ありふれた職業で世界最強(女)と文字使い(ワードマスター)   作:アルテール

36 / 51
[壁]|ω・`)チラッ

[壁]|ω・`)/ (次話) ポイッ

[壁]|ロ゜)ハッ!

[壁]|( 0w0)ナズェミデルンディス!


そんなわけで真夜中に投稿していくスタイル。皆さん、待たせたなっ!!(スライディング土下座をしながら)
今回の文字数は少なめに8000文字です。……いやまぁ、話があまり進まないので仕方がないんですが。
最近、ハジメちゃんの口調がわからなくなってくるなぁ……クーデレってむつかしい。
そして久しぶりの日色説教タイム。

そんなわけでどうぞ( ´ ▽ ` )


少年少女は語り合う(ただし一人はロリババァ)

サソリモドキを倒した日色達は、サソリモドキとサイクロプスの素材やら肉やらをハジメの拠点に持ち帰った。

 

その巨体と相まって物凄く苦労する――と思いきや日色が文字魔法により『軽』の文字を使うことで重さが軽くなり発泡スチロールを持っているような感覚になったので最上級魔法の行使により、へばったユエに再度血を飲ませ、日色がサソリモドキを、ハジメとユエが片方ずつサイクロプスを運んでいくこととなった。

 

ちなみに、そのまま封印の部屋を使うという手もあったのだが、ユエが断固拒否したためその案は没となった。……いやまぁ、何年も閉じ込められていた場所など見たくもないのが当たり前だが。

 

そんなわけで現在日色達はハジメが作った隠れ家を拠点に消耗品を補充しながらお互いのことを話し合っていた。

 

「つまり金ロリは少なくとも三百歳以上というわけか……」

「……女性に……年齢は、マナー違反」

 

ユエが非難を込めたジト目で日色を見る。女性に年齢の話はどの世界でもタブーらしい。

 

ハジメの記憶では、三百年前の大規模な戦争のおり吸血鬼族は滅んだとされていたはずだ。実際、ユエも長年、物音一つしない暗闇に居たため時間の感覚はほとんどないそうだが、それくらい経っていてもおかしくないと思える程には長い間封印されていたという。二十歳の時、封印されたというから三百歳ちょいということだ。

 

「というか、吸血鬼って、皆そんなに長生きなの?」

「……私が特別。【再生】で歳もとらない……」

 

ハジメの質問にポツリと小さな声で答えるユエ。

 

聞けば十二歳の時、魔力の直接操作や【自動再生】の固有魔法に目覚めてから歳をとっていないらしい。普通の吸血鬼族も血を吸うことで他の種族より長く生きるらしいが、それでも二百年くらいが限度なのだそうだ。

どんな理屈なんだろう?他人の血液を吸うことで細胞の分裂回数を増やしたりしているのだろうか?

 

ちなみに、人間族の平均寿命は七十歳、魔人族は百二十歳、亜人族は種族によるらしい。エルフの中には何百年も生きている者がいるとか。

ユエは先祖返りで力に目覚めてから僅か数年で当時最強の一角に数えられていたそうで、十七歳の時に吸血鬼族の王位に就いたという。

 

あのサソリモドキの外殻を融解させた魔法を、ほぼノータイムで撃てる能力にほぼ不死身の肉体。

行き着く先は十中八九『神』か『化け物』か『英雄』か、である。その中でユエは『化け物』の扱いをされたのだろう。

 

ユエ曰く欲に目が眩んだ叔父が、ユエを化け物として周囲に浸透させ、大義名分のもと殺そうとしたが【自動再生】により殺しきれず、やむを得ずあの地下に封印したのだという。ユエ自身、当時は突然の裏切りにショックを受けて、碌に反撃もせず混乱したままなんらかの封印術を掛けられ、気がつけば、あの封印部屋にいたらしい。

 

ユエが話した『欲に目が眩んだ叔父』という言葉に何やらピリッ!とした違和感を感じたが原作知識を思い出そうにも思い出せない、ユエが封印された理由は別にあった気がするが思い出せなかったので何も言い出さないことにした。……どうやら爪熊との後遺症は予想以上に深いようだ。

 

ユエの力について聞くと、どうやら誇張などではなく本当にユエは全属性に適性があるらしい。ハジメは言葉にはしなかったものの顔を少し顰めたことからどうやら魔法適性のない自分のあてつけに感じるらしい。

しかし、ユエ曰く、接近戦は苦手らしく、一人だと身体強化で逃げ回りながら魔法を連射するくらいが関の山なのだそうだ。もっとも、その魔法が強力無比なのだから大したハンデになっていないのだが。

