さて、今回は番外編という訳で、語り手は晴竜ではなく霊夢となります。博麗の巫女である霊夢はどんな日々を送っているのか?詳しく書いて行きたいと思います。なお、時期は魅惑異変の1ヶ月後となります。
それでは番外編始まり始まり。
日が上り、明るくなった時、私は目が覚め体を起こすと、大きく背伸びをした。さて、また今日が始まる。私はサッと布団を畳むと井戸に向かった。
井戸で顔と歯を洗うと今度は晴竜の部屋に向かった。
「晴竜おきてるー?」
返事は無い。まぁ、分かっていたけれど。私は部屋の戸を開けると、予想どうりまだ寝ていた。前まではちゃんと起きていたけど、ここ最近は遅くまで幻想日記を書くなどしていて起きるのが遅い。だから、毎日私が起こしている。でも、流石に疲れた私はため息をつくと、隣で体を丸める小さな龍に話しかけた。
「輝龍も起きて」
『?』
晴竜の式神である輝龍はパッと目を開けると空中に浮いた。
『ガウッ!』
「はい、おはよう」
式神である輝龍は起きるのに、式神の主である晴竜が起きないのはどうゆう事だろう。
「ねぇ、輝龍?」
『ガウ?』
「晴竜を起こしてくれない?」
輝龍は頷くと晴竜の鼻を噛んだ。その瞬間だった。
「………痛ってぇー!」
晴竜が飛び起きた。
「おいこら輝龍!お前俺の鼻を噛んだな!」
『ガウゥゥ』
「当たり前でしょ。輝龍は起きてるのに、何であんたが寝てるのよ」
「それは…」
「いい加減しっかりしなさい。どうせ、もうすぐ家が出来るのだから」
「はいはい」
「…朝ご飯、抜くわよ」
「すいませんごめんなさい許して下さい」
「よろしい。それじゃあ、朝ご飯を用意する間に顔と歯を洗ってらっしゃい。その後に、神社の境内の掃除も」
「はい!」
晴竜は、急いで布団を畳むと部屋を飛び出して行った。私はやれやれと首を振って、台所に向かった。
1時間後、私は朝ご飯を作り境内の掃除をしている晴竜を呼んだ。
「晴竜ー!朝ご飯出来たわよー」
「ほーい」
晴竜は境内から直接居間に上がって来た。そして私と晴竜は食卓を挟んで座ると
「「いただきます」」
声を揃え挨拶をすると食べ始めた。
「うん、やっぱり霊夢の方が上手いや。…ご飯の時だけ来てもいいか?」
「ダメに決まってるでしょ。あんたが決めたんだからちゃんとやりなさいよ」
「…ケチ」
「何か言った?」
「いえ、何もありません」
そう会話しながら朝ご飯を食べていると、晴竜が箸を止めた。
「どうしたの?」
「今日って確か予定があったような…あっ!」
晴竜は思い出したように食卓を叩いて立ち上がった。私は驚いてすすっていたみそ汁をこぼす所だった。
「びっくりしたじゃない。どうしたの?」
「やっべー!霖之助と会う約束をしてたんだ」
「それって何時?」
「えーと、確か八時」
掛け時計を見ると7時50分だった。
「あと、10分しかないわね」
「うわぁ!やばい!」
晴竜は急ぐように座ると朝ご飯を口の中に流し込みじゃあ行ってくると飛び出して行った。私はその後ろ姿を見送ると静かに食後のお茶をすすった。
朝ご飯の片付けが終わり何をしようか考えていると魔理沙が箒に乗って飛んできた。
「よう。霊夢遊びに来たぜ」
「あら、魔理沙いらっしゃい」
「あれ、晴竜はどうしたんだ?」
「霖之助さんの所よ。何か会う約束をしてたみたいよ」
「へぇー。そうなんだ」
魔理沙はそう言いながら靴を脱いて直接居間に入って来た。今更だけど、ちゃんと玄関から入って来て欲しい。
「なら、ちょうど良かったぜ。実は今日は人里に一緒に行こうと思ってたんだけど、どう?行けるか?」
「別に構わないわよ」
「よし。それじゃあ決まりだな」
