の妖力から水晶玉の力が消えた。
「そんな!」
紫は最初は慌てていたがやがて諦めたのかその場にへたり込んだ。私は俯く紫に刀を向けた。
「紫。これでお別れね。最後に言い残す事はある?」
「………別に無いわ。さっさと斬ってちょうだい」
「そう。なら………さようなら。紫」
私はお別れを言うと彼岸花を真上に振り上げるとそのまま下ろした。しかし紫を斬ろうとした彼岸花は横から飛び出して止めた人によって弾き飛ばされてしまった。私は弾き飛ばした人を見て驚いた。
「待つんだ霊夢!」
「え?晴竜!?」
私の彼岸花を止めたのはアメノムラクモを出した晴竜だった。
(あっぶねえー。本当に間に合わないと思ったぜ)
俺が弾き飛ばした霊夢の刀を霊夢が拾う前に魔理沙が拾った。魔理沙が拾った刀を見た時、前に見た霊夢のお母さんの刀。霊刀、彼岸花だと分かった。
「何をするの晴竜!さっきと刀を返して!」
「駄目だ。これを返す訳には行かない」
「どうしてよ!」
「紫を殺させないためだ」
「何で殺しちゃ行けないの?こいつを生かして置けば必ずまた同じ事をやるわ!そうしたら今度こそ犠牲者が」
「それは違うんだ霊夢。紫は最初から犠牲者を出すつもりは無かったんだ」
「え?どういう事?」
霊夢が聞いて来た所で紫は逃げるようにスキマに入ろうとした。
「させない!『六芒捕縛。急急如律令!』」
「くっ………」
俺は強めの縛魔術で紫を捕らえた。いつもの紫なら直ぐに突破するだろうが、霊夢との戦闘でだいぶ力を使ったようですんなり捕まった。
「それで、犠牲者が出ないってどういう事なの?」
「それは___」
「晴竜!」
「!?」
急に紫が俺の名前を叫び、俺は紫の方を見た。
「お願い。言わないで!」
「駄目だ。これは霊夢にこそ言わないと行けない事だ」
「そうだせ。霊夢に話さなければお前と霊夢。どちらも苦しむ事になるぜ」
「う………」
「何なの!さっきから私だけ除け者にして!早く教えて!」
「霊夢。紫は犠牲者を出すつもりは無かったし、お前との戦いも紫はお前を勝たせるつもりだったんだ」
「え?何で?何でそんな事をするの?」
俺は霊夢に伝えた。紫の本当の目的を。
「紫は、霊夢の代わりに生贄になるつもりだったんだ。博麗大結界に空いた穴を、塞ぐために」
「え………」
霊夢はそこで呆然とした。そうなるのも無理は無い。俺と魔理沙だって藍から聞いた時そうなった。
「私の代わりに生贄になるって意味分かんないだけど?それに博麗大結界は前にお母さんが自分の命を捧げて………」
そこで霊夢は気付いたようだ。博麗大結界に起きている異変を。
「嘘。本当に穴が………。どうして………」
霊夢の呟きに紫が答えた。
「………ここ最近、レミリアと雷獣が起こした異変で使われた水晶玉が結界の穴が開いていた所に五個も落ちていた。しかもその五個が一つ一つ凄い力が働いていてそれが結界に穴を開けたのよ」
「それじゃあ、さっきの紫が使っていた水晶玉って」
「そう。その時に取った水晶玉よ」
「なあ紫?何故お前はこんなにも危険で、自分の信頼を失うような事をしたんだ?」
俺は一番の疑問を聞いた。
「それは霊夢に結界に穴が開いた事を気付かせないため。そして私を殺して貰うため」
「嫌わせるため?」
「そうよ。私が生贄になったら二度と霊夢には会えない。そうなれば霊夢は私が姿を見せない事を不審に思って調べ始めるはず。そうなると遅かれ早かれ私が生贄になった事が知られてしまう。だから霊夢に私を殺して貰ってそのまま生贄になるつもりだったの」
「………だから、わざと挑発したり、少女だけを攫ったりしたの?」
「そうよ。ここまですれば霊夢は必ず怒るから………。ま、晴竜によってその作戦は失敗したけどね」
ふふふと笑う紫に霊夢は俯いたまま近付くとパチーンと音が鳴った。霊夢が紫の頬を打ったのだ。紫は打たれた頬を抑えながら霊夢を見た
「れ、いむ?」
「………るな………」
「え?」
「ふざけるな!このバカ妖怪!」
「「「!!」」」
紫はもちろん、俺と魔理沙もビクッと身体を震わせた。
「あんたねぇいつもいつも一人で抱え込み過ぎなの!何?私に気付かれたく無かったから?私に殺されたかったから?何よそれ有り得ないんだけどそれに霊夢、霊夢って言うけど全部余計なお世話だから第一に何でそんな事を私達に相談しない訳?知られたくなかったって言うけどいずれは分かる事よね私だってバカじゃないの紫が居なくなれば当然調べるしこっちには晴竜が居るの占術とか使ってあんたの事を調べるわよ殺したなら今度は何故そんな事をしたのかを調べるからあんた達がやった事は無意味なの?分かった?」