 

ちなみに、無詠唱で魔法を発動できるそうだが、癖で魔法名だけは呟いてしまうらしい。魔法を補完するイメージを明確にするためになんらかの言動を加える者は少なくないので、この辺はユエも例に漏れないようだ。

【自動再生】については、一種の固有魔法に分類できるらしく、魔力が残存している間は、一瞬で塵にでもされない限り死なないそうだ。逆に言えば、魔力が枯渇した状態で受けた傷は治らないということ。つまり、あの時、長年の封印で魔力が枯渇していたユエは、サソリモドキの攻撃を受けていればあっさり死んでいたということだ。

 

『え?じゃあ傷口が凍らされたらどうなるん?』

 

そう思った日色だが口に出さないでおくことにした。

 

(……とは言っても300歳、か。さすが異世界というべきか、ロリババアが実在するとはな……)

 

と、日記を開いてさっきの出来事を魔力筆で記しながらオタク知識が現実に起こっていることについ思わずそんなことを思い浮かべてしまう。

 

「日色、さっき何か変なこと考えた?」

「……いきなり何言ってんだお前?」

 

とぼけて返す日色だが、錬成を行いながらハジメの美しいユエとはまた違う紅色の瞳が細まり、こちらを見つめてくることに女の勘の鋭さに内心冷や汗をかき、誤魔化すように眼鏡をクイッ、と上げる。因みにユエもジト目で日色を見ていた。……なんて勘の鋭い女の子達だろう。

ハジメは暫く日色を見つめていたが、まぁいいやとでも言うように日色に修復した刀を差し出した。

 

「……はい、日色。刀の修復が終わったよ、タウル鉱石に重ねるようにシュタル鉱石を使っているから、耐久力はかなり上がったと思う」

「そうか、わざわざすまんな。ハジメ」

「――――べ、別に気にしなくていい。日色の役に立てたから」

 

そう言って渡された刀はタウル鉱石で作られた時より一層艶やかに黒銀に照り輝き、魔力を流すと淡い蒼色の輝きが生まれた。

この刀にはサソリモドキのあの硬い外殻――もとい新たな鉱石であるシュタル鉱石が含まれている。

ハジメが、あのサソリモドキの外殻の硬さの秘密を探ろうと調べてみたところ、【鉱物系鑑定】が出来たのである。

 

===================================

 

シュタル鉱石

魔力の親和性が高く、魔力を込めた分だけ硬度と靭性が増す特殊な鉱石。

 

===================================

 

どうやらサソリモドキの外殻の圧倒的強度はシュタル鉱石の特性のようだ。おそらく、サソリモドキが常時、自身の膨大な魔力を込めに込め続けることで硬度と靭性をガン上げしていたのだ。

じゃあ鉱石なら加工できるだろう、と試しに錬成してみたところあっさりと形状を変えることが出来てしまった。「じゃあ、今までの苦労は……」と思わず崩れ落ちたハジメを日色が慰める事になった。……え?どうやって慰めたかって?取り敢えず頭を撫でたら満更では無さそうだったので3分ほど撫で続けただけだよ?……ユエの瞳が冷め切っていたのが印象的だ。

とまぁ、話を戻すがそんなわけで新たに生まれ変わった刀はさらに強力な硬度と靭性を手に入れ、日本刀の技法のひとつである、やわらかい鋼をかたい鋼で包み込むことによって作る『甲伏せ』を行い、作られている。因みに情報源は日色である。なんで知っているか、だって?……若気の至りだ。

 

刀を作り出す時に行う時、鋼を折り返し何度も槌で叩き鍛錬することで、硫黄などの不純物や余分な炭素、非金属介在物を追い出し、数千層にも及ぶ均質で強靭な鋼を作らなければならないが、ハジメの【錬成】を用いればその必要は無い。

 

こうして出来上がった刀を日色は受け取り、ハジメに礼を言うとハジメは少し頬を赤らめ、誤魔化すように新たな武器を作るために【練成】を始めていく。

日色は貰った刀の波紋を眺め、気に入ったのかコクリッと小さく頷いた後、丁寧に鞘に収めた。

 

すると、ユエも気が逸れたのか今度は日色に質問し出した。

 

「……日色と、ハジメ、どうしてここにいる?」

 

当然の疑問だろう。ここは奈落の底の更に底。正真正銘の前人未到の人外魔境だ。魔物以外の生き物がいていい場所ではない。

 

