ありふれた職業で世界最強(女)と文字使い(ワードマスター)   作:アルテール

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……いつから、日記形式でやらないと錯覚していた?

そんなわけで久しぶりの日記形式での投稿です。
最後の方はいつもの第三者形式に戻りますが、久しぶりの日記形式なので大変拙いです、ご了承ください。

そしてようやく吸血姫の登場、ここまで長かったですね。

……ところで本当に豹変ハジメちゃんの性格が書けなくなってきたんですけどどうしたらいいんですかね?



文字使い日記⑧

ヾ(@⌒ー⌒@)ノ月(( _ _ ))..zzzZZ日

 

ある日気がつくと親友が白髪紅眼の美少女になっていた。どうしてこうなった。

あ、どうも、現在進行形で混乱中の日色です。

爪熊に体を切られたと思ったらハジメが白髪紅眼の美少女になっているこの自体、誰だろうとポルナレフ状態になるだろう。

 

しかも女の象徴でもある胸が大きくなっているのである!!

 

正直言って泣きそうになった。

大きくなった胸、美しい顔つき、整えられた体つき、これらの要素を手に入れたハジメにはきっと嫁の貰い手が無くなることはないだろう。これでお父さんも安心ですよ!

 

ただし、抱きついて寝るのはやめてくれませんかねぇ!?いや、確かに!寝ろと言ったのは俺だけど!寝不足気味になって肌荒れを避けるためにハジメを強制的に寝させたのは俺だけどさぁ!!胸が気になって仕方がないの!!今度は俺が寝れなくなっちゃうの!!

 

ブラック企業で徹夜は慣れているけどなッ!!!(涙目)

 

ヾ(@⌒ー⌒@)ノ月(T ^ T)日

 

数日……というか三日が経過した。

と言っても、迷宮の上階を探しながら魔物の肉を食って俺が足手纏いにならないようにステータスを上げているだけだったけど。

魔物の肉を食べる事に何故かハジメに反対されたが食料がないなら食べるしかないだろという説得によってしぶしぶ許可してくれた。 ……しかし、魔物の肉は猛毒だったはずなのに初めて食べた時あまり痛くなかったのはどうしてだろう?いやまぁ痛いっちゃ痛いけど耐えられない程ではない。ハジメは最初気絶しかけるほどの激痛だったはずだけどやっぱり神様ボディのお陰だろうか?

 

現在のステータスはこんな感じ

 

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南雲ハジメ 17歳 女 レベル 13

 

天職:錬成士

筋力:330

体力:440

耐久:340

敏捷:490

魔力:450

魔耐:430

技能:錬成[+高速練成][+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合]・魔力操作・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地]・風爪・集中・言語理解

 

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神代日色 17歳 男 レベル11

 

天職:筆写士 文字使い

筋力:340

体力:430

耐久:320

敏捷:520

魔力:670

魔耐:410

技能:文字魔法[+一文字開放][+空中文字解放]・紙作成[+作業効率上昇][+消費魔力減少]・魔力筆[+消費魔力減少]・本製作・高速演算・瞬間記憶・剣術・集中・限界突破・魔力操作・胃酸強化・纒雷・天歩[+空力][+縮地]・風爪・言語理解

 

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……うわぁ、突っ込みどころがいっぱいだぁ……!

 

うん、一つ一つ確認していこうか。

まずは文字魔法の技能[+空中文字解放]である。と言っても効果は簡単で文字魔法を直接物に書かなくても空中で書けるようになり、一直線だが高速で飛ばすことができるのだ。……これで遠距離攻撃が出来るようになったのでチマチマ攻撃していくのも一手だろう。

しかし、一体いつこんな技能を手に入れたのだろうか?

