ありふれた職業で世界最強(女)と文字使い(ワードマスター)   作:アルテール

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主人公の顔芸、無表情、呆れ顔、冷めた顔、笑顔(稀)。
このぐらいですw、主人公は基本的無表情、コミュ症はつらいよ……

勘違い系の難しさを知った作者です。一応書いてみましたがコレジャナイ感が……

ま、息抜きですからいいですよね!(丸投げ)



2018/07/22 リメイクしました!


八重樫雫(幼少期)兄を知る 

彼に出会ったのは小学生の頃の剣道の道場だった。

久しぶりに新たに入ってきた門下生は一言で言い表すなら傲慢や唯我独尊とでも言うべき人だった。

同じ門下生には堂々とタメ口で聞き、決して自分を偽らず、ズカズカと土足で他人の心に入ってくるようなそんな人。

 

神代日色

 

それが彼の名前だった。

流石に先生にはタメ口で聞いたりはしないが言い方からして決して尊敬しているようではない。

初めて見た時私は彼は剣道に長続きしないだろうと思っていた、当たり前だ先輩の門下生にも敬語を使わず、知った事かと一蹴していく彼に一体誰が剣道に長続きするだろうと思うのだろうか?

 

しかし、彼は違った。一日また一日と時間が経つ度、まるで別人の様に剣道の腕前が上達していく。一を知れば十を知る様に、十を知れば百を知る様に、先生の教えを吸収し、まるで砂漠の様にその技術が衰えることはない。

嘗てユラユラとブレブレな型の構えは今では美しく構えられ、遅い竹刀の振るう速度は今では風を切り裂き相手に反応すらさせず一本取ることもある。

 

才能が違った。

 

私は彼を見るたびいつも思う。

 

あぁ、気にくわない。

 

彼を見るたびに、胸がざわめき苛々する。

この感情を私は知っている。

 

『嫉妬』だ。

 

私は妬んでいるのだ、私が努力した道のりを、ぶつかった壁を彼が関係なしに踏破していくことに。だから、私は神代日色が嫌いだ。あんな、自分の努力を無下にして行く奴のことが大っ嫌いだった。

 

ある日、私は彼との立ち会いをすることになった。

 

グングンと伸びる彼の実力に先生が私と試合させ、さらに努力させようとしたのだろう。

これはチャンスだ、と私は思った。ここでアイツをコテンパンて負かしてやれば胸に溜まる嫉妬も和らぐだろうと。

私の努力はアンタなんかに負けないと、そんな才能だけしか取り柄のないやつなんかに負けるわけがないと思い、胴着を着て、手に持った竹刀で目の前の神代へと斬りかかった。

 

 

そして――負けた。

 

 

自信を持っていた、決して油断などしていなかった。

だけど、八重樫流の剣術を使っても全て、いなされ、躱され、弾かれた。

そして、気がつけば胸に襲いかかる竹刀の衝撃と共に敗北した。

 

負けた、負けたのだ。

 

才能しかない、あんな奴に。

その事実に絶望する私に、彼は私を横切る瞬間、こう言った。

 

 

「可哀想な奴だな…お前」

 

 

は?、と思考が止まった。

 

彼は一体何を言っている?

私が可哀想な奴?どう言うこと?

 

そのまま着替え室へと向かう彼に、私は怒りの感情に支配された。

 

ふざけるなッ!!!私のどこが可哀想な奴なのよ!剣道を弱音も吐かず努力し、親を喜ばせるために勉強だって行っていると言うのに!!

 

私はその怒りをなんとか抑え、道場の終わりに彼に話があると言い、道場の裏に彼を誘った。日はもう沈みかけ私や彼の足元には長い影が伸びている。

 

 

「で、俺に一体何の用だ?八重樫雫」

 

 

まるで刃の様に鋭利な目つきに何の感情も浮かばせない氷の様な黒い瞳。そして黒い眼鏡をかけ、無表情でこちらを見つめている神代。

私はそれに対抗するかの様に彼を睨み、口を開く。

 

「……今日の言葉はどういうこと?」

「…何の話だ?」

 

まるで訳がわからんとでもいう様な彼の態度に私の怒りが増大していく。

 

「今日の試合、終わった時に私に言った言葉をどういうことって言ってるの!!」

 