ユエには他にも沢山聞きたいことがあった。なぜ、魔力を直接操れるのか。なぜ、固有魔法らしき魔法を複数扱えるのか。なぜ、魔物の肉を食って平気なのか。なぜ、ハジメの左腕が無くなっているのか。日色の使っていた魔法はなんなのか。ハジメが使っている武器はなんなのか。そもそも、日色達は人間なのか。

 

次々と出てくる疑問の数々に日色はハジメの方をちらりと見て、ハジメが好きにして、というジェスチャーをしたため、仕方なしに質問されたことに関してポツリポツリと日記を書きながら日色は答えていく。

 

自分達が同郷の仲間たちと共にこの世界に召喚されたことから始まり、仲間達から役立たずだと言われていたこと、ベヒモスとの戦いでクラスメイトの誰かに裏切られ日色を庇いハジメが落ち、それを追いかけ共に奈落に落ちたこと、魔物を喰って変化したこと、爪熊と戦ったこと、ポーション(ハジメ命名の神水)のこと、故郷の兵器にヒントを得てハジメが現代兵器モドキの開発を思いついたこと。

 

途中、奈落に落ちたことがクラスメイトの誰かのせいだと知らなかったハジメが、錬成に失敗しベキッ!!と新たに生み出した武器のパーツをへし折り、「え?日色はクラスメイトの誰かに落とされかけたの?ねぇ、日色。誰があなたを落とそうとしたのか教えて?最初に爪を剥がして、指を切り落とした後――(自主規制)―――して殺すから。え?知らない?そう……」、と暴走し日色に迫ってきたのでハジメに説明しなくてはならなくなった。……証拠がないため多分犯人である檜山のことは伏せて。ハジメのことだから可能性があるというだけでドパンッしそうだし。

 

そうしてツラツラと話していると、いつの間にかユエの方からグスッと鼻を啜るような音が聞こえ出した。

「なんだ?」と日色は再び視線を上げてユエを見ると、ハラハラと涙をこぼしている。

 

「何故、泣いている」

「……グスッ……日色……つらい……私もつらい……」

 

さらっとハジメが含まれていないのが気になるところだ。

 

しかしまぁ、どうやら、ユエは日色のために泣いているらしい。日色は取りあえずユエを慰めるために無表情のままでユエの頭を優しく撫でる。僅かに隣で【練成】に集中していたはずのハジメがピクリッと反応した。

 

「金ロリが気にすることじゃない。クラスメイトのことや裏切られたことなんて俺にはあまり興味がないからな、そんなことよりも生き残る術を磨くことや元の世界に帰る方法を探さなければならないからな」

 

スンスンと鼻を鳴らしながら、撫でられるのが気持ちいいのか猫のように目を細めていたユエが、故郷に帰るという日色の言葉にピクリと反応する。

 

「……帰るの?」

「――――まぁ、な。いろいろ変わってしまったが、故郷に……家に……帰りたいな」

「……そう」

 

ユエは沈んだ表情で顔を俯かせ、ポツリと呟いた。

 

「……私にはもう、帰る場所……ない……日色……私は……どこに、行けばいいの……?」

「…………」

 

そんなユエの言葉に日色はユエの頭を撫でていた手を止め、手を引っ込める。

 

おそらくユエは日色を自分の新たな居場所に見ているのだろう、新しい名前を求めたのもそういうことだ。だからこそ、日色が元の世界に戻るということは、再び居場所を失うということだとユエは悲しんでいるのだろう。

 

その落ち込むユエを見て、日色は小さくため息を吐いた。

 

そして――

 

――ズドンッッッ!!!??、という見事に威力を調整されたデコピンがユエの額を打ち抜いた。

 

「――にゅッッ!!!??」

 

あまりの激痛におもわず後ろに倒れこみ、悶絶してしまうユエ。秘技日色デコピン一本入りました。

 

「――い、いきなり何――「心底どうでもいいことで落ち込むな、金ロリ。正直言ってお前の居場所なんかに興味がない」――ッ」

 

心底呆れた瞳をユエに向ける日色にユエは目を見開き、瞳に絶望の色が染められ、顔を伏せた。日色がユエの居場所になることを拒否したのだろうと思ったのだろう。

そんなユエの表情を無視して、日色は「それにな――」と言葉を続ける。

 

 

「――自分の居場所は他人に決めてもらえるものじゃないだろうが」

 

 

そのなんともないように呟かれた日色の言葉にユエは目を見開いた。

口から本人の意思を代弁され「…………え?」と疑問の声が呟かれる。

 

「何がおかしい、当たり前だろう。『居場所』というのは自分で決めるものだ、()()()()()()()()()()じゃない、()()()()()()()()が『居場所』なんだ」

