艦これのイベントで泣いたのあれが初めてだよゴラァ!
でも深海棲艦の中で一番好き
防空棲姫
艦隊これくしょん2015年夏イベで初登場、性格は一言で言えば、挑発的で傲岸不遜。圧倒的な防御力を誇り、艦娘の攻撃を跳ね返し続け、嘲笑と共に絶大な火力でこちらを痛めつける。
その姿に多くの提督は絶望の渦に叩き込まれた一方で、彼女を正面から打ち破った者には惜しみない称賛が送られている。
その提督達は皆須らく断言するだろう。今の彼の行動は自殺行為だ、と
「お前、私の妻になれ」
ある男が、防空棲姫に対して臆面もなく目の前で求婚していた。病人のような白い肌、しかし体型はよく高身長であり、肉付きもよい彼女は容姿だけ見ればその希少さ故に我が物にしたいという欲求は沸くのだろう。だが、ただの人間が彼女に触れようものなら、即その存在は塵芥に変わるため、無謀であることに変わりはない。
しかし、周りの人々は、護衛でさえも彼を諌めない。むしろ彼に対して頭を垂れ目を合わせず、絶対服従で微動だにしない。
この求婚者もこの世界では絶対的な存在であった。
天竜人。
世界政府の創設者の末裔たる彼らの権力はまさしく神。逆らうことなど世界政府にさえ不可能であるのにどうして一市民が声を上げられようか。もし手を上げればたちまち海軍の大将がやってくる。
故に彼にとってこの言葉は単なる告白ではない。これは命令であり、決定事項であった。
しかし、それでも一撫ですれば彼の首を折れる彼女を前にして、皆その暴力に怯えず、権力だけに恐れおののくのはいないのは奇妙であった。
彼女は私達に力を振るわない。そういう確信があったわけではない。ただ知らないだけ。彼女が深海棲艦の長として絶対的な力を持っていると、この場にいる彼女以外、誰も知らないだけ。
ここはシャボンディ諸島。そして海は深海棲艦ではなく、数多の海賊たちが制している世界である。
「……」
「どうしたえ? 返答は」
この世界の異分子である彼女は求婚に対して無言を貫く。天竜人は返答を急かす。彼にしてみればどちらでもよかった。ただ、自発的にせよ強制的にせよ、この女が這いつくばる姿を見てみたいだけの気まぐれ。
両者の存在を知るものがいれば、こんなに過剰なストレスはないだろう。最早破局は時間の問題。防空棲姫が暴れれば周り一帯は焦土と化す。そのくせにげようとするものならば天竜人に見とがめられ、動くことすらできない。
いくばくかの沈黙の後、意外にも彼女は拳を上げるのではなく、口を開いた。
「……考えさせてくれませんか?」
提督が見たら唖然とするような弱弱しい口調で、否定でもなく肯定でもなく、彼女は強者らしからぬ引き延ばしを要求した。
―――――――――――――――――――――
修論発表が終わり、大学院生活最後の春休みが始まろうとしていた。
長く苦しい戦いだった。研究と言うのは、ひらめきに満ち溢れた世界ではなかった。ひたすら比較し、分析し、物事の本質を見抜く。それらをいかに効率よく行うか。これを生業とする教授たちに畏怖を抱いた。
だが、それも今日で終わりだ。この最後の一か月間。最後の思い出づくりに励むぞ~~!
目を覚ましたら防空棲姫だったでござる。
しかもFGO直前までやってたはず何だが? うせやろ? 海のど真ん中からスタートとかどんな理不尽? なんだこれなんだこれなんだこれ
狼狽えて、ふざけるなと憤って、どうにもならくて、誰も来る気配がないから仕方なくその場を後にした。
航海術なんて知らないから数日漂流みたいな感じにあっちこっち行ったりきたりして、目が覚めた場所もわからなくなり、寂寥感やら理不尽さに涙を流した。
それでももうすぐ25歳になる身。努めて理性的に行動しようと心掛けて、まずこの体で何ができるのかといろいろと試した。その結果、海中でもある程度は息が続くこと、そして艤装の出し方(召喚式だった)を確認した。最後に漂流していた幽霊船から全身を隠せる適当なローブを拝借し、人の気配がガチめに恋しくなってきた頃にやっとついたのがシャボンディ諸島。
ここがワンピ世界だと言うのは海王類を見た時から察してはいた。ここに天竜人がいることも。それでも一人はもううんざりで、人型を見れるのがなによりもうれしかった。
ローブもあるから目立たなければ大丈夫と、そう思って上陸したのが甘かった。
隙間から目ざとく見られたのだろうか、目の前まで来させられてフードを取ったら求婚でBADENDルート確定とか、このリハクの目を以てしても見破れなんだ。
とか余裕ぶれるほど俺の精神は太くない。答えられない質問が来たらショートするこの頭が、どうしてまともに働けようか。
呼びかけられた時から顔面蒼白。原作内での天竜人の所業、そして海軍大将三人組の顔が頭の中を埋め尽くす。ここから回避できるルートを必死に考えているようで考えられない、視野狭窄状態。
銃を撃たせて普通に倒れて、死んだふり。これが思い浮かばない。というか、絶対失敗する、という強烈な先入観で万が一死んだらと思えば、死なないというイメージがどうしても浮かばなくなった。
目の前にいる奴隷を見てYESは絶対言う勇気が無かった。だから、考えさせてくれと言った。十中八九撃たれると思ったけど、もしかしたらと願って。
天竜人の懐から拳銃が出てきたときの反応だけは予想していただけに素早かった。人間の価値観で撃たれたくないと、弾けと体に命令して、その手を弾いた。
―――――――――――――――――――――――――
「「は?」」
両者から困惑の声が聞こえた。一方は手の感覚がおかしくなったことに。一方は自分のしでかしてしまったことに。
に。
彼女は銃を弾き飛ばそうとしただけだ。ただ人間の頃の感覚に従って腕を動かした結果、銃どころか手も吹き飛ばしてしまっただけ。人間と深海棲艦とのずれを修正できなかった弊害が表面化してしまっただけ。
「あ、いや、これ、あの、だいj……「ぎゃああああ!!」」
違う、こんなことするつもりはなかった、手は傷口の状態は、相手の表情は、
やってしまった。手を吹き飛ばすという取り返しのつかないことをしてしまった。自分が侵してしまった罪の重さに彼女は完全に混乱し、逃げることすら忘れて、彼の手当てをしようとさえ考えた。その行為がどれだけ重い罪なのかも慮外にして。
「女が天竜人に逆らったぞおおおおおお!!」
「逃げろ! 大将が来るぞおおお!!」
市民の叫びで彼女は事の重大さをようやく理解する。天竜人に逆らった。すなわち、自分を捕らえに大将が来る。
何もかもを凍てつかせる青キジ
あらゆるものを溶岩で溶かす赤犬
文字通りの光速で移動する黄猿
―――逃げろ、逃げろ! 逃げろ!!