「は、はい…………」
「「…………」」
俺達はあまりにも凄い速さで喋る霊夢に呆然とさせられていた。霊夢ははあーとため息をつくと結界の方を見た。
「それにしてもどうやって穴を隠したの?」
「そ、それは私がやったんです」
「そう」
紫が敬語になった事はスルーなんですね霊夢さん。
「さて、この穴はどうするか………。晴竜、魔理沙?何かいい案無い?」
「うーん。そうだな………」
俺と魔理沙はいい案が無いか考えていると俺は生贄と言うワードで思い浮かんだ。
「無いことは無い」
「本当に!何なの?」
霊夢に聞かれ俺はその方法をやりながら説明する事にした。
「それで、どうするの?」
「まずは霊夢。お前の髪の毛を何本かくれないか?」
「私の?」
「そうだ」
「どうしても必要?」
「どうしてもだ」
「それなら、仕方が無いけど。どうやって切るの?」
「そうだな………。魔理沙?確か魔力で短剣作れたよな。それを出してくれ」
「え?ああ、いいぜ!」
魔理沙はそう言って魔力で短剣を生み出した。(この技術は前に憑姫に取り憑かれた時に憑姫が短剣を生み出せた事により、魔理沙も生み出せるようになった)
俺は短剣を受け取ると霊夢の髪の毛を切ろうとしたが紫に止められた。
「ちょっと待って晴竜」
「何だ紫?」
「その短剣貸してくれないかしら?」
「「「え!」」」
「大丈夫よ。自殺はしないから」
そう言って紫は俺から短剣を貰うと霊夢の後ろに下げた長い髪の毛を見える方からでは無く、隠れている方の髪の毛を何本か切った。なるほど。これなら切った後が分からない。勉強になる。
「これでどうかしら」
「ありがとう紫。よし。これでこの紙に霊夢の髪の毛を合わせてっと」
「晴竜?何を作っているの?」
「ん?これは人型と言って、対象の髪の毛や、爪などを使って作る。いわば身代わり人形みたいなものだ。よし!出来た」
俺は髪の毛で結んだ人の形をした紙を結界の穴に投げ込んだ。そして俺は術を唱えた。
『力を注ぎし者。ここに写し身となれ!』
すると人形がみるみる内に霊夢の姿となった。そしてその人形は結界の穴に吸い込まれ穴は塞がれて行った。
「これで終了っと」
「ね?私達に相談してくれていれば数分で終わったの。いい?これからは必ず大事な事があれば相談する事。分かった?」
「ええ。分かったわ。ごめんなさい」
こうして紫が起こした神隠し異変は終結した。
数日後、俺は紫と藍、橙と共に人里に来ていた。理由は神隠しの被害にあった少女達を送り帰すためと謝罪するためだ。紫達が謝ると最初は人里の人達は怒声を浴びせていた。しかし、それを止めたのは意外にも神隠しにあった少女達だった。
「紫さん達は悪い人達じゃない!だって、殺すならも直ぐに殺していたはずだし、それに意識が無くなる前に耳元で『ごめんなさい』って謝っていたの!だからお願い。許してあげて」
少女達の説得もあってか人里の人達は許してくれた。そしてその日の夕方。俺達はそのまま博麗神社に戻って来た。
「良かったな。許して貰えて」
「そうね。あの少女達のおかげよ」
そう話しながら紫達と共に神社の母屋に入るとそこには。
「え!?幽々子に妖夢。幽香まで居るじゃない。どうしたの?」
幽々子と妖夢、幽香がおり、テーブルの上には色々な料理が置かれていた。
「それは異変解決の宴をするためよ〜。それより~」
そう言うと幽々子は何故か紫に近付きギュッと紫に抱きついた。
「幽々子!?何をするの!」
驚く紫に幽々子は普通の口調で言った。
「もう大丈夫よ。あなたは一人じゃない。あなたの周りには沢山の友がいる。たった一人の家族が居る。だから、自分を犠牲にしないで」
「幽々子……」
幽々子の言葉に紫は段々と目に涙を浮かべ、遂には
「う、う、うわぁーん!ごめんなさいごめんなさい!」
派手に泣き始めた。この時俺は初めて紫が泣く所を見た。いつも余裕があり、人をよくからかい、大人の雰囲気を出す妖怪である紫がこの時だけはまるで少女の様な顔をしていた。
神隠し異変の章〜完〜
最終回プロット通りに書けず結局この時間。修正は翌日にしようと思います。
さて、これで神隠し異変の章は完結です。そして次の番外編ではあの企画をやろうと思いますのでお楽しみに!
それではまた次回!