 

呼吸が止まったのでは無いかと錯覚した。

日色のなんともないように呟かれる言葉がユエの心に染み渡り、広がっていく。

「だから――」と日色は言葉を続ける。

 

 

 

「――選べ、金ロリ 。お前はどうしたい?」

 

 

 

日色はこう言っているのだ。

お前の居場所なんか知らないし、興味がない。だから、自分の居場所は自分で好きなように決めろ、と。

彼らしい、あまりにも不器用な優しさだった。

 

「――あ、ぅ、わ……たしは……」

 

ユエは口を開き言葉を紡ごうとするが、呆然として、理解が追いつかないのか口からうまく声が出ない。

そして漸く理解が追いついたのか、掠れた小さな声で遠慮がちに恐る恐る呟いた。

 

「………………たい」

「ん?聞こえないぞ、もう少し大きな声で喋れ」

 

あまりに小さくぽつりと呟いたのか日色の耳にはよく聞こえず、日色は思わず聞き返してしまう。

その言葉にユエは紅い瞳に涙を滲ませながら小さくしかしさっきよりもはっきりと万感の思いを込めて呟いた。

 

 

「……日色の…傍に居たい…っ!」

 

 

この日、■■■■■■は、ユエは、初めて選択をした。

誰かに望まれて王になった時とは違い、流されるままロクに反撃もせず封印された時とも違い。

己の意思で、自分の欲望に重んじるように、流されるままであった自分と決別した。

 

その選択を行ったユエを見て、日色は無表情から少し表情を変え、小さく微笑した。

そして、ユエの頭を撫でながらユエに微かに何かの思いを滲ませながら言った。

 

「……好きにしろ。言っておくが足手纏いは置いていくからな」

「ん!」

 

その日色の言葉にユエは今までの無表情が嘘のように、ふわりと花が咲いたように微笑んだ。その笑顔は10人中9人は必ず振り向かせる程の美しさを持っていた。……おそらく残り一人は日色だろう。

そして日色はさっきから黙っているハジメに疑問を抱きハジメの方を向いて見るとハジメは日色達の会話が右耳から左耳に流すほど集中して錬成しているのが感じ取れた、技能【集中】のお陰だ。

 

「…ところでハジメは何をしているんだ?」

 

その日色の言葉にハジメの肩がぴくっと震え、怪訝そうな表情で日色の方へと顔を向ける。

 

「? 日色、今何か言った?」

「あぁ、ハジメがさっきから何を作っているのかと思ってな」

 

そう言う日色の視線にはハジメの錬成によって少しずつ出来上がっていく黒光りに輝く何かのパーツ。1メートルを軽く超える長さを持った筒状の棒や12センチ(縦の長さ)はある紅い弾丸、その他の細かな部品が散らばっている。

ハジメはそれらの部品を見ながら嬉しそうに日色の疑問に答える。

 

「コレ?……対物ライフル――のレールガンバージョンよ。対物ライフルだからドンナーとはまた違う特性の弾丸を作らないといけないから手間はかかるけど……威力は申し分ないはずよ」

 

ハジメの言うように、それらのパーツを組み合わせると全長約1.5メートル程のライフル銃となる。炸裂量や電磁加速が限界値に達しているドンナーではこれ以上の大幅な威力上昇が見込めない事を理解したハジメは新たな銃を製作することにしたのだ。

当然威力を上げるためには口径を大きくし、加速領域を長くしてやる必要があるので、そこでハジメが考えたのが対物ライフルである。

 

「――なんでライフルの構造を知っているんだ……?」

「お父さんの仕事の手伝いをしている時に銃の資料で見つけて、教えてもらったから」

 

『愁さぁぁああああああああん!!!娘に何教えてんのッ!!?』

 

日色の中の人が脳内でキラリと歯を光らせ笑顔を見せるハジメの父の行動に内心嘆いていた。

 

話を戻すが対物ライフルは装弾数は一発と少なく、持ち運びが大変だが理論上その威力は絶大だ。何せドンナーですら、最大出力なら通常のライフルを軽く凌駕するほどの威力を持っているのだ。ドンナーですら普通の人間が撃った瞬間、打ち手の方が持ち腕と肩を粉砕されるほどの化け物銃なのである。それが対物ライフルならば最低でも半身を粉砕されるだろう。

 

