ありふれた職業で世界最強(女)と文字使い(ワードマスター)   作:アルテール

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お久しぶりです、夏風邪で寝込んでいたアルテです!

頭痛に悩ませられながらなんとか書いたため誤字があるかもしれません。ご了承ください!

そして、なんとお気に入り登録数が1400件超えました!皆さん本当にありがとうございます!。こんな駄目文ですがこれからもよろしくお願いします。


……ちなみに今回ハジメちゃんが不憫です。


魔法陣ってロマンあるよなby文字使い

日色が少しプッツンしてから時は過ぎて昼頃の3時限目、社会の時間である。

愛子先生が小さい背丈を椅子を使いながらなんとか授業をして生徒達の心を癒す時間帯。

 

そんな時間にハジメは唐突に眠気が覚めたため、左隣に左肘を机につき左手で顔を支え目を瞑っている日色の寝顔を見つめていた。日色は本当に寝ているのか右手でシャーペンが三秒に一回ほど一回転させており、どうやっているの!?と内心ハジメを驚かせている。

ハジメはそんな日色の寝顔をもっと見つめようか彼を起こそうか、欲望と理性が乱闘を起こしていた。

 

そしてそんな二人を現在、授業中の先生の眼を掻い潜って見つめているのが香織と雫である。

雫は日色を起こそうか左手を行ったり来たりしているハジメを、新たなライバルかしら?と警戒しながら見つめ、香織は南雲ちゃん、今すぐその場所変わって?と地味に背後から般若の姿をしたスタンド?を出していた。

 

スースーと日色が寝息を立てている中、彼の右手が場違いのように動きペン回しを更に加速させて風圧でノートの紙がペラペラと捲られている。もはや回す速度が速すぎてシャーペンをハジメは視認することすらできない。

 

(えぇえええええええ!???)

 

視認することができないほどの高速ペン回しを寝ながら行っている日色にハジメは驚愕を禁じえず、つい声をかけてしまう。

 

「ちょっ!……日色!?」

「……ん、なんだ?」

 

その声に日色は目が覚め、ペン回しは止まったがどうやら騒がしくなってしまったようだ。畑山愛子先生が「はひっ!?」と驚いた声を上げ、バッっと勢いよくハジメ達の方へと振り向き、ハジメが日色に手を伸ばした状態で先生に見つかってしまう。

小さな小柄に反して威厳ある教師を目指している愛子先生は今日こそきちんと神代君を叱ってやらなければ!と意気込み右手にチョークを装填させる。

 

「あ、あの!神代君!や、喧しいですよッ!!」

 

そう言って愛子先生は勢いよく右手に構えたチョークを投擲する。

勢いよく投げられたチョークはスナップを掛けたことで猛烈な横回転が加わり生徒達の間を高速で突き抜けて日色へと襲い掛かる。

 

「……は?」

 

突然自分に襲い掛かってきた投擲物に日色は一瞬反応ができず、回避が遅れてしまう。そんな日色の額に目掛けて横回転が加わったチョークが襲い掛かり――

 

「はぎゃっ!!?」

 

――その横にいるハジメへとカーブして直撃した。

 

「……な、なんで……僕……?」

 

愛子先生渾身の一撃は見事ハジメの哀れな遺言を残してハジメの意識を闇の中へ、ドサッとハジメを机に撃沈させた。教室にハジメが倒れる音と共に静寂が訪れる。

シーンと静まった教室の中で一人日色が呟いた。

 

「……凄いな、カーブしたぞ!」

 

違う、そうじゃない、と大半の生徒が思ったが声に出す者はいなかった。

 

「南雲ちゃん!?ご、ごめんなさい!」

 

一人気絶した教室の中で愛子先生の可愛らしい声が響き渡った。

 

 

「うぅ~、酷い目にあった……」

 

時が経って昼休み、気絶からなんとか目覚めたハジメは未だに痛む額を片手で摩りながら、今日のお昼ご飯である十秒で栄養がチャージできる便利な簡易食、銀のパックに包まれたゼリーを取り出して、蓋を捻る事で開ける。

飲み口に口をつけて一息にジュルルルルと飲み干す。あっという間にカラッカラのカラになってしまった銀パックの飲み口を蓋で閉めて、うひーと机に倒れ伏す。

このまま一眠りしようかと顔を横に向けると、視界には日色がいつも食べているお弁当(ちなみに自作らしい)を開かずに彼が愛用している革製の日記をめくって何か文字を書いていた。

 

ピコン!ピコン!とハジメの好奇心レーダーが反応を示し、そろ~りと日色の背後から彼の日記を眺めようとして――

 

「――え?みぎゃ!!?」

 

――パタンッ、べシッ!と日記に栞を挟む→本が傷つかないように優しく閉じる→ハジメを日記の表でを叩くという動作を高速で行い、見事ハジメを撃退した。

ハジメは突然襲い掛かる日記帳に反応できず、ぺシッ!っと頭に衝撃が駆け巡った。

 