次の[+消費魔力減少]は……読んで字の如くなので端折らせてもらおう、説明がメンドくさ――説明するほどのものじゃないからな。

そして技能【集中】、確か最初はハジメは持っていなかった為ハジメ曰く爪熊から手に入れたらしいが未だに効果が分かっていない、出来れば早く効果を解明したいものだ。

えっと次は【魔力操作】だ、確か自由に体内の魔力を操れる技能だっけ?そう思い試しに纒雷(勿論効果の説明はしない)を使おうとして――

 

――魔力色が変わっていた。

 

もう一度言おう、魔力色が変わっていた。

紅緋色の魔力色だったのが【丘村日色】が使っていた青白い色に……うーん、何色と言ったらいいんだろう?青色?藍色?紺色?碧色?……まぁ蒼色という事にしておこう、ほら紅色の反対って蒼色のような気がするじゃん?

 

だったら髪色も白髪になってんの!?と思ったがそんな事はじぇんじぇん無かった。よかったこれで厨二病なんて言われる事はなくなる!……ハジメの厨二っぽさは更に上昇したが。

 

ついでに言えば俺の愛用している片刃の剣――もとい直刀は爪熊に斬られた時受け止めようとしてついで感覚で切断されていたのだが気がつくとハジメに修復されていた。

いつのまに!!と思ったが頼んでもいないのにわざわざ修復してくれたのだ、なんていい奴なんだハジメッ!

そう思って感謝の言葉を零すととても喜んでいた。

 

え?なにこの子?めっちゃ可愛いんだけど?元々の容姿の笑顔も良かったけど今のハジメの笑顔は殺人的だ。不覚にも萌えてしまった。

いやいや、待て待て落ち着け俺。小宇宙は燃やすものだ、萌やすんじゃない。賢者の心を取り戻せ!

 

そんなわけで作ってもらった直刀は反りのある打刀に姿を変え、銀色の刀身から黒銀の刀身へとフォルムチェンジ。銘はどうするの?と聞かれたのでハジメが試作品として作ってくれたらしいので『試作刀』はどうかと呟くととても哀しそうな瞳で見られた、何故し。

 

ヾ(@⌒ー⌒@)ノ月(_ _).。o○日

 

上階へと続く階層が無いことが判明した。

俺からすれば既に知っていることなんだけど最近の出来事が鮮烈過ぎてその原作知識が薄れて消えかけてしまっている。日記に原作情報を書いていたはずなんだけどどうやら爪熊の風爪で切り裂かれ消失してしまったようだ。

え?文字魔法で直せるじゃん、だって?出来るならば既にしている。試しに『復』や『直』で直そうとしたのだがどうやら一文字であるため力が足りないのか日記は傷一つなく新品に戻ったが欠損した部分は書いたはずの文字がなく白紙のままになっていたのだ。

原作知識が消えかけている現状に絶望しそうになるが、同時にまぁいいかと思う。ハジメが女の子の時点で自分はそこまで原作知識を信用していないし、あまりにも信用し過ぎていると咄嗟の事態に対応できなくなる。

原作知識があったとしても生き残れるほどこの世界は優しくないだろうし。

 

途中、ハジメとともに錬成と文字魔法で『道がなければ作ればいいじゃない!』作戦を実行しようとしたが上だろうと下だろうと一定範囲を過ぎると錬成が一切反応しなくなってしまった。文字魔法は一応効果を発揮するがせいぜい20センチしか穴を開けることしかできない、しかも自動で修復される自動再生付きだ。

 

故に地道に探すしかないのだが下へと続く階層は見つかったが上の階層は見つからない。

と言うわけで下の階層に進む事になったのだがいかんせん不気味な雰囲気を醸し出しているため恐怖で漏らしそうだ、こんな状況で不敵な笑みを浮かべているハジメが羨ましいです。

しかし、大人である自分は恐怖している事は決してハジメに悟らせてはいけないのだ、こんな時にニートしている表情筋が役に立つなんて思わなかった。

こうして俺たちは新たな階層への一歩を踏み出したのだった。

 

 

………………最初の一歩で足を滑らせそうになり必死で耐えようとしたのは秘密だ。

 

 

ハジメちゃん、マジTUEEEEッ!!!