現実離れした事態に、実感がわかない。自分の命が危機にさらされていることを言い聞かせるように自覚してようやく、名残惜しむようにその場を走り出す。人ごみに紛れ、海に向かう。
何故、防空棲姫の力を確認しなかったのか。装甲を確認しなかったのか。死んだふりをしなかったのか。この数日間でできることは一杯あっただろう! 何でしてこなかったんだ。馬鹿だ、俺は。
「ああ違う。そんなことどうだっていい!」
自分にダメだししてなんになる? 何が変わる? 今この事実を受け止めて認識しろ!
今から来る対象は誰だ? どこにどうやって逃げる? 海に逃げればワンチャンある。
無理やりにも意識を塗り替えて、彼女は逃亡を成功させるために思考を巡らせた。
――――――――――――――――
俺がシャボンディ諸島の住人では無いことは聞き込みですぐにばれるだろう。ならば海軍は俺を海賊だと思うはず。ならば張り込むのは港であり、そこには行けない。ならば港以外から海に出ればいい。
ローブは邪魔だから捨てた。俺は全力で港の反対側を目指して走っていた。おおよそ人間には出せない脚力で以て。
だけどやはり、光速には及ばないらしい。
「やっとみつけたよォ。手間をかけさせてくれるねェ」
黄猿、大将、逃げられない。死ぬ
また、間違えた。 なりふり構わず海に出るべきだった。
もう、そこに海は見えているのに。海にさえ出れれば、逃げられるのに。
「命はとらないからさぁ、大人しくつかまってくれないかねぇ?」
「……もしかして、それってインペルダウンですか?」
「ありゃ? 知ってるのかぁ。まぁ、別嬪だからある程度は口添えしとくよぉ?」
「因みに刑期はどれぐらいですか?」
「君次第だねぇ」
「ここで投身自殺するって言ったら見逃してくれませんかね?」
「妙な気は起こさない方がいいと思うよぉ~~?」
「……裁判も無しに刑務所行きっすか」
「そういうのはつかまった後でいくらでも聞いてあげるよォ?」
やっぱり、だめだ。問答無用だ。
やるしか、ない。撃って逃げ切らなきゃ、一生インペルダウン行き。
海にさえ出れば、俺の勝ち。
今からしようとすることに吐き気を覚える。この世界は最後は暴力がものをいうとこは理解している。だけど日本では禁忌と教育されてきた、殺人への忌避感が嘔吐感として現れているのだ。
だがやらなければ、自由はない。相手は光。
だから、死なない
「おんやァ~~?」
やるしか、ない!!
艤装召喚。ノータイムで発砲。
八発の砲弾は黄猿を巻き込んで起爆。派手な土埃を巻き上げた。衝撃波にもんどりうちそうになるが気合で耐えた。多分常人だったら命は無かったかもしれない。
黄猿がどこ行ったか分からない、だけど走る!
この土埃に紛れて、海中に逃げる!
時間の感覚も忘れて、とにかく走った。隣にいませんようにとひたすら祈って。
そして祈りは勝利の女神に届いてくれた。
ふいに、浮遊感が体を包む、一秒強落ちると、そこは海の上だった。
はやる気持ちを抑えて、そのままの勢いで水中に隠れ、ゆっくりと海底を進み続ける。
これが最善だったと必死に言い聞かせて、最後の詰めを誤らないように。どこに行ったかを悟られないように、万が一がないように進む。
よし、逃げ切った ……はず。
100メートル程泳いだところで俺は小さくガッツポーズをした。
ひとまず、俺は海軍の魔の手から逃れることができた。
ここから、俺の短い逃亡生活が始まった。
憑依の候補は他にもありました。
空母棲姫・・・ボーキサイトの概念がワンピ世界に無いので艦載機の補充が出来ない超絶ハードモードで途中から殴るだけの描写になりそう。後服装……
葛城or瑞鶴・・・あ^~いいっすね~。同上
榛名・・・AGPタイプの艤装は面白そうと思った。けど防空棲姫の方が好き。
戦艦棲姫・・・防空の方が好き