苛立ちで声が強まり声を荒げてしまう。その言葉を聞くと彼はあぁ、なるほど。とでもいう様に頷いた。

 

「別に何も?そのままの意味だ」

「ふざけないでッ!!」

 

遂に怒りが私の沸点を超え、感情のままに彼の胸ぐらを掴み上げる。

 

「貴方なんかに何がわかるのよ!何!?同情でもしてるの!?めいいっぱい努力して、頑張って、頑張り続けて、その道のりを何食わぬ顔で乗り越えて言った貴方なんかに!!可哀想?ふざけないでッ!!アンタなんかに私の気持ちがわかるもんですか!!」

 

勢いよく、何度も何度も声を荒げ、彼をまくしたてる。お前に何がわかると、わかってたまるかと。

暫くまくしたてたことで私は荒い息を吐きながら呼吸を整える。

これでいい、彼は愕然としているだろう、そう思い顔を上げ――硬直した。

 

何故なら彼の表情は怒りでも恐怖でも驚きでもなく――哀れみの表情だったからだ。

 

「やっぱり、お前…可哀想な奴だな」

「………何…言ってるの?」

 

彼は胸ぐらを掴まれているのにも関わらずまるでいつもの様な声色で、いつもの様な無表情でこちらを見つめてい

た。

 

「本心を抑え込んで、親の顔を見て機嫌取り。ハッ、笑えるなまるで悲劇のヒロインだ」

「だから……何を言っているのよ!!」

 

声を荒げて聞き返すと彼はハァ、と目に見えるようにため息をつき「だから…」と呟いてこう言った。

 

 

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呼吸が止まった。

 

その言葉がまるでカチリと何かの錠を外した気がして、つい胸ぐらを緩めてしまう。

胸の中から何かの感情が湧き上がってくる。私はそれを無意識に押さえつけ、神代を睨みつける。

 

「何………言ってるのよ……そ、そそんなわけないでしょう!?」

「そうか?だったらどうしてお前は道場で一度も笑っていないんだ?」

 

やめて。

 

「……き、気のせいよ」

「嘘をつくな、お前と同じクラスの門下生に聞いてあるぞ。お前は学校では楽しそうに笑っているってさ」

 

それ以上言わないで。

 

 

「予想してみるに……お前、親に勧められたんだろ?剣道の才能があるから」

「………黙りなさい」

 

 

それ以上言われたら、私は。

 

 

「本当は別の事がしたい、もっと自分らしくしたい大方そんなところか」

「……黙れ」

 

 

もう――

 

 

「だから言っている。可哀想な奴だと、自分を偽り、空っぽな気持ちで竹刀を振るうお前が哀れでな」

「だ、まれぇえええ!!」

 

 

もう――我慢できなくなる

私の中で何かが砕けた音が聞こえた。

無理矢理彼の胸ぐらを掴んで力任せに、壁に叩きつける。

 

 

「わかってるわよ、そんな事ぐらい!!剣道が嫌いな事だって、もっと女の子らしくしたいなんて自分が何よりもわかってる!!」

 

 

涙が溢れ、視界が歪む。喉がはち切れそうな程叫んで次第に嗚咽へと変わっていく。

祖父に剣道を勧められた時から、思っていた。もっと女の子らしくしたいと、もっと可愛いものが欲しいと。

だけど――

 

 

「だけど!出来るわけ無いじゃない!!祖父が、両親が、私を期待の目で見るのを裏切れるわけないじゃない!!」

 

 

祖父も祖母もお父さんもお母さんも私を期待の目で見ていたから。貴方はできる、貴方にはその才能がある、八重樫流を全て受け継ぐ様な才能が、と。

 

 

「楽しくなくても……グスッ………好きじゃなくても、 両親が…グスッ……喜んでくれるなら別に構わないと思ったのよ……!私だって――」

 

 

私はあぁ、と思い、気づいた。私が彼のことを『嫉妬』していた理由を。

才能に嫉妬したわけではなかった。ただ、私は憧れていたんだ。

自分を偽らず、堂々としている彼のことが、自分の本心を吐露できる彼のことが。

彼の様に、なりたいと思って、彼のことが羨ましくて、次第にそれが嫉妬へと変わっていった。

 