こうして、私は魔理沙と人里に出掛けた。
魔理沙と人里で楽しく過ごした後、ついでに夕ご飯の買い物も済ませると神社に戻った。するとそこには唸りを上げる晴竜の姿があった。
「グルルルル」
「ど、どうしたの?」
「どうしたも、こうしたもあるか!遅い!こっちは霖之助に古道具拾いに散々連れ回された挙句、帰って来てみれば霊夢はいないし、もう腹が減って動けないし。どうしてくれんだよ」
「それは悪かったわ。そのお詫びに好きなカレーを作ってあげるから」
「えっ!本当か!よっしゃー!」
晴竜は子供のようにはしゃいだ。私は思わずふふと笑った。本当に晴竜はずっと見てても飽きない。晴竜は私が笑ってるのに気付いたのか何だ?と覗き込んできた。私は何か恥ずかしくなって何でもないわと言ってそそくさと台所に向かった。カレーが出来上がり、いただきますの挨拶した瞬間、私は手の動きを止め晴竜を見ていた。よっぽど、お腹が減っていたのか、晴竜がカレーを食べるスピードは尋常じゃなかった。気付けばあっという間に完食してしていた。
「はぁー、食った食った」
「あんた、まるで幽々子見たいね」
「え、嘘だ。それなら俺はもう終わったな」
「なにちゃっかり幽々子をバカにしてるの?」
私と晴竜は話してもいると、晴竜が立ち上がった。
「俺が片付けするから先に風呂入って来いよ」
「え、いいの?」
「あぁ、いいぜ」
「…覗かないわよね」
「覗かねぇよ!」
私は分かってるわと手をヒラヒラさせると晴竜は全くとため息をついた。正直言ってその申し出は嬉しい。実は今日はやけに動いたからか汗で体がベタベタだったからだ。早速お風呂に入ると、徐々に疲れが抜けていくようだった。
「はぁー気持ちいい」
私がゆっくりしていると風呂の窓からガサガサと物音が聞こえた。
「誰!?」
私はそう叫ぶと胸をタオルで隠し、窓を覗いた。
『ニャー』
そこに居たのはただの猫だった。
「なーんだ。猫だったの」
と一息着いた時だった。
「霊夢!大丈夫か?叫び声が聞こえたぞ!」
と晴竜が慌てて風呂場に入って来た。
「え………」
「あ………」
数秒の沈黙の後、私達は同時に叫んだ。
「きゃぁぁぁぁ!」
「うわぁぁぁぁ!」
私は見事な平手打ちを晴竜に食らわせた。
数分後、私は服を着て居間に来ると座った。その時、目の前に居る晴竜は土下座をした。
「先程の事につきましては、本当に申し訳ございませんでした」
「…」
「言い訳になるようですがあれは不可抗力と言う物でして…」
「…」
「本当に意図的に入ってしまった訳じゃないんです。許してください」
「…………見た?」
「へぇっ?」
「私の裸見たって聞いてるの!」
「いえいえ、とんでもございません。全く見ておりません!」
「本当でしょうね?」
「本当です!信じてください」
私が頷ずくと、晴竜はほっと胸を撫で下ろした。
「それじゃあ、今度は俺が入って来るよ」
「そう。なら、私は寝ようかしら。それじゃあおやすみ」
「おやすみ」
私は晴竜に言うと居間を出て襖を閉じた。その瞬間に自分の頬が熱くなっている事に気付いた。
(何で、今までは他の人に裸を見られたって気にしなかったのに何でこんなにも恥ずかしいんだろ。晴竜がこの神社で暮らしてから自分が変だわ)
私はそう考えながら自分の部屋に戻り布団を敷くと直ぐに眠りに着いた。この時の私はまだこの気持ちが何なのか知る事は無かった。
番外編〜完〜
いやー、思ったより難しかった。ある程度は頭の中で出来上がっていたのですが、それを写すのが大変だった。まぁ、出来たは出来たので良かったです。
次回からは新しい章に入って行きます。お楽しみに!
それではまた次回!