 

奈落に落ちる前のハジメとは別人のように強いんですけど!!だってアレだよ?いきなりかち合ったバジリスクらしき蜥蜴の金色の瞳が輝いたかと思うと嫌な予感がしたのでハジメを突き飛ばしたらハジメを突き飛ばした俺の左手が石化していった。

 

ギィヤァああっ、と叫びそうになるが咄嗟に右手から神水の入っている容器を飲むと何とか石化を治すことが出来た。なんとハジメは俺が神水を飲んでいる一瞬の間に倒れながらも空中でドンナーを構え、金色の瞳がいた場所を暗闇の中、一瞬で把握し、正確に射撃したのだ。

その電磁加速された狙撃は見事、バジリスクの頭蓋骨を捉え、そのまま貫通し奥の壁に直撃し、壁をシューと赤熱化させた。

うん、ハジメに逆らうのはやめよう!そう決意するには決定的過ぎる出来事だった。

 

しかもその後、何故か怒られた。何故だ。

 

その後もハジメ無双は続いていく、俺がした事はせいぜいアレだよ?

サッカーしようぜ!!お前ボールな!!やボール(刀)を相手のゴール(羽を散弾銃のように飛ばす梟や六本足の猫)にシュゥゥゥーッ!!!超エキサイティン!!しかしていない。

やはり魔王の強さは俺とは格が違うのだろうか?

 

しかし本当に魔物の肉が不味い、食べれば痛みも奔るし。せめて味を何とかしたいものだ、スパイスのような調味料を何処かで手に入れる事は出来ないだろうか?

 

あ、ちなみに技能は【夜目】【気配感知】【石化耐性】の三つの技能を手に入れました。若干ガッカリしているハジメが気になったがあまり気にしないほうがいいのだろう。

現在、俺は日記を超精密品である銃弾を錬成で作っているハジメの側で書いている。俺からすれば離れたほうがいいのではと思ったが、ハジメ曰く俺が側にいた方が集中できるらしい。

 

最初は銃弾を一個作るのに一時間以上もかかったらしいのだが現在は俺と会話しながらでも20分に一個作り出すことができるらしい、ドンナーに刻まれたライフリングが無意味にならないようにサイズを完璧に合わせなければならず、炸薬の圧縮量もミスは許されないらしいのだが俺と行動するようになってから爆発的に技量が上達していったらしい、ハジメはこれも日色が側にいるからかなと呟いていたがそれはあり得ない、絶対にハジメの才能だろう。

 

しかし、その言葉にハジメは三割悲しく七割嬉しいような複雑な表情を浮かべていたのはどうしてだろう?錬成が失敗したのだろうか?

 

ヾ(@⌒ー⌒@)ノ月(*゚▽゚*)日

 

技能【気配感知】のお陰で比較的早く階下の階段を見つけることが出来た。

躊躇いもなく踏み込んで降りていくと今度の階層は地面が何処もかしこもコォールッタールッッ!!!のように粘つく泥沼のような場所だった。足を取られたりするので凄まじく動きにくい。と、言うわけで迫り出した岩を足場に【天歩】で進んでいくとふと【鉱物鑑定】を行なったハジメが引き攣った笑みとともに「……嘘」と声を零した。

どうやらこの辺りはフラム鉱石で出来ているらしい、惜しい最初と真ん中を入れ替えれば新しい人類だったのに。

そう思いながら文字魔法『覗』を用いて鑑定することにした。

 

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フラム鉱石

 

艶のある黒い鉱石。熱を加えると融解しタール状になる。融解温度は摂氏50度程でタール状の時に摂氏100度で発火する。その熱は摂氏3000度に達する。燃焼時間はタール量による

 

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……ガソリンかよ。

 

浮かび上がるツッコミはそれだけだった。

というか、確か魔王はこれを集めて焼夷弾の様に使い、辺りを火の海に……いや、これ以上は考えない様にしよう。

とはいえ、これは困った。こんな所でハジメの最強武器であるドンナーが使えなくなるとは、もし鑑定する前にハジメが発砲していたら辺り一面がリアル火の海になっていた所だった。

せめて階層の入り口付近に『火気厳禁』の看板でも置いてってくれ、いや無理だろうけど。

 

とはいえ原作と違いハジメのドンナーは男のロマンである銃剣だ。

ハジメも戦えると戦意をメラメラと燃やしていた、がハジメに出番は取らせないこんな所じゃないと足手纏いの俺が役に立てないのだ。さぁ、今こそ八重樫さんにみっちり仕込まれた剣術を見せてやらぁ!!