 

私だって――

 

 

私だって――

 

――貴方の様になりたかった。

 

 

「私だって、女の子らしくしたいわよ………っ」

「………そうか」

 

 

彼のその言葉がどうしようもなく優しくて、私は彼の胸の中で静かに泣いて、泣いて、泣き続けた。

 

 

そこから、彼との交流が始まった。

最初は彼を呼んだことを謝って、それから初歩的な会話をする様になった。

挨拶から、好きなもの、趣味や小学校のこと。決して彼からは話しかけてくることはなかったけど決して嫌がったりはしなかった。

そのうち私は彼を日色君と呼び始め、彼は私を『ポニー』という可笑しな渾名で呼ぶ様になった。私はいつも雫と呼んでと言っているのだが決して変えようとしない。……というかこれ確実に私の髪型からとったわよね。

 

いつのまにか私が可愛いものが好きな事を知られ誕生日の日に可愛いウサギの人形を渡されて恥ずかしさと嬉しさが合わさってつい殴ってしまったのは仕方がないことよね。………顔色変えず止められたけど、止められたけど!

 

いつしか彼に抱いていた嫌悪は親愛に変わり、私にとって彼の隣にいることはありふれた日常になっていた。

 

もし、兄がいたらこんな気持ちになるのかしら。

 

私は彼を追いかけようとするたびにいつもそう思うのだ。

 

日色君が全国大会に初優勝してから一ヶ月後、新たな門下生が入ってきた。名前を天之河光輝というらしい。

あれは驚いたわ、いきなり“雫ちゃんも、俺が守ってあげるよ”なんて言われるんだもの。

……なんというか死んだ目で天之河君を見つめていた日色君がとても印象的だった。

 

 

彼はあらゆる問題ごとに持ち前のカリスマと能力で解決していこうとする正義感のある人なのだけど、なんというかご都合主義思考が激しかった。

日色君が私に迷惑をかけていると思い込んで注意したりしてくるため、いつしか彼と日色君の仲は険悪になっていった。……まぁ、大半は注意してくる天之河君を日色君がいなし続けるだけなのだけど。

 

そんな彼らの争いを私はいつも見ているのだが見るたびに天之河君と日色君は性格が似ているようで全く似ていなかった。

 

彼らの共通点は人助けなのだろうけど在り方は全く違っていた。

 

日色君の場合、門下生同士の問題があった時はその者たちが仲直りできる様に影で支え、彼へと指導を教わりに来た者は誰であろうと懇切丁寧に付き合って教えてくれる。

そして自分の事を悟らせず、相手の成長を願い、そのキッカケをこっそり作ってくれるタイプの人だった。

決して目立たないように、その人が自信を持てるように手伝い、自分は決して他人のふりをし続ける。

日色君は、口は悪いのだけど、決して優しくないわけではない。むしろ最も他人を思いやっている。

天之河君以外の他の門下生もそのことに気づいてるし、感謝もしているのだけど決して自分が行ったことを認めないひねくれている日色君に言っても「なんのことだ?」と言われるだけなので言わないのだ。

 

対して天之河君の場合は直接止めに行くようなタイプだ。

自分の思い込みによる行動で物事に関わろうとするので基本的に私が後始末を行わなければならないため、正直言って私からすれば傍迷惑でしかないのよね。しかも、持ち前のカリスマと才能のせいで決してその行動を直そうとしないため苦労が絶えない。

 

だから私はそんな日色君に憧れ、いつしか彼と並べるような技量を持てるようになろうと今日も剣を振るっている、彼との剣道は……あまり嫌いではないのだから。

 

そんな私の幸福な日常は――

 

 

「というわけで、引越しすることになった」

「何が『と、言うわけで』よ!聞いてないわよ!?」

 

ある日公園で彼の何気ない言葉により粉砕された。

つい勢いで拳で殴りかかるがパシッ!と右手で受け止められる。

彼は言う、家が引越しすることになり道場が遠くなるため通えることができなくなると、しかもその近くに剣道を行う道場がないため胴着やトロフィーも全て道場に返すとのこと。

つまりもう彼とは会えないということだった。

 

突然だった、あまりにも突然すぎた。

 

