ありふれた職業で世界最強(女)と文字使い(ワードマスター)   作:アルテール

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軽く一ヶ月以上更新を止めてるのにかけた文字数が8000文字程度って……


あ、どうも。お久しぶりです。最近投稿を全くしてなかったせいか全然文章が書けなくなったアルテールです。
一ヶ月以上の失踪、本当に申し訳ございません・゜・(ノД`)・゜・

いや、もう最近はリアル(主に学業)が忙しくなりまして全く書けなかったんです。

いやもう、本当に申し訳ございません!!
今回も文字数が少ないですし、独自解釈も入っていますがご了承ください。
それではどうぞ( ´ ▽ ` )

…………低評価はしないでくれると嬉しいなぁ(ボソッ


忌み子の謎

「むしろ、俺からすればお前達がこの青リボンを忌み子として扱う意味がわからない」

 

そう言いながらビシッとシアに指を差す日色。その言葉に困惑し訝しむ長老達の中でアルフレリックとルアだけは表情を変えず沈黙を保っていた。おそらくこの中でほとんどがジンとかいう文字通り義も恩も無い獣みたいな奴と同じように個人の実力でのし上がった脳筋達以外で彼らだけが本当の意味でこの国の将来のために行動できるのだろう。

先ほどの日色との交渉で既に日色はある程度二人が切れ者だと認識していた。…………というか仮にも国のトップ達なのに大半が脳筋とはどういうことなのだろう?大丈夫かこの国。

 

「はっ、何を言うかと思えば。決まっているだろう、そこの忌み子は魔物と同様の力を持っているのだ。魔物は処刑する、当然のことだろう」

「……………………お前、馬鹿か?」

「な、なんだとッ!?」

 

自信満々に胸を張って語るグゼの言葉に日色を呆れどころか本当になんで滅ばないんだこの国?、と心底考えながらグゼへと心底馬鹿にしたような目線を向けた。

 

「忘れたのか?お前達が迫害される原因を。人族の聖教教会の主張は『魔力を持たぬ種族は神に愛されていない』、だぞ?ならばこの魔力を持った青リボンが存在する以上、奴らは亜人族を虐げる主張を使えないはずだ。だというのに何故、忌み子として扱う?亜人族の現状を変えられる可能性があるんだ、寧ろ神子として扱うべきだろう?」

 

その日色の言葉の意味が理解できたのかアルフレリックとルアを除いて、「あっ」と腑に落ちたように唖然とした表情を取った。

そう、シアが魔力を持っているという事実は教会の主張を論破する決定的な切り札である。もちろん普通に教会に訴えたところでほぼ確実に裏で謀殺され、もみ消されてしまうだろうがシアの固有魔法『未来視』を使えば話は別だ。なにせ、多くの運命を予言し続けるだけで魔力持ちであることが証明でき、その力を使って人族を助ければ当然噂になり、徐々に民衆を味方につけることができるようになり、民衆を味方につければ教会は民衆から反感を買ってしまう為、シアを異端認定することもできなくなる。なにせ、海人族を保護してしまった実績があるのだ、他のシア達も保護せざる負えなくなるはずだ。

 

「しかも可能性の話でしかないが魔力を持つ性質が子供に遺伝しないとも限らない、遺伝したなら、魔法を使うというアドバンテージは消えるんだぞ?身体能力と合わせれば人族も魔人族もお前達を蔑ろにすることは叶わなくなるはずだ」

「な、な…………」

 

その言葉に開いた口が塞がらないといったように言葉を詰まらせる長老達。

表情に変化がないのはおそらくこの可能性を予想していたルアと何か思うことがあるのか一瞬僅かに()()()()()()()()アルフレリックだけだった。

その二人の様子に二人はその可能性を理解していたことに気づいたゼルが怒鳴るように問い詰めた。

 

「ルア!アルフレリックッ!貴様ら、その可能性がわかっていながら何故黙っていたッ!」

「あくまで可能性の話だ、ましてや、言ったところでお主等は止まるか?」

「寧ろ僕らの地位を悪くするだけだろうからね。なら代わりに気づいてくれた者に言ってくれた方がこっちに被害はこないだろうし。どうだい?人間に指摘されるのは?なかなか効くだろう?」

 

『やばい、このごん狐予想以上にイイ性格してる………ッ!』

 

目を細めたままニヤニヤと笑うルアの表情は正直言って日色の中の人を引かせるには十分すぎるほどイイ笑顔だった。しかも、口出しした時に自分達の地位が危ぶまないように口を出さず、誰かに言わせようとさせるあたり実にいやらしい。おそらく、日色達が来なければ己の手下たちを使い、他の長老達が自然と気づいたと錯覚するように根回ししようとしたのではないだろうか?

