ありふれた職業で世界最強(女)と文字使い(ワードマスター) 作:アルテール
聞いてくださいよ親方、ある日、評価バーを見てみると赤色に変わっていたんですよ!!
クッ!やはりもう自分は鏡花水月を食らってしまったのか!?
皆様!ありがとうございます(*´ω`*)
あ、今回はハジメちゃん視点なんですが前編と後編に分かれ、しかもコレジャナイ感が出ています、許してください!なんでもしますから!(なんでもするとは言っていない)
え?理由?…………めんどくさゲフンゲフン……文字数が一万程になってしまうからです(目逸らし)
いつからだろう、心の底から笑わなくなったのは…
いつからだろう、世界に色を失い、空想の世界に逃げようとしたのは…
いつからだろう、涙を流さなくなったのは…
そして、いつからだろう、それら全てが戻って来たのは……
決まっている、僕は何度確かめても確信できる。
僕の世界が変わり始めたのは、『彼』との出会いが始まりだったのだから。
◆
キーンコーンカーンコーン!
登校時間のチャイムが鳴り響くと同時に僕は教室の扉を開ける。
開けると共にクラスメートの視線が一瞬僕へと集中するがすぐさままたいつもの喧騒へと戻っていく——が、微かにボソボソと話している人たちがいた。
何を――とは言わなくても分かる。僕の悪口だろう。
嫌われ者、頭のおかしい奴、インキャ、オタク、そんな言葉が似合う僕は一言で表すと孤独だ。
別に僕は返事をしない訳でも、相手を苛立たせるようなことをしたことなんてない、声をかけられたら応答はするし、相手のことを気にして、言葉遣いも気をつけている。だけど、オタクというものは嫌われるもので最近では裏で悪口を囁かれている。
が、これでもまだマシな方だ、昔はイジメなどもあり、殴られもしたのだから。
僕はそう思いながら、自分の机へと向かい席に座り、持ってきたラノベを取り出した後、湧き上がってきた眠気により欠伸を一つ。
昨日は夜遅くまでゲームしていた為、どうやら眠気は完全に取れてはいないようだ。……いやまぁ、夜早く寝たとしても眠気が完全に取れたことはないが、自分の座右の銘は『趣味の合間に人生』である以上、早寝することはもはや不可能と言っていい。
そんなことを思っていると、教室の扉を開けて、先生が入ってきた。それを合図に喧騒が止み、ホームルームが始まった。
僕は半ば作業のように挨拶を行い、机にグッタリと崩れ落ちる。後は、先生の話を聞くだけだ。
そうやって先生の話に耳を傾けていると――
「今日は、転入生が来ます。皆さん、是非仲良くしてね」
は?転入生?
僕の思考は一瞬停止した。
いやいや、なんで?どうしてこんな時に転校生が来るの!?
周りの人達も僕と同じらしくガヤガヤと騒いでいた――あ、男子一人が手を挙げた。
「先生!転入生は男子ですか?女子ですか?」
「男子です」
次の瞬間、女子達がきゃぁあああああ!!と歓声を上げ、男子達がくそぉおおおおお!!と苦悶をあげる。
いや、そんなに女子転入生であって欲しかったの!?(動揺)
先生が教室の扉へと「入って来なさい」と言うと、扉がガラガラと開き、そこから一人の少年が現れた。
僕は、少し期待しながら現れた一人の少年を見て——意識が釘付けになった。
少年の容姿は艶のある黒髪に黒く輝くメガネを掛け、瞳は黒水晶のように澄んでいて、かつ、鋭い刃の様な目つき。顔つきはとても整っていて、俗に言うイケメンというべき人だった。
少年は先生の元まで歩いた後、此方を僕達生徒を見て――
「……神代日色です。引っ越しのついでにこの学校に転入しました、よろしくお願いします」
『……………………………………………………………………………………え?』
生徒の大半が疑問の言葉を呟いた。
え?いや?ちょ、え?
かみしろひいろ?神代日色!?何でそんな人がこんな学校に来るの!?(困惑)
神代日色、オタクな僕はあまり知らないけどれっきとした有名人だ。
最年少で剣道の全国大会に優勝——どころか三連覇し、前代未聞の無敗を誇っている天才少年。
入ってから僅か2年で全国大会を優勝し、数々の記録をいとも簡単に塗り替えた人物。
そんな将来を約束された彼は突然、表舞台から姿を消し、行方を眩ました。(ニュース抜粋)
そんな人がどうしてこんなところに!!?