「……何勝手に日記を見ようとしているんだ?」

「うぅ~、だとしても叩くのは酷いよ、日色!」

「自業自得だ、なんならもう一度してやろうか?」

「ごめんなさい」

 

見られたくないものを見られそうになったとハァ、とため息を吐く日色にハジメは叩かれた額を摩りながら涙目になって恨めしそうに日色を見て僅かな抵抗を試みるが日色の鋭い睨みによってハジメの抵抗は完膚無きまで撃沈される。

日色の睨みに屈服されたハジメは(´・ω・`)ショボーンと落ち込んだ。「うぅ~不幸だ」と呟きながら座って地味に床をイジイジとつついている。

 

「あー。ハジメ、大丈夫か?ほら、唐揚げをくれてやるからさっさと機嫌をなおせ」

「ほ、本当!」

 

さすがの日色もかなりの陰キャオーラを放出しているハジメを見かねたようだ、自分のお弁当を開けて中に入ってあるおかず『唐揚げ』を取り出す。ちなみにハジメの好物の一つである、食べ過ぎて太らないのだろうか?

日色の言葉にハジメは捨て犬が新たな飼い主に拾ってもらった時のような希望の光を見たような表情で日色に振り向いた。念のためにいうが日色は別にハジメを餌付けしているわけではない、ないったらない。

 

ほら、と取り出した箸で唐揚げを掴みハジメの口へと近づけさせる。ハジメは少し恥ずかしそうにしながらアーと口を開ける。クラスの女子から殺気が出るがハジメは無視である、例えクラスに殺気を向けられてもこの唐揚げは渡さない!とでも言うように。そんな幸福を訪れさせる美味しそうな美しい焦げ色を持った唐揚げはハジメの口に近づいていき――

 

「いただきます!」

 

――突然横から現れた香織にハムッと食べられた。

もぎゅもぎゅと微かに顔を赤く染めながら美味しそうに唐揚げを食べる香織を見てひと噛みするたびにハジメが「……あぁっ……あぁっ!」と悲痛な声を出してドサりと床に四つ這いの体勢になって悲しみの涙を流す、言おうガチ泣きである。

香織はゴクリと唐揚げを飲み込むと共にパァと文字どうり女神のような表情で「美味しい!」と呟いた。

 

「そうか、それは良かった。――で、白崎、何の用だ?……というかハジメ、もう1つやるからいい加減目を覚ませ(ペチっ!)」

「……唐揚げ……僕の唐揚げ……はっ!そ、そうだ、白崎さん、どうしたの?」

 

突如現れた我等の女神の登場に日色は眉一つ動かさず、未だに四つん這いになって壊れたハジメをデコピンで再起動させ、香織へと質問を投げかけた。彼の瞳には「めんどくさいことになりそうだ」と言うように少し目を細めている。香織はわ、忘れてた!とでも言うようにハッ!と驚いてワタワタと持ってきたお弁当を取り出して笑顔でこう言った。

 

「ねぇ、日色君、南雲ちゃん、一緒にご飯食べようよ!」

 

再起動したハジメは内心「しまった」と呻いた。今日が月曜日であり少々寝ぼけていたことと日色の日記に好奇心を持ってしまったことですっかり香織が関わってくる可能性を忘れてしまっていた。いつもなら香織達に関わる前に校舎裏などで日色と食べるのが昔からの定番なのだが二日連続の徹夜は少々きつかったらしい。

 

ざわざわと騒然としだすクラスメイト達にハジメは内心悲鳴を上げる。香織しゃん?どうしてわっちに構おうとするんでごわすか?という意味不明な謎の方言が飛び出そうになった。え?日色?隣で小さく呑気に欠伸をしているよ?どうしてこんな時にそんなに呑気になれるんだ!とハジメが思ったのは言うまでもない。

 

そんなわけでハジメは再び抵抗を試みる。

 

「あ~、誘ってくれて有難う、白崎さん。でも、もう食べ終わったから天之河さん達と食べたらどうかな?」

 

そう言って、ミイラのようにカラッカラのカラになった十秒チャージの銀パックを彼女にヒラヒラと見せる。断るのも「何様だ!貴様!」等と思われるかもしれないがその後クラスメイト達にハジメの処刑方法を会議する会話を聞くよりかは何倍もマシである。ちなみに日色の場合、最終手段は一瞬の虚を突いて窓から脱出するらしい。

 

しかし、勿論のこと女神にそのような抵抗は通じない、女神からは逃げられないのである。

容赦なく香織に追撃を加えられた。

 

「えっ! お昼それだけなの? ダメだよ、ちゃんと食べないと!今日は分けやすいサンドイッチを作ってきたから!」

(香織さぁあああああん!!!気づいて!周りの視線に気づいて!皆さん僕に殺気向けているんだけど!!)

 

ハジメが冷や汗を流し始めたとほぼ同時に香織の頭にピカァン!!と天啓が振り降りる。ここで日色君を先に誘ってしまえばハジメもついてくるんじゃないの?やったね、成功したら勝ち組だよ香織ちゃん!