 

 

と、思っていた時期がありました。

 

しばらく進んで三叉路に出た為、近くの壁に印を付け、ク◯ピカ理論で左から進めようと探索しようと足を踏み出した途端、嫌な予感が背筋を走った。

 

咄嗟に予感に従いハジメを横に突き飛ばすとさっきまでハジメの頭部があった場所へとサメの様な魔物がタールの中から巨大な顎門を開いて飛び出してきたのだ。【気配感知】に一切反応せずに。

 

俺も身を屈めてサメの突撃を避け、反撃しようとするが既にタールの中に沈み見えなくなってしまっている。

【気配感知】に一切反応しない事に【気配遮断】の技能でも持っているのだろうかと思いながら止まってはいられるかと【空力】で空中に移動した。

どうやらハジメも空中に退避したらしい、再びサメが飛び出してきた為ハジメは宙返りを行い逆さまになった視界の中で正確に発砲、しかし銃弾はまるでゴムに当たったかのように、一瞬、サメの肌を凹ませるも直ぐにはじき返された、どうやらサメの表皮は衝撃を緩和させる性質があるらしい。

 

サメは 通り過ぎタールに飛び込んだ勢いそのままに、サメが驚異的な身のこなしで反転し、再度、宙返りから着地した瞬間のハジメを狙って飛びかかってきたので俺が横から蹴り飛ばした。

 

蹴り飛ばされたサメはタールの中に再び泳いで身を隠してしまった。

 

これがこのサメの厄介なところだ、【気配感知】が一切反応しない中悠々と泳ぎ死角から襲い掛かってくる。

せめてタールが固まっていればなぁ、と思い、無意識に人差し指で『固』を書き、文字魔法としてタールへと射出した。

 

そしてタールに触れた瞬間――

 

 

――触れた部分を中心に半径約10メートルの範囲のタールが元のフラム鉱石へと変化する。

 

文字魔法『固』の効果でタール状になったフラム鉱石が固められ、元の艶のある黒い鉱石に戻ったんだろうか?その10メートルの範囲にサメもいたのか鉱石に全身を固められ身動きが取れなくなってしまっている。

 

その光景を見て、俺は小さく思う。

 

………………………………………………別に剣術なんていらなかったんや、と。

 

その後、サメに【風爪】でとどめを刺した後、文字魔法で『冷』と『固』をタールを片っ端から固めていき迷宮探索を行い、下への階層を見つけることが出来た。サメで手に入れた技能はやはり【気配遮断】だった。余談だがフラム鉱石をたらふく回収したハジメの笑顔はとても眩しかったと書いておく。

 

ヾ(@⌒ー⌒@)ノ月(T . T)日

 

迷宮全体が薄い毒霧で覆われた階層で毒の痰を吐き出してきた二メートル台の虹色のカエルと麻痺の鱗粉を撒き散らす菫色のモ◯ラに遭遇した。

取り敢えず麻痺の鱗粉がうざかったので『風』で鱗粉を吹き飛ばし、モ◯ラの首を切断した。カエルの相手をしているハジメが毒の痰を食らった時、つい『爆』の文字をカエルに飛ばしたのは仕方がない事だろう。頭だけ『見せられないよ!』状態になったが不可抗力だ。

ハジメがかかった毒は神水のストックの為に『清』で治す事にした。

 

……あ、カエルの肉は割と美味しかったです。後は調味料とご飯とビールがあったら完璧だったのに。……この世界の物で調味料……作ってみてもいいだろうか?