そんな大混乱が僕の内心で巻き起こり、周りのクラスメートも大混乱が起こるというカオスな現状が出来上がったが、良くも悪くもそれが後に異世界で伝説として語り継がれる僕、南雲ハジメと『彼』神代日色の出会いだった。
◆
「…うーん」
転入生が僕らのクラスに入って来てから数日、僕は近くの大きな本屋で頭を捻らせていた。
右手にはファンタジー系のラノベ小説、左手には日常系のラノベ小説、そう現在僕は悩んでいた。
母さんにお小遣いを貰った僕は新作の小説の発売日ということで本屋へ直行、いざ、買おうかという時にとても興味を惹かれるファンタジー系の小説を見つけてしまったのだ。
財布に入っているのは新作のみ買う予定だった為700円しか入っておらず、両方とも買う為には一度戻らなければならない、しかし二つとも人気小説であり、残りの在庫は二つとも後一冊、戻っている間に売り切れにでもなったら笑えない。
僕はハァ、と溜息を吐いた後、片方の日常系のラノベ小説を買うことにした。本来の目的を忘れてはいけない、人気小説ならばすぐに再び入荷されるはずだろうその時にまた買えばいい。
そう思い、ファンタジー系の小説を戻そうとして――
「すまん、ちょっといいか?」
「ひゃ、ひゃい!」
突然背後から声をかけられた所為で小説を落としそうになった。
慌てて受け止め、声のかけられた方向へ向くと――
――そこには無表情で此方を見つめている神代日色がいた。
★◯↓∴▽◎♫♩※▲×◇ッッ!!!!????
ナンデ!?ナンデコンナトコロニ神代日色ガイルノ!?
あまりの驚きで声が溢れてしまい、それを聞いた神代さんは眉を顰める。
が、すぐに元の表情に戻り、何の感情を浮かべているか分からない瞳がこちらを見据える。
「……君が持っている本はその……ラノベ本だよな?」
「えっ?あ、は、はい。そうですが?」
突然聞かれた質問に咄嗟に答え、自分の持っているラノベ小説に目を落とす。
よかった、数分前の自分を評価したい、こんな時に変な小説を持っていたらきっとゴミを見るような目で見られていただろう。
「君は、こういう系の本に……詳しい方か?」
「う、うん、結構?」
て、バカ!僕のバカ!そんな馬鹿正直に答えるなんて引かれてしまうだけじゃん!
そう思ってしまうが時すでに遅し、言葉はもう紡ぎ出されている。彼は俯いたままなので表情は見えないが恐らく引かれているだろう。
その後、自分から距離を離し、陰口を囁いたり、いじめを行ったりするのだろう。
それは仕方がないことだ、人間は異分子を嫌うように自分の様なオタクは嫌われてしまう。
だから、自分の周りには誰もいない、世界が灰色に染まり、白と黒のモノクロでしか無い。
そういえば……自分が心の底から笑ったのはいつだったのだろう――
そう、思考が別の方向に行きそうになった時、突如肩を掴まれ神代さんの顔が一気に近づいた。
「そうか!すまないが、人気な本を教えてくれ!こういう本に興味があったんだがどれがいいのかわからなかったんだ!」
え?
思考が停止した。
彼の表情は嫌悪は無く、喜びの表情で。その瞳は嘘偽り無く僕を嫌っていなかった。
「ひゃ、ひゃい。ぼ、僕のお勧めは――」
咄嗟に返答するが、内心は驚きを隠せない。久しぶりに見たのだ、親以外で自分を嫌悪する様な表情ではなく、まるで友達の様に自然体で話す彼のような表情を。
彼は突然、ハッっとしたかと思うと僕の顔を再び凝視し、口を開いた。
「あぁ、ちょっと待ってくれ。自己紹介をまだしていなかったな、俺は神代日色だ」
「は、はい、知ってますよ。最近僕のクラスに転校してきた人ですよね」
「同じクラスだったのか?そうか、それじゃあお前の名前を教えてくれ」
神代日色、その名前を僕は胸に刻みつける。例え、この時だけの関係だけとしても忘れたくはないと思ったから。
「僕の名前は――南雲ハジメです」
ところで、僕の名前を聞くと神代さんは目を見開いていたがなんだったんだろう?