この新たな対物ライフル――ハジメ命名『シュラーゲン』は、理論上、ドンナーの更に数倍の威力を出すことができると言う代物だ。素材は勿論シュタル鉱石である。

弾丸にもこだわりタウル鉱石の弾丸にシュタル鉱石でコーティングするフルメタルジャケット(仮)を行なった。燃焼石も錬成で粉状にし、最適な割合で圧縮してあらかじめ作ってある薬莢に詰める。一発生み出して仕舞えば後は錬成の派生技能[+複製錬成]は材料が揃っている限り同じものを作るのは容易な為、[+高速錬成]と併用してサクサクと量産した。

 

そんな事を話しながら遂にハジメはシュラーゲンを完成させた。

黒光りするシュラーゲンはなかなか凶悪なフォルムで迫力がある。

なかなかの出来にハジメは満足していると一段落ついたせいかハジメの胃袋が空腹を訴えてきたので食事にしようかと思い、日色の方に振り向くと日色は既にサソリモドキとサイクロプスの肉を【風爪】で手頃なサイズに斬り裂き、『ラショウの実(煮)』を粉末状にしたもの日色命名『ラショウ(煮)』で下味を付け程良く【纒雷】で焼いていく。

 

「ハジメ、金ロリ 、飯だぞ……っと、金ロリが食べるのはまずいな。金ロリは食事どうするんだ?」

 

そう言いながら日色は刀をユエに貸していたのか、物珍しそうに刀の波紋を見ていたユエに視線を向ける。

ユエは刀に向けていた視線を変えて、日色へと向き直ると「食事は要らない」と首を横に振った。

 

「確かに300年以上封印されているなら大丈夫だろうが……飢餓感は感じるだろう?」

「感じる。……でも…もう大丈夫」

「何?」

 

腹はもう満たされているというユエにハジメに焼いた肉を渡しながら怪訝そうな顔をする日色。ユエは真っ直ぐ日色に指を指した。

 

「……ん…日色の血」

「……なるほどな、吸血鬼は確か血で栄養を摂るらしいから、食事は不要ということか」

「……食事でも栄養は取れる……でも血の方が効率は良い」

 

吸血鬼は血さえあれば平気のようだ、あの時、日色の血を飲んだからこそ満たされているのだろう。……どんな理屈で数ミリリットルの血で栄養を取れているのか気になるところだが気にしない方がいいのだろうか?

 

「……だから……日色の血…飲ませて」

「まぁ、別に構わないが…」

 

そう言い、ペロリと舌舐りしながら日色の元に近づいてくるユエ。日色は手っ取り早く終わらせる為、血を飲みやすいように首を傾け、妖艶さを醸し出しているユエへと近づいていく。

もちろんそれに反応する者はいる訳で……

 

「待って、日色。ユエは私の血を代わりに飲んだらいいから別に貴方が血を吸われる必要はないし、それにわざわざ直接飲む必要はないはずでしょ」

 

そう案の定ハジメである。ハジメは錬成で簡易な皿を作り出して、そこに肉を置いた後日色を制止するように言葉を投げかける。

その言葉にユエの表情は無表情だが微かに不快と苛立ちの色に染められる。

 

「……日色の血…ハジメより……美味しい」

「さらっと嘘を言わないで、お前はまだ私の血を飲んだことはないはずでしょ」

 

ユエに反論するハジメの言葉に徐々に彼女達の視線が衝突し火花が散り始め、辺りの空気が謎の圧迫感が増していき温度が下がっていく気がするのを日色は感じた。……背中から流れる液体はきっと冷や汗ではないだろう、いや、無いと思いたい。

 

「……いちいちうるさい…不健康女」

「――春を逃した老いた寄生虫ごときが喚かないで」

 

あぁ?おぉ?と彼女達はヤンキーの如くメンチを切りながら、その二人の言葉と共にゴゴゴゴ…とハジメとユエの背後からオーラが立ち上り、人ならざる化物へと変化していく。ユエの背後には暗雲と雷を背負った龍が、ハジメの背後には黒いコートに右眼を眼帯で覆い、紅い波動を吐き散らす魔王の姿が現れ、今にもファンタジー大戦争と成りかけている。

 

「待ってて、日色。今から日色の為にこの害虫を駆除するから」

「……上等。キメラモドキ風情に…負ける私じゃない……」

 

「――何やってるんだお前らは……」

 

片やドンナーを片手に構え赤雷を纏いながら、片や両手に金色の魔力を込めながら一触即発の空気を生み出している彼女達に日色は呆れた声を零すしかないのだった。

 

ちなみにサソリモドキとサイクロプスの肉からは新たに【魔力放射】と【魔力圧縮】、そして【金剛】の技能を手に入れたと記述しておく。




次は勇者パーティしてんかなぁ……先は長いですねぇ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。