 

ヾ(@⌒ー⌒@)ノ月(*゚▽゚*)

 

地下迷宮のはずなのに密林の様な階層に出た。物凄く蒸し暑く鬱蒼としていて熱帯地方とでも言う様な場所だった。へばりついてくる汗に鬱陶しさを感じていると森から巨大ムカデが落ちてきた。

 

もう一度言おう、巨大ムカデが落ちてきた。

 

しかも駄目押しとばかりに体の節ごとを分離させて襲いかかってきた。しかもその数は台所に出てくる一匹いたら30匹入ると思えの代名詞であるアイツを彷彿とさせる。

 

よろしいならば戦争だ。

 

ヒャッハー!汚物は消毒だぁ!!

 

ヾ(@⌒ー⌒@)ノ月_φ( ̄ー ̄ )日

 

次の階層は前回の階層とは違い今回の階層はうって変わって温暖な森林といった所だった。巨大な大樹を中心に森が広がっている。そこから出てくる魔物がトレントに酷似している樹の魔物である。

樹の魔物の攻撃は木の根を地面に潜らせて突いてきたり、枝を鞭の様に振り回して攻撃したりするのだが、このトレントモドキの最大の特徴は別にある。

このトレントモドキなんとピンチになると頭部にわっさわっさと実った赤い果実を投げつけてくるのだ。その実に当たっても攻撃力はない為、試しにハジメが食べてみたのだが泣きながらとても美味しかったと言っていた。俺も試しに食べてみるとメチャクチャ美味かった。

甘くそしてとても瑞々しい、例えるならばスイカの様な果物である。

 

そしてそれを食べてからハジメの眼は完全に狩人の眼になった。

 

二十何日ぶりかの新鮮な肉以外の食い物にドンナーを片手にトレントモドキを駆逐する勢いで襲いかかる。俺としても探索の途中、王立図書館で読んだ本に書かれていた香辛料『ラショウの実』を文字魔法で『覗』で見つけたので採取する事にした。

 

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ラショウの実

 

温暖な気候で育つつる性の植物『ラショウ』から手に入れることができる緑の果実。収穫した時期と焼く、煮る、蒸す、乾燥のどれかをさせることによってそれぞれ味と風味が変化し、主に肉類の香辛料として使用される。

様々なバリエーションでありながらどれもが肉の美味しさを何倍にも上げる為、大変人気だが『ラショウ』は少しの気温変化ですら耐えられない弱い植物な為、中々量産することができず滅多に手に入れることができない高級品となっている。

 

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どうやらこのラショウの実は地球では胡椒の役割を持つ様だ。

説明に書かれている様に気温の変化に弱い為、温度が変わらない迷宮では育ちやすいということだろうか?いや、解放者達がわざわざ植えた可能性もあるけど。

 

というわけで俺は大量に生えているラショウの実を育ちきっていないものを残して片っ端から採取する事にした。コレで少しは肉が上手くなるだろうか?

 

手に入れたものは後で落ち着いたハジメに容器でも作ってもらう事にしよう。一体どんな味になるのだろうか?考えるだけで頰が緩んでしまう。

 

数日後若干恥ずかしがりながらも大量の赤い実を背負ったハジメと合流したが大変可愛かったと記述しておこう。

 

( ̄∀ ̄)月(゚∀゚)日

 

やはりラショウの実を採取したのは正解だった。

 

今まで不味かった肉が何倍にも美味しく感じられる、しかも味のバリエーションが豊富な為飽きることがない。しかもデザートで食べる赤い実はまた格別だった。

 

赤い実はもうすぐ無くなるがラショウの実は大量に採取し、かつ焼いたもの、煮たもの、蒸したもの、乾燥したもの、etc……をハジメ製の容器に分けて入れている為今のところ尽きる気配は無い。

 

ハジメも味が上手くなったので喜んでいた。

 

( ̄∀ ̄)月\(//∇//)\日

 

次の階層では広い洞窟らしい場所で糸で巨大な巣を巡らせている紅蜘蛛もといシュピーネさんと遭遇した。

壁や岩などを切り裂く程の硬度を持った糸を持っていたのだが取り敢えず『斬』で糸を切断し、地に堕ちたところをハジメにトドメを刺してもらった。

今まで一番簡単な敵だった……ということは言わないでおく事にしよう。

 

というか、もう次で50階になるのだがこの迷宮、深すぎないか?よく原作の主人公は攻略できたなぁ。

 

 

◆◇◆

 

 

日色は書いていた日記をパタンと閉じると文字魔法で『封』の文字を書き、開かれない様にし、立ち上がる。

時間の感覚は無いようなものだが現在の階層、50階層目に行くまで約20日後半程経過していた。しかしいくら進んでも未だ終わりが見える気配はなく現在の日色達のステータスはこうである。

 

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南雲ハジメ 17歳 女 レベル41

 

天職:錬成士

筋力:960

体力:1060

耐久:930

敏捷:1120

魔力:870

魔耐:870

技能:錬成[+高速練成][+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合][+複製錬成][+効率性上昇]・魔力操作・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地][+豪脚]・風爪・集中・夜目・遠見・気配感知・魔力感知・気配遮断・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性・言語理解

 

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神代日色 17歳 男 レベル40

 

天職:筆写士 文字使い

筋力:970

体力:1040

耐久:940

敏捷:1140

魔力:1030

魔耐:860

技能:文字魔法[+一文字開放][+空中文字解放]・紙作成[+作業効率上昇][+消費魔力減少]・魔力筆[+消費魔力減少][+空中書き]・本製作・高速演算[+演算速度上昇]・瞬間記憶・剣術・集中・限界突破・魔力操作・胃酸強化・纒雷・天歩[+空力][+縮地]][+豪脚]・風爪・念糸・夜目・遠見・気配感知・魔力感知・気配遮断・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性・言語理解

 

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巨大ムカデが出てきてからハジメは高速リロードや銃技、蹴り技などを徹底的に鍛える様になった。どうやら巨大ムカデとの戦闘で片手でも高速でリロードする方法と弾が無くなった時の攻撃手段を出来るだけ増やしたかったらしい。ちなみに蹴り技を教えているのは日色である。

 

日色は50階層で作った簡易拠点を移動し、外で銃技の再確認を行なっているハジメへと声をかける。

 

「ハジメ、準備は出来たか?」

「――うん、私は大丈夫。日色は?」

「出来てるよ」

 

一通り満足したのか慣れた手つきでドンナーをホルスターにしまい、日色へと振り向きコクリと頷くハジメに日色は返答した。

現在、日色達は50階層で足踏みしていた。と言っても下への階段は既に見つけていたのだがこの50階層には何やら異質な場所が存在していたのだ。

それは、なんとも不気味な空間だった。

脇道の突き当たりにある開けた場所には高さ3メートルの装飾された荘厳な両開きの扉があり、その扉の脇には一対の一つ目巨人の彫刻が半分壁に埋め込まれる様に鎮座していたのだ。

あまりにもこの階層の迷宮と合わない『変化』、故にハジメは日色に一旦引くことを願い日色はそれに了承したのだ。

 

ハジメは期待と嫌な予感を、日色は希望と絶望を同時に感じていた。いや、まぁ日色のは原作知識で知っているからなのだが。

 

「まさにパンドラの箱……か」

「――? 日色、さっき何か言った?」

「いや、何でもない」

 

日色は誰にも聞こえないような声でそう呟くのだった。

 

 

扉の部屋にやってきた日色とハジメは油断なく歩みを進める。特に何事もなく扉の前にまでやって来た。近くで見れば益々、見事な装飾が施されているとわかる。そして、中央に二つの窪みのある魔法陣が描かれているのがわかった。

 

「? 何、この式……見たことない。日色はわかる?」

「――いや、わからん。おそらく三百年前の相当の古い魔法陣だろうな、ここまで意味の分からない魔法陣は教室で見た魔法陣以来だ」

 

日色はもちろんハジメは無能と呼ばれていた頃、自らの能力の低さを補うために座学に力を入れていた。日色にわかりやすく王国で習う魔法に関する知識を学び終えているがそれでも、魔法陣の式を全く読み取れないというのは(いささ)かおかしい。ましてやたった三日で新しい魔法を生み出した日色ですらわからないのだ。

トラップを警戒して調べているのだが、どうやら今の日色達程度の知識では解読できるものではなさそうだ。

 

「じゃあ、いつも通り練成するから」

「あぁ、だが気をつけろよ」

 

ハジメは日色の警告に頷きながら壁へと手を触れる。一応、扉に手をかけて押したり引いたりしたがビクともしない。なので、いつもの如く錬成で強制的に道を作る。ハジメは右手を扉に触れさせ錬成を開始した。

 

しかし、その途端、

 

バチィイ!