 

「し、しかし………話してくれれば――」

「当然、お前達は聞き入れるはずがないだろうな。なにせ、魔力を持っている少女を庇った家族でさえお前達は処刑しようとするんだからな。それにどうしたんだ?規律では魔物は不倶戴天の敵、故に魔力を持った青リボンは処刑するんだろう?散々虐げておいていざとなったら手のひら返しか?まさか本当に義も恩もない獣だったのか?」

「だ、黙れっ!貴様と我らとは違うッ!我らは――」

 

日色の呆れた表情で紡ぎだされる嘲笑うような声にグゼは怒り心頭といった様子で叫ぶがその言葉に日色はスッと表情を無表情へと変えて、グゼの言葉を遮り淡々と言葉を叩きつけていく。

 

「――そうだな、獣でさえ子は守る。ましてや、他の種族に迫害されている中、亜人族の現状を変えられる可能性を持った青リボンを一族もろとも迫害するお前達はただの獣以下だ」

「あ、ぅあ………」

 

敵の敵は味方

人は共通の敵を見つけると例外もあるものの自然と団結しようとする生き物だ。

利害の一致というべきか、例で言えば江戸時代で起こっていた農民の一揆や反乱といったように。

リーダーは決めたりはするものの共通の敵を見つけた人々は迫害することは極少数である。

ましてや、その共通の敵に渡り合える可能性を持った少女をどうして忌み子として迫害したのか?

それは――

 

 

日色の言葉に呆然と返す言葉もなく聞くことしか出来ない長老達へと日色は決定的な一言を叩きつけた。

 

 

「認めたくなかったんだろう?」

「―――――――――ッ!!?」

 

 

日色の言葉にアルフレリック達以外の例外を除いた全員が言葉を失った。

 

「魔力持ちは魔法が使えるアドバンテージがある以上ほとんどの亜人族よりも強いはずだ、だからお前達は認められなかった。最弱の兎人族が持っていることに。未知は恐怖だ。だからお前達は恐怖し、青リボンを処刑しようとしたんだろう?最弱の兎人族が最強になることを認められなかったから、今まで兎人族の迫害した分の報復が来るのが怖いから」

 

その言葉に言い返す言葉を長老達は持ち合わせていない。

何故なら本当は理解していたから。十数年隠してたのだ、今更引き渡せという要求に従わないのは解りきっていた。だがそれでも亜人族達は認めたくなかったのだ、最弱と言われたハウリア族の少女が最強になれる可能性があることに。迫害する側からされる側になることを亜人族は無意識的に忌避していたのである。

ガタンッという音ともにグゼは茫然自失といったばかりに床へと膝をついた。

すると、パンという手を叩く音が聞こえてきた。アルフレリックである。

 

「申し訳ないがお前さん、そこまでにして頂きたい。彼らはまだ若い、若さゆえの暴走なのだ。どうか彼らに己を見直す時間をくれまいか?」

「それは言う相手が違うだろうに……」

「本当に……申し訳ない」

 

そう呆れたように呟く日色の視線は己が忌み子扱いされたのは嫉妬に過ぎなかったという事実に怒りと困惑がまじったような表情を取るシアへと向けられていた。

アルフレリックはゆっくりと、しかし丁寧に頭をシアへと下げた。ルアも続いて頭を下げる。

 

「――それで?こいつらの処遇はどうなる?」

「……ハウリア族の処刑は既に決まってしまったこと。掟のせいでそれを変えることはもはや出来ない。だが掟には奴隷として捕まり樹海の外へ出て行った者は死んだものとしても扱っている。故にハウリア族はお前さんの奴隷にさせてもらおう」