その真相は永遠に僕はわかることはなかった。
◆
時が過ぎていく。
僕が学校帰りに本屋に行く時、神代さんと会うことが多くなり、不思議な関係が続くようになった。
彼は学校では成績優秀、運動神経抜群という完璧に完璧を重ねたような人で、性格や言動が少し悪いけど僕のことを決して嫌ったりしなかった。
片や学力学年首位で運動神経抜群、性格には少し難があるが決して他人には迷惑をかけない優等生
片や運動神経も学力も平均であり、オタク知識などによる趣味によりクラスからハブられている平凡な少女
そんな二人が話したりしていればクラスからの圧力が増えるだけだと神代さんは言い、学校では不干渉でいてくれて、放課後や休日は友人として接してくれた。
決して無理に距離を詰めようとせず一定間隔で接し、付き合ってくれた。
だけど、彼と接するたびに思ってしまうのだ。
一度抱いてしまった疑問は消える事なく膨らみ続ける。
そう、僕が彼に何かをしてあげたことがあっただろうか?
あるにはあるだろう、だがそれは自分が好きな小説を教えているだけで只の趣味の範囲でしか無い。
でも、彼が僕にしてくれたことはなんだ?
勉強を教えてくれた、友達になってくれた、一緒にゲームをしてくれた、ラノベ小説を語り合ってくれた。
つまり、僕はただの彼の金魚の糞でしか無いのだ。
これほど悲しい関係があるだろうか?僕はただの役立たずでしか無いのだ。
頭のいい彼のことだ、神代さんはきっとその事に気づいているはずだ。
だけど、縁を切ったりしないのは単純に優しいからなのだろう。
彼は不器用ながらも口には出さないけども、他人を思いやり、助ける優しさを持っているのだから。
対して僕はなんだ?クラスでは嫌われ者、学力も平凡、誰かを助けることすらできない只の少女だ。
何が友情だ!?何が友達だ!?そもそも僕にそんな物が築けるはずが無いだろう!!
こんな平凡で嫌われ者な僕が万能で完璧な彼との友達なんて関係を維持する力なんてあるわけが無いというのに!!!
◆
HRが終わった為、僕は溜息をつきながら教室を出る。どうしてこんなに黄昏ているかというと中間テストが近くなっているからだ。
えぇ、一定ラインまで点数が超えなければ遊びに行くのを禁止されましたよ。最近は学力が低くなっていたから仕方がない事だけど……遊びに行く事を禁止されるのは流石に辛いなぁ…。
僕はしばらく遊べなくなる事を諦め、大人しく帰路につく事にした。
うぅ~勉強するのは嫌だなぁ~
そう思いながら、トボトボと帰っていると突如後ろから声をかけられた。
「おい、南雲。お前なんでそんなに落ち込んでいるんだ?」
声の主は神代さん、眼鏡をクイっと片手で上げ、もう片方の手でバックを持って、此方を感情の見えない瞳が見つめていた。
「……あ、神代さん…実は中間テストで平均点以上を取らないと暫く遊んではダメだと親に言われてしまって…」
ハハッ、と僕は誤魔化しの為に曖昧に笑う。まぁ、雰囲気が暗いせいか逆効果かもしれないけど。
それを聞いた神代さんはフム、と首に手を置いたあと意を決したように口を開いた。
「……南雲、勉強手伝ってやろうか?」
「……え?」
一瞬聞き間違えかと思った。
え?え?神代さんが勉強を教えてくれる?あの神代さんが!?あの学校一の唯我独尊の神代さんが!!??
「だから、お前の点数が上がるよう教科ごとに教えてやろうか?と言っているんだ」
「い、いいの!?」
一筋の希望の光が暗闇を照らした瞬間だった。僕は驚いて声を荒げてしまうけど、神代さんはコクリと頷いて――
「あぁ、オタクで馬鹿で、『趣味の合間に人生』を座右の銘としているもはや現代社会で生きようとすることを諦めているゾウリムシに匹敵するようなお前だが…………」
「ぐふっ!!?」
――さらっと吐いた言葉の刃が僕に突き刺さった、効果は抜群だ。
うぅ~否定したくても否定できない…べ、別に大丈夫だからね!お母さんの少女漫画やお父さんのゲームクリエイター、どちらも即戦力としての技術はあるんだから!未来設計はちゃんとしているから!!
彼は少し躊躇した後、続けるように言葉を零した。
「……一応、友達だからな。友に助けを出すのは当然だろう」
どうしよう、断ってしまうべきだろうか?
……いや、当たり前だ。僕は彼に迷惑しかかけていない、これ以上彼に迷惑を掛けるわけにはいけない。
だから、断ることが最も良い答えだ。そう思い口を開き———
だけど
どうしてだろう
そうするべきだと
分かっているはずなのに
「……あ、ありがとう」
僕は何故か否定の言葉を出すことが出来なかった。
…………この小説、完結するまでに3、4年掛かりそうな予感が来ます。
あ、あとハジメちゃん(豹変)の口調は『私』でいいですかね?今のところクーデレキャラになりそうなんですが、よかったら感想にアイディアください。