 

「――ッ!?」

 

扉から赤い放電が走りハジメの手を弾き飛ばした。ハジメの手からは煙が吹き上がっている。悪態を吐きながら神水を飲み回復するハジメ。直後に異変が起きた。

 

――オォォオオオオオオ!!

 

突然、野太い雄叫びが部屋全体に響き渡ったのだ。

 

「ハジメ!」

「分かってる!」

 

日色の声に応じて既に扉から離れた日色に続いてバックステップで扉から距離を離し、腰を落として手をホルスターのすぐ横に触れさせいつでも抜き撃ち出来るようにスタンバイする。

雄叫びが響く中、遂に声の正体が動き出した。

 

「まぁ、ベタといえばベタね」

「無かったほうが嬉しかったがな」

 

苦笑するハジメに無表情で返答する日色の前で扉の両側に彫られていた二体の一つ目巨人が周囲の壁をバラバラと砕きつつ現れた。いつの間にか壁と同化していた灰色の肌は暗緑色に変色している。

 

一つ目巨人の容貌はまるっきりファンタジー常連のサイクロプスだ。手にはどこから出したのか四メートルはありそうな大剣を持っている。未だ埋まっている半身を強引に抜き出し無粋な侵入者を排除しようとハジメの方に視線を向けた。

 

その瞬間、

 

ドパンッ!

 

凄まじい発砲音と共に電磁加速されたタウル鉱石の弾丸が右のサイクロプスのたった一つの目に突き刺さり、そのまま脳をグチャグチャにかき混ぜた挙句、後頭部を爆ぜさせて貫通し、後ろの壁を粉砕した。

 

左のサイクロプスがキョトンとした様子で隣のサイクロプスを見る。撃たれたサイクロプスはビクンビクンと痙攣したあと、前のめりに倒れ伏した。巨体が倒れた衝撃が部屋全体を揺るがし、(ほこり)がもうもうと舞う。

 

「そんなのわざわざ待ってあげるわけ無いでしょ」

 

いろんな意味で酷い攻撃だった。ハジメの見敵必殺の方針は間違ってなどいないがやられたサイクロプス(右)があまりにも不憫である。皆さん、哀れなサイクロプス(右)に合掌。

 

おそらく、この扉を守るガーディアンとして封印か何かされていたのだろう。こんな奈落の底の更に底のような場所に訪れる者など皆無と言っていいはずだ。

 

ようやく来た役目を果たすとき。もしかしたら彼(?)の胸中は歓喜で満たされていたのかもしれない。満を持しての登場だったのに相手を見るまでもなく大事な一つ目ごと頭を吹き飛ばされる。これを哀れと言わずしてなんと言うのか。

 

サイクロプス(左)が戦慄の表情を浮かべハジメに視線を転じる。その目は「コイツなんてことしやがる!」と言っているような気がしないこともない。

 

「よそ見していていいの?」

 

ハジメは、動かずサイクロプス(左)を睥睨しながらそう呟くとその言葉の意味が伝わったのか「え?」というような疑問の視線をハジメに向けるが――

 

瞬間。

 

――我流剣術【天閃】

 

サイクロプス(左)の首が背後から現れた日色に一瞬にして切断された。

 

なんて事はない、ハジメがサイクロプス(右)へ発砲した瞬間に、日色が文字魔法を使って背後に移動していたのだ。

 

文字魔法『隠』

 

技能【気配遮断】と共に併用した文字魔法『隠』の隠蔽能力はそう簡単に見破られるものではない。

【縮地】を用いて高速移動を行い、サイクロプス(左)の首へと接近し、【空力】によって足場を生み出したところで刀を抜刀、かつての片刃の剣とは違い鞘走りが行えるため、その速度は現在のステータスと合わせて視認不可能の斬撃と化す。

 

哀れサイクロプス(左)、君もろくに出番もないまま終わってしまった。彼らの勇姿に皆さんもう一度合掌を。

 

ドサりとさっきと同じように衝撃が部屋全体を揺るがす中、日色は刀を収めながら、着地し、此方へと向かってきたハジメの方向を向いて小さく微笑んだ。

 

「さてと、どうする?先、部屋を見ておくか?」

「うん、私もそれに賛成」

 

日色に返すようにハジメも笑うと【風爪】を用いたドンナーでサイクロプスを切り裂き体内から魔石を取り出し、片方を日色へと渡した。

血濡れを気にすることはなく二人は二つの拳大の魔石を扉まで持って行き、それを窪みに合わせてみる。

 

ピッタリとはまり込んだ。

 

瞬間、魔石から赤黒い魔力光が迸り魔法陣に魔力が注ぎ込まれていく。そして、パキャンという何かが割れるような音が響き、光が収まった。同時に部屋全体に魔力が行き渡っているのか周囲の壁が発光し、日色達が久しく見なかった程の明かりに満たされる。

 

日色はハジメと顔を合わせたあと、小さく頷き警戒しながら、そっと扉を開いた。

 

扉の奥は光一つなく真っ暗闇で、大きな空間が広がっているようだ。日色とハジメは【夜目】を用いると徐々に辺りの全貌がわかってきた。

 

中は、聖教教会の大神殿で見た大理石のように艶やかな石造りで出来ており、幾本もの太い柱が規則正しく奥へ向かって二列に並んでいた。そして部屋の中央付近に巨大な立方体の石が置かれており、部屋に差し込んだ光に反射して、つるりとした光沢を放っている。

 

「――っ。ハジメ、見ろ」

「――え?」

 

一瞬動揺した日色が指さした巨大な立方体を見ると何か光るものが立方体の前面の中央辺りから生えているのに気がついた。

ハジメは近くで確認しようと扉を大きく開け固定しようとする。いざと言う時、ホラー映画のように、入った途端バタンと閉められたら困るからだ。ちなみに青○とかがその例だ。

 

しかし、ハジメが扉を開けっ放しで固定する前に、それは動いた。

 

「……だれ?」

「「――ッ!!?」」

 

まるでしばらく声を出していなかったかのようにかすれた、弱々しい女の子の声だ。

 

日色とハジメは咄嗟に己の武器へと手を触れた。武器に触れた手を離さないまま部屋の中央を凝視すると先程の『生えている何か』がユラユラと動き出した。差し込んだ光がその正体を暴く。

 

「―――――」

「嘘。人……なの?」

 

『生えていた何か』は人だった。

 

上半身から下と両手を立方体の中に埋めたまま顔だけが出ており、長い金髪が某ホラー映画の女幽霊のように垂れ下がっていた。そして、その髪の隙間から低高度の月を思わせるハジメとはまた違う紅眼の瞳が覗いている。年の頃は十二、三歳くらいだろう。随分やつれているし垂れ下がった髪でわかりづらいが、それでもビスクドール如き美しい容姿をしていることがよくわかる。

 

『何故、裸!!?』

 

流石に予想外だったのか日色は言葉を失い、ハジメは目を細める。金色の髪の少女は日色とハジメをジッと見つめていた。

ある程度冷静さを取り戻した日色は一度ため息を行い、止まった思考を再回転させようとすると、隣でハジメは決然とした表情で告げた。

 

「さようなら」

 

 

 

後にハジメはこう言った、過去に戻れるのならあの部屋を探索しようと思った自分をぶん殴ってやる、と。

 




ところでどうして金髪少女(ネタバレなので名前隠し)は全裸で封印されてたんだろう。いくら300年過ぎたとしても洋服の布切れぐらいは残ってそうなのに。
……まさかわざわざ脱がせたのだろうか?
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