「魔法を使える相手にほぼ勝機なんてないからね。そこのシアちゃんの魔力が遺伝したなら話は別だけど今は確かめる方法はないし」

「…………屁理屈だな」

「仕方あるまい、お前さんの要求を満たしながらも掟に触れないようにする方法はこれしかなかった。皆も異論はないな」

 

結果的に言えば死んだものは処刑できないから大丈夫という結論になったことに日色はいつものような呆れた溜息を吐いた。

アルフレリックの言葉にルアはニコニコと笑顔で了承したがのそれ以外の長老は返事をする気力がないようで、沈黙を保ったまま一向に返事が来ないのでアルフレリックは了承ということにしておいた。

 

「それでは纏めよう。ハウリア族は忌み子シア・ハウリアを筆頭に、神代日色の奴隷――つまり身内とみなす。そして、資格者神代日色に対しては、敵対はしないが、フェアベルゲンや周辺の集落への立ち入りを禁ずる。以降、神代日色の一族に手を出した場合は全て自己責任とする……以上だ。何かあるか?」

「そうだな………あの茶熊の傷を治した対価としてひとつ要求がある」

 

今、思い出しましたと言わんばかりにジンのことを思い出して手のひらにポンッと手を置き、日色は一つ要求しようとするとアルフレリックは心底嫌そうに顔を顰めた。

 

「……………………なんだね」

「……そんなに嫌な顔をする程なのか――耳長、お前に聞きたいことがある。個人でな」

 

その日色の言葉にアルフレリックは僅かに目を細め、少し熟慮した後「――よかろう」と何かたまったものを吐き出すかのようにため息を吐き、ルアへと目を向けた。

 

「――ルアよ、すまないがジン達を連れて一足先に戻ってくれんか」

「構わないよ、でも――いいのかい?ここを二人だけにしたら彼に殺される可能性があるよ?」

「神代殿はその気になれば我ら全員を殺すことは容易い、今更のことだろうに」

 

ルアの疑問の声にアルフレリックは答えるとルアは「ハハッ、そうだね」と胡散臭い笑みを浮かべた後、他の意気消沈した長老達を立ち上がらせていく。

日色もハジメに目を向けると、ハジメは少し不満そうにしながらもユエやシア達を促して立ち上がった。ハジメの目が「後で頭撫でてね」というワンコのような訴えをしてきたので日色は呆れながら了承の意とばかりに片眼を一度だけ瞬きさせた。

ユエは終始ボーとしていたが、話は聞いていたのか特に意見を口にすることもなくハジメに合わせて立ち上がった。

 

しかし、シア達ハウリア族は、一向に呆然としたまま立ち上がる気配がない。未だ現実を認識しきれていないのだろうか。いや、それも当然かさっきまで死を覚悟していたのに、気がつけば追放で済んでいるという現実離れした事実。例えるならば死刑判決だった者が突然死刑判決を取り下げられ、荷物やパスポートを用意された挙句、「お前国外追放な。人生やり直してこいや」と言われているようなものだ。

彼らの心境は「えっ、このまま本当に行っちゃっていいの?」という感じで動揺しているのだろう。

 

「ねぇ、何時まで呆けてるの?さっさと立って」

 

ハジメの言葉に、ようやく我を取り戻したのかあたふたと立ち上がり、さっさと出て行くハジメの後を追うシア達。ルア達もハジメ達を門まで送るようだ。

ぞろぞろと木の扉から出て行く亜人族達の中、未だオロオロとしているシアが日色に尋ねた。

 

「あ、あの、私達……死ななくていいんですか?」

「?さっきの話、聞いてなかったのか?」

「い、いえ、聞いてはいましたが……その、何といいますか……いつの間にかトントン拍子で窮地を脱してしまったので実感が湧かないといいますか……信じられない状況といいますか……」

 

 周りのハウリア族も同様なのか困惑したような表情だ。それだけ、長老会議の決定というのは亜人にとって絶対的なものなのだろう。どう処理していいのか分からず困惑するシアにユエが呟くように話しかけた。

 

「……素直に喜べばいい」

「ユエさん?」

「……日色に救われた。それが事実。受け入れて喜べばいい」

「…………」

 

ユエの言葉に、シアはそっと隣にいる席に座った日色に視線をやると、日色は僅かに口角を上げて小さく微笑した。

 

「報酬、忘れるなよ?」

「――ッ」

 

その日色の言葉にシアは、肩を震わせる。樹海の案内と引き換えにシアと彼女の家族の命を守る。

確かにそれはシアが必死に取り付けた日色との約束だ。

 

確かにシアは【未来視】によって日色が守ってくれる未来は見えていた。だが、あくまでシアが見ることができるのは未来という名の『可能性の一つ』でしかない。故にシアの選択一つでいくらでも変わってしまうものなのだ。

だからこそ、シアは日色の協力を取り付けるのに『必死』だった。相手は、亜人族に差別的な人間で、シア自身は何も持たない身の上だ。交渉の材料など、自分の『女』か『固有能力』しかない。故に日色にあっさりスルーされた時のシアの絶望は押して叱るべしである。

 

どうにか約束を取り付けて、道中積極的に話しかけたのもそれが理由だ。「約束は守る人だ」と口に出してみたり「人間相手でも戦う」などという言葉を使ってしまったものも『本当は助けてくれないのではないか?』という内心の不安が溢れ出した故の本音だったのである。実際に、何の躊躇いもなく帝国兵と戦ってくれた時、シアはどれほど安堵したことか。

 

ましてや今回の長老会議では帝国兵の時とはわけが違う。言ってみれば、帝国の皇帝陛下の前で宣戦布告するに等しいのだ。にもかかわらず一歩も引かずに約束を守り通してくれた。例えそれが、日色自身の為であっても、ユエの言う通り、シアと大切な家族は確かに守られたのだ。

 

一体どこにいるだろうか。本来蔑まれるはずの亜人族、ましてや出会って一日も経っていない身も知らぬ兎人族の少女との契約のために国そのものに宣戦布告する者なんて。

 

先程、一度高鳴った心臓が再び跳ねた気がした。顔が熱を持ち、居ても立ってもいられない正体不明の衝動が込み上げてくる。それは家族が生き残った事への喜びか、それとも……

 

「日色さ~ん! ありがどうございまずぅ~!」

 

そして、気がつけばシアは胸から湧き上がる衝動に身を任せて日色の胸に抱きついた。泣きべそを掻きながら絶対に離しません! とでも言う様にヒシッとしがみつき顔をグリグリと日色の腹筋に押し付けるシア。その表情は緩みに緩んでいて、頬はバラ色に染め上げられている。

 

それを見たハジメは無言で【宝物庫】から対物ショットガン【シュラーゲン】を音もなく取り出そうとするがユエに今は止めろ、というようにポンッと片手を触れられたので不機嫌な表情になりながらもシアにドパンッするのは止めた。

 

そして日色は――

 

 

「――――――。………いい加減離れろ」

 

 

――()()()()()()()()()()に何を思ったのか、何も喋らずしばらく口を閉じたままだったものの絞り出すように鬱陶しそうな声を零し、シアを引き剥がそうとする。

それと同時に、ハウリア族の皆もようやく命拾いしたことを実感したのか、隣同士で喜びを分かち始めた。

 

ハジメはそれらを不機嫌そうに見つめながら先に扉に出た長老衆の中で日色へと不快感や憎悪の視線を向けていた者がいたことやこれから新たにユエと同じく厄介な敵が現れそうなことに久しぶりに憂鬱なため息をつくのだった。

 

 

「さてと、すまんな。時間を取らせて」

「仕方あるまい。お前さんにはジンの傷を治してもらった恩がある。恩は返さなければなるまいて」

 

ハジメ達にハウリア族を任せ、連れてってもらった日色はアルフレリックと二人きりで対面していた。

こうなったのも日色が要求したからなのだがさっきまで長老達がいた時とは違い、外からの活気のある騒音が聞こえてくるもののある程度落ち着く雰囲気を保っている。

 

「それで、お前さんの質問とは一体何かね?」

「あぁ、別に大したことじゃない。少し気になったという疑問というだけなんだがな――」

 

そう言って日色は一旦ひと呼吸おいて、アルフレリックへと質問を投げかけた。

 

 

 

「―――青リボンのような魔力持ちの亜人族、これが初めてじゃないだろ」

 

 

 

その日色の言葉に外の騒音が場違いに静まり返った。

音のない世界の中で、アルフレリックがゆっくりと真剣な表情で日色を見つめた。

 

「………どうしてそう思うね?」

「最初に抱いた疑問は初めて青リボンに出会った時だ」

 

そう呟きながら日色が思い出すのは助けを求めるシアの話を聞いたときのことだ。

ハウリア族はフェアベルゲンに捕まる前に一族ごと樹海を出て、途中帝国軍とばったり出会うことがなければ北の山脈地帯を目指すことにしたらしい。

 

だが、ちょっと待って欲しい。ここでひとつの疑問が生まれないだろうか?

 

そう――

 

「――()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

そう、そうなのだ。

本来ならば樹海から出たことのないはずのハウリア族が樹海の外をある程度知識と知っていても正確な道などわかるはずがない、例えるならば外国の地名を知っていたとしても正確な住所はわからないことと同じように。

ハウリア族が方位磁石や地図を自前で用意したのなら話は別だが、主に方位磁石が売られているのは人族の領土だ。ましてや同じ亜人族に虐げられているハウリア族が手に入れられることはほぼありえない。

 

()()()()()()()()()()()()()()

 

「次に疑問を抱いたのは長老会議の時だ」

「ほう……?」

「長老というのは一族の代表者、つまり一族ごとに意見を纏めそれを長老が提示するんだろう?だが、満場一致で青リボンの判決が処刑になるのは都合が良すぎないか?あの黄虎のような脳筋一族ではなく、ましてやもっとも長命の森人族が、だぞ?いくら掟や誇りを大切にするとしても少なくとも青リボンの亜人族に対する恩恵程度気づくだろうに」

 

あの頭が脳筋だった力でのし上がってきた者たちとは違いアルフレリックは頭脳や知識で長老の座に居座った者である。ならば当然、同じ種族である森人族は決して『魔物と同じ力を持っているから』という理由だけで殺そうとはしないはずだ。

 

だからこそ、日色は考えたのだ。

 

もし、仮にシアを森人族が『魔物と同じ力を持っているから』という理由で処刑を決めたのではなかったとしたら?

 

他に理由があったとすれば?

 

だとすればそれは――

 

「…………故に、過去に彼女のような忌み子がいたのではないかと推測した、という訳か」

「そしてお前は、その忌み子と何ら関係を持っていたんじゃないかと俺は予想している」

 

――シアが生まれる前の過去に何かがあったということだ。

 

そして、その忌み子とアルフレリックが何ら関係を持っていたのならばハウリア族が北の山脈に行こうとすることができたことが繋がり、ある事実が浮かびあがるはずだ。

アルフレリックが()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

アルフレリックは深く、深く、ため息を吐き、再度鋭い視線を日色へと向ける。

 

「それで、お前さんは何を聞きたいのかね?」

「青リボンが生まれる前の過去、あいつが森人族にさえ処刑と言われる本当の理由が知りたい」

「お前さんには何の関係もないのにかね?」

「言っただろう?単純な興味、好奇心の質問だと」

 

アルフレリックはその日色の言葉に半ば、観念したように「………よかろう」と呟いた。

そして、少しずつ、過去をかき集め、滴り落とすかのように言葉を紡いでいった。

 

「お前さんの言う推測は半分正解でもう半分は間違っている」

「――何?」

 

アルフレリックは語っていく。嘗ての出来事を思い出すように。

懐かしそうに、僅かに目を細めながら。

 

「確かに嘗て忌み子と呼ばれた者はいた、しかしその者はシア・ハウリアとは違い()()()()()()()()()()()()()

「…………」

 

沈黙する日色にアルフレリックは実に懐かしそうに一人の人物の名を紡いだ。

 

 

 

「――その者の名をララシーク・ハウリア、シア・ハウリアの曾祖母にあたる者だ」

 

 




というわけでオリキャラ(名前だけ)登場。
シアが忌み子扱いされたとしても魔物と同じだから処刑されるのはおかしいんじゃないかなぁ、と思って初代忌み子を作りました。

ところで本文に書いた通りなんですけどハウリア族は樹海の外に行ったことがないのにどうやって北の山脈に向かうつもりだったんですかねぇ?
いくら考えてもわからなかったんで独自解釈で一族ではない誰かが陰で手助けしたのではないか、と解釈しました。いったい誰が助けてくれたんだろうなぁ?(すっとぼけ)

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