「なんで、いつも……突然そんなことを言うのよ!」

 

彼の胸元を掴み、何度も揺さぶり、声を荒げる。彼は無表情で静かに呟く。

 

「仕方ないだろう、昨日言われたしな」

 

手に篭っていた力が抜け、胸元を掴む手が緩む。

頬に涙が流れ、嗚咽が溢れてしまう。

嫌だった、離れたくなかった。涙が止まらず、嗚咽が止まることを知らなかった。

 

そんな泣き続ける私に彼はハァとため息をついてポケットから何かを取り出し――私に放り投げた。

 

「ほらよ」

「え?あっ、ちょっ!!?」

 

慌てて受け取ると綺麗な紫色の珠が嵌っているブレスレットだった。

 

「それ、くれてやるよ。どうせ、可愛らしいものを一つも持っていないんだろ?」

「ッ!そ、そんなこと……ない……わ……よ……」

「徐々に声が小さくなってるぞ。ま、別に捨ててもいい物だしな」

 

咄嗟に声を絞り出してみるが、図星を突かれたことにより、徐々に声が小さくなっていく。

彼はその言葉に小さく苦笑し、私から背を向けて去っていく。私にはその去っていく背中を止めることができず、無様に眺めてしまうしかない。

まだ伝えたいことがたくさんあった。教えてもらいたいこともたくさんあった。

 

だけど、それでも彼は止まらない。

 

 

嫌だ、声を出せと、理性が命令を出す。

 

 

彼に絶対伝えたいことがあるのだから。

 

「ねぇ!」

 

今にも泣きそうな声が出る。

伝えなきゃ、伝えなきゃと胸から這い出てきた熱い灼熱の感情が体から噴出していく。

 

私は、貴方のことが――

 

「なんだ?」

 

だけど、振り向いた彼を見てしまうと私はその感情を搾り出すことができなかった。

 

 

「また、会えるよね!?」

 

違う違う!!私はそんなことを言いたいんじゃない!!私は――

 

 

彼は笑う、まるで微笑ましいものを見るように。優しく、そして小さく、笑った。

 

「あぁ、きっと会えるさ」

 

 

その表情は、その顔は、私が見惚れてしまうほどのカッコいい笑顔だった。

私は彼に自分の思いを伝えることができなかった。

 

 

 

それ以来、私は携帯を持ってから彼とメールのやり取りによる交流が多くなった。

 

流石にやり過ぎたかな?と思ってしまうほどのやり取りのメールの総件数であり、今見てみれば送信数が300件を超えていた。

 

彼に貰ったブレスレットはいつも腕につけており自分が可愛らしいものが好きだったこともあってかいつしか大切な宝物となっていた。彼がお別れの品にくれたものなのだ、決して無くしたくない。

 

 

彼と別れて、約3、4年、私は彼と再会した。彼と同じ高校に進んだから当然といえば当然なのだが彼と再び笑い合える時が来ると思うと自然と頬が緩んでしまう。

 

そうして出会ったのが少年期よりも引き締まった肉体に整えられた容姿、昔より鋭い目つきになった瞳に黒く輝くメガネをかけた彼、神代日色。

 

一応、私も再会したときは女らしさを意識してみたけど彼は何一つ変わらず声をかけてくれた。

小さい時の彼とは少し低い声に更に鋭くなった容姿にむしろこちらが驚いたりした。

高校の最初の一年は天之河君に付き纏われることもあったが彼と共にいたあの頃に戻ったようで楽しかった。

 

 

だから、私は決意した。

今度こそ、私はあなたに告白する。

 

 

私は貴方のことが好きです、と。

 

 

だけど私は二年にあがるとすぐに私は後悔した。

どうして私は、あの道場から去っていく彼に伝えることができなかったのだと。

 

悔やんだとしてももう遅すぎた。

それを悔やんだ時、彼はもう――

 

 

――異世界『トータス』で私の目の前から迷宮の崖から落ちていった時なのだから。

 

 




え?雫がミュア枠?……その発想はなかった。


ところで、『文字使い』と『踏み台転生者に憑依したら化け物じみた力を手に入れた件』どっちをメインにして欲しいですかね?


――追記

リメイクを書き終えて思ったこと、お前ら本当に小学生かよ!!
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