 

そんなわけで香織はくるりと日色の方を向いていつものようなニコニコ笑顔で声をかける。

 

 

「日色君も一緒に食べよう!この前昼食を分けてもらったからそのお返しにいつもより多く作ってきたの!」

 

 

そんなニコニコ笑顔に日色はなぜこっちに来たし?みたいな苦虫を潰したような表情をとって静かに返答する。

 

「結構だ、俺は自分の弁当があるし今日はあまり食欲がなくて眠いんだ。俺より栄養が欠けているハジメにくれてやれ」

 

そんな日色の言葉にナニィ!と声を上げそうになったハジメである。この男、まさかハジメを盾役に使ってる?冷や汗が流れる勢いが更に増幅した。裏切ったのかキサマァ!!

しかしそんな日色の言葉には怯む我等の女神、香織ちゃんではない、食欲がないってことは朝食を抜いてきたのでは!?と何故か勘違い、更に声をかける。

 

「もう!昼にきちんと食べないと午後に持たないよ!朝も夜もちゃんと食べてるの!?」

「なんでお前に言わなきゃいけないんだよ……昨日徹夜してたから昼食を作るために朝は食って無い、夜はあるもん食べたから別にいいだろうが」

「ダメだよ!きちんと一日三食バランスの良い食事をしなきゃ健康になれないんだから!」

「なんでお前までオカンのようなこと言っているんだ?ポニーと一緒じゃねぇか…………これはもう二大女神じゃなくて二大オカンだろ

 

途中で日色が小さく何か呟いていたがハジメにはよく聞こえなかった。どこかで「誰がオカンよ!」と叫んでいたがそれもきっと気のせいなのだろうそう、きっとそうに違いない。

キャンキャンと説教する香織をハイハイと右耳から左耳に流す日色にクラスメイトたちはギリギリと歯ぎしりや睨み、中にはカッターナイフやシャーペンを苦無のように持って投擲しようと思う者たちもいる。ちなみに日色に一度カッターナイフなどを投げた者たちはいたにはいたが全て片手で掴み取られ、高速で投げ返されたらしい。威力はシャーペンが壁に浅く突き刺さる程の威力である。

 

そんな殺意や嫉妬の敵愾心をハジメや日色に集中的に向けられハジメは冷や汗を流していると一筋の希望の光が現れた、そう我等の勇者パーティ光輝達である。

 

「香織。こっちで一緒に食べよう。南雲はまだ寝足りないみたいだし、神代は香織の優しさを無下にしているようだしさ。せっかくの香織の美味しい手料理を寝ぼけたまま食べるなんて俺が許さないよ?」

 

爽やかに笑いながら気障なセリフを吐いて登場した光輝にキョトンとする香織。天然が入っている彼女には光輝のクサいセリフやイケメン爽やかスマイルは効果ないようだ。

 

「え? 何で、光輝くんの許しがいるの?」

 

素で聞き返す香織の言葉に「ブフッ」と雫と日色が吹き出した。光輝が困ったように笑いながら香織にあれこれ話しかけているが一向に効果がないようだ。しかし、結局は人気者4人プラスαが集まっているのだ。ハジメに向けられている圧力がもはや増大しすぎて空間が歪んでいる幻覚が見えるほどだ。

隣の日色ももう、逃げようと腰を上げかけており、ハジメももう彼らなんて異世界に勇者召喚で行ってくれたらいいのに!なんて思い、退散しようと腰を上げて――凍りついた。

 

突如、ハジメの目の前、つまり光輝の足元に純白に光り輝く円環と幾何学模様、俗に言う魔法陣が現れたからだ。円環と幾何学的模様により構成された魔法陣は、悪戯やドッキリで済ませられるようなものではないというのは一目見てわかる完成度であり、ついでに言えば真下から突風が吹き荒れ、香織がスカートを咄嗟に抑えていた。

 

この異常事態にはすぐ周りの生徒たちは気づいたがまるで金縛りにあったように魔法陣を注視する。

その魔法陣は徐々に輝きを増していき、一気に教室全体を満たすほどの大きさに拡大した。自分の足元まで異常が迫って来たことに漸く硬直が解け悲鳴を上げる生徒達。未だに教室にいた愛子先生が何か叫んだ瞬間、カッと魔法陣が一際明るく輝いたかと思うと、光が教室を満たす。

 

数秒か数十秒か、光によって真っ白に塗りつぶされた教室が再び色を取り戻す頃、そこには既に誰もいなかった。

残されたのは食べ残された弁当や生徒達の荷物だった物、横倒しに蹴り倒された椅子、ボトルが外れたことで中身の水を床にぶちまけたペットボトル。まるで生徒達の姿だけが突如消えたかのように生徒達がいた痕跡のみが残った教室が静かにあった。

 

この事件が後に集団神隠しではないかと騒がれる出来事となる。

 




現在主人公の職業